以前、当研究所で「玄米をゆでこぼすと、ヒ素はどのくらい減るのか?」という実験を行いました。
……ところが、後から大きな事実が判明。
なんと、「玄米」だと思って実験していたお米が、実は「3分づき米」だったのです。
これは悔しい……。
ということで今回は、改めて本物の玄米を使ってリベンジ実験を行いました。
果たして、玄米をゆでることで、どのくらいヒ素が溶出するのでしょうか?
今回の実験方法
玄米約1.0gに超純水15mLを加え、加熱しながら、ゆで汁に溶け出すヒ素の量を調べました。
実験の手順は以下のとおりです。
- 約1.0gの玄米を15mLのPP容器に入れ、超純水15mLを添加
- 30分かけて昇温し、95℃に到達後、0分・5分・10分・15分の時点でゆで汁をそれぞれ3mL採取
- 採取したゆで汁に高純度硝酸を添加し、酸性条件に調整
- 3,000rpmで10分間遠心分離
- 上澄み液をICP-MSで測定
そして、ゆで汁に含まれるヒ素濃度を測定しました。
加熱時間が長くなるほど、ヒ素の溶出量が増加
測定結果はこちらです。
| 加熱時間(95℃に達してから) | ヒ素濃度(Ave)㎍/L |
|---|---|
| 0分後 | 5.5 |
| 5分後 | 6.7 |
| 10分後 | 9.0 |
| 15分後 | 11.1 |
ご覧のとおり、加熱時間が長くなるにつれて、ゆで汁中のヒ素濃度が上昇しました。
特に95℃で加熱してから15分後には、ヒ素濃度が11.1まで上昇しています。
つまり、玄米を加熱することで、玄米に含まれていたヒ素の一部がゆで汁へ移行していることが確認できました。
では、玄米からどのくらいヒ素が出ていった?
さらに、ゆで汁を採取するたびに残存する液量とヒ素量を計算し、玄米から溶出したと考えられるヒ素量を算出しました。
今回の計算では、玄米に含まれていたヒ素は平均165ng/gでした。
その結果……
| 加熱時間(95℃に達してから) | 溶出したと考えられる割合 |
|---|---|
| 0分後 | 約50% |
| 5分後 | 約59% |
| 10分後 | 約71% |
| 15分後 | 約79% |
なんと、95℃で15分間加熱した時点で、計算上は玄米に含まれるヒ素の約8割がゆで汁側へ移行したという結果になりました。
これはすごい……!
もちろん、ここでいう「約8割」は、今回の実験条件と測定値から算出した理論上の値です。
実際の調理では、水の量や玄米の状態、加熱条件などによって結果は変わると考えられます。
また、今回の実験は「玄米を食べるとヒ素の8割を除去できる」ということを直接示すものではなく、玄米を加熱することで、ヒ素がゆで汁へ移行すること、その移行量を今回の条件で推定したものです。
「白米でやったら?」という疑問
ここまで読んで、
「じゃあ、白米でも同じ実験をやったら?」
と思われる方もいるかもしれません。
もちろん、白米でもヒ素の溶出を調べることはできますが、15分やってしまったら炊けてしまいます。。。
そのため、今回のような実験は、炊飯に時間のかかる玄米だからこそ観察しやすい実験ともいえます。
今度こそ「玄米」でリベンジ達成!
前回は「玄米の実験」のつもりが、まさかの3分づき米。
今回はきちんと玄米を確認して、改めて実験を行いました。
そして結果は、玄米からヒ素がしっかりとゆで汁へ溶出することを確認。
さらに、今回の条件では、15分間の加熱によって計算上、約79%(約8割)のヒ素がゆで汁側へ移行したという結果になりました。
今度こそ……
玄米でリベンジ、達成です!
あー、よかった。
こうした実験を通して、普段何気なく食べている食品に「どんな成分が含まれているのか」「調理によって成分がどう変化するのか」を、実際の測定データから見ていくのも面白いですね。
今後も、身近な食品や水などに含まれるミネラル・元素について、実際に分析しながらご紹介していきたいと思います。
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