「水俣病は遺伝する?」報道を受けて─正しく知っておきたい、胎児性水俣病と遺伝の違い

2025年5月27日の報道で、家庭教師のトライが教材中に「胎児性水俣病は遺伝する」と誤って記載していたことが明らかになりました。

https://www.sankei.com/article/20250527-JBRFFAHWONES3HNCIPCKKJJRBE/

この記述は誤解を生むものであり、専門的には誤りです。

しかし、「胎児に影響が出る」という事実は正しく、混同されやすい部分でもあります。

今回はこの機会に、「遺伝」と「胎児性水俣病」の違い、そして水俣病の検査に使われる毛髪ミネラル検査について、わかりやすくご説明します。

■ 胎児性水俣病とは?

胎児性水俣病とは、メチル水銀に汚染された魚介類を妊娠中の母親が摂取した結果、胎児に重篤な中枢神経障害が起きたものです。

メチル水銀は胎盤を通して胎児に移行することが知られており、メチル水銀によって生まれてくる赤ちゃんに運動障害や知的障害といった影響を与えることがあります。

これはあくまで「化学物質による胎児への影響」であり、親から子へと遺伝的に病気が受け継がれる遺伝とはまったく異なるものです。

■ 「遺伝」とはどういう意味?

「遺伝」とは、親の持つ遺伝情報(DNA)を子に受け継ぐことで形質や体質が伝わる現象のことです。

たとえば、血液型、髪や目の色、あるいは特定の遺伝性疾患(例:筋ジストロフィーや色覚異常)などが遺伝にあたります。

一方、水俣病の原因であるメチル水銀は外因的な環境毒性物質です。
つまり、遺伝子ではなく「環境から取り込まれた有害物質」が胎児に直接影響を与えた結果、生まれつきの障害が発症するのです。

ですから「水俣病は遺伝する」という表現は、科学的には誤解を招く表現であり、正確ではありません。

■ なぜ「遺伝」と記載してしまったのか?

とはいえ、「母親が病気で、子どもも同じような症状を持って生まれた」という状況を見れば、「親から子に受け継がれた」と感じるのは自然な感覚かもしれません。

つまり「遺伝子を介した疾患」ではなく、「胎内環境を通じた中毒性の影響」です。

ここをきちんと理解しておくことが、差別や偏見を防ぐためにも非常に重要です。

■ なぜ問題視されたのか?

もし「遺伝する」と誤って教えられた場合、「将来子どもを持つことへの不安」や「偏見による差別」につながる可能性もあります。

また、これが「感染する」「近づくとうつる」といった誤解へと発展すれば、それこそ人権問題となりかねません。

今回の件はすぐに報道され、教材も回収されたとのことですが、10年以上にわたり誤記が放置されていたという点では、看過できない問題でもあります。

■ いま私たちができること─毛髪ミネラル検査のすすめ

水俣病の原因となったメチル水銀は、毛髪に蓄積されやすいという性質があります。
そのため、当時の診断にも「毛髪中の水銀濃度」が使われていました。

現在では、毛髪ミネラル検査で安全かつ簡単に水銀の体内蓄積を調べることができます。

日本では魚の消費量がここ10年で減少傾向にあるため、全体的な水銀濃度は下がってきていると考えられます。

とはいえ、日本は「魚食文化」が根強く、もともとの水銀摂取量が国際的に見ても高い傾向にあります。
特に妊娠を希望される方や、お子さんの健康が気になる方は、一度ご自身の水銀量を把握しておくと安心です。

■ 毛髪ミネラル検査はこちらから

毛髪ミネラル検査では、水銀のほか、鉛やカドミウムなど有害金属やミネラルを最大34種類測定します。

ご家庭でできる簡単な検査ですので、ぜひ一度お試しください。

https://www.lbv.jp/lbv-ec/category/item/mineral/web/

■ まとめ

  • 胎児性水俣病は「遺伝」ではなく、「胎盤を通じて移行したメチル水銀による影響」
  • 「遺伝する」という誤解は、偏見や差別につながる恐れがあるため正しい知識が必要
  • 水銀の蓄積は毛髪で簡単にチェック可能
  • 魚をよく食べる方、妊娠中・授乳中の方には毛髪ミネラル検査がおすすめ