毛髪は「排泄器官」なのか?

― 排泄と排出を考える ―

検査会社、特に毛髪分析を扱う会社でなければ、あまり関心を持たれないテーマかもしれません。
しかし私たちは日々、毛髪という検体を扱う中で、どうしても避けて通れない問いに直面します。

「毛髪は排泄器官なのか?」

当社でもこれまで、「毛髪は排泄の役割を担っている」という説明をしてきました。

では、ここであらためて考えてみたいと思います。
そもそも「排泄」とは何なのでしょうか。

排泄と排出の違い

一般に排泄とは、体内で不要になった物質を代謝・処理したうえで意図的に体外へ出す仕組みを指します。

代表的な排泄経路は、尿や便です。これらは明確に「排泄の主役」と言えるでしょう。

一方で、排出という言葉は、より広い意味を持ち、意図的かどうかは問わずに結果として体外へ出た現象全般を指します。

この定義に照らすと、毛髪は「排出している器官」であることは間違いありません。

なぜなら、毛髪には高濃度の有害金属が取り込まれているからです。

毛髪は「意図的に」有害金属を取り込んでいるのか?

ここで一つ、疑問が浮かびます。

毛髪は、有害金属を体にとって不要なものとして認識し、意図的に取り込んでいるのか?

それとも、たまたま通過点に、取り込みやすい形の有害金属が存在していただけということなのでしょうか。

水銀を例に考える

毛髪に多く取り込まれる有害金属として、水銀があります。

大まかな推定ですが、摂取した水銀のうち約8%程度が毛髪に取り込まれると考えられています。※なお、水銀の排泄の大部分は便で行われます。

排泄の主役である便と直接比較することは難しいため、ここでは尿中水銀量を基準にしてみます。

尿中を「1」とした場合、毛髪はおおよそ「0.3」となります。

これは決して小さな値ではなく、毛髪も一定の役割を果たしていると評価できる数字です。ただし、繰り返しますが、排泄の主役はあくまで尿と便です。

なぜ毛髪は水銀を取り込みやすいのか?

その理由は、水銀の「形」にあると考えられます。

私たちが日常的に摂取する水銀の多くは、金属水銀や水銀イオンではなく、メチル水銀です。主な摂取源は魚介類です。

このメチル水銀は、ほぼ100%吸収されシステインと結合しメチオニンというアミノ酸によく似た構造になります。ほぼ「アミノ酸の顔をした物質」と言ってよいでしょう。

いわば優等生の皮をかぶった半グレのような存在です。

毛髪は「材料」として取り込んでいるのでは?

毛髪はケラチンというタンパク質でできています。
タンパク質はアミノ酸の集合体です。
つまり、アミノ酸は毛髪の材料そのものです。

メチオニンによく似た形をした「メチル水銀+システイン」の複合体を、「お前は有害物質だから排除してやる」という判断で取り込んでいるのか、それとも、「ちょうどいい、毛髪の材料になる」と誤認して取り込んでいるのか。

後者の方が、現実的ではなのではないかと考えます。

もし体が「メチル水銀+システイン」の複合体を完全に「悪者」と認識しているのであれば、血液脳関門を通過させるはずがないと思うのです。

ヒ素との対比が示すもの

ここで、もう一つ重要な事実があります。

日本人が最も多く摂取している有害金属はヒ素です。水銀・カドミウム・鉛の10〜20倍の摂取量があります。

では、ヒ素は水銀の10〜20倍、毛髪に取り込まれているのでしょうか?

答えは NO です。

ヒ素の毛髪への取込量は水銀の約1/30〜1/40程度です。

(※もちろん個人差はあります)

この事実は、毛髪が「有害金属を無差別に排出しているわけではない」ことを示唆しています。

毛髪は排泄器官なのか?(私見)

毛髪に一度取り込まれた水銀が、再び体内に戻る機構は、現在のところ確認されていません。

その意味では、毛髪に取り込まれ、結果として無毒化される

という点から、毛髪が排泄の一部を担っている、という考え方は間違いではないと思います。ただしそれは、

  • 体が有害物質として選択的に排除しているのか
  • アミノ酸に似た構造ゆえに、材料として取り込んでいる結果なのか

この点については、現時点では断定できません。

水銀は結果として毛髪に取り込まれることで体外へ出ていくため、広い意味では「デトックス」と言えると思います。

しかしその本質が「排泄」なのか、「偶発的な排出」なのか、まだまだ考える余地があるのではないでしょうか。

これはあくまで、会社としての見解ではなく、私個人の考えです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

ら・べるびぃ予防医学研究所
「知ることは、すべてのはじまり」
ミネラル分析の専門機関として、毛髪・血液・飲食物など様々な検体を分析しています。
2000年の創業以来、皆さまの健康に役立つ検査や情報を提供しています。
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執筆者:筒井大海

【水俣病の新たな知見】メチル水銀が「におい」を奪うメカニズム

四大公害病の一つである水俣病。その原因物質であるメチル水銀が引き起こす神経系の障害については、長らく研究されてきました。しかし、知覚鈍麻や運動失調といった主要な症候の陰で、患者さんがしばしば訴えていた「嗅覚障害」については、そのメカニズムが不明なままでした。

岡山大学などの研究グループが、メチル水銀が嗅覚系の神経に深刻なダメージを与えることを初めて明らかにし、水俣病の病態解明に大きな一歩を踏み出しました。

メチル水銀は「嗅覚系」のどこを傷害するのか?

研究グループは、水俣病を模倣したマウスモデルを用いて、メチル水銀曝露後の嗅覚系を詳細に調査しました。その結果、以下の重要な事実が判明しました。

1. 脳へのダメージ:嗅球と嗅覚野の神経細胞死

  • 嗅球(きゅうきゅう):においを感じ取るための重要な脳領域です。この部位で、においのコントラスト調節に関わる「顆粒細胞」がメチル水銀の毒性に対して特に弱いことが分かりました。
  • 大脳皮質の嗅覚野:においを認識する脳の領域でも、顕著な神経細胞死が確認されました。

また、これらの傷害部位では、神経細胞の死に関わるとされる「グリア細胞」の異常な活性化も観察されました。

2. 鼻へのダメージ:嗅細胞の部分的脱落

メチル水銀は汚染された魚介類の摂取(食事)を通じて体内に取り込まれますが、なんと鼻の粘膜にも水銀が蓄積していることが判明しました。これにより、においを感知する「嗅細胞」が部分的に脱落していることも確認されました。

ポイント!

食事を通じて体内に取り込まれるメチル水銀が、鼻や脳の嗅覚に関わる神経系全体を広く傷害することが、今回初めて科学的に実証されたのです。

なぜ嗅覚障害の解明が重要なのか?

今回の発見は、水俣病の病態解明に貢献するだけでなく、以下のような重要な意義を持っています。

  • 水俣病の診断・検査への応用

水俣病の発生から60年以上が経過した今、新たな病理的証拠が得られたことで、今後、嗅覚障害という新しい切り口が診断や検査に役立つことが期待されます。

  • 神経変性疾患との関連

アルツハイマー病などの神経変性疾患では、発病前の早期症状として嗅覚障害が現れることが知られており、早期発見の分野で注目されています。水俣病における嗅覚障害の研究は、他の神経疾患の理解にもつながる可能性があります。

  • 環境化学物質の健康リスク評価

食事性のメチル水銀だけでなく、産業環境にある他の化学物質の中にも、嗅覚系に悪影響を及ぼすものが多く存在します。今回の成果は、揮発性が低い化学物質であっても、体内に移行することで嗅覚障害を引き起こす懸念があることを示唆しており、今後の環境リスク評価の議論を深める一助となることでしょう。

この研究が、メチル水銀の健康被害に遭われた方々の診断や今後のケアに役立つことを願っています。

参考論文:Characterization of pathological changes in the olfactory system of mice exposed to methylmercuryArchives of Toxicology  17 February 2024

https://link.springer.com/article/10.1007/s00204-024-03682-w

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妊娠高血圧症候群と「重金属」の意外な関連【エコチル調査最新報告】

今回は、妊婦さんとお子さんの健康を守る上で非常に重要な示唆を与える研究結果をご紹介します。子どもの健康と環境に関する大規模な全国調査、通称「エコチル調査」から、妊娠高血圧症候群と血液中の特定の重金属元素の関連性について、注目すべきデータが発表されました。

発表のポイント:重金属濃度が高い妊婦さんはリスクが高い

国立環境研究所の森本靖久研究生らの研究チームは、約9万人の妊婦さんのデータを詳細に解析しました。その結果、以下の関連性が示されました。

  • 血液中の鉛、カドミウム、水銀という3つの重金属元素の濃度が高い妊婦さんは、濃度が低い妊婦さんに比べて妊娠高血圧症候群の発症リスクが高いことが判明しました。
  • 特に、リスクの増加幅は以下の通りです。
    • 血中濃度が最も高いグループは、低いグループと比べリスクが58%
    • カドミウムでは30%
    • 水銀では15%

このデータは、大規模な日本人妊婦のコホート研究として、重金属ばく露と妊娠高血圧症候群の関連を裏付ける非常に貴重なものです。

そもそも「妊娠高血圧症候群」とは?

「妊娠高血圧症候群」とは、妊娠20週以降に高血圧を発症し、多くの場合、尿中にタンパクが出てくるなどの症状がみられる状態です。

  • お母さんへの影響: 腎臓や肝臓などの臓器に負担がかかり、けいれんなどの重篤な合併症を引き起こすことがあります。
  • 赤ちゃんへの影響: 胎盤の機能が低下し、発育が遅れたり(胎児発育不全)、早産になるリスクが高まります。
  • 将来への影響: この病気を経験した女性は、将来的に心血管疾患(心臓や血管の病気)のリスクが高まる可能性が指摘されています。

過去の国際的な研究では、重金属と妊娠高血圧症候群の関連について結果が一致せず不明な点も多かったため、今回の日本の大規模データによる検証結果は非常に注目されています。

研究結果を読み解く上での大切な注意点

ただし、この研究結果を受け止める上で、私たちが冷静に理解しておくべき重要な注意点があります。

それは、「重金属が原因で、妊娠高血圧症候群になった」と断定はできないということです。

研究チームも指摘しているように、「因果関係が逆転している可能性」も考えられるからです。

因果関係が逆転?

妊娠高血圧症候群を発症した結果、体の状態(例えば、腎機能や血流など)が変化し、かえって血液中の重金属が排出されにくくなり濃度が高くなった、という可能性も考えられます。

つまり、現時点では「鶏が先か、卵が先か」のように、重金属濃度の上昇が原因なのか、それとも病気の結果なのかを、この研究だけでは特定できないのです。

私たちにできること:今後の研究に期待しつつ

今回の研究は、重金属のばく露(体内に取り込むこと)と妊娠中の体調との間に何らかの関連があることを強く示唆するものです。

重金属のばく露を減らすことが、妊娠高血圧症候群や将来の心血管疾患のリスクを減らすことにつながるのかどうかは、今後のさらなる研究が必要とされています。

現時点では、重金属を避けるための特定の行動を強く推奨することはできませんが、日頃から妊婦さんの健康全般を守るための行動に努めることが、最も大切です。

  • バランスの取れた食生活: 特定の食品に偏らず、多種多様な食材から栄養を摂りましょう。
  • 質の良い睡眠と適度な運動: 妊娠中の医師の指導のもと、健康管理全般に努めましょう。

今後の研究の進展に期待しつつ、日々の健康管理を大切にしていきましょう!

参考情報:

  • 国立環境研究所ニュース:https://www.nies.go.jp/whatsnew/2025/20251028/20251028.html
  • 原著論文(英文):Associations between blood heavy metal concentrations and hypertensive disorders of pregnancy in the Japan Environment and Children’s StudyJournal of the American Heart Association 掲載)

https://www.ahajournals.org/doi/full/10.1161/JAHA.125.042183

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水俣条約 第6回締約国会議、ジュネーブで開幕– 水銀の規制強化

水銀による健康と環境への被害を食い止めるため、国際的な取り組みがスイス・ジュネーブで進められています。水俣病の原因物質である水銀を規制する「水銀に関する水俣条約」の第6回締約国会議(COP6)が、2025年11月3日から7日まで開催されています。

焦点は「銀歯(歯科用アマルガム)」と「化粧品」の規制強化

今回の会議の最大の焦点は、歯科用アマルガム(銀歯)の規制強化です。

1. 歯科用アマルガムの規制:

  • 現状: 現在、アマルガムは「段階的削減」の対象となっています。
  • COP6での議論: 会議では、「禁止」に向けた規制強化(段階的な廃止)が議論の中心です。
  • 国際的な状況: カナダ、米国、オーストラリアなどでは今も安価な治療法として使われていますが、日本では2016年に保険適用から外され、現在は製造・使用されていません。

2. 水銀を含む化粧品の実効性:

  • 現状: 水銀を含む化粧品はすでに国際的に禁止されています。
  • 課題: しかし、インターネット通販やアフリカ・アジアの一部地域では依然として販売が続いている現状があります。
  • COP6での議論: 禁止の実効性を高めるための方策、特に違法取引対策やモニタリングの強化が話し合われます。

水銀は、使用を制限するだけでなく、禁止の実効性を確保するための国際協力が不可欠です。

水俣病とは? 人体と環境への深刻な影響

水俣条約の名称の由来となった水俣病は、改めて水銀の危険性を世界に訴えています。

水俣病は、化学工場から海や河川に排出されたメチル水銀化合物を魚介類が体内に高濃度に蓄積し、それを日常的に食べた住民に発生した中毒性の神経疾患です。

  • 発生地と経過: 熊本県水俣湾周辺を中心とする八代海沿岸で、昭和31年(1956年)に初めて患者が報告されました。その後、新潟県阿賀野川流域でも発生が確認されました。
  • 症状: メチル水銀は中枢神経系に強い毒性を示し、感覚障害(手足のしびれ)、運動失調、視野狭窄、聴力障害などを引き起こします。特に、胎児はメチル水銀に対して感受性が強く、胎児性水俣病として深刻な症状が現れることがあります。

 日本人は水銀が体内に蓄積されやすい?

魚を日常的に食する日本人は、特に有機水銀(メチル水銀)が体内に入ることが多い傾向があります。食物連鎖により、マグロなどの大型魚に蓄積されるためです。

<ら・べるびぃ予防医学研究所のブログより>

3ヶ月毎日マグロとはんぺん食べてみた

(続報)3ヶ月毎日マグロとはんぺん食べてみた

水銀、長かった戦いついに集結(完結編)3ヶ月毎日マグロとはんぺん食べてみた

「水俣病は遺伝する?」報道を受けて正しく知っておきたい、胎児性水俣病と遺伝の違い

未来のための国際的な約束

水俣条約は、日本の公害の経験から生まれた、未来のための国際的な約束です。

今回の会議を通じて、水銀のない世界の実現に向けた具体的な一歩が踏み出されることが期待されます。水俣病という悲劇を経験した日本の知見と教訓が、国際社会の議論をリードすることが重要です。

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2026年1月22日 マグロと水銀 -水銀負荷試験報告-

水銀を含む食べ物と聞いて、まず思い浮かぶのは「マグロ」ではないでしょうか。
お寿司屋さんの定番であり、私自身も大好きな食材です。

しかし、マグロには「水銀が多い」と聞いたことがある方も多いはず。
では実際のところ、どのくらいの頻度で食べると、体内の水銀はどのように変化するのでしょうか?

今回、私自身が被験者となり、マグロを一定期間継続して摂取した際の水銀濃度の変化を、毛髪および爪ミネラル検査で追跡しました。

「食べたらどれくらいで上がるのか?」
「やめたらどれくらいで戻るのか?」
その答えを、データとともにお伝えします。

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開催日:2026年1月22日(木)12時~13時

演題:「マグロと水銀 -水銀負荷試験報告-」

講師:ら・べるびぃ予防医学研究所 代表取締役 筒井大海

費用:無料

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Q.アーカイブはありますか?

A.いつも予医ファミリーをお申込みいただき継続されている方はアーカイブを後日配信する予定です。

水銀、長かった戦い…ついに集結(完結編)3ヶ月毎日マグロとはんぺん食べてみた

ついにやりましたーーー!!!
2024年7月から始まった 私と水銀の戦い、1年と2か月かかって、ようやく毛髪中の水銀値が元に戻りました。

「は?何の話?」という方は、過去ブログもぜひどうぞ
水銀負荷試験の経緯はこちら

実験内容をざっくりまとめると

  • 12週間、毎日キハダマグロ100g+はんぺん
  • 約2週間に一度、毛髪ミネラル検査(爪も)

目的は水銀が毛髪にどれくらいで反映するのか&どのくらいで抜けるのかを確認しました。

ピークは意外と早かった

  • 12週間マグロ祭りの結果、10月21日に 4414ppb に到達!
  • 摂取前は 1442ppb だったので、約3倍…マグロパワー恐るべし

食べるのやめたらどうなる?

  • 2024年10月3日に摂取修了、次の検査ではまだ高めだったけどその次から徐々に下降
  • 11ヶ月後、2025年9月4日、ついに 1590ppb まで戻りました!

何も特別なことはしていないのに、この下がった時の達成感…たまらぬものです。

実際の推移

水銀の半減期って?

生物学的半減期は約120日(約4か月)なので理想のシナリオだとこんな感じ

  • 4,414 → 2,207(2025年2月)
  • 2,207 → 1,103(2025年6月)
  • 1,103 → 551(2025年10月)

ただし現実は理想通りにはいかず、普段の生活でも魚から少しずつ水銀は入るので、完全ゼロにはならないんです。魚の摂取をゼロにしたわけではありません。

まとめ

  • 水銀、抜けるのに思ったより時間がかかる
  • 食べすぎ注意!でも抜けると嬉しいもんです
  • 数値が下がるとなんだか 無駄に達成感 が湧く

これにて水銀負荷試験について本当に完結です。

ご覧いただき本当にありがとうございました。

毛髪ミネラル検査にご興味があればこちらからお申込みください。

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1年間で毛髪検査24回やった話

「1年間で24回も毛髪ミネラル検査をやったことがある人」なんて、日本広しといえど、私ぐらいじゃないでしょうか。どうも、毛髪ミネラル検査の会社の代表です。

2週間に一度、後頭部の目立たないところから髪の毛を採取。月2回。ハゲるんじゃないかと思いましたが、意外と誰も気づかないもんです。やっぱり後頭部だし、案外目立たない。…いや、誰も指摘しないだけかもしれませんけどね(笑)。

なぜそんな極端なことを始めたかというと、ある「人体実験」のためでした。

マグロ生活で水銀は爆上がり!…でも戻らない

最初の目的は、「水銀負荷試験」でした。

毛髪と爪に、食べたものの影響がどのくらいで現れるのか知りたかったんです。そこで、3ヶ月間毎日マグロとはんぺんを食べ続けるという、なんとも体に悪そうなことをやりました。

結果は予想通り!

  • 髪の毛はすぐに反応して、水銀濃度が3倍近くまで跳ね上がりました。
  • は4ヶ月後にやっと反応し始めました。

これで「髪は直近のデータ、爪はもう少し前のデータ」という仮説が確信に変わりました。

ここからが問題です。次に「じゃあ、どのくらいで元に戻るの?」ということを調べるために、マグロ生活をやめ、検査を継続しました。ところが、これがぜんぜん戻らない!

始める前は1,400ppb程度だったのが、1年経ってもまだ2,000ppb。うーむ。長い。このまま私の髪から水銀は消えないんじゃないかなと思いました。

そんな思惑とは全く別に奥様から「お腹やばくない?」という一言がきっかけで

私は「ワンパンマンチャレンジ」なるものを始めたんです。

体はボロボロ、毛髪からは「銅」が爆上がり!?

ワンパンマンチャレンジとは、毎日腹筋、腕立て、スクワットを100回ずつ、ランニング10kmをこなすという修行のような筋トレメニューです。

走り慣れていない体には、まさに地獄。全身が悲鳴をあげている日々が続きました。

そして、チャレンジ開始から1ヶ月ほど経った頃、いつものように毛髪ミネラル検査の結果を見てみると…

銅!カッパー!

なんと、銅の濃度がぎゅーん!って上がってるんです。ワンパンマンチャレンジを始める前と比べると、3倍近くになっていました。

「なんじゃこら?」

毛髪ミネラル検査では、通常3cmの髪の毛から3ヶ月分の平均値を出しますが、このときは1cmで検査していたので、直近1ヶ月のデータが反映されているはず。つまり、ワンパンマンチャレンジで私の体に起きた変化が、そのまま銅の数値に表れていたんです。

銅だけじゃない!鉛とアルミも上がった理由

驚くべきことに、上がっていたのは銅だけではありませんでした。

アルミニウムも、高くなっていたんです。

これらのミネラルは、実は骨に溜まりやすいという特徴があります。ということは、ランニングを始めたことで骨の代謝がよくなり、溜まっていた鉛やアルミが溶け出して、それが髪に反映されたんじゃないか?という仮説が浮上しました。

「骨の代謝がよくなった」なんて、なんだか健康になったみたいで嬉しいですね。過去に短距離をやっていた1年前も同じように数値が高くなっていたので、この仮説はかなり信憑性があるように思えます。

私がこの体験から学んだこと

この一連の「人体実験」で、私は重要な教訓を得ました。

何か極端なこと(ダイエットや筋トレ、サプリメントの摂取など)を始めるなら、始める前に必ず検査を受けるべきだということです。

もし、ワンパンマンチャレンジの途中で初めて毛髪ミネラル検査を受けていたら、「これは運動の結果だ!」なんて分かりっこなかったでしょう。

私の場合、過去のデータがあったからこそ、この変化に気づくことができました。

お金がかかる話ではありますが、自分の身体がどう変わっていくのかを正確に知るためには、やはり「数」が重要です。

私のように月に2回は難しくても、月に1回ならいつも予医ファミリーという月額5,500円の検査のサブスクでで自分の体の変化をチェックできます。皆さんも、自分の体の変化を楽しく記録してみませんか?意外な発見があるかもしれませんよ!

※あくまで今回のことはN=1の考察に過ぎませんので、面白情報として参考としていただければ幸いです。

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紫外線の季節、98%の日本人が「あの栄養素」不足!?赤ちゃんにも影響が?

夏も終わりに差し掛かっていますが、暑い日が続きます。本当に夏は終わるのでしょうか。もうずっと暑いままなのでは、と錯覚してしまいます。

連日35℃超えって日本正気ですか。

もう夏休み終わりますよ?夏休みって夏は暑くて学校に空調が十分足りないからはじまったんじゃないですか?こんなに暑いなら夏休み延長しないといけないですよ。

と、まだまだ紫外線が強いこの時期、日焼け止めや日傘で対策されている方も多いでしょう。しかし、その紫外線対策が行き過ぎて、大切な栄養素が不足しているかもしれません。

「太陽のビタミン」と呼ばれるビタミンDをご存じですか?

ビタミンDは、日光を浴びることで体内で生成され、意外にも多くの日本人が不足していることが明らかになっています。

ビタミンD、実は98%の人が不足?

2019年から2020年にかけて東京慈恵会医科大学が実施した調査で、都内の健康診断受診者5,518人の98%がビタミンD不足に該当していたことが判明しました。

この調査は、日本で初めて血清中ビタミンDの基準濃度を示したもので、30 ng/mL未満を「ビタミンD不足」と定義。特に若年層ほど不足率が高いことも判明しました。

※参考:98%の日本人がビタミンD不足、東京慈恵会医科大学が国内初の基準値公表 – 大学ジャーナルオンライン

赤ちゃんにもビタミンD不足が!日本小児科学会が新たな提言

近年、生活スタイルの変化によって、ビタミンDが不足する赤ちゃんも増加しています。これは、骨の発育に必要なカルシウム吸収の低下や、「くる病」などの発症リスクにつながる可能性があります。

2025年3月、日本小児科学会は以下のような対策を提言しています:

  • 妊娠期からのビタミンD充足
  • 母乳育児と両立できる適切な補完
  • 適度な外気浴・外遊び
  • 離乳食での魚・卵黄などビタミンD豊富な食品の摂取

これらの対策が難しい場合には、医師の指導のもと乳児用ビタミンDサプリメントの利用も考慮すべきとしています。

※参考:乳児期のビタミンD欠乏の予防に関する提言 |公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

ビタミンDの働きは骨だけじゃない!

「ビタミンD」と聞くと、骨の健康に良いというイメージが強いかもしれません。確かにビタミンDは、カルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける重要な役割を担っています。しかし、ビタミンDの働きはそれだけではありません!

  • 免疫機能の強化:免疫細胞の働きを調整し、感染症への抵抗力を高める重要な役割が近年注目されています。
  • 疾患との関係:たとえば国立がん研究センターの調査では、ビタミンDの食事摂取量と大腸がんの罹患リスクとの関連が示唆されるなど、様々な疾患との関連性も研究されています。
  • 有害金属の排出: 最近の海外研究では、ビタミンDが鉛・カドミウム・水銀・ヒ素などの重金属の蓄積を抑える可能性があり、特に妊娠期のビタミンD不足が早産リスクと関連していることも指摘されています。

※参考:Interplay Between Vitamin D Levels and Heavy Metals Exposure in Pregnancy and Childbirth: A Systematic Review

なぜ、こんなにもビタミンDが不足しているのか?

主な原因は以下の2つが考えられます。

  • 日光浴の減少: 紫外線対策意識の高まりや、室内で過ごす時間の増加により、日光を浴びる機会が減少しています。
  • 食生活の欧米化: 魚介類やきのこ類など、ビタミンDを豊富に含む和食を食べる機会が減っていることも一因です。

今日からできる!ビタミンD不足への対策

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、18歳以上の男女ともに1日のビタミンD摂取の目安量は9.0㎍に変更されました。

  • 食事から摂取: サケ、イワシなどの魚介類や、しいたけなどのきのこ類、卵黄を積極的に摂りましょう。ビタミンDは脂溶性なので、油と一緒に摂ると吸収率が高まります。
  • 適度な日光浴: ビタミンDは、皮膚が日光浴(紫外線)あたることにより生成されます。紫外線対策をしつつ、無理のない範囲で日光浴を心がけましょう。国立環境研究所のウェブサイトでは、お勧めの1日の日照照射時間も公開されています。

<ビタミンD生成・紅斑紫外線量情報>

https://db.cger.nies.go.jp/dataset/uv_vitaminD/ja/mobile/yokohama_now1.html

https://db.cger.nies.go.jp/dataset/uv_vitaminD/ja/index.html

紫外線が気になる季節ですが、健康のためにはビタミンDも非常に大切な栄養素です。バランスの取れた食生活と適度な日光浴を心がけて、元気に夏を過ごしましょう!

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第4回 環境化学物質合同大会 参加してきました!

昨日「第4回 環境化学物質合同大会」に参加してまいりました。
開催地は山形。始発の新幹線に乗り、終電で帰宅するというハードスケジュールでしたが、充実感たっぷりの1日でした。

この合同大会は「環境化学討論会」と「日本環境毒性学会」の合同開催で、なんと山形市内の2つの大きな建物を貸し切って実施されるほどの大規模なもの。

参加者は会場を行き来しながら、同時進行で行われる数多くの発表を聞き比べるというスタイルで、次はどのセッションを聞こうかと目移りしながら、会場を渡り歩きました。

私は無機分析を専門としていることもあり、つい、無機分析関連の発表に集中してしまいましたが、それでも1日があっという間に過ぎてしまうほど内容が濃く、最新の研究に触れてアップデートされた気持ちになれました。

これまで医療や予防の分野の展示会に多く参加してきましたが、今回の大会はその雰囲気とは全く違い、まさに 「マニアック中のマニアック」 という印象。
ヒ素や水銀、セシウム、ストロンチウム、クロムといった元素の環境中での挙動や影響について、研究者の皆さんが発表されている内容はとても刺激的で、圧倒されました。

当社の業務も研究要素を含みますが、私たちは皆様からいただいた検体や情報をもとに解析を行い、その結果から後付けで研究テーマを設定するスタイルです。

一方で、発表された研究者の方々は、まず研究テーマを立て、実現に向けて緻密な計画と行動力でフィールドワークを進めておられ、改めて「本格的な研究者」のすごさを感じました。

また、特に印象的だったのは PFAS(有機フッ素化合物) に関する発表の多さ。全体の約2割がPFAS関連だった印象で、企業展示もPFAS一色といえるほど。環境分野での関心の高さをひしひしと感じました。

交流会も大変盛況で、おそらく200〜300人ほどが参加されていたと思います。

会場では、環境分野で広く利用されている ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析計) の話題で盛り上がる場面も多く、同じ分析を行う立場として非常に楽しい時間でした。
ただ「毛髪で分析しています」とお伝えすると、知らない方が多かったのも新たな発見でした。まだまだ認知度が低い!がんばらなければ!

さらに、余興では山形名物の 花笠踊り が披露され、会場は大いに盛り上がりました。
次回の開催地は長崎とのこと。今度は泊まりがけで参加して、もっとたくさんのセミナーに参加する心に決めています。

ちなみに会場でいただいたこのトートバッグ、ベンゼン環を意識して作られたそうです。かわいい。


2025年7月24日 鉱物の神秘 vol.2

~身近で奥深い鉱物の世界を覗いてみませんか~

私たちの暮らしは、実は数えきれないほど多くの「鉱物(ミネラル)」の恩恵に支えられています。
乾電池、スマートフォン、家電…普段は意識することのないこれらの多くは鉱物資源から生まれたもの。

しかし、その一方で鉱物の中には、人体に悪影響を及ぼし、時には命を脅かすものも存在します。
今回のセミナーでは、鉱物の不思議な魅力とともに、私たちが気をつけるべきリスクについても詳しく解説します。

『鉱物の神秘 vol.2』では以下のテーマを取り上げます。

鉱物(ミネラル)って何?
 ― 日常生活と鉱物の深い関わりを基礎から解説

鉱物の条件
 ― 「鉱物」と呼ばれるための定義とは?

約4000種の鉱物の世界
 ― 地球上で確認されている多様な鉱物たち

レアメタルから宝石まで
 ― 資源としての重要性と美しさの両面を持つ鉱物

人体に悪影響を与える鉱物
 ― 知っておきたい健康へのリスク

水銀・ヒ素・カドミウム・鉛の実害の具体例
 ― 過去の事例から学ぶ鉱物の“負の側面”

皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

題名「鉱物の神秘 Vol.2」

開催日時:2025年7月24日(木) 12時~13時 

費用:無料

定員:100名

講師:株式会社ら・べるびぃ予防医学研究所 専務執行役員 米川豊

※お申込みには予医手帳の登録が必要です。

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