タイの食塩誤認事故で注目された「亜硝酸塩」とは?知っておきたい光と影

今回は、ニュースで報じられた衝撃的な事故をきっかけに、私たちの身近にある化学物質「亜硝酸塩」について、その役割と危険性を分かりやすくご紹介します。

タイの飲食店で起きた「食塩と亜硝酸塩」の誤認事故

2026年6月、タイ・ウドンタニ州の飲食店で、店主がゴミの山から見つけた正体不明の薄黄色の粉末を食塩と思い込み、麺料理の調味料として使用する事故が発生しました。

料理を食べた客や店主の親族らは、食後まもなく激しい吐き気、めまい、嘔吐、呼吸困難などの症状を訴え、次々と病院へ搬送されました。一時は4人が重篤な状態となり、大きなニュースとなりました。

その後の調査で、この粉末は「亜硝酸塩」であることが判明しました。当局の分析では、料理を数杯食べるだけで致死量に達する可能性があるほど高濃度だったと報告されています。

この事故は、亜硝酸塩そのものというより、「正体不明の薬品を調味料として使用した」ことが原因で起きた悲劇でした。

一方で、亜硝酸塩は私たちにとって決して珍しい物質ではありません。ハムやソーセージなどの加工肉では、発色剤や保存料として国の厳しい基準のもと、ごく微量が使用されています。

では、この亜硝酸塩(そして体内で変化する硝酸塩)は、私たちの健康にどのような影響を与えるのでしょうか。

亜硝酸塩の光──健康に役立つ働き

「毒」というイメージを持たれがちな亜硝酸塩ですが、実は野菜にも深く関係しています。

ほうれん草、小松菜、チンゲンサイ、ビーツなどには硝酸塩が多く含まれており、これが口の中の細菌や体内の酵素によって亜硝酸塩へ、さらに一酸化窒素(NO)へと変化します。

この一酸化窒素には、次のような働きがあります。

1.血圧を下げる

一酸化窒素は血管を拡張し、血流を改善します。そのため、高血圧の予防や心血管の健康維持に役立つと考えられています。

2.運動能力を高める

筋肉が酸素を効率よく利用できるようになるため、持久力の向上が期待されています。このため、硝酸塩を多く含むビーツジュースは、多くのアスリートにも利用されています。

3.食中毒菌を抑える

加工肉に亜硝酸塩が使われる最大の理由は、強力な食中毒菌であるボツリヌス菌の増殖を抑えるためです。

ボツリヌス菌は極めて強い毒素を産生する細菌であり、その増殖を防ぐことは食品の安全性を保つうえで非常に重要です。

亜硝酸塩の影──過剰摂取による健康リスク

一方で、今回のタイの事故のように大量の亜硝酸塩を一度に摂取すると、重大な健康被害を引き起こします。

1. メトヘモグロビン血症

今回の事故で患者が呼吸困難となった主な原因が「メトヘモグロビン血症」です。

通常、赤血球中のヘモグロビンは酸素を全身へ運搬しています。しかし亜硝酸塩を大量に摂取すると、ヘモグロビンが酸素を運べない「メトヘモグロビン」へ変化してしまいます。

その結果、体内が酸欠状態となり、

  • 唇や皮膚が青紫色になる(チアノーゼ)
  • 息苦しさ
  • めまい
  • 意識障害

などが現れ、重症では命に関わることもあります。

特に乳幼児は影響を受けやすいことが知られています。

2.ニトロソアミンの生成

亜硝酸塩は、肉や魚に含まれるアミン類と反応すると、「ニトロソアミン」という物質が生成されることがあります。

ニトロソアミンの一部には発がん性が確認されており、特に加工肉を高温で長時間加熱し、焦がした場合などに生成しやすいとされています。

ただし、日本では加工肉に使用できる亜硝酸塩の量は食品衛生法に基づいて厳しく規制されており、通常の食生活で過度に心配する必要はありません。

まとめ

今回のタイの事故は、「亜硝酸塩が危険だから起きた事故」ではなく、「正体不明の薬品を食塩と誤認し、大量に使用した」ことが原因でした。

一方で、食品添加物として使用される亜硝酸塩は、厳しい安全基準のもとで管理されており、適切な量であれば食品の安全性を高める重要な役割を果たしています。

大切なのは、「危険だから避ける」「安全だから気にしない」という極端な考え方ではなく、正しい知識を持って付き合うことです。

より安全に付き合うためのポイント

・加工肉は焦がしすぎず、中火程度で調理する。
・ビタミンCを多く含む野菜や果物を一緒に食べる(ニトロソアミンの生成を抑える働きが期待されています)。
・そして何より、出所が分からない粉末や薬品を食品として使用しないこと。

化学物質は「量」と「使い方」によって、私たちの健康を守る存在にも、命を脅かす存在にもなります。今回の事故を教訓に、食品添加物についても正しい知識を身につけ、必要以上に恐れず、正しく付き合っていきたいものです。

参考情報

「塩と勘違い」 タイの飲食店が正体不明の粉を料理に使用、多数の客が救急搬送される

ニトロソアミン類とは:農林水産省

銅化合物でアルツハイマー病モデルマウスの記憶機能が約44%改善―脳の老廃物を排出する仕組みを回復させる新たな可能性

私たちの脳には、日々生じる老廃物を体外へ排出する仕組みが備わっています。近年、この「脳のお掃除システム」の働きが低下すると、アルツハイマー病の発症や進行につながる可能性があるとして注目されています。

そんな中、オーストラリアのモナシュ大学などの研究チームが、学術誌『ACS Chemical Neuroscience』に興味深い研究成果を発表しました。

研究では、銅を含む化合物「Cu(ATSM)」を投与したアルツハイマー病モデルマウスで、脳の老廃物排出機能が改善し、記憶機能も向上したことが報告されています。

今回は、この研究の内容を分かりやすくご紹介します。

アルツハイマー病と脳の「お掃除システム」

アルツハイマー病では、「アミロイドβ」というタンパク質が脳内に蓄積することが大きな特徴の一つです。

健康な脳では、血液脳関門に存在する「P糖タンパク質(P-gp)」がアミロイドβを脳の外へ排出する働きを担っています。

ところがアルツハイマー病では、このP-gpの量や働きが低下し、アミロイドβが脳内にたまりやすくなると考えられています。

注目された銅化合物「Cu(ATSM)

今回研究チームが注目したのは、「Cu(ATSM)」という銅を運ぶ化合物です。

Cu(ATSM)は脳へ効率よく銅を届けることができ、すでにパーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)などを対象とした研究も進められています。

研究では、アルツハイマー病モデルマウスに56日間Cu(ATSM)を投与しました。

その結果、次のような変化が見られました。

① P糖タンパク質(P-gp)が24.1%増加

血液脳関門にあるP-gp関連タンパク質が24.1%増加しました。

これは、低下していた脳の老廃物排出機能が回復する可能性を示す結果と考えられています。

アミロイドβが約42%減少

大脳皮質に蓄積していたアミロイドβは42.1%減少しました。

研究チームは、P-gpの働きが改善したことでアミロイドβの排出が促進された可能性があると考えています。

記憶機能が約44%改善

空間学習能力や長期記憶を評価する試験では、記憶機能の指標が43.8%改善しました。

もちろん、この結果はマウスで確認されたものであり、人で同じ効果が得られるかどうかは今後の研究を待つ必要があります。

なぜ銅が重要なのか

銅は私たちの体に欠かせない必須ミネラルの一つです。

脳の健康にも深く関わっており、次のような働きがあります。

・脳のエネルギー産生を支える
脳は多くのエネルギーを消費します。銅は細胞内のミトコンドリアが効率よく働くために必要です。

・活性酸素から脳を守る
銅は抗酸化酵素SODの材料となり、細胞を酸化ストレスから守る働きを助けます。

・神経伝達物質の合成を支える
記憶や集中力、感情に関わるドーパミンやノルアドレナリンの産生にも銅が必要です。

・鉄の利用を助ける
銅は鉄の運搬や利用をサポートし、正常な造血にも関わっています。

これまでの研究では、アルツハイマー病患者の脳で銅代謝の異常が見つかっており、一部の神経細胞では機能的な銅不足が起きている可能性も指摘されています。

研究チームは、Cu(ATSM)によって脳へ銅が供給されることで、血液脳関門の機能改善や酸化ストレスの軽減が起こり、その結果としてP-gpの回復につながった可能性があると考えています。

また、脳の免疫細胞であるミクログリアの働きを整え、アミロイドβの除去を助けている可能性も検討されています。

まとめ

現在のアルツハイマー病治療では、アミロイドβを直接標的とする抗体医薬が実用化されています。

一方、今回の研究は「脳が本来持っている老廃物排出機能を取り戻す」という新しい視点からアプローチしている点が特徴です。

今回の成果はマウスを用いた研究段階のものであり、人への有効性はまだ確認されていません。しかし、Cu(ATSM)はすでに他の神経疾患で臨床研究が進められていることから、今後の発展が期待されています。

アルツハイマー病治療の新たな選択肢につながる可能性がある研究として、今後の続報が注目されますね。

【参考文献】

 Cu(ATSM) Restores Blood–Brain Barrier Abundance of P-Glycoprotein and Improves Cognitive Function in the APP/PS1 Mouse Model of Alzheimer’s Disease; ACS Chemical Neuroscience (2026年発表)

全国鉄瓶の湯、調査プロジェクト

Instagramで「南部鉄器で鉄分補給できるのか?」という動画を公開したところ、50万回以上再生され、多くのコメントをいただきました。

その中でも印象的だったのは、鉄瓶を愛用されている皆さまから寄せられた多くのコメントです。

「もう何十年も使っています。」
「調子がよくなりました」

そんな皆さまの声を読んでいて、一つの疑問が浮かびました。

「全国の鉄瓶では、実際にどのくらい鉄が溶け出しているのだろう?」

鉄瓶はすべて同じではありません。

メーカーや製法はもちろん、

  • 使用年数
  • お手入れの方法
  • 沸かす水の種類
  • 使用頻度
  • お住まいの地域

などによって、鉄の溶出量は変わる可能性があります。

しかし、それを実際に調べたデータはほとんどありません。

そこで私たちは、全国の皆さまと一緒に「全国鉄瓶の湯 調査プロジェクト」をスタートします。

まずは先着100名様限定で募集します

目標サンプル数は300件です。

まずは100名様分のデータを集め、その後も順次募集を行いながら、最終的に300件のデータ収集を目指します。

十分なデータが集まり次第、いったん募集を終了する予定です。

ぜひ、あなたの鉄瓶もこのプロジェクトにご参加ください。

このプロジェクトでわかること

あなたの鉄瓶から、

どれくらい鉄が溶け出しているのか。

そして、全国から集まったデータをもとに、

「どんな鉄瓶が、どんな条件で鉄を多く溶出するのか」

を調べていきます。

一人では集められないデータも、皆さまのご協力があれば見えてくるかもしれません。

お届けするもの

お申し込み後、以下をお送りします。

  • 採水容器(2本)
  • 返信用封筒
  • 採水方法のご案内
  • アンケート用紙(QRコード)

採水していただくもの

同じ水を使って、次の2種類をご採水ください。

① 鉄瓶で沸かす前の水(原水)

② 鉄瓶で沸かした後のお湯

採水後は、返信用封筒でご返送いただくだけです。

測定結果をお返しします

お送りいただいたサンプルは、当社で鉄濃度を分析し、測定結果をご返送します。

普段使っている鉄瓶から、実際にどのくらい鉄が溶け出しているのかをご自身で確認できます。

さらに、ご協力いただいた皆さまのデータを集計し、全国の鉄瓶や傾向の解析も公開していく予定です。

参加費

2,000円(税込)

※採水容器・返信用封筒・分析・結果報告を含みます。

参加条件

  • 鉄瓶・鉄玉子など、鉄が溶出する調理器具をお持ちの方
  • 採水・ご返送にご協力いただける方
  • 調査の輪を広げるため、測定結果をInstagramなどのSNSでシェアしていただける方は大歓迎です(任意)。

一つひとつの鉄瓶には、それぞれ違った歴史があります。

その鉄瓶から生まれる一杯のお湯にも、きっと違いがあります。

ぜひ、世界に一つだけのあなたの鉄瓶で沸かしたお湯をお送りください。

皆さまと一緒に、日本で初めてかもしれない「全国鉄瓶の湯データ」を作っていけることを楽しみにしています。

Instagramはじめました

実は2026年5月後半から、当社代表のInstagramアカウントを開設いたしました。

ミネラルや有害金属について、できるだけ分かりやすく、時にはクスッと笑えるような形で発信を続けています。

正直なところ、「こんなニッチな内容に興味を持ってくださる方がいるだろうか」と不安もありましたが、本当にありがたいことに、投稿によっては再生数が5万回近くに達するなど、多くの方にご覧いただいております。

SNSの影響力には驚かされるばかりです。

普段ブログでは少し真面目な内容が多いのですが、Instagramでは

・ミネラルの話
・有害金属の話
・栄養に関する素朴な疑問
・SNSで話題の健康情報の検証

などを、エンターテインメントを交えながら発信しています。

「ミネラルって難しそう」
「有害金属ってなんだか怖そう」

そんなイメージを少しでも身近に感じていただけたら嬉しいです。

定期的に更新しておりますので、ご興味のある方はぜひInstagramもご覧ください。

皆さまの応援が大きな励みになります。
ぜひフォローよろしくお願いいたします。

https://www.instagram.com/mineral_gekijo

脳と腸を繋ぐ鍵?自閉症スペクトラム(ASD)と『金属ミネラル』の関係

近年、「脳腸相関(脳と腸は深く繋がっている)」という言葉をよく耳にするようになりました。「緊張するとお腹が痛くなる」といった経験は誰しもがあると思いますが、実はそれだけではありません。

最近の研究では、自閉症スペクトラム障害(ASD)をはじめとする神経発達の特性を持つ方の多くが、便秘や下痢、腹痛といった「腸のトラブル(消化器症状)」を抱えていることが分かってきています。

「なぜ脳の特性であるはずのASDで、腸のトラブルが多いの?」

その謎を解き明かすための最新の鍵として、今世界中の研究者が注目しているのが「体内のミネラルバランス」です。

今回は、2025年に国際的な神経化学の専門誌(Journal of Neurochemistry)に掲載された最新レビュー論文(O’Grady & Grabrucker)をもとに、私たちの体(特に腸と脳)における有害金属と必須ミネラルの重要性について、分かりやすく紐解いていきましょう!

1. 論文が明かす「ミネラルバランスの破綻」とは?

私たちの体の中には、カルシウムや鉄、亜鉛など、生命を維持するために絶対に必要な「必須ミネラル」が存在します。一方で、環境中には水銀や鉛、アルミニウムといった、体にとって毒性となる「有害金属」も存在します。

健康な状態であれば、体はこれらを正しく選別し、必要なものを取り入れ、不要なものを排出する「恒常性(ホメオスタシス)」を保っています。

しかし、今回紹介する論文では、ASDの背景にはこの「ミネラルバランス(恒常性)の破綻」があり、それが腸の病態(消化器トラブルや腸内細菌叢の乱れ)を悪化させている大きな要因である可能性を指摘しています。

2. 要注意!体を脅かす「有害金属」の影響

環境汚染、食材、日用品などを通じて、私たちは気づかないうちに微量の有害金属を体に溜め込んでしまうことがあります。論文では、これらが腸に与えるダメージについて詳しく触れられています。

  • 水銀(Hg)や鉛(Pb):

これらは非常に強い毒性を持ち、腸に達すると「腸内細菌のバランス」を激変させてしまいます。善玉菌を減らし、悪玉菌を増やしてしまう原因になります。

  • アルミニウム(Al)やカドミウム(Cd):

腸の粘膜細胞同士を結びつけている「バリア」を破壊してしまうことが分かっています。これにより、腸の壁に隙間が空いてしまう「リーキーガット症候群(腸漏れ)」が引き起こされ、本来入ってはいけない毒素が血液中に漏れ出し、最終的に脳の炎症へと繋がってしまいます。

3. なぜ足りなくなる?防衛の要「必須ミネラル」

有害金属が体に侵入してきたとき、文字通り「盾」となって戦ってくれるのが、私たちが食事から摂取する必須ミネラルです。しかし、特性や環境の影響で、これらの重要なミネラルが不足しているケースが多いと論文は指摘しています。

特に注目すべきは以下の2つです。

亜鉛(Zn)の重要性

亜鉛は、腸の粘膜を強固に保ち、免疫をコントロールする超重要ミネラルです。さらに、体の中から有害金属(重金属)を捕まえて無毒化・排出する「メタロチオネイン」というタンパク質を作るために不可欠です。

亜鉛が不足すると、腸のバリアが弱くなるだけでなく、有害金属を追い出す力もガクッと落ちてしまいます。

鉄(Fe)のバランス

鉄は多すぎても少なすぎても腸内細菌に影響を与えます。悪玉菌の多くは鉄をエサにして増殖するため、腸内で鉄の吸収や代謝がうまくいかないと、腸内環境が悪化しやすくなります。

4. 有害金属 必須ミネラル の「椅子取りゲーム」

ここが最も面白い、かつ重要なポイントです。

実は、体の中にミネラルを取り込む「細胞のドア(受容体)」は、必須ミネラルも有害金属も同じドアを共有していることが多いのです。

例えば、体の中に「亜鉛」や「鉄」「カルシウム」が十分に満ちていれば、細胞のドアはこれらで埋まります。後から有害金属(鉛やカドミウムなど)がやってきても、入る隙間がありません。

しかし、もし体に必須ミネラルが不足していたらどうでしょう?

空いたドアから、有害金属が「ラッキー!」とばかりにすり抜けて、体内にどんどん吸収されてしまうのです。

つまり、「必須ミネラル不足」は「有害金属の吸収リスクを高める」という最悪の相乗効果を生んでしまいます。これが腸の炎症を引き起こし、自閉症スペクトラムで見られるような強い消化器症状(慢性的な便秘・下痢)や、脳への神経毒性へと繋がっていくというメカニズムが、近年の研究で徐々に明らかになってきました。

5. 私たちの生活に活かせるヒント

この論文の知見から、私たちが日常で意識できる大切なステップが見えてきます。

  • 「入れるな危険」:有害金属を避ける

・大型魚(マグロなど水銀のリスクがあるもの)の過剰摂取を避ける。

・古い水道管の鉛や、調理器具・日用品の素材に少し気を配る。

  • 「盾を強くする」:必須ミネラルをしっかり補給

亜鉛を豊富に含む食材(牡蠣、レバー、ナッツ類など)を意識して摂る。

・加工食品の摂りすぎに注意する(加工食品に含まれる添加物「リン酸塩」などは、

亜鉛やカルシウムの吸収を阻害してしまいます)。

  • 「お腹を育てる」:腸内環境のケア

・発酵食品や食物繊維を摂り、有害金属に負けない強い腸内細菌を育てる。

まとめ

今回の論文は、「自閉症スペクトラム(ASD)の症状や生きづらさは、単に脳だけの問題ではなく、『体内のミネラルバランスの乱れ』と『腸の病態』が深く絡み合っている可能性がある」という、非常に希望のある視点を示してくれています。

ミネラルバランスを整え、腸を元気にすることは、ASDの当事者の方々の消化器トラブルを和らげるだけでなく、脳や神経の健やかな働きをサポートする上でも、とても大切なアプローチになりそうです。

毎日の食事や栄養、ぜひ一度見直してみてはいかがでしょうか?

【参考文献】

O’Grady, K., & Grabrucker, A. M. (2025). Metal Dyshomeostasis as a Driver of Gut Pathology in Autism Spectrum Disorders. Journal of Neurochemistry, 169(3). DOI: 10.1111/jnc.70041

自閉症スペクトラム障害における幼少期ミネラルアンバランスの評価

自閉症スペクトラム障害における幼少期ミネラルアンバランスの評価(論文発表) – ら・べるびぃ予防医学研究所

からだミネラル検査

https://www.lbv.jp/analysis/karada.html

■書籍「栄養素のチカラ」

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【最新研究】妊娠中の「鉛」曝露が子供の喘息リスクに?エコチル調査より

今回は、最新の医学論文から、私たちの生活環境に潜む「鉛(なまり)」が次世代の健康にどう影響するかについてお話しします。

紹介するのは、2026年に発表された日本の大規模調査「エコチル調査(JECS)」の最新データに基づく研究です。

1. そもそも「鉛」ってどこにあるの?

かつては有鉛ガソリンや水道管、ペンキなどが主な発生源でしたが、現在は規制が進んでいます。しかし、古い建物の塗料の粉塵、一部の輸入玩具、装飾品、さらには土壌などを通じて、現代の私たちも微量の鉛を体に取り込んでいます。

特に日本における現在の曝露レベルは、世界的に見ても非常に「低い」とされています。

2. 研究が明らかにしたこと:低濃度でもリスクがある?

今回の研究(Nishihama et al. 2026)では、約7万人以上の親子を対象に、「お母さんの妊娠中の血中鉛濃度」「子供が4歳になるまでの喘鳴(ぜんめい:ゼーゼーすること)や喘息の経過」の関係を調べました。

驚くべきは、現在の日本の非常に低い鉛曝露レベルであっても、子供の呼吸器リスクに関わっている可能性があるという点です。

  • 一過性のゼーゼー(一過性早期喘鳴): 鉛濃度が高いグループの子供は、このリスクが上昇していました。
  • 持続的な喘息: 妊娠中の鉛曝露量が多いほど、成長しても続く「持続性喘息」になるリスクが高まる傾向が示されました。

3. なぜ「妊娠中」が大事なのか

胎児は胎盤を通じて、お母さんの体から栄養だけでなく、鉛などの有害金属も受け取ってしまいます。胎児期は肺や免疫系が形成される非常にデリケートな時期。この時期に微量の鉛に触れることが、将来の「アレルギー体質」や「呼吸器の弱さ」のスイッチを入れてしまう可能性が示唆されています。

4. 私たちができる対策は?

「鉛をゼロにする」ことは現代社会では難しいですが、リスクを最小限にするために以下のことに気をつけましょう。

  1. 古い建物のリフォーム時は注意: 剥がれたペンキの粉塵を吸わないようにしましょう。
  2. 手洗いの徹底: 外遊びの後の土汚れには微量の鉛が含まれることがあるため、親子でしっかり手を洗いましょう。
  1. バランスの良い食事: カルシウムや鉄分が不足すると、体は代わりに鉛を吸収しやすくなってしまいます。お母さんの栄養状態を整えることが、結果として子供を守ることにつながります。

まとめ

今回の研究は、「現代の低い曝露レベルであっても、できるだけ避けるに越したことはない」という重要な警告を発しています。

「神経質になりすぎる必要はありませんが、正しい知識を持って環境を整えること」。それが、子供たちの健やかな呼吸を守る第一歩になります。

出典元: Nishihama Y, et al. Associations between maternal blood lead concentration during pregnancy and trajectories of wheezing and asthma in offspring: The Japan Environment and Children’s Study (JECS). Environ Int. 2026.  

<参考:弊社ブログより>

緑茶のチカラ~有害金属を除去!? 実験してみました~ – ら・べるびぃ予防医学研究所Blog

【あなたの家は大丈夫?】鉛製給水管による健康被害の恐れと、国が進める「年15万件撤去」の最新動向

鉛(なまり)の記憶:私たちの髪が語る、環境政策の劇的な成果 – ら・べるびぃ予防医学研究所Blog

妊娠高血圧症候群と「重金属」の意外な関連【エコチル調査最新報告】 – ら・べるびぃ予防医学研究所Blog

肝硬変の予後を左右する「亜鉛」の力

肝硬変の治療において、微量元素である「亜鉛」の管理がこれまで以上に注目されています。

肝硬変患者の多くは、食欲不振による摂取不足、腸管からの吸収低下、そして尿中への排泄増加が重なり、慢性的な「低亜鉛血症」に陥っています。最新の研究では、この亜鉛不足が単なる栄養指標ではなく、患者さんの生存期間に直結する重要な因子であることが明らかになりました。

1. 予後の分かれ目は血清亜鉛値「70 µg/dL

721人の肝硬変患者を対象にした大規模研究では、生存率と最も強く関連する血清亜鉛値として「70 µg/dL」が示されました。

血清亜鉛値が70 µg/dL未満の患者では、それ以上を維持している患者に比べて死亡リスクが高いことが確認されています。

さらに、亜鉛濃度が高いほど生存率が改善する「用量依存的な関係」も認められました。

つまり、血清亜鉛値を70 µg/dL以上に保てるかどうかが、肝硬変の予後を左右する重要なポイントになる可能性があります。

2. 亜鉛補充による生存期間の大幅な延長

研究では、亜鉛製剤を使用したグループと使用しなかったグループも比較されました。

その結果、生存期間中央値は以下のように大きく異なっていました。

  • 亜鉛補充なし群:47.5か月
  • 亜鉛補充あり群:86.4か月

特に、血清亜鉛値が70 µg/dL未満の患者では、亜鉛補充によって生存期間が約2倍近く延びていました。

また、死亡リスクを約36%低下させる可能性も示されており、亜鉛管理の重要性が強く示唆されています。

3. 肝硬変において亜鉛が果たす「4つの重要な働き」

なぜ、たった一つの微量元素がこれほどまでに予後を左右するのでしょうか。

亜鉛は、体内で300種類以上の酵素に関わる重要なミネラルです。
特に肝硬変では、次のような働きが注目されています。

アンモニアを減らし、肝性脳症を防ぐ

肝硬変が進行すると、アンモニアを十分に処理できなくなります。

亜鉛は、筋肉でアンモニア処理を助ける酵素の働きに必要であり、不足するとアンモニアが体内に蓄積しやすくなります。

これが、意識障害などを起こす「肝性脳症」に関係しています。

肝臓の硬化を抑える

肝硬変では、炎症によって肝臓にコラーゲンが蓄積し、肝臓が硬くなっていきます。

亜鉛には、この線維化を進める細胞の働きを抑える可能性があり、病気の進行を遅らせる効果が期待されています。

活性酸素から肝細胞を守る

肝硬変では、「酸化ストレス」と呼ばれる細胞ダメージも問題になります。

亜鉛は、抗酸化酵素SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)の材料となり、活性酸素から肝細胞を守る役割を担っています。

免疫力や栄養状態を支える

亜鉛は免疫細胞の働きにも必要です。

不足すると感染症にかかりやすくなるほか、アルブミンなどのタンパク質合成にも影響し、全身状態の悪化につながる可能性があります。

今回の研究では、「血清亜鉛値70 µg/dL以上」を維持することが、肝硬変患者の生存率改善につながる可能性が示されました。

亜鉛は単なる栄養素ではなく、アンモニア代謝、抗線維化、抗酸化、そして免疫維持。

といった多面的な働きを通じて、肝硬変の進行や予後に深く関わっています。

今後は、肝硬変において「亜鉛」がこれまで以上に重要なキーワードになっていくかもしれません。

出典: “Serum Zinc Threshold and the Prognostic Impact of Zinc Supplementation in Liver Cirrhosis.” Nutrients 2026, 18(9)

【世界初の研究】お腹の赤ちゃんの「心の健康」も守る?妊娠中のカルシウムが13歳時のうつを予防する可能性

「妊娠中は、赤ちゃんの骨を作るためにカルシウムをしっかり摂りましょう」

そんなアドバイスを耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。

実は近年、カルシウムには「骨」だけでなく、「将来の心の健康」にも関わる可能性があることがわかってきました。

今回は、愛媛大学などの研究グループによって発表された、世界初の研究成果をご紹介します。

妊娠中のカルシウム摂取と、子どもの思春期のメンタルヘルスとの関係について、わかりやすく解説していきます。

1. 13歳になったとき、大きな差が出る?

愛媛大学の研究チームは、約1,200組の親子を対象に、お母さんが妊娠中にどれくらいカルシウムを摂っていたかと、その子が13歳になった時の精神状態を長期間調査しました。

その結果、「妊娠中にカルシウムをしっかり摂っていたお母さんの子は、13歳時点でのうつ症状のリスクが低い」ということが判明したのです。

思春期は心の発達においてとてもデリケートな時期です。その時期のメンタルヘルスに、「お腹の中にいた頃の栄養状態」が影響している可能性が示された点は、とても注目されています。

2. なぜカルシウムが「心」に関係するの?

カルシウムというと、「骨や歯を作る栄養素」というイメージが強いですよね。
しかし実は、カルシウムは脳や神経の働きにも欠かせない重要なミネラルです。

たとえば、カルシウムには以下のような役割があります。

  • 神経の興奮を調整する
  • 脳内の情報伝達をサポートする
  • 感情や気分の安定に関わる

妊娠中にカルシウムが不足すると、赤ちゃんの脳の発達、とくに感情コントロールに関わる機能の形成に影響する可能性があると考えられています。

今回の研究は、「妊娠中の栄養が、将来の心の健康の土台づくりにつながるかもしれない」という点を示した、非常に興味深い報告といえるでしょう。

3. 妊娠中、カルシウムはどれくらい必要?

2025年版「日本人の食事摂取基準」では、18〜64歳女性のカルシウム推奨量は1日650mgとされています。

一方、令和6年国民健康・栄養調査によると、20歳以上女性の平均摂取量は476mg/日で、推奨量を下回っている状況です。

つまり、日本人女性の多くはカルシウム不足傾向にあると考えられています。

カルシウムを摂りやすいおすすめ食材

毎日の食事で、無理なくカルシウムを取り入れてみましょう。

  • 乳製品: 牛乳、ヨーグルト、チーズ(加熱済みのもの)
  • 小魚: しらす、煮干しなど
  • 大豆製品: 納豆、豆腐、厚揚げ
  • 青菜: 小松菜、チンゲン菜、ほうれん草

4. 大切なのは、無理なく続けること

今回の研究成果は、「カルシウムさえ摂れば完璧!」というわけではありません。しかし、日々の食事で少し意識するだけで、数年後、数十年後のわが子の笑顔を守る手助けになるかもしれない……そう思うと、毎日の食卓がより大切なものに感じられますよね。

サプリメントを利用する場合は、過剰摂取を避けるためにも、主治医や管理栄養士に相談しながら取り入れるようにしましょう。

今日のごはんに、しらすを一掴み、あるいはコップ一杯の牛乳をプラスしてみませんか? その小さな積み重ねが、未来のお子さんの健やかな成長につながるかもしれません。

参考文献:

Miyake Y, Okubo H, Sasaki S, Tanaka K. Maternal calcium intake during pregnancy and adolescent depressive symptoms: The Kyushu Okinawa Maternal and Child Health Study. J Psychiatr Res. 2025; 187: 80-84. Doi: 10.1016/j.jpsychires.2025.05.018.

愛媛大学プレスリリース(2025年5月19日) 「世界初の研究成果!妊娠中カルシウム摂取が子の13歳時うつ症状に予防的」

「電解質って結局なんなの?」

この時期になると、よくいただくご質問のひとつです。

一言でいうと、「水に溶けることで電気を運ぶ性質を持ったミネラル」 のことです。

「イオン」と聞くと、ピンとくる方もいるかもしれません。

ただ、「ミネラルでいいのでは?」と思われる方も多いですよね。
実際、健康や栄養の世界には、目的によって呼び方を分けているものがたくさんあります。

例えば「アミノ酸」。

アミノ酸にはさまざまな種類がありますが、

  • EAA(必須アミノ酸):体内で作れない9種類
  • BCAA:筋肉でエネルギーとして使われやすい3種類

というように、特徴や役割によって呼び分けられています。

電解質もそれと同じです。

ミネラルの中でも特に、

  • 体の電気信号を伝える
  • 水分バランスを調整する
  • 筋肉や神経の働きを支える

といった重要な役割を担うものを、「電解質」として区別しているのです。

主な電解質

代表的な電解質には、次のようなものがあります。

  • ナトリウム
  • カリウム
  • マグネシウム
  • カルシウム
  • 塩素

これらは汗とともに体外へ失われます。

特に運動時や暑い季節には、水分だけでなく電解質も大量に消耗します。

そのため、不足すると

  • 足がつる
  • 疲れやすくなる
  • だるさを感じる
  • 集中力が低下する

といった状態につながることがあります。

「水だけ補給」では不十分なことも

暑い時期や運動時には、単に水を飲むだけでなく、失われた電解質も一緒に補給することが大切です。

これから気温が上がる季節。
パフォーマンス維持や体調管理のためにも、「電解質補給」は非常に重要になります。

ちなみに、昼休みに5kmほどランニングをしているのですが、最近は気温も上がってきたため、補給の大切さを実感しています。

しっかり水分とミネラルを補給して、リカバリーまで意識したいところです。

そして、やはり大切な「マグネシウム」

電解質の中でも、個人的に特に重要だと感じるのがマグネシウムです。

マグネシウムは、

  • 筋肉の収縮
  • 神経伝達
  • エネルギー産生
  • 体内酵素の働き

など、多くの生命活動に関わっています。

不足しやすい一方で、重要性は意外と見落とされがちなミネラルでもあります。

自分の状態を「見える化」することも大切

ミネラルバランスは、食事・運動・ストレス・発汗など、さまざまな影響を受けます。

だからこそ、日々の体調管理だけでなく、定期的に自分の状態を確認することも大切です。

当社のミネラル検査では、体内ミネラルバランスの傾向を把握し、日々の健康管理に役立てていただけます。

ご自身やご家族のコンディション確認の一助として、ぜひご活用ください。

雨水は硬水?軟水?台風の日に実験してみた

「雨って、どんな水なんだろう?」

そんな素朴な疑問から、実際に測ってみることにしました。

しかも今回は台風の雨です。

ちょっとワクワクしますよね。

■ 会社が水浸しに

まずは会社の窓際にビーカーを設置。

「これで自然に雨が溜まるはず」

…と思ったのですが、

結果はまさかの室内びしょ濡れ事件。

横殴りの雨が吹き込み、しっかり怒られました。

台風、なめてはいけません。

■ リベンジ:道路脇で再チャレンジ

気を取り直して、次は外へ。

風で飛ばされないように、重しとして登場したのが賞味期限切れのビスコ。

これでしっかり固定して、道路の端で雨水を回収。

すると…あっという間にしっかり採水できました。

■ 測定結果

2回測定した結果はこちら👇

  • pH:6.08 / 6.03
    → ほぼ同じ値で、弱酸性

ちなみに日本の水道水は平均でpH7.4程度。
それと比べると、雨はやや酸性寄りです。

■ そして気になる「硬度」

結論から言うと…

硬度は1.0。超軟水です。

ほぼミネラルなしです。

■ なぜ雨水は超軟水なのか?

これはシンプルな話で、雨はもともと「蒸発した水」が雲になったもの。

つまり、「地面に触れる前」、「岩や土壌を通っていない」状態です。

水の硬度を決めるカルシウムやマグネシウムは、主に地層から溶け出してくるものなので、雨の段階ではほぼ含まれていないというわけです。

■ まとめ

今回の実験からわかったことは

  • 雨水は弱酸性
  • そして超軟水
  • ミネラルはほぼ含まれない

という、かなりピュアなお水でした。

ら・べるびぃ予防医学研究所
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