先日報道された、「カドミウム濃度が基準値を超えた米の廃棄」のニュース。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e786aa8326a118963135f50955b4c37bf0b8344e
価格が高騰しているお米が大量に廃棄されるという現実に、なんともやるせない気持ちになります。

たしかに、カドミウムの基準値を超えてしまったお米をそのまま販売することはできません。
でも、ブレンドして濃度を下げる方法もあるのでは…という意見もあるようです。実際にブレンドすれば、濃度は下がりますからね。
とはいえ、消費者の立場からすれば「カドミウムが高いとわかっているお米が混ざっている」と聞けば、不安になるのも当然です。
仮に基準値を下回っていたとしても、「気持ちの問題」で避けたくなる方がいるのもわかります。
個人的には、廃棄するくらいなら「きちんとブレンドして基準をクリアしたうえで、安く販売する」という選択肢もアリではないかと感じます。
「それなら買うよ」という方も、少なからずいるのではないでしょうか。
私もその一人です。
そこで、当社であきたこまちのカドミウムを測定してみました。

実は今回の件をきっかけに、「うちでもあきたこまちを測ってみよう」と思いました。
というのも、ちょうど妻が秋田県産の「あきたこまち」を購入していたのです。
これまでは、当社に届く検体にあきたこまちは含まれておらず、測定の機会がありませんでした。
でも、こういう偶然こそ「ご縁」ですね。よし、やってみよう、と。
測定結果は…
- カドミウム濃度:66 µg/kg
でした。
まず結論から言えば、基準値(400 µg/kg)には大きく届かず、安全圏内です。
ひとまずホッとしました。
ただし、これがどの程度の位置づけなのか気になったので、参考までに当社でこれまでに測定した約50種類のお米と比較してみました。
- 中央値:14 µg/kg
- 平均値:27 µg/kg
※平均値は一部の高い数値に引っ張られやすいため、50検体程度の場合は中央値のほうが全体像を把握しやすいです。
つまり、66 µg/kgというのは 当社で測定限りでは高め の部類です。
基準は大きく下回っていますが、当社データでは 第5位の高濃度。
「表彰台」には届きませんでしたが、入賞といったところでしょうか。
品種 | カドミウム濃度(µg/kg) | 備考 |
あきたこまち(今回測定) | 66 | 当社分析で第5位の濃度 |
全体中央値 | 14 | 50検体中の中央値 |
全体平均値 | 27 | 高濃度の影響あり |
とはいえ、繰り返しますが、基準値(400 µg/kg)からは大きく離れており、十分に安全といえる数値です。
日常的に摂取するうえで、特に懸念する必要はないと考えられます。
最後に
食品の安全性において、科学的な根拠と、消費者の「安心感」は必ずしも一致しないことがあります。
「基準を満たしていればOK」というのは事実ですが、
「知ってしまった以上、気持ち的に避けたくなる」という声もまた、理解できます。
もちろん、今回のニュースのように「あきたこまちから基準値を超えるカドミウムが検出された」と聞くと、
「じゃあ、あきたこまちはもうやめておこうかな…」と感じる方がいらっしゃるかもしれません。
ですが、私としては、それは少しもったいない判断かもしれないと感じています。
なぜなら、ニュースのような結果はあくまで一例であって、
すべてのあきたこまちが高いわけではありませんし、産地や田んぼの条件、収穫年によっても大きく異なる可能性があるからです。
実際、基準値を大きく下回っているお米の方が圧倒的に多いですし、
あきたこまち自体も、全国で長く愛されている美味しいお米であることに変わりはありません。
だからこそ、ひとつの数値だけで「この銘柄はダメ」と決めてしまうのではなく、冷静に判断することが大切なのではないかと感じています。
今回のように実際の分析情報を知ることは、安心感にもつながるのではないでしょうか。
当社では、こうした実測データを通じて、皆さまの食品に対する理解と選択の手助けができればと考えています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ら・べるびぃ予防医学研究所
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