妊娠高血圧症候群と「重金属」の意外な関連【エコチル調査最新報告】

今回は、妊婦さんとお子さんの健康を守る上で非常に重要な示唆を与える研究結果をご紹介します。子どもの健康と環境に関する大規模な全国調査、通称「エコチル調査」から、妊娠高血圧症候群と血液中の特定の重金属元素の関連性について、注目すべきデータが発表されました。

発表のポイント:重金属濃度が高い妊婦さんはリスクが高い

国立環境研究所の森本靖久研究生らの研究チームは、約9万人の妊婦さんのデータを詳細に解析しました。その結果、以下の関連性が示されました。

  • 血液中の鉛、カドミウム、水銀という3つの重金属元素の濃度が高い妊婦さんは、濃度が低い妊婦さんに比べて妊娠高血圧症候群の発症リスクが高いことが判明しました。
  • 特に、リスクの増加幅は以下の通りです。
    • 血中濃度が最も高いグループは、低いグループと比べリスクが58%
    • カドミウムでは30%
    • 水銀では15%

このデータは、大規模な日本人妊婦のコホート研究として、重金属ばく露と妊娠高血圧症候群の関連を裏付ける非常に貴重なものです。

そもそも「妊娠高血圧症候群」とは?

「妊娠高血圧症候群」とは、妊娠20週以降に高血圧を発症し、多くの場合、尿中にタンパクが出てくるなどの症状がみられる状態です。

  • お母さんへの影響: 腎臓や肝臓などの臓器に負担がかかり、けいれんなどの重篤な合併症を引き起こすことがあります。
  • 赤ちゃんへの影響: 胎盤の機能が低下し、発育が遅れたり(胎児発育不全)、早産になるリスクが高まります。
  • 将来への影響: この病気を経験した女性は、将来的に心血管疾患(心臓や血管の病気)のリスクが高まる可能性が指摘されています。

過去の国際的な研究では、重金属と妊娠高血圧症候群の関連について結果が一致せず不明な点も多かったため、今回の日本の大規模データによる検証結果は非常に注目されています。

研究結果を読み解く上での大切な注意点

ただし、この研究結果を受け止める上で、私たちが冷静に理解しておくべき重要な注意点があります。

それは、「重金属が原因で、妊娠高血圧症候群になった」と断定はできないということです。

研究チームも指摘しているように、「因果関係が逆転している可能性」も考えられるからです。

因果関係が逆転?

妊娠高血圧症候群を発症した結果、体の状態(例えば、腎機能や血流など)が変化し、かえって血液中の重金属が排出されにくくなり濃度が高くなった、という可能性も考えられます。

つまり、現時点では「鶏が先か、卵が先か」のように、重金属濃度の上昇が原因なのか、それとも病気の結果なのかを、この研究だけでは特定できないのです。

私たちにできること:今後の研究に期待しつつ

今回の研究は、重金属のばく露(体内に取り込むこと)と妊娠中の体調との間に何らかの関連があることを強く示唆するものです。

重金属のばく露を減らすことが、妊娠高血圧症候群や将来の心血管疾患のリスクを減らすことにつながるのかどうかは、今後のさらなる研究が必要とされています。

現時点では、重金属を避けるための特定の行動を強く推奨することはできませんが、日頃から妊婦さんの健康全般を守るための行動に努めることが、最も大切です。

  • バランスの取れた食生活: 特定の食品に偏らず、多種多様な食材から栄養を摂りましょう。
  • 質の良い睡眠と適度な運動: 妊娠中の医師の指導のもと、健康管理全般に努めましょう。

今後の研究の進展に期待しつつ、日々の健康管理を大切にしていきましょう!

参考情報:

  • 国立環境研究所ニュース:https://www.nies.go.jp/whatsnew/2025/20251028/20251028.html
  • 原著論文(英文):Associations between blood heavy metal concentrations and hypertensive disorders of pregnancy in the Japan Environment and Children’s StudyJournal of the American Heart Association 掲載)

https://www.ahajournals.org/doi/full/10.1161/JAHA.125.042183

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水俣条約 第6回締約国会議、ジュネーブで開幕– 水銀の規制強化

水銀による健康と環境への被害を食い止めるため、国際的な取り組みがスイス・ジュネーブで進められています。水俣病の原因物質である水銀を規制する「水銀に関する水俣条約」の第6回締約国会議(COP6)が、2025年11月3日から7日まで開催されています。

焦点は「銀歯(歯科用アマルガム)」と「化粧品」の規制強化

今回の会議の最大の焦点は、歯科用アマルガム(銀歯)の規制強化です。

1. 歯科用アマルガムの規制:

  • 現状: 現在、アマルガムは「段階的削減」の対象となっています。
  • COP6での議論: 会議では、「禁止」に向けた規制強化(段階的な廃止)が議論の中心です。
  • 国際的な状況: カナダ、米国、オーストラリアなどでは今も安価な治療法として使われていますが、日本では2016年に保険適用から外され、現在は製造・使用されていません。

2. 水銀を含む化粧品の実効性:

  • 現状: 水銀を含む化粧品はすでに国際的に禁止されています。
  • 課題: しかし、インターネット通販やアフリカ・アジアの一部地域では依然として販売が続いている現状があります。
  • COP6での議論: 禁止の実効性を高めるための方策、特に違法取引対策やモニタリングの強化が話し合われます。

水銀は、使用を制限するだけでなく、禁止の実効性を確保するための国際協力が不可欠です。

水俣病とは? 人体と環境への深刻な影響

水俣条約の名称の由来となった水俣病は、改めて水銀の危険性を世界に訴えています。

水俣病は、化学工場から海や河川に排出されたメチル水銀化合物を魚介類が体内に高濃度に蓄積し、それを日常的に食べた住民に発生した中毒性の神経疾患です。

  • 発生地と経過: 熊本県水俣湾周辺を中心とする八代海沿岸で、昭和31年(1956年)に初めて患者が報告されました。その後、新潟県阿賀野川流域でも発生が確認されました。
  • 症状: メチル水銀は中枢神経系に強い毒性を示し、感覚障害(手足のしびれ)、運動失調、視野狭窄、聴力障害などを引き起こします。特に、胎児はメチル水銀に対して感受性が強く、胎児性水俣病として深刻な症状が現れることがあります。

 日本人は水銀が体内に蓄積されやすい?

魚を日常的に食する日本人は、特に有機水銀(メチル水銀)が体内に入ることが多い傾向があります。食物連鎖により、マグロなどの大型魚に蓄積されるためです。

<ら・べるびぃ予防医学研究所のブログより>

3ヶ月毎日マグロとはんぺん食べてみた

(続報)3ヶ月毎日マグロとはんぺん食べてみた

水銀、長かった戦いついに集結(完結編)3ヶ月毎日マグロとはんぺん食べてみた

「水俣病は遺伝する?」報道を受けて正しく知っておきたい、胎児性水俣病と遺伝の違い

未来のための国際的な約束

水俣条約は、日本の公害の経験から生まれた、未来のための国際的な約束です。

今回の会議を通じて、水銀のない世界の実現に向けた具体的な一歩が踏み出されることが期待されます。水俣病という悲劇を経験した日本の知見と教訓が、国際社会の議論をリードすることが重要です。

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2026年1月22日 マグロと水銀 -水銀負荷試験報告-

水銀を含む食べ物と聞いて、まず思い浮かぶのは「マグロ」ではないでしょうか。
お寿司屋さんの定番であり、私自身も大好きな食材です。

しかし、マグロには「水銀が多い」と聞いたことがある方も多いはず。
では実際のところ、どのくらいの頻度で食べると、体内の水銀はどのように変化するのでしょうか?

今回、私自身が被験者となり、マグロを一定期間継続して摂取した際の水銀濃度の変化を、毛髪および爪ミネラル検査で追跡しました。

「食べたらどれくらいで上がるのか?」
「やめたらどれくらいで戻るのか?」
その答えを、データとともにお伝えします。

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開催日:2026年1月22日(木)12時~13時

演題:「マグロと水銀 -水銀負荷試験報告-」

講師:ら・べるびぃ予防医学研究所 代表取締役 筒井大海

費用:無料

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A.いつも予医ファミリーをお申込みいただき継続されている方はアーカイブを後日配信する予定です。

水銀、長かった戦い…ついに集結(完結編)3ヶ月毎日マグロとはんぺん食べてみた

ついにやりましたーーー!!!
2024年7月から始まった 私と水銀の戦い、1年と2か月かかって、ようやく毛髪中の水銀値が元に戻りました。

「は?何の話?」という方は、過去ブログもぜひどうぞ
水銀負荷試験の経緯はこちら

実験内容をざっくりまとめると

  • 12週間、毎日キハダマグロ100g+はんぺん
  • 約2週間に一度、毛髪ミネラル検査(爪も)

目的は水銀が毛髪にどれくらいで反映するのか&どのくらいで抜けるのかを確認しました。

ピークは意外と早かった

  • 12週間マグロ祭りの結果、10月21日に 4414ppb に到達!
  • 摂取前は 1442ppb だったので、約3倍…マグロパワー恐るべし

食べるのやめたらどうなる?

  • 2024年10月3日に摂取修了、次の検査ではまだ高めだったけどその次から徐々に下降
  • 11ヶ月後、2025年9月4日、ついに 1590ppb まで戻りました!

何も特別なことはしていないのに、この下がった時の達成感…たまらぬものです。

実際の推移

水銀の半減期って?

生物学的半減期は約120日(約4か月)なので理想のシナリオだとこんな感じ

  • 4,414 → 2,207(2025年2月)
  • 2,207 → 1,103(2025年6月)
  • 1,103 → 551(2025年10月)

ただし現実は理想通りにはいかず、普段の生活でも魚から少しずつ水銀は入るので、完全ゼロにはならないんです。魚の摂取をゼロにしたわけではありません。

まとめ

  • 水銀、抜けるのに思ったより時間がかかる
  • 食べすぎ注意!でも抜けると嬉しいもんです
  • 数値が下がるとなんだか 無駄に達成感 が湧く

これにて水銀負荷試験について本当に完結です。

ご覧いただき本当にありがとうございました。

毛髪ミネラル検査にご興味があればこちらからお申込みください。

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1年間で毛髪検査24回やった話

「1年間で24回も毛髪ミネラル検査をやったことがある人」なんて、日本広しといえど、私ぐらいじゃないでしょうか。どうも、毛髪ミネラル検査の会社の代表です。

2週間に一度、後頭部の目立たないところから髪の毛を採取。月2回。ハゲるんじゃないかと思いましたが、意外と誰も気づかないもんです。やっぱり後頭部だし、案外目立たない。…いや、誰も指摘しないだけかもしれませんけどね(笑)。

なぜそんな極端なことを始めたかというと、ある「人体実験」のためでした。

マグロ生活で水銀は爆上がり!…でも戻らない

最初の目的は、「水銀負荷試験」でした。

毛髪と爪に、食べたものの影響がどのくらいで現れるのか知りたかったんです。そこで、3ヶ月間毎日マグロとはんぺんを食べ続けるという、なんとも体に悪そうなことをやりました。

結果は予想通り!

  • 髪の毛はすぐに反応して、水銀濃度が3倍近くまで跳ね上がりました。
  • は4ヶ月後にやっと反応し始めました。

これで「髪は直近のデータ、爪はもう少し前のデータ」という仮説が確信に変わりました。

ここからが問題です。次に「じゃあ、どのくらいで元に戻るの?」ということを調べるために、マグロ生活をやめ、検査を継続しました。ところが、これがぜんぜん戻らない!

始める前は1,400ppb程度だったのが、1年経ってもまだ2,000ppb。うーむ。長い。このまま私の髪から水銀は消えないんじゃないかなと思いました。

そんな思惑とは全く別に奥様から「お腹やばくない?」という一言がきっかけで

私は「ワンパンマンチャレンジ」なるものを始めたんです。

体はボロボロ、毛髪からは「銅」が爆上がり!?

ワンパンマンチャレンジとは、毎日腹筋、腕立て、スクワットを100回ずつ、ランニング10kmをこなすという修行のような筋トレメニューです。

走り慣れていない体には、まさに地獄。全身が悲鳴をあげている日々が続きました。

そして、チャレンジ開始から1ヶ月ほど経った頃、いつものように毛髪ミネラル検査の結果を見てみると…

銅!カッパー!

なんと、銅の濃度がぎゅーん!って上がってるんです。ワンパンマンチャレンジを始める前と比べると、3倍近くになっていました。

「なんじゃこら?」

毛髪ミネラル検査では、通常3cmの髪の毛から3ヶ月分の平均値を出しますが、このときは1cmで検査していたので、直近1ヶ月のデータが反映されているはず。つまり、ワンパンマンチャレンジで私の体に起きた変化が、そのまま銅の数値に表れていたんです。

銅だけじゃない!鉛とアルミも上がった理由

驚くべきことに、上がっていたのは銅だけではありませんでした。

アルミニウムも、高くなっていたんです。

これらのミネラルは、実は骨に溜まりやすいという特徴があります。ということは、ランニングを始めたことで骨の代謝がよくなり、溜まっていた鉛やアルミが溶け出して、それが髪に反映されたんじゃないか?という仮説が浮上しました。

「骨の代謝がよくなった」なんて、なんだか健康になったみたいで嬉しいですね。過去に短距離をやっていた1年前も同じように数値が高くなっていたので、この仮説はかなり信憑性があるように思えます。

私がこの体験から学んだこと

この一連の「人体実験」で、私は重要な教訓を得ました。

何か極端なこと(ダイエットや筋トレ、サプリメントの摂取など)を始めるなら、始める前に必ず検査を受けるべきだということです。

もし、ワンパンマンチャレンジの途中で初めて毛髪ミネラル検査を受けていたら、「これは運動の結果だ!」なんて分かりっこなかったでしょう。

私の場合、過去のデータがあったからこそ、この変化に気づくことができました。

お金がかかる話ではありますが、自分の身体がどう変わっていくのかを正確に知るためには、やはり「数」が重要です。

私のように月に2回は難しくても、月に1回ならいつも予医ファミリーという月額5,500円の検査のサブスクでで自分の体の変化をチェックできます。皆さんも、自分の体の変化を楽しく記録してみませんか?意外な発見があるかもしれませんよ!

※あくまで今回のことはN=1の考察に過ぎませんので、面白情報として参考としていただければ幸いです。

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紫外線の季節、98%の日本人が「あの栄養素」不足!?赤ちゃんにも影響が?

夏も終わりに差し掛かっていますが、暑い日が続きます。本当に夏は終わるのでしょうか。もうずっと暑いままなのでは、と錯覚してしまいます。

連日35℃超えって日本正気ですか。

もう夏休み終わりますよ?夏休みって夏は暑くて学校に空調が十分足りないからはじまったんじゃないですか?こんなに暑いなら夏休み延長しないといけないですよ。

と、まだまだ紫外線が強いこの時期、日焼け止めや日傘で対策されている方も多いでしょう。しかし、その紫外線対策が行き過ぎて、大切な栄養素が不足しているかもしれません。

「太陽のビタミン」と呼ばれるビタミンDをご存じですか?

ビタミンDは、日光を浴びることで体内で生成され、意外にも多くの日本人が不足していることが明らかになっています。

ビタミンD、実は98%の人が不足?

2019年から2020年にかけて東京慈恵会医科大学が実施した調査で、都内の健康診断受診者5,518人の98%がビタミンD不足に該当していたことが判明しました。

この調査は、日本で初めて血清中ビタミンDの基準濃度を示したもので、30 ng/mL未満を「ビタミンD不足」と定義。特に若年層ほど不足率が高いことも判明しました。

※参考:98%の日本人がビタミンD不足、東京慈恵会医科大学が国内初の基準値公表 – 大学ジャーナルオンライン

赤ちゃんにもビタミンD不足が!日本小児科学会が新たな提言

近年、生活スタイルの変化によって、ビタミンDが不足する赤ちゃんも増加しています。これは、骨の発育に必要なカルシウム吸収の低下や、「くる病」などの発症リスクにつながる可能性があります。

2025年3月、日本小児科学会は以下のような対策を提言しています:

  • 妊娠期からのビタミンD充足
  • 母乳育児と両立できる適切な補完
  • 適度な外気浴・外遊び
  • 離乳食での魚・卵黄などビタミンD豊富な食品の摂取

これらの対策が難しい場合には、医師の指導のもと乳児用ビタミンDサプリメントの利用も考慮すべきとしています。

※参考:乳児期のビタミンD欠乏の予防に関する提言 |公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

ビタミンDの働きは骨だけじゃない!

「ビタミンD」と聞くと、骨の健康に良いというイメージが強いかもしれません。確かにビタミンDは、カルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける重要な役割を担っています。しかし、ビタミンDの働きはそれだけではありません!

  • 免疫機能の強化:免疫細胞の働きを調整し、感染症への抵抗力を高める重要な役割が近年注目されています。
  • 疾患との関係:たとえば国立がん研究センターの調査では、ビタミンDの食事摂取量と大腸がんの罹患リスクとの関連が示唆されるなど、様々な疾患との関連性も研究されています。
  • 有害金属の排出: 最近の海外研究では、ビタミンDが鉛・カドミウム・水銀・ヒ素などの重金属の蓄積を抑える可能性があり、特に妊娠期のビタミンD不足が早産リスクと関連していることも指摘されています。

※参考:Interplay Between Vitamin D Levels and Heavy Metals Exposure in Pregnancy and Childbirth: A Systematic Review

なぜ、こんなにもビタミンDが不足しているのか?

主な原因は以下の2つが考えられます。

  • 日光浴の減少: 紫外線対策意識の高まりや、室内で過ごす時間の増加により、日光を浴びる機会が減少しています。
  • 食生活の欧米化: 魚介類やきのこ類など、ビタミンDを豊富に含む和食を食べる機会が減っていることも一因です。

今日からできる!ビタミンD不足への対策

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、18歳以上の男女ともに1日のビタミンD摂取の目安量は9.0㎍に変更されました。

  • 食事から摂取: サケ、イワシなどの魚介類や、しいたけなどのきのこ類、卵黄を積極的に摂りましょう。ビタミンDは脂溶性なので、油と一緒に摂ると吸収率が高まります。
  • 適度な日光浴: ビタミンDは、皮膚が日光浴(紫外線)あたることにより生成されます。紫外線対策をしつつ、無理のない範囲で日光浴を心がけましょう。国立環境研究所のウェブサイトでは、お勧めの1日の日照照射時間も公開されています。

<ビタミンD生成・紅斑紫外線量情報>

https://db.cger.nies.go.jp/dataset/uv_vitaminD/ja/mobile/yokohama_now1.html

https://db.cger.nies.go.jp/dataset/uv_vitaminD/ja/index.html

紫外線が気になる季節ですが、健康のためにはビタミンDも非常に大切な栄養素です。バランスの取れた食生活と適度な日光浴を心がけて、元気に夏を過ごしましょう!

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第4回 環境化学物質合同大会 参加してきました!

昨日「第4回 環境化学物質合同大会」に参加してまいりました。
開催地は山形。始発の新幹線に乗り、終電で帰宅するというハードスケジュールでしたが、充実感たっぷりの1日でした。

この合同大会は「環境化学討論会」と「日本環境毒性学会」の合同開催で、なんと山形市内の2つの大きな建物を貸し切って実施されるほどの大規模なもの。

参加者は会場を行き来しながら、同時進行で行われる数多くの発表を聞き比べるというスタイルで、次はどのセッションを聞こうかと目移りしながら、会場を渡り歩きました。

私は無機分析を専門としていることもあり、つい、無機分析関連の発表に集中してしまいましたが、それでも1日があっという間に過ぎてしまうほど内容が濃く、最新の研究に触れてアップデートされた気持ちになれました。

これまで医療や予防の分野の展示会に多く参加してきましたが、今回の大会はその雰囲気とは全く違い、まさに 「マニアック中のマニアック」 という印象。
ヒ素や水銀、セシウム、ストロンチウム、クロムといった元素の環境中での挙動や影響について、研究者の皆さんが発表されている内容はとても刺激的で、圧倒されました。

当社の業務も研究要素を含みますが、私たちは皆様からいただいた検体や情報をもとに解析を行い、その結果から後付けで研究テーマを設定するスタイルです。

一方で、発表された研究者の方々は、まず研究テーマを立て、実現に向けて緻密な計画と行動力でフィールドワークを進めておられ、改めて「本格的な研究者」のすごさを感じました。

また、特に印象的だったのは PFAS(有機フッ素化合物) に関する発表の多さ。全体の約2割がPFAS関連だった印象で、企業展示もPFAS一色といえるほど。環境分野での関心の高さをひしひしと感じました。

交流会も大変盛況で、おそらく200〜300人ほどが参加されていたと思います。

会場では、環境分野で広く利用されている ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析計) の話題で盛り上がる場面も多く、同じ分析を行う立場として非常に楽しい時間でした。
ただ「毛髪で分析しています」とお伝えすると、知らない方が多かったのも新たな発見でした。まだまだ認知度が低い!がんばらなければ!

さらに、余興では山形名物の 花笠踊り が披露され、会場は大いに盛り上がりました。
次回の開催地は長崎とのこと。今度は泊まりがけで参加して、もっとたくさんのセミナーに参加する心に決めています。

ちなみに会場でいただいたこのトートバッグ、ベンゼン環を意識して作られたそうです。かわいい。


2025年7月24日 鉱物の神秘 vol.2

~身近で奥深い鉱物の世界を覗いてみませんか~

私たちの暮らしは、実は数えきれないほど多くの「鉱物(ミネラル)」の恩恵に支えられています。
乾電池、スマートフォン、家電…普段は意識することのないこれらの多くは鉱物資源から生まれたもの。

しかし、その一方で鉱物の中には、人体に悪影響を及ぼし、時には命を脅かすものも存在します。
今回のセミナーでは、鉱物の不思議な魅力とともに、私たちが気をつけるべきリスクについても詳しく解説します。

『鉱物の神秘 vol.2』では以下のテーマを取り上げます。

鉱物(ミネラル)って何?
 ― 日常生活と鉱物の深い関わりを基礎から解説

鉱物の条件
 ― 「鉱物」と呼ばれるための定義とは?

約4000種の鉱物の世界
 ― 地球上で確認されている多様な鉱物たち

レアメタルから宝石まで
 ― 資源としての重要性と美しさの両面を持つ鉱物

人体に悪影響を与える鉱物
 ― 知っておきたい健康へのリスク

水銀・ヒ素・カドミウム・鉛の実害の具体例
 ― 過去の事例から学ぶ鉱物の“負の側面”

皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

題名「鉱物の神秘 Vol.2」

開催日時:2025年7月24日(木) 12時~13時 

費用:無料

定員:100名

講師:株式会社ら・べるびぃ予防医学研究所 専務執行役員 米川豊

※お申込みには予医手帳の登録が必要です。

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緑茶のチカラ~有害金属を除去!? 実験してみました~

朝日新聞GLOBE+で紹介されていた記事(リンクはこちら)を読んで、「これはうちでも実証してみよう!」と思い立ちました。

記事では、緑茶が鉛を吸着する可能性について触れられていましたが、せっかくなので鉛だけでなく、水銀・カドミウムも対象にして実験してみました。ワクワクドキドキ!

■ 実験内容

まず、有害金属(鉛・水銀・カドミウム)をそれぞれ一定濃度に調整した水を用意しました。
そして以下の2パターンで比較実験を行いました。

パターン①:市販の緑茶ティーバッグをそのまま使用

→ 10回ほど上下にタプタプ(約25秒間の浸漬)

パターン②:ティーバッグを開け、茶葉を直接水に投入

→ 軽くかき混ぜた後、2~3分程度浸漬

この2パターンを選んだ理由は、ティーバッグの袋部分自体が吸着に関与しているかもしれないと考えたためです。茶葉本体の効果を確認したくて、茶葉単体でも検証してみました。なお、水の温度は80℃に調節しています。

また、結果の信頼性を上げるため、各条件につき3サンプルずつ測定しました。

実験風景(80℃を保ちながら、緑茶を作っています)

パターン①と②で浸している時間がことなるため、お茶の色もずいぶんと異なりました。

画角を統一しておらず、すみません。。

■ 結果

① ティーバッグ使用の場合

測定項目使用前平均(ppb)使用後平均(ppb)除去率
カドミウム117367443%
水銀943761%
105035766%

② 茶葉を直接使用した場合

測定項目使用前平均(ppb)使用後平均(ppb)除去率
カドミウム117830474%
水銀994159%
103916384%

■ 考察

どちらの方法でも、有害金属の濃度が大きく低下しており、緑茶には明らかに吸着効果があることがわかりました。特に茶葉のみで行った場合、鉛・カドミウムの除去率は80%近くに達しています。これは正直、驚きです。

お茶の浸漬時間にも差があるので、その点が吸着率に影響している可能性もあります。ただし今回の実験では明確に「緑茶に有害金属を吸着する力がある」ということが示されました。

なお、参考にした記事上では除去率はおよそ15%程度と記載されていましたが、当社の実験では最大で80%近くの除去が確認されました

この差異については、実験条件の違いによる可能性があります。特に、今回の実験では有害金属を高濃度に調整した水を使用しており、そのため茶葉への吸着量が溶出量を大きく上回ったものと考えられます。

また、参考記事では5分以上から24時間程度の浸漬時間における検証結果が記載されておりましたが、当社の実験においては、わずか25秒程度から2分程度の短時間の浸漬であっても、緑茶が有害金属を吸着する効果が確認されました。

このことから、日常的な使用においても、緑茶には一定の有害金属吸着効果が期待できる可能性があると考えられます。

■ 注意点と補足

  • 吸着された金属は茶葉に残るため、茶葉ごと飲み込む粉末茶や抹茶では意味がない点に注意してください。
  • 鉛については「安全な摂取量がない」とされており、完全に除去できるわけではありませんが、日常の中で少しでも減らせる選択肢として、お茶は有効かもしれません。
  • ちなみに余談ですが、ずっと「ティーパック」だと思っていたのですが、正式には「ティーバッグ」が正しい表記だそうです。知らなかった…!

日本人として緑茶のチカラがすごい、というのはなんだか嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。


ら・べるびぃ予防医学研究所
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犬猫の爪を調べてわかったこと〜モニター調査のご報告〜

当社は犬猫の被毛検査を実施しておりますが、こんなお問い合わせをいただくことがあります。

「うちの子毛が無いんだけどどうしたらいいの?」

そこで昨年、私たちは被毛のない子でも測定ができるよう、犬猫の犬猫の爪を用いたメタル測定のモニター調査を実施いたしました。
ご協力いただいた皆さまには、心より感謝申し上げます。

今回のブログでは、その調査結果についてご報告させていただきます。

モニター数の内訳

  • 犬:85検体
  • 猫:56検体

調査のため、被毛も一緒にご提供いただきました。

食事について

加工食のみ手作り食のみ両方
23(29%)47(59%)9(11%)
26(46%)12(21%)18(32%)

以前の猫の被毛検査作成の際の調査において加工食が72%を占めていたため、今回の調査では46%でした。今回のモニターは、より食事に対する意識の高い飼い主様にご参加いただいたものと推察しました。

食事によって有意差のあるミネラル等

加工食のみと手作り食のみで比較をしてみました。

犬で有意差のあったミネラル

有害金属では差がありませんでしたが、下記ミネラルで有意差を示しました。

マンガン(P=0.0172)、モリブデン(p=0.001)、鉄(p=0.034)、亜鉛(p=0.003)

※Pの値が低い程、2群間には差がある、という解釈となります。

検体数

ペットフードのみ:18検体 手作りのみ:31検体

爪は数が多い黒色の検体としました。

●食事によるミネラル濃度の差(犬の爪)

猫で有意差のあったミネラル

犬と同様に有害金属では差がありませんでしたが、下記ミネラルで有意差を示しました。

モリブデン(p=0.036)

犬と同様にモリブデンはペットフードのみの個体の方が高い結果となりました。

犬で有意差を示したほかのミネラルについては以下の通りでした。

マンガン(p=0.193)、鉄(p=0.395)、亜鉛(p=0.104)

マンガンの含有量については、統計的に有意な差は認められなかったものの、犬とは逆にペットフードの方が手作り食に比べてやや高い傾向が見られました。マンガンは一般に肉類よりも植物性の原材料に多く含まれるため、ペットフードにはその不足を補う目的でマンガンが添加されていることが考えられます。猫は本来肉食性の動物であり、手作り食では植物性原料の使用が限られることから、食事中のマンガンの含有量が低くなる可能性があります。

鉄はほぼ有意差がありませんでした。

亜鉛については有意差は認められなかったものの、手作りの方が平均値も中央値も高い傾向がみられました。

検体数

ペットフードのみ:26検体 手作りのみ:13検体

●食事によるミネラル濃度の差(猫の爪)

爪の色とミネラル濃度の関係

  • 猫の爪:ほとんどが白色
  • 犬の爪:白と黒の両方が存在

被毛と同様に、爪にもメラニン色素が含まれており、これがミネラルの蓄積に影響を及ぼしている可能性があります。

色によって有意差が見られた元素:

  • ストロンチウム(Sr)
  • アンチモン(Sb)
  • バリウム(Ba)
  • タリウム(Tl)

これらの元素は、爪の色によって濃度に差がある傾向が見られました。

爪と被毛の相関性について

被毛も併せてご提供いただいたことで、爪と毛の間にどれくらいの相関があるかを分析することができました。

特に相関が強かった元素(犬猫共通):

  • 水銀(Hg)
  • ヒ素(As)

水銀については、主に魚由来のフードに多く含まれており、ヒ素についても魚や一部の穀類などに含まれています。
これらは日常的に摂取される可能性があるため、体内で一定の蓄積が生じやすい元素と考えられます。

そのため、今回の調査では、爪と被毛の両方で類似した蓄積傾向が確認されました。
この結果から、水銀やヒ素は、長期間にわたり継続的に取り込まれている可能性がある元素であることがうかがえます。

相関がほぼ確認できなかった元素(犬猫共通):

  • アンチモン(Sb)

犬のデータ考察

  • 鉛(Pb)とカドミウム(Cd)について、爪と毛の間で明確な相関は見られませんでした
  • 散歩や草むらへの接触など、環境由来の付着や一時的な摂取が要因である可能性があります。

猫のデータ考察

  • 鉛の相関は犬同様に高くはありませんでしたが、最大値を示した個体は爪・毛ともに一致していました
  • カドミウムに関しても、高濃度を示した2個体は毛・爪ともに高値でした。
  • 一方で、濃度が低い場合には爪と毛のばらつきが大きく、相関性が低下していました。

つまり、高濃度であればある程度の信頼性があるが、低濃度では評価が難しいという傾向が見られました。

測定対象の「期間の違い」について

  • :ブラッシングした毛を使用しており、長さの指定はしておりませんでした。そのため、長期間の平均値を反映している可能性があります。
  • :普段の爪切りで採取されたものであり、おそらく直近1ヶ月程度のデータを反映していると考えられます(人間の場合は4〜5ヶ月前のデータとされますが、犬猫は爪母に近い部位が切られるため短期間と思われます)。

このように、毛と爪では反映している時期が異なる可能性が十分に考えられました。

まとめ

今回のモニター調査では、犬猫の爪に含まれるメタルの分析を通じて、以下の知見が得られました。

  • ペットフードまたは手作り食によって爪中のミネラル濃度に差が認められました。
  • 被毛と同じく爪も色によって濃度に差がありました。
  • 犬は白黒の爪があり、猫はほぼ白色の爪でした。
  • 水銀やヒ素は爪と被毛の相関性が高く、長期的な摂取傾向の把握に有効と推察されました。

皆さまからご提供いただいたサンプルは、今後の研究やサービスの質向上に役立ててまいります。

ご協力いただいた皆さま、改めて本当にありがとうございました。


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