南部鉄器と毛髪ミネラル検査の鉄

南部鉄器の急須と「立ち眩み」

先日、イオンに出かけたときのこと。
ふと目に留まったのが「南部鉄器の急須」でした。

デザインの重厚さや、ずしっと手に伝わる重量感に惹かれ、購入しました。

ワンパンマンチャレンジと体調の変化

2025年の七夕から始めた「ワンパンマンチャレンジ」。
毎日続ける中で、足の関節の痛みや肉離れなど、体のあちこちが悲鳴をあげる場面も多々ありました。ワンパンマンチャレンジについては↓↓

その中でも一番厄介なのが――「立ち眩み」。
座って立ち上がると、かなりの頻度でフラッとするようになったのです。

「これは鉄不足かな?」と思いつつも、食事ではしっかり肉を食べている。
だからこそ、余計に気になっていたところで南部鉄器と出会ったわけです。

毛髪ミネラル検査と鉄

私どもが行っている毛髪ミネラル検査でも、南部鉄器を利用されている方の中には「鉄が高い」結果が出る方が印象的に多いのです。

もちろん、質問票で「南部鉄器を使っていますか?」とお聞きしているわけではないので統計的なデータではありません。
あくまでも印象の範囲です。

一般的に毛髪ミネラル検査では、子どもは鉄が高く、大人になるにつれて鉄は低下し、比較的ブレが少なくなっていきます。
ところが一部の方では、大人であっても子ども以上に鉄が高いケースが見られるのです。

南部鉄器から溶け出す鉄の形態

鉄は体に必要なミネラルですが、「多すぎてもよくない」というのはよく知られています。
それでも、私自身「立ち眩みが少しでも改善するなら」と思い、南部鉄器を試してみることにしました。

ここで面白いのが、南部鉄器から溶け出す鉄の形。
てっきり吸収されにくい「3価鉄(Fe³⁺)」だと思っていたのですが、調べてみると意外にも「2価鉄(Fe²⁺)」が多いとのこと。

実は鉄というのは非常に複雑で、腸から吸収されやすいのは2価鉄。
けれども体内に入ると3価鉄になり、さらにヘモグロビンに取り込まれるときには再び2価鉄になったりするんです。

南部鉄器から溶け出す鉄の量

しかし残念ながら南部鉄器(急須)から溶け出す鉄は微々たるものだということが分析してみてわかりました。

すべてが2価鉄(Fe²⁺)だったとしても誤差の範囲程度の量しか溶出はしませんでした。

あくまで中性の水をいれた場合において溶け出す鉄の量は微々たるものです。

料理などで利用する鉄なべやフライパンの場合においては1日の摂取量を左右するほど溶出する、という報告もございます。

鉄はもろ刃の剣!?

鉄は不足すると貧血などの不調を招きますが、逆に摂りすぎても良くありません
体内の鉄が過剰になると、余分な鉄は活性酸素を生み出しやすくなります。

活性酸素は本来、細菌やウイルスから体を守るために使われるものですが、過剰に発生すると自分自身の細胞を攻撃してしまいます。
その結果、細胞膜やDNAを傷つけ、細胞の劣化や老化を早める原因となるのです。

毛髪ミネラル検査の結果は?

※根元1cmを採取しています。(通常の毛髪ミネラル検査は3cmです)

水の分析の通りですが、、、変わりませんでした。まぁ当然ですよね。

南部鉄器を使っている、という方が鉄が高かったのは急須タイプではなく鉄なべタイプで料理するのに使っているのではないかと。

※鉄は酸性下でイオン化しやすいため、南部鉄器の急須に中性の水を入れても、鉄の溶出量はごくわずかです。したがって、鉄補給の効果はあまり期待できません。

南部鉄器を使ってみて感じた変化

最近、日常に南部鉄器を取り入れてみたところ、思わぬ変化を実感しました。

朝、慌ただしく駆け出すのではなく、余裕をもって起きて南部鉄器をセットして火にかけて飲む、というモーニングルーティンが習慣化し、わゆるプチ丁寧な暮らしが出来ております。正直、私には丁寧な暮らしは縁がないと思っていました。

立ち眩みはどうなったのか、ですが、、、そこはあまり変化はありませんでした。

ランニングのパフォーマンス向上

私はランニングを続けているのですが、南部鉄器を意識的に摂るようになってから、タイムも上がりました。
10kmランのベストタイムは、これまで 49分5秒(1km4分55秒ペース) でした。それが、なんと 41分39秒(1km4分10秒ペース) に短縮できたのです。

ただしこれは南部鉄器というよりも、他の要因も考えられます。

気温が下がってきた、靴を変えた、継続によるパフォーマンスの向上、などこれらも大きく影響していると考えております。

酸素を利用できる体は強いはず

私たちの体は酸素を利用して効率よくエネルギーをつくり出しています。鉄は、その酸素を運ぶ役割に深く関わる栄養素です。

急須の南部鉄器ではあまり残念ながら鉄は溶出量は多くありませんでしたので、次は推奨しておりませんが、鉄のサプリメントを用いて試してみたいと思います。

まとめ

残念ながら急須の南部鉄器では毛髪ミネラル検査や体感では目に見える変化はありませんでした。しかし、丁寧な暮らし、ずしっとくる重厚感についてはとても愛着がわくものです。

ら・べるびぃ予防医学研究所
「知ることは、すべてのはじまり」
ミネラル分析の専門機関として、毛髪・血液・飲食物など様々な検体を分析しています。
2000年の創業以来、皆さまの健康に役立つ検査や情報を提供しています。
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【10月20日は世界骨粗鬆症デー】骨の健康は毎日の習慣から!

10月20日は「世界骨粗鬆症デー(World Osteoporosis Day)」です。
この日は、骨粗鬆症の予防や治療に対する意識を高めることを目的に、世界各地で啓発活動が行われています。

日本では、2015年の推計で40歳以上の約1,590万人が骨粗鬆症に罹患しているとされており、高齢社会における深刻な健康課題の一つとなっています。

骨粗鬆症は、骨の密度が低下してもろくなり、わずかな転倒でも骨折しやすくなる病気です。骨折は要介護となる原因の第3位に挙げられており、「骨の健康」を守ることは、健康寿命を延ばすために欠かせません。

骨粗鬆症と栄養素の深い関係 〜ビタミン・ミネラルの役割〜

骨の健康といえば、まず「カルシウム」を思い浮かべる方が多いかもしれません。もちろん、カルシウムは骨の主成分であり不可欠ですが、骨を強く保つにはそれだけでは不十分です。
さまざまなビタミンやミネラルが相互に作用しながら、骨の形成と維持に重要な役割を果たしています。

1. カルシウムの働きを助ける栄養素

  • ビタミンD:カルシウムの腸からの吸収を促進し、骨への沈着を助けます。日光を浴びることで皮膚でも合成されますが、食事からの摂取も大切です。
  • ビタミンK:骨形成に必要なタンパク質(オステオカルシン)を活性化し、カルシウムを骨に取り込むのをサポートします。
  • リン:カルシウムとともに骨の構成要素として、骨の構造維持に関与しています。

2. 注目される「マグネシウム」と骨密度の関係

マグネシウムは、骨の約60%に存在する重要なミネラルで、骨形成やカルシウムの定着、骨代謝の調整に関与します。
近年の研究では、血中マグネシウム濃度が低い高齢者は、骨密度が低く、転倒による骨折リスクが高まることが報告されています。

参考:Association between Serum Magnesium and Fractures: A Systematic Review and Meta-Analysis of Observational Studies
Nutrients. 2023 Mar 7;15(6):1304.

日本人は慢性的にマグネシウムの摂取量が不足しがちであるといわれており、意識的に摂取することが大切です。

3. 骨代謝に必要な「微量元素」のバランス

カルシウムやマグネシウムに加え、鉄・亜鉛・銅といった微量元素も骨の健康に欠かせません。

  • 亜鉛・銅:骨の形成や分解に関わる酵素の構成成分として機能します。
  • :骨を作る「骨芽細胞」の働きを支え、貧血予防だけでなく骨代謝にも関与しています。

特に閉経後の女性では、これらのミネラルのバランスが乱れると骨密度や骨代謝に影響を及ぼす可能性があると報告されています。

4. 骨を支える「ビタミン群」の役割

  • ビタミンC:コラーゲン合成に不可欠で、骨の土台となるタンパク質の生成に関わります。
  • ビタミンB群(特にB6・B12・葉酸):ホモシステインというアミノ酸の代謝に関与し、骨粗鬆症との関連が近年注目されています。

参考:Exploring the effects of homocysteine metabolism in osteoporosis management in Indian adult females
Int J Mol Epidemiol Genet. 2024 Oct 25;15(4):31–43

骨の健康は、毎日の習慣から

骨は「リモデリング(再構築)」という仕組みによって、常に古い骨が壊され、新しい骨に作り替えられるサイクルを繰り返しています。
この健全なサイクルを維持するためには、日々の生活習慣が重要です。

骨を守る3つの生活習慣

1. 栄養バランスの良い食事

  • カルシウム、マグネシウム、ビタミンD・K、鉄・亜鉛・銅などのミネラルを、多様な食材からバランスよく摂取しましょう。
  • サプリメントに頼りすぎず、「食事から摂る」を基本に心がけることが大切です。

2. 適度な運動

  • 骨は「負荷」がかかることで強くなります。
  • ウォーキングや階段の昇り降り、軽い筋トレなど、日常生活の中で無理なく取り入れましょう。

3. 定期的な骨密度検査

  • 特に閉経後の女性は、骨密度が急激に低下しやすくなります。
  • 自覚症状が出にくいため、40代以降は年に1回の検査を習慣にしましょう。

今日から始める「骨活」

10月20日の「世界骨粗鬆症デー」をきっかけに、ご自身の骨の健康に目を向けてみませんか?

未来の健康な体を支えるのは、日々の小さな積み重ねです。
今日の一歩が、10年後のあなたの体をつくります。

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なぜ、食品成分表示に“ミネラル”はほとんど載っていないのか?

健康や栄養に興味を持って、「野菜を意識しよう」「たんぱく質を取ろう」と思っている方は多いでしょう。でも、ミネラル──カルシウム、鉄、亜鉛、マグネシウムなど──については、「足りてるかな?」とぼんやり感じるものの、食品のパッケージを見ると「ナトリウム(食塩相当量)」くらいしか書いていないことに気づきませんか?

実はそれには「法律」「コスト」「実務上の制限」など、いくつかの理由があります。今回は、その背景をわかりやすく解説します。

1. 義務表示項目として決まっているものが限られている

日本では「食品表示法」により、パッケージに記載しなければならない 栄養成分表示の必須項目 が定められています。具体的には次の5つ:

  • 熱量
  • たんぱく質
  • 脂質
  • 炭水化物
  • 食塩相当量

つまり、この5つだけは 必ず表示しなければいけない のです。
食塩相当量を出すために、実際にはナトリウム量を測定して換算しますから、ナトリウム(=塩分)については必ずラベルに載る、というわけです。

一方で、カルシウム・鉄・マグネシウム・亜鉛などその他のミネラルは、「義務」ではなく 任意表示 に位置づけられています。

2. 任意表示であるゆえの「表示しない選択」

義務ではない以上、企業はコスト・手間・リスクを見て、「表示しない」選択を取ることが多くなります。具体的には:

  • ミネラルを定量分析するには専門の検査が必要
  • 測定値には誤差やばらつきがあるため、信頼性を確保する必要あり
  • 表示すると標準値との差や変動がクレームのリスクになる
  • 消費者がミネラルの数値を見ても理解しにくい可能性

こうした理由から、特にアピールしたい成分がない商品では、ナトリウム(食塩相当量)のみという表示が主流になっているのです。

3. 強調したい成分だけを “見せる” 場合が多い

では、どういうときにカルシウムや鉄などが表示されるか? それは 栄養訴求・売りの材料になる場合栄養機能食品 の場合です。たとえば:

  • 「カルシウム入り」「鉄分強化」などとパッケージで訴えたい飲料や乳製品
  • 栄養機能表示(保健機能食品)の認可を得て、一定量以上のミネラルを含む製品
  • サプリメントや機能性食品

これらでは消費者に「これはいい」「差別化できる」というメリットがあるため、追加表示をする価値があります。

4. ミネラル表示が少ないことの注意点・読み解き方

表示されていないからその食品にミネラルがない、というわけではありません。ただ、表示されていない分、次の点を意識しておくといいでしょう。

  • 食品成分表(国や自治体、大学などが公表しているデータベース)を使う
  • 多様な食材を組み合わせて、ミネラルをバランスよく摂る
  • 強化表示された商品を「補助的に使う」程度に留める

5. まとめ ~表示の裏側を知って、賢く読む力を持とう

食品パッケージを見て、「ナトリウム以外ミネラルが出ていないな」と思ったら、それは制度と実務上の制限のせいです。必ずしも “ない” わけではありません。

だからこそ、パッケージ表示だけに頼るのではなく、食品成分表などを活用する目を持つことが、栄養に敏感な消費者として大切です。

6. 表示だけでは見えない、あなたのミネラル状態

実際、食品のパッケージだけでは、自分がカルシウムや鉄をどのくらい摂れているかは分かりません。

さらに言えば、摂った量=体に吸収された量 ではありません。

  • 吸収率の差
  • 生活習慣やストレス
  • 体質や年齢

こうした要因で、体内にどのくらいのミネラルが蓄えられているかは、人によって大きく変わります。

7. ミネラルを「見える化」するという選択肢

そこで私たちが提供しているのが、ら・べるびぃ予防医学研究所の毛髪ミネラル検査 です。

髪の毛はミネラルを取り込みながら成長するため、体内に取り込まれたミネラルの状態を反映しています。血液や尿の検査では見えにくい、長期的なバランスを確認できるのが大きな特徴です。

「食品ラベルには出てこない、けれど健康に欠かせない栄養素」。
その状態を客観的に知ることは、サプリや食事の工夫よりも前に、とても大事な第一歩なのです。

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南部鉄器で鉄分補給?実際に測定してみました

以前のブログでご紹介した通り、私はついに南部鉄器を購入しました。

「普通の水を沸かしてもあまり鉄は溶け出さない」と言われていますが、本当なのでしょうか?
南部鉄器を使っている方の毛髪ミネラル検査を見ると、鉄の値が高めのイメージもあり、実際に自分で確かめてみることにしました。

毎日朝走る前に200mlを加熱してビタミンC 2000mgと一緒に飲んでいますが、飲み始めてから、なんとなく体調が良い気もします。ランニングのタイムも伸びています。

今回、水道水と南部鉄器、鉄のフライパンで調査をしてみました。鉄のフライパンはすでに数か月使用しており、南部鉄器はまだ数回程度の仕様のため、新品同様です。

実際の測定結果

水の種類鉄濃度
水道水0.3 ppb
南部鉄器(200ml 5分加熱)2.6 ppb
鉄のフライパン(200ml 5分加熱)0.4 ppb

なんと南部鉄器は水道水の 約10倍 の鉄を含んでいました!
鉄のフライパンではほとんど変化はありませんでした。

単位を1Lあたりに換算すると

水の種類鉄濃度
水道水0.3 µg/L
南部鉄器(200ml 5分加熱)2.6 µg/L
鉄のフライパン(200ml 5分加熱)0.4 µg/L

つまり、1Lあたりで見ると、南部鉄器からは 2.6µgの鉄 が摂れることになります。

しかし、1日に必要な鉄はおおよそ 10mg(10,000µg) です。
単位を揃えると、1Lあたりわずか 0.0026mg

ちなみに牛レバー100gで鉄を4.0mg摂取することができます。その差なんと1500倍!!

結論

想像していたよりも、南部鉄器から実際に摂取できる鉄の量は、ごくわずかであるようです。鉄分補給という観点では、微々たる量かもしれません。

それでも、私自身は南部鉄器を使い始めてから、ワンパンマンチャレンジの10kmランニングで自己ベストを更新するなど、体調やパフォーマンスが良好であると感じています。もちろん、走った距離や練習の積み重ねによる成果である可能性もありますが、それだけでは説明しきれない影響があるのかもしれません。

また、微量であっても鉄が毛髪や体の状態に何らかの影響を与えている可能性もあると考えています(高価な南部鉄器を購入したこともあり、そう信じたい気持ちもあります)。結論を出すにはまだ早い段階ですが、引き続き観察を続けていきたいと思います。

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南部鉄器から溶出される鉄は?

みなさん、「南部鉄器」をご存じでしょうか。
岩手県の盛岡市や奥州市でつくられている、伝統的な鉄鋳物です。黒々とした重厚な姿は、キッチンにあるだけで存在感を放ちますよね。

↑実際に買った南部鉄器です。たまたま商品写真のように撮れました。

さて、私たちが行っている毛髪ミネラル検査のデータを見ると、岩手県は 毛髪中の鉄が47都道府県中なんと第2位
「さすが南部鉄器の産地!」とつい思ってしまいます。もちろん、直接的な因果関係は証明できませんが、こういう数字はとても興味深いものです。

ちなみに僅差で1位を勝ち取ったのは山梨県。郷土料理の「ほうとう」は鉄鍋で作ることが多いそうですが、家庭でも本当に鉄鍋を使っているのか…?ちょっと謎ですね。

南部鉄器から溶け出す鉄の正体

南部鉄器から溶出される鉄は、実は 吸収率の高い「2価鉄」 です。
鉄には3価鉄と2価鉄があり、私たちの体が効率よく吸収できるのは2価鉄。サプリメントなどでも「ヘム鉄」とか「吸収率の良い鉄分」としてよく紹介されていますよね。

ただし、普通に水を沸かしただけでは、あんまり鉄は溶け出さないようです。
味噌汁のように弱酸に傾いた状態だと、鉄が溶けやすくなるようです。だからこそ、料理に活用するのが効果的なんですね。

では岩手県は貧血が少ないのか?

毛髪中の鉄が多い=貧血が少ない?
そう考えたくなるのが自然です。

ところが、2010年の調査データをひも解くと…
なんと岩手県、貧血の割合が全国で第3位に多い県 でした!

「えええーーー!?」と声が出そうな結果。
ただし、この調査は事業所単位でまとめられていて、男女比が分からないとのこと。ご存じの通り、貧血は女性に多いので、母集団の偏りが影響している可能性もあります。まだまだ深掘りが必要なテーマですね。

私も試してみてます(進行形)

実は私自身、毎朝10km走るのが日課なのですが、最近よく立ち眩みを感じるようになりました。
「もしかして鉄不足?」と思い、ついに南部鉄器を手に入れたのです。

このずっしりとした重さ、使うたびに“伝統の道具”を実感します。
それだけでも満足感があります(笑)。

まだ効果については使い始めたばかりのため、なんとも言えません。

お茶とかまろやかになる、なんて話をネットで見たので、試しに南部鉄器で沸かした湯で紅茶(ティーバッグ)を飲んでみたら…

えぐみが少ない、気がしました。

前情報があるため、プラシーボかもしれません。

今後の分析にご期待ください

南部鉄器から実際にどれだけ鉄が溶出するのか。
もちろん、当社でも今後分析を進めていく予定です。
「伝統工芸品と栄養学」という、ちょっとユニークな組み合わせですが、きっと新しい発見があるはず。

その結果はまたこちらでご紹介いたしますので、どうぞお楽しみに!

ちなみに

「南部鉄器」と聞くと、日本の南で作られているのかな?と思いがちですが、北国・岩手県の伝統工芸品です。名前の由来は方角ではなく、この地を治めていた南部藩とのこと。盛岡では茶の湯の釜や鉄瓶が、水沢では日用品の鉄器が発展したようです。

※水沢は伊達藩の領地でしたが、明治時代以降は岩手県の特産品として盛岡と水沢を合わせて「南部鉄器」と呼ぶようになったのだそうです。

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「とりあえずこの4つ!」ミネラル不足が気になるあなたに知ってほしい話

健康を気にして食事に気をつけているけれど、「ミネラル」って何をどれくらい摂ればいいのか、正直よくわからない……。そんな方、多いのではないでしょうか。

私たちの体にとってミネラルはとても大切な栄養素。でも、ビタミンやたんぱく質に比べて注目されることが少なく、「気づかないうちに不足していた」ということが起こりがちなんです。

そこで今回は、「とりあえずこの4つを意識しておけばOK!」という代表的なミネラル、カルシウム・マグネシウム・鉄・亜鉛について、お話します。

とりあえず、この4つ!

現代の日本人は、食生活の変化や加工食品の普及などにより、必要なミネラルが十分に摂れていない「新型栄養失調」の状態にあると言われています。特に注意したいのが、厚生労働省の調査などでも指摘されている、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛の4つのミネラルです。

骨と心の安定剤「カルシウム」

「カルシウム=骨」というイメージをお持ちの方は多いでしょう。その通り、カルシウムは私たちの体の約99%が骨や歯に存在し、それらを丈夫に保つために欠かせないミネラルです。しかし、カルシウムの働きはそれだけではありません。

  • 筋肉の収縮や神経伝達をスムーズにする
  • 心臓の正常な働きを助ける
  • 精神的な安定にも関わる

など、実は全身のさまざまな機能に関わっています。不足すると、骨がもろくなるだけでなく、イライラしやすくなったり、不眠につながったりすることも。

日本人は慢性的にカルシウム不足。厚生労働省の調査でも、特に若い女性や高齢者の摂取量が目標に届いていないという結果が出ています。

効果的な摂取方法

  • 牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品
  • 小魚(しらす、煮干し、桜エビなど)
  • 緑黄色野菜(小松菜、チンゲン菜、ブロッコリーなど)
  • 豆腐や納豆などの大豆製品
  • ゴマやアーモンドなどのナッツ類

ビタミンDと一緒に摂ると吸収率がアップするので、きのこ類や魚介類も意識して食べましょう。

縁の下の力持ち「マグネシウム」

マグネシウムは体内の300以上の酵素の働きを助ける、大事なミネラル。中でも注目したいのが、ストレスへの耐性や血圧の調整に関わっているという点。

ところが、精製された食品(白米や白いパンなど)中心の食生活では不足しやすくなります。外食やインスタント食品が多い人ほど、要注意です。

また、カルシウムとのバランスが重要で、カルシウム:マグネシウム=2:1の比率が理想的とされています。

  • エネルギーを作り出す
  • 筋肉の収縮をサポートし、こむら返りなどを防ぐ
  • 神経の興奮を抑え、精神を安定させる
  • 血圧や血糖値の調整にも関わる

など、あらゆる生命活動に深く関わっています。ストレスが多い方や、お酒をよく飲む方は不足しがちと言われています。

効果的な摂取方法

  • 海藻類(わかめ、昆布、ひじきなど)
  • ナッツ類(アーモンド、カシューナッツなど)
  • 玄米や全粒粉パンなどの未精製穀物
  • 豆類(大豆、小豆、そら豆など)
  • 緑黄色野菜(ほうれん草、ブロッコリーなど) 魚介類(あさり、いわし、かつおなど)

現代の精製された食品では失われがちです。また、調理法によって失われやすい性質があるので、意識して摂ることが大切です。

元気の源!「鉄」

あまりミネラルのことを知らない方でも、貧血と聞くと「鉄不足」を思い浮かべる方もいるように、鉄はミネラルの中でも有名なもののひとつ。

  • 全身に酸素を運ぶヘモグロビンの材料になる
  • 筋肉中に酸素を貯蔵するミオグロビンにも関わる
  • エネルギーを作り出す過程に必要
  • 免疫機能の維持にも関与

不足すると「疲れやすい」「頭が重い」「顔色が悪い」などの症状が出てきます。

日本では、特に月経のある女性の多くが鉄不足。また、成長期の子どもやスポーツをよくする人にも貧血が多く見られます。

効果的な摂取方法

  • 赤身肉(牛肉、豚肉、鶏肉のレバーなど)
  • 魚介類(まぐろ、かつお、あさり、しじみなど)
  • 卵黄
  • 緑黄色野菜(ほうれん草、小松菜など)
  • 海藻類(ひじき、のりなど)
  • 大豆製品(納豆、豆腐など)

鉄には動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」があり、ヘム鉄の方が吸収率が高いのが特徴です。吸収率を上げるには、ビタミンCと一緒に摂るのがポイント。たとえば「小松菜と柑橘のサラダ」「レバーとピーマン炒め」など、ちょっとした工夫が効きます。

免疫力と美肌の味方「亜鉛」

最後は亜鉛。4つの中では知名度はあまりないかもしれません。でも、免疫力の維持、皮膚や髪の健康、味覚を正常に保つなど、多彩な働きがあります。

実は私たちの体内で細胞の成長や新陳代謝に深く関わる、非常に重要なミネラルです。

  • 約300種類もの酵素の構成要素となる
  • 細胞分裂を助け、皮膚や髪、爪の健康を保つ
  • 味覚や嗅覚を正常に保つ
  • 免疫機能を高める
  • 生殖機能にも深く関わる

など、目に見えないところで体の機能を正常に保つために大活躍しています。

不足すると、「風邪をひきやすい」「肌荒れが治らない」「味がしない」といった不調が出ることも。

特に、加工食品やファストフード中心の食生活では不足しやすく、育ち盛りの子どもや高齢者、アルコールをよく飲む人も要注意です。

また、男性の場合は精子の質にも影響するため、妊活中の男性にも重要です。

効果的な摂取方法

  • 牡蠣(最も豊富な亜鉛源)
  • 肉類(牛肉、豚肉、鶏肉など)
  • 魚介類(うなぎ、いわし、たこなど)
  • 乳製品(チーズ、牛乳など)
  • ナッツ類(アーモンド、カシューナッツなど) 大豆製品

亜鉛は動物性食品からの吸収率が高く、植物性食品からは吸収されにくい特徴があります。また、アルコールの代謝や激しい運動により消耗しやすいため、お酒をよく飲む人や運動習慣のある人は特に意識して摂取することが大切です。

ただし、牡蠣は、亜鉛を豊富に含んでいますが、有害金属も多いので、日常的に食べるにはおススメしません。

「4つのミネラル」を意識して、賢くミネラルをチャージしよう!

ご紹介した4つのミネラルは、それぞれが体の異なる機能に深く関わっていますが、実は互いに協力し合いながら、私たちの健康を支えています。

例えば、カルシウムの吸収にはマグネシウムが必要ですし、鉄の吸収にはビタミンCが、亜鉛の働きにはタンパク質が重要になります。つまり、特定のミネラルだけを意識するのではなく、バランスの取れた食事を心がけることが、何よりも大切なのです。

現代の食生活では、手軽な加工食品や外食が増え、野菜や海藻類、魚介類などを十分に摂る機会が減っているのが現状です。まずは、以下の点を意識してみてください。

  • 彩り豊かな食事を心がける
  • 旬の食材を取り入れる
  • 加工食品を減らし、自炊の機会を増やす
  • 和食はミネラル豊富な食材が多いため、積極的に取り入れる

もちろん、毎日完璧な食事をすることは難しいかもしれません。そんな時は、サプリメントの利用も選択肢の一つですが、まずは普段の食事で不足しがちなミネラルを意識して摂ることから始めてみましょう。

私たちの体は、私たちが食べたもので作られています。今回ご紹介したカルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛の4つのミネラルを意識して食生活を見直すことで、きっとあなたの体はもっと元気に、もっと快適になるはずです。

今日からできる小さな一歩が、未来の健康を大きく変えるきっかけになるでしょう。ぜひ、意識してミネラル豊富な食材を食卓に取り入れてみてくださいね!

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青春は貧血の季節? 思春期の鉄不足

先日、友人の中学1年生になる息子さんが軽い貧血と診断されました。
鉄は、もっとも不足が懸念されているミネラルの一つ。
そこで今回は、思春期の貧血についてです。

体は急速に大きくなる思春期は、鉄の必要量が高まります。

また、女子は、月経が始まる人が増え、出血により鉄を失うため、鉄の需要はさらに高まります。

そのため、12歳から17歳の鉄の必要量は、大人よりもずっと多く、貧血になりやすい時期ともいえます。

ほとんどは鉄欠乏性貧血

この時期の貧血は、ほとんどが鉄の摂取不足による鉄欠乏性貧血です。

こんな症状があるなら、鉄が不足しているのかもしれません。

  • 朝起きられない
  • 集中力、注意力が低下している
  • だるい、めまいがする
  • イライラしやすい
  • 頭痛

※ほかの病気でも、これらの症状がみられることがあります。

スポーツ貧血

さらに、運動が原因で生じる貧血を「スポーツ貧血」といいます。

スポーツをする人特有の原因としてこれらがあげられます。

① 鉄の需要が高まる
 成長や筋肉量が増えると、必要とする鉄の量も増えます。
② 鉄の摂取不足
 必要量が増えているのに、食事などから摂取する鉄が少ない
③ 溶血(赤血球が壊れる)
 ランニング、バレーボール、バスケットボール、剣道など足の裏への強い刺激が繰り返される競技では、足の裏の毛細血管が壊れ、貧血になることがあります
④ 失われる鉄が増える
 大量の汗をかくと、わずかに汗に含まれる鉄も一緒に失われます。

鉄の貯蔵庫

鉄は、体でいろいろな働きを担う重要な栄養素なので、鉄が不足した場合にそなえて貯蔵庫を持っています。

それが肝臓です。

肝臓にはフェリチンをいわれる鉄が貯蔵されています。

食事などからとる鉄の量が不足すると、肝臓からフェリチンを放出して、体が必要とする鉄の量を維持します。

え?貧血と診断された?

それはつまり、鉄の摂取量が不足する状態が続き、貯蔵してある鉄も使い果たしてしまったという状態なのです。

貧血にならないために

まずは食事。
食品に含まれる鉄には、赤身の肉や魚などの動物性食品に多く含まれるヘム鉄と、野菜や穀類、豆類などの植物性食品に多く含まれる非ヘム鉄があります。
ヘム鉄は、非ヘム鉄よりも吸収率が良く、胃壁や腸管を荒らしにくく、さらに、食物繊維やタンニンと一緒に摂っても吸収が妨げられにくいという特徴があります。
でも、日本人が食事から摂取する鉄の85%以上は吸収率の低い非ヘム鉄です。
鉄不足を効果的に予防するためには、非ヘム鉄だけでなく、吸収性の高いヘム鉄が豊富な食品をバランスよく摂取することです。

鉄を吸収しやすくする

ビタミンC

ビタミンCは、鉄(非ヘム鉄)の吸収を促進します。ビタミンCを豊富に含む食品(オレンジ、レモン、イチゴ、トマトなど)を食事に追加することで、非ヘム鉄の吸収率を上げることができます。

酢や酸味のある調味料

酢やレモン汁などの酸味のある調味料も非ヘム鉄の吸収を促進します。食事にこれらの調味料を加えることで、鉄の吸収が改善されます

鉄を豊富に含む食品と組み合わせる

ヘム鉄を豊富に含む食品(赤身の肉、鶏肉などの動物性食品)と一緒に非ヘム鉄(豆類、ホウレン草などの植物性食品)を摂取することで、非ヘム鉄の吸収率を向上させることができます。

サプリメントでの摂取には注意が必要

食事で鉄を過剰に摂ってしまうことはほとんどあり得ませんが、サプリメントでの鉄の摂取には注意が必要です。
鉄は、過剰になると体内で活性酸素を発生させ、細胞を傷つけます。
鉄のサプリメントは医師の処方以外ではあまりおススメできません。

鉄の吸収を阻害するもの

  • カルシウム: カルシウムは鉄と化学的性質が似ているため、鉄の吸収を阻害することがあります。牛乳を毎日、大量に飲んで貧血になることを「牛乳貧血」と名付けられています。もちろん、カルシウムは大切な栄養素の一つなので、適切な量のカルシウムをとることはとても大切です。
  • タンニン: コーヒーや紅茶、煎茶などに含まれる「タンニン」は、鉄(非ヘム鉄)の吸収を阻害する成分の一つです。 タンニンが鉄と結合して水に溶けにくくなるので、食事中や食事の直後に摂るのは避けましょう。
  • フィチン酸: フィチン酸は、穀類や豆類などの外皮部分に多く含まれ、体内に入ると鉄や亜鉛と強く結合し、水に溶けない不溶性の成分に変化するため、吸収されずそのまま排泄されてしまいます。健康や美容のために玄米を主食としている人は、鉄が効率よく吸収されない可能性もあるので注意する必要があります。
  • シュウ酸:シュウ酸は非ヘム鉄と結合して、鉄の吸収が阻害されることがあります。シュウ酸は、穀物や一部の野菜に比較的高い濃度で含まれています。たとえば、ホウレン草やタケノコのアクに多く含まれますが、シュウ酸は水溶性なので、下茹でをしてアク抜きをすると70~80%のシュウ酸が水に溶けだします。

誤ったダイエットは禁物

その他に、このころから特に女の子のダイエットが多くなります。

極端に食事を減らしたり、偏った食事になったりすることで、成長に必要な栄養素がとれなくなることもあります。

心と体が急速に成長する思春期にこそ、バランスの良い食生活を送らせてあげたいですね。

ら・べるびぃ予防医学研究所
「知ることは、すべてのはじまり」
ミネラル分析の専門機関として、毛髪・血液・飲食物など様々な検体を分析しています。
2000年の創業以来、皆さまの健康に役立つ検査や情報を提供しています。
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犬猫の爪を調べてわかったこと〜モニター調査のご報告〜

当社は犬猫の被毛検査を実施しておりますが、こんなお問い合わせをいただくことがあります。

「うちの子毛が無いんだけどどうしたらいいの?」

そこで昨年、私たちは被毛のない子でも測定ができるよう、犬猫の犬猫の爪を用いたメタル測定のモニター調査を実施いたしました。
ご協力いただいた皆さまには、心より感謝申し上げます。

今回のブログでは、その調査結果についてご報告させていただきます。

モニター数の内訳

  • 犬:85検体
  • 猫:56検体

調査のため、被毛も一緒にご提供いただきました。

食事について

加工食のみ手作り食のみ両方
23(29%)47(59%)9(11%)
26(46%)12(21%)18(32%)

以前の猫の被毛検査作成の際の調査において加工食が72%を占めていたため、今回の調査では46%でした。今回のモニターは、より食事に対する意識の高い飼い主様にご参加いただいたものと推察しました。

食事によって有意差のあるミネラル等

加工食のみと手作り食のみで比較をしてみました。

犬で有意差のあったミネラル

有害金属では差がありませんでしたが、下記ミネラルで有意差を示しました。

マンガン(P=0.0172)、モリブデン(p=0.001)、鉄(p=0.034)、亜鉛(p=0.003)

※Pの値が低い程、2群間には差がある、という解釈となります。

検体数

ペットフードのみ:18検体 手作りのみ:31検体

爪は数が多い黒色の検体としました。

●食事によるミネラル濃度の差(犬の爪)

猫で有意差のあったミネラル

犬と同様に有害金属では差がありませんでしたが、下記ミネラルで有意差を示しました。

モリブデン(p=0.036)

犬と同様にモリブデンはペットフードのみの個体の方が高い結果となりました。

犬で有意差を示したほかのミネラルについては以下の通りでした。

マンガン(p=0.193)、鉄(p=0.395)、亜鉛(p=0.104)

マンガンの含有量については、統計的に有意な差は認められなかったものの、犬とは逆にペットフードの方が手作り食に比べてやや高い傾向が見られました。マンガンは一般に肉類よりも植物性の原材料に多く含まれるため、ペットフードにはその不足を補う目的でマンガンが添加されていることが考えられます。猫は本来肉食性の動物であり、手作り食では植物性原料の使用が限られることから、食事中のマンガンの含有量が低くなる可能性があります。

鉄はほぼ有意差がありませんでした。

亜鉛については有意差は認められなかったものの、手作りの方が平均値も中央値も高い傾向がみられました。

検体数

ペットフードのみ:26検体 手作りのみ:13検体

●食事によるミネラル濃度の差(猫の爪)

爪の色とミネラル濃度の関係

  • 猫の爪:ほとんどが白色
  • 犬の爪:白と黒の両方が存在

被毛と同様に、爪にもメラニン色素が含まれており、これがミネラルの蓄積に影響を及ぼしている可能性があります。

色によって有意差が見られた元素:

  • ストロンチウム(Sr)
  • アンチモン(Sb)
  • バリウム(Ba)
  • タリウム(Tl)

これらの元素は、爪の色によって濃度に差がある傾向が見られました。

爪と被毛の相関性について

被毛も併せてご提供いただいたことで、爪と毛の間にどれくらいの相関があるかを分析することができました。

特に相関が強かった元素(犬猫共通):

  • 水銀(Hg)
  • ヒ素(As)

水銀については、主に魚由来のフードに多く含まれており、ヒ素についても魚や一部の穀類などに含まれています。
これらは日常的に摂取される可能性があるため、体内で一定の蓄積が生じやすい元素と考えられます。

そのため、今回の調査では、爪と被毛の両方で類似した蓄積傾向が確認されました。
この結果から、水銀やヒ素は、長期間にわたり継続的に取り込まれている可能性がある元素であることがうかがえます。

相関がほぼ確認できなかった元素(犬猫共通):

  • アンチモン(Sb)

犬のデータ考察

  • 鉛(Pb)とカドミウム(Cd)について、爪と毛の間で明確な相関は見られませんでした
  • 散歩や草むらへの接触など、環境由来の付着や一時的な摂取が要因である可能性があります。

猫のデータ考察

  • 鉛の相関は犬同様に高くはありませんでしたが、最大値を示した個体は爪・毛ともに一致していました
  • カドミウムに関しても、高濃度を示した2個体は毛・爪ともに高値でした。
  • 一方で、濃度が低い場合には爪と毛のばらつきが大きく、相関性が低下していました。

つまり、高濃度であればある程度の信頼性があるが、低濃度では評価が難しいという傾向が見られました。

測定対象の「期間の違い」について

  • :ブラッシングした毛を使用しており、長さの指定はしておりませんでした。そのため、長期間の平均値を反映している可能性があります。
  • :普段の爪切りで採取されたものであり、おそらく直近1ヶ月程度のデータを反映していると考えられます(人間の場合は4〜5ヶ月前のデータとされますが、犬猫は爪母に近い部位が切られるため短期間と思われます)。

このように、毛と爪では反映している時期が異なる可能性が十分に考えられました。

まとめ

今回のモニター調査では、犬猫の爪に含まれるメタルの分析を通じて、以下の知見が得られました。

  • ペットフードまたは手作り食によって爪中のミネラル濃度に差が認められました。
  • 被毛と同じく爪も色によって濃度に差がありました。
  • 犬は白黒の爪があり、猫はほぼ白色の爪でした。
  • 水銀やヒ素は爪と被毛の相関性が高く、長期的な摂取傾向の把握に有効と推察されました。

皆さまからご提供いただいたサンプルは、今後の研究やサービスの質向上に役立ててまいります。

ご協力いただいた皆さま、改めて本当にありがとうございました。


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【元素分析結果発表】家庭菜園ほうれん草 vs スーパーのほうれん草!

以前、ド素人が挑戦した家庭菜園で、見事ほうれん草を収穫したというご報告をしました。

▼そのときの様子はこちら

そしてこのたび…
ようやく元素分析の結果が出ました!! 🎉

気になるミネラル、有害金属、どうなった!?

分析の比較対象はこちらの3種!

  • 左:スーパーで購入したほうれん草
  • 中:家庭菜園で育てたほうれん草
  • 右:家庭菜園(ビタミンC添加)で育てたほうれん草

ちなみに右端のビタミンC入りほうれん草、見た目がほんのり茶色っぽいです。もっと鮮やかな緑になると思っていたのに…これはビタミンCを与えすぎて酸化してしまったのかも?

いや〜ほんと、家庭菜園って勝手がわかりませんね。。

ビタミンCを入れたのは、虫よけや発芽率アップに効果があるという話を聞いて試したのですが、冬だったのでどちらも虫は出ず。

発芽も若干早かった気がするけど、最終的にはどちらももっさり育ちました。 むしろ、ビタミンCなしの方が成長は良かったかも…?過ぎたるは及ばざるがごとし、ですね。

左、ビタミンC無  右、ビタミンC有

分析方法と注意点

今回の元素分析には当社のICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析)を使用しています。
ただし、冷蔵庫での保管期間が少し長くなってしまい、しおれてしまったため水分量は実測できず、食品成分表の水分量92.4%を基準として計算しています。
あくまで参考値としてご覧ください!

【分析結果】100g中の含有量(換算値)

元素スーパー家庭菜園家庭菜園(VC+)
カリウム(mg)558610670
マグネシウム(mg)627479
カルシウム(mg)484967
リン(mg)4186149
クロム(µg)0.993.042.85
モリブデン(µg)13.91.62.2
マンガン(mg)0.130.931.45
鉄(mg)0.690.720.77
亜鉛(mg)0.560.751.15
カドミウム(µg)1.72.94.2
鉛(µg)0.41.01.2
アルミニウム(mg)0.540.290.34

気になるポイントをピックアップ!

  • 亜鉛:なんと!ビタミンC入りほうれん草で2倍に増加!すごい!
  • カドミウム:これも2.5倍…ちょっとびっくり(亜鉛が多いとカドミウムも多いことがあるようです)
  • :3倍だあああああああああ!!
  • モリブデン:なぜかスーパー品が10倍ほど多い。なぜ??
  • マンガン:家庭菜園の方が圧倒的に多い!嬉しい!
  • リン:ビタミンC入りのほうれん草が3倍程度高い、なぜ?

鉄が少ないのはなぜ?

食品成分表では鉄は2.0mg/100gとされていますが、今回の分析では約1/3の量でした。

この違いは本当に低いのか、または分析装置の違い前処理方法による可能性があります。
鉄の定量法は、フェナントロリン吸光光度法、フレーム原子吸光法、ICP発光分光分析などいくつかあり、今回はICP-MSを使用しています。

結論!

家庭菜園のほうれん草、なかなかやるじゃないか!
ミネラルも豊富、条件次第ではプロが作るスーパー品をしのぐ数値も!

とはいえ…やってみてわかる、家庭菜園の根気のいること!
今回初挑戦してみて、農家さんの凄さを本当に痛感しました。

この投稿が、これから家庭菜園を始める方や、ミネラル分析に興味のある方の参考になればうれしいです!

ちなみに味は?

収穫したほうれん草は味噌汁、お浸しで食べました!自分で作ったからとか抜きでちゃんとほうれん草の味でした!おいしかった!!

筋トレ好きのみなさーん!3種類のプロテインを測定してみましたよー!

筋トレすきのみなさん、こんにちはー!

今日は、筋トレ大好きな社長の筒井が、検査室に頼み込んでプロテインを測定してもらったので結果を公開します。

3種類のプロテインを測定しました。

まずは、測定値です。

およそ1回で摂取するプロテイン20g中に含まれる量となります。

※現在鉛にPTWIは設定されておりませんが、参考のため以前の数値を設定しております。

プロテインA
BやCに比べると圧倒的に亜鉛と銅が多い。
鉛がやや高い数値ですが、1日に食べる米に含まれる量のほうが5倍も高いので、このプロテインの数値は気にしなくてもいいと思います。

食品からの鉛の摂取量(農林水産省)https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_pb/exposure.html

プロテインB
ミネラルが多く含まれています。特に、クロム、マンガン、鉄は、このプロテイン20グラムで1日の必要量の半分を摂取できます。
ただし、アルミニウムが多いのが気になります。
耐容一週間摂取量(PTWI)の体重換算(60kg)では1日17.1グラム。
このプロテインを1日3回(1日20g×3)摂るとすると、これだけでアルミニウムのPTWIを超えてしまう。
このプロテインを摂るのなら、他のプロテインと組み合わせるなど、アルミニウムを減らす工夫をしたいところです。

プロテインC
ミネラル、有害金属ともに、特筆すべきものはありません。
可もなく不可もなし、といったところでしょうか。
セレンは少し多めなので、セレンの不足が気になっている方はいいかも。
ちなみにセレンは、男性の精子の動きや有害金属の排出などに関わっているミネラルです。

測定したプロテインはこちらです!

プロテインA(原料の紹介はここをクリック!)

コオロギ粉末

ジャジャーン!

プロテインAはコオロギ粉末でした!
コオロギは、未来のタンパク質源として注目されていますね!
社内のスタッフで試食しましたが、臭みなどもなく、食べやすいと思いました。
クッキーやアイスクリームに混ぜたり、料理に使ったりもできるようです。
ただし、スタッフの中には「無理、無理ー!」と、コオロギを食べるという心のハードルを越えられない者もいました。
また、コオロギの外骨格はエビなどと同じキチン質のため、甲殻類アレルギーの方は食べることができません。ご注意ください。

プロテインB(原料の紹介はここをクリック!)

エンドウ豆プロテイン

プロテインBはエンドウ豆のプロテインでした!ピープロテインとも呼ぶそうです。

植物にはアルミニウムが多く含まれるので、この数値になったのかと思います。
基本的には、必須ミネラルを多く含むものは、有害金属も多いのです。悩ましいですが。

プロテインC(原料の紹介はここをクリック!)

ホエイプロテイン

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プロテインCは王道のホエイプロテインです。

私の敬愛する筋トレ界のレジェンド山本義徳先生の推奨するプロテインですが、ミネラルに関しては特に目立つものはありませんでした。
有害金属も低いので、そこは長所になると思います。

3種類とも、あくまでプロテインなのでタンパク質補給が主目的なのですが、ついでにミネラルも摂れたらいいよね、という感覚で測定してみました。
AやBのプロテインは、予想以上にミネラルが多いので「マルチミネラルプロテイン」と名前を変えても良さそうです。

先日当社の検査を定期的に受けた方で、カドミウムがドカンといきなり100倍上昇した方がいらっしゃっいました。
なぜか、と聞いたらグラスフェッドプロテインがいいと聞いたので、アマゾンで一番安いのを買った、とのこと。
グラスフェッド=牧草とはいえ、牧草が農薬にまみれていたり、汚染されていたりすれば牧草=良いものではなくなるわけですが、そこまでなかなか調べられないなと実感しました。

さて、私がプロテイン大好き人間なので、通常依頼分析は110,000円のところ、プロテイン粉末に限って27,500円で測定をお受けいたします。

自分にとってこだわりの最高のプロテインの中身を知りたい場合、下部よりお申込みください。
※製造ロットによって成分は変わる可能性があります。
トレーニーやトレーナー、筋肉を愛してやまない方からのこだわりのご依頼をお待ちしております。

inf@lbv.jp または 03-5614-2711 にご連絡ください。

必要量は30gです。

測定項目は下記23項目です。
ナトリウム、マグネシウム、リン、カリウム、カルシウム、クロム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、セレン、モリブデン、カドミウム、アンチモン、バリウム、鉛、アルミニウム、バナジウム、コバルト、ニッケル、ヒ素、ストロンチウム、水銀

※実は私もプロテインでヒ素がどかんと上がったことがあります。
いえ、プロテインが原因かは断定はできないのですが、プロテインを変えたら数値が下がったので、ほぼプロテインが原因だろうと思っています。
やはり、プロテインは選ばないとダメですねー!

自分の摂っているプロテインの表示されていない成分についても知りたい方はぜひ。

こちらからお申込みいただけます。