水筒で銅中毒に!

暑い季節がやってきました。

この時期、熱中症予防のために水筒に飲み物を入れて持ち歩く方も多いと思います。

でも、それが銅中毒を引き起こしたという事故があります。

銅は必須ミネラルだけど、、、

銅は、生きていくうえで欠かせないミネラルの一つです。

でも、過剰に摂ると吐き気や嘔吐、下痢を引き起こすことがあります。

水筒で?!

銅は実際に起きた事故

2020年、大分県の高齢者福祉施設で、古いステンレス製のやかんでイオンドリンク(スポーツ飲料)を作り飲んだところ、施設利用者13名全員が嘔吐・はき気症状を起こし、その後の調査で銅中毒だと判明しました。

2008年には、水筒に入れたスポーツ飲料により、水筒の金属に含まれる銅が溶けだし、銅中毒事故が起きています。

ステンレスに含まれる銅が酸性のイオンドリンクによって溶け出したために起こったものです。 ステンレス製の水筒にスポーツ飲料を入れて部活の練習に行く子供にもたせる、なんて、すごくよくあることなのに!

さらにっ

2010年には、保育園でアルミ製のやかんに入れた乳酸菌飲料を飲んだ園児15人が、銅中毒になっています。

このやかんには銅は使われていませんでしたが、日常的にお湯を沸かすために繰り返し使われていたため、水道水に含まれる微量の銅がやかんに蓄積されていたそうです。

→そのやかんに乳酸菌飲料を入れ→乳酸菌飲料の酸で銅が溶けだしたために起こった事故と考えられています。

金属製の容器に酸性の飲み物を保存するのは、避けたほうがよさそうですね。

鍋でも!

銅の鍋とかフライパンとか、すごくプロってイメージありませんか?

ピカピカに磨かれた銅鍋がずらーっと並んでいる高級フレンチレストランのキッチン!

銅は、熱伝導率が高く、蓄熱性にも優れているため、優れた調理器具としてプロに愛用されています。

でも、銅製の鍋でも銅中毒が起こっています。

とあるお弁当屋さんで、銅中毒が発生したのです。

この店では普段、銅の鍋で小豆を煮ていたそうですが、その鍋を使って焼きそばを作ったところ、焼きそばのソースの酸で銅が溶けだし、集団食中毒になってしまったとのことです。

現在販売されている銅の調理器具や食器は、食品が直接銅に触れないようにメッキをしなければいけないと食品衛生法で定められています。

銅鍋の内側が銀色なのはこのためなのですね。 しかし、金属のたわしでゴシゴシこすったり、酸性の食品を長時間煮込んだり、保存したり、空焚きをしたりすることで、メッキがはがれて食品が銅に触れてしまう場合があるそうです。

台湾では、死亡事故も

また、こちらは「銅」とされたわけではないのですが、台湾で、約10年間、同じ保温ボトルを使い続けた男性が「重金属中毒」で亡くなったと報じられました。

この男性は、水筒の内部がサビていることに気がついていたにも関わらず、コーヒーやジュースなどの酸性飲料を入れていたそうです。

報道では「重金属」とされ、鉛などの可能性も指摘されていますが、どちらにしても、酸性飲料が金属を溶かして中毒を起こした事例です。

食中毒の季節ですが、銅中毒にもご注意を!

ますは、金属製の容器に酸性の飲み物を入れない

銅製の調理器具を使用する場合は、

  • 調理後はすぐ陶器やガラス製など金属製以外の別の容器に移す
  • 酸性の強い食品での長時間調理・保存は避ける
  • 空焚きしない
  • たわしなどでこすらない

ちなみに、

酸性の飲み物とは

スポーツ飲料・乳酸菌飲料・果汁・炭酸飲料など

酸性の強い食品とは

柑橘類全般: レモン、オレンジ、グレープフルーツ、ミカンなど。

ベリー類: イチゴ、ラズベリー、ブルーベリーなど。

パイナップル、キウイ、リンゴ

トマトとその加工品: トマトソース、トマト缶、ケチャップなど。

カレーや一部の香辛料

ワイン、ビール、日本酒などの酒類

炭酸飲料

ヨーグルト、キムチなどの発酵食品 など

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ミネラル分析の専門機関として、毛髪・血液・飲食物など様々な検体を分析しています。
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身近なヒ素が赤ちゃんに与える影響!低濃度でも影響?–米国の最新研究から

「ヒ素」は、毒物として有名ですが、実は私たちの生活の中にも潜んでいます。

そんなヒ素が、妊娠中のお母さんの体を通して赤ちゃんに影響を与える可能性があるとしたら、、、ちょっと気になりますよね?

低濃度でも影響が? ヒ素が赤ちゃんに与える影響

最近、国立衛生研究所の子どもの健康への影響の研究で、衝撃的な報告がありました。それは、公共の飲料水に含まれる低濃度のヒ素、たとえ国の安全基準を下回る濃度であっても、それにさらされた可能性のある母親から生まれた赤ちゃんは、早産、低出生体重、または在胎週数に比べて小さい体格で生まれる可能性が高いというものです。

Public Water Arsenic and Birth Outcomes in the Environmental Influences on Child Health Outcomes Cohort | Environmental Health | JAMA Network Open | JAMA Network

さらに、複数の観察研究をまとめたメタアナリシス※でも、ヒ素曝露と子宮内胎児発育遅延(IUGR)のリスク増加、特に在胎不当過小(SGA)との間に有意な関連が示されています。これは、お腹の中で赤ちゃんが十分に成長できない状態を指します。

Association between arsenic exposure and intrauterine growth restriction: A systematic review and meta-analysis – PMC

※メタアナリシスは、一般的に最も高いレベルのエビデンス(科学的根拠)として位置づけられています。

日本とイランのコホート研究からも、妊娠中のヒ素を含む複数の金属への曝露が、出生時体重に影響を与える可能性が示唆されており、妊娠中の女性は潜在的に有害な金属への遭遇を可能な限り最小限に抑えるべきだと結論付けられています。

Prenatal exposure to metal mixture and birth weight; a Bayesian kernel machine regression analysis of two cohort studies in Japan and Iran | Journal of Environmental Health Science and Engineering

なぜヒ素が私たちの身近に?

ヒ素と聞くと、毒性が高く危険な物質というイメージがあるかもしれませんが、実はヒ素は自然界に広く存在しています。地殻中に分布しており、火山活動や森林火災、鉱物の風化などの自然現象で放出されます。

また、火力発電、廃棄物の処理といった産業活動に伴って環境中に放出されたものもあります。このため、飲料水や食品などに微量のヒ素が含まれています。

完全にヒ素をなくすことは、その自然発生的な性質から考えると非常に難しいのが現状です。

今すぐできることでヒ素を軽減する!

ヒ素を完全に避けることは難しいと聞くと、不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、できる限りヒ素の摂取を減らし、もし体内に入ってしまっても速やかに排泄できるような工夫をすることは可能です。

たとえば、ひじき。栄養豊富ですが、実は毒性の高い「無機ヒ素」を比較的多く含んでいます。でも大丈夫!ヒ素は水に溶けやすい性質があるので、調理法で量を減らせます。

農林水産省によると、乾燥ひじきは:

  • 水戻しで約5割減
  • ゆで戻しで約8割減
  • ゆでこぼしで約9割減

に、無機ヒ素を減らせるのです!しかも、鉄分やカルシウム、食物繊維といったひじきの栄養は7割以上残るので、上手に調理して安心して食べられますね。

さらに、バランスの取れた食事も大切です。食物繊維が豊富な野菜、果物、きのこ類は腸内環境を整え、有害物質の排出を助けてくれます。抗酸化作用のあるビタミンCやミネラル(セレン、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、鉄など)も積極的に摂って、体の解毒をサポートしましょう。

主食であるお米にもヒ素が…

私たち日本人の主食といえば「お米」ですよね。

ですが、このお米にもごく微量ながらヒ素が含まれていることをご存知でしょうか?

ヒ素には無機ヒ素と有機ヒ素があり、特に無機ヒ素は健康への影響が懸念されています。もちろん通常の食事でただちに健康被害が出るわけではありませんが、毎日食べるものだからこそ、少しでもリスクを減らす工夫が大切です。

そんな中、イギリスの研究機関によって、家庭でも簡単に実践できる「お米のヒ素を減らす方法」が発表されました。

ご家庭でできる!ヒ素除去率最大73%のお米の炊き方

(出典:ScienceDirect 論文リンク

1.新鮮な水を鍋で沸騰させる(お米1カップにつき水4杯)
2.沸騰したお湯にお米を入れて5分間湯がく
3.お湯を捨て、米の水気を切る(このときにヒ素が除去される)
4.新鮮な水を通常の分量入れ直す
5.弱火〜中火で炊飯し、お米が新鮮な水を吸収するまで炊き上げる

妊娠中や授乳中だけでなく、これから妊娠を考えている女性も、こうした小さな心がけで、新しい命をヒ素の悪影響から守ることができます。

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放置してた冷蔵庫の製氷機で作った氷のミネラル分析してみた

最近ふと思ったんです。
「そういえば、氷、全然作ってないな」と。

暑くなってきたし、そろそろ製氷機の出番かな~なんて思ったのですが、
……ちょっと待てよ、と。

製氷機、最後に使ったのはいつだったか……全く思い出せないのです。
去年の夏?いや、もっと前かもしれない。
ということは、軽く見積もっても 1年以上氷を作っていない ということになります。

そんなことを考えているうちに、ふと気になったのが「衛生面」。

氷を作る通り道に汚れが溜まっていたり、
金属などが溶け出していたり……なんてことは?

そんな疑問を確かめるべく、実際に調べてみることにしました。

浄水器だって、長期間放置してしまうと、内部で雑菌が繁殖したり、劣化が進んだりするものもありますよね。

下記のような報告もありますし。

病棟の製氷機で作成された氷の細菌汚染調査

氷に含まれる金属、調べてみた

今回は、以下の2種類の水を比較しました。

  • 普通の水道水
  • 製氷機で作った氷を溶かした水(おそらく1年以上前に稼働が止まっていた製氷機)

測定して2倍以上の差が出た項目

項目水道水(ppb)製氷機の氷(ppb)
マンガン0.044.66
0.390.84
ヒ素0.40.9
バリウム5.911.8

なんと……

マンガンが100倍以上!

製氷機を通しただけで、こんなに数値が上がるとは……
特にマンガンの上昇はかなり極端です。

いったい、何が原因なのでしょう?

からくりは冷蔵庫の中に…?

ちなみにこの製氷機、SHARP製の冷蔵庫についているものです。タンクに水を入れて吸い上げて製氷皿で氷作って下にぼとぼとと落とすタイプです。

製氷皿はプラスチックのような素材。

考えられる原因としては:

  • 内部に金属部品があり、長期間の放置で溶出した?
  • 製氷経路に汚れや沈着物があった?
  • プラスチック部品に何かしらの変化が?

はっきりとした原因は不明ですが、「長期間使っていない製氷機から作った氷」は
マンガンが高かったのです。

しかし、水質基準からしても1/10以下ですので、問題があるわけではありませんが、、、不思議ですね。

氷もメンテナンスが必要かも?

日頃、水や空気の「きれいさ」には気をつけていても、意外と見落としがちなのが「製氷機」。

今回は金属を調べましたが、実際には細菌の繁殖も気になるところ。
(ちなみに私たちは細菌は測れませんが、金属はしっかり測れます!)

気温が上がり、氷が活躍するこれからの季節。
一度、製氷機のお掃除や点検をしてから再稼働してみてはいかがでしょうか?

あなたの家の氷、もしかすると「マンガン氷」かもしれませんよ……?


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緑茶のチカラ~有害金属を除去!? 実験してみました~

朝日新聞GLOBE+で紹介されていた記事(リンクはこちら)を読んで、「これはうちでも実証してみよう!」と思い立ちました。

記事では、緑茶が鉛を吸着する可能性について触れられていましたが、せっかくなので鉛だけでなく、水銀・カドミウムも対象にして実験してみました。ワクワクドキドキ!

■ 実験内容

まず、有害金属(鉛・水銀・カドミウム)をそれぞれ一定濃度に調整した水を用意しました。
そして以下の2パターンで比較実験を行いました。

パターン①:市販の緑茶ティーバッグをそのまま使用

→ 10回ほど上下にタプタプ(約25秒間の浸漬)

パターン②:ティーバッグを開け、茶葉を直接水に投入

→ 軽くかき混ぜた後、2~3分程度浸漬

この2パターンを選んだ理由は、ティーバッグの袋部分自体が吸着に関与しているかもしれないと考えたためです。茶葉本体の効果を確認したくて、茶葉単体でも検証してみました。なお、水の温度は80℃に調節しています。

また、結果の信頼性を上げるため、各条件につき3サンプルずつ測定しました。

実験風景(80℃を保ちながら、緑茶を作っています)

パターン①と②で浸している時間がことなるため、お茶の色もずいぶんと異なりました。

画角を統一しておらず、すみません。。

■ 結果

① ティーバッグ使用の場合

測定項目使用前平均(ppb)使用後平均(ppb)除去率
カドミウム117367443%
水銀943761%
105035766%

② 茶葉を直接使用した場合

測定項目使用前平均(ppb)使用後平均(ppb)除去率
カドミウム117830474%
水銀994159%
103916384%

■ 考察

どちらの方法でも、有害金属の濃度が大きく低下しており、緑茶には明らかに吸着効果があることがわかりました。特に茶葉のみで行った場合、鉛・カドミウムの除去率は80%近くに達しています。これは正直、驚きです。

お茶の浸漬時間にも差があるので、その点が吸着率に影響している可能性もあります。ただし今回の実験では明確に「緑茶に有害金属を吸着する力がある」ということが示されました。

なお、参考にした記事上では除去率はおよそ15%程度と記載されていましたが、当社の実験では最大で80%近くの除去が確認されました

この差異については、実験条件の違いによる可能性があります。特に、今回の実験では有害金属を高濃度に調整した水を使用しており、そのため茶葉への吸着量が溶出量を大きく上回ったものと考えられます。

また、参考記事では5分以上から24時間程度の浸漬時間における検証結果が記載されておりましたが、当社の実験においては、わずか25秒程度から2分程度の短時間の浸漬であっても、緑茶が有害金属を吸着する効果が確認されました。

このことから、日常的な使用においても、緑茶には一定の有害金属吸着効果が期待できる可能性があると考えられます。

■ 注意点と補足

  • 吸着された金属は茶葉に残るため、茶葉ごと飲み込む粉末茶や抹茶では意味がない点に注意してください。
  • 鉛については「安全な摂取量がない」とされており、完全に除去できるわけではありませんが、日常の中で少しでも減らせる選択肢として、お茶は有効かもしれません。
  • ちなみに余談ですが、ずっと「ティーパック」だと思っていたのですが、正式には「ティーバッグ」が正しい表記だそうです。知らなかった…!

日本人として緑茶のチカラがすごい、というのはなんだか嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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あきたこまちのカドミウム問題を受けて、当社でも調べてみました。

先日報道された、「カドミウム濃度が基準値を超えた米の廃棄」のニュース。

https://news.yahoo.co.jp/articles/e786aa8326a118963135f50955b4c37bf0b8344e

価格が高騰しているお米が大量に廃棄されるという現実に、なんともやるせない気持ちになります。

たしかに、カドミウムの基準値を超えてしまったお米をそのまま販売することはできません。
でも、ブレンドして濃度を下げる方法もあるのでは…という意見もあるようです。実際にブレンドすれば、濃度は下がりますからね。

とはいえ、消費者の立場からすれば「カドミウムが高いとわかっているお米が混ざっている」と聞けば、不安になるのも当然です。
仮に基準値を下回っていたとしても、「気持ちの問題」で避けたくなる方がいるのもわかります。

個人的には、廃棄するくらいなら「きちんとブレンドして基準をクリアしたうえで、安く販売する」という選択肢もアリではないかと感じます。
「それなら買うよ」という方も、少なからずいるのではないでしょうか。

私もその一人です。

そこで、当社であきたこまちのカドミウムを測定してみました。

実は今回の件をきっかけに、「うちでもあきたこまちを測ってみよう」と思いました。

というのも、ちょうど妻が秋田県産の「あきたこまち」を購入していたのです。
これまでは、当社に届く検体にあきたこまちは含まれておらず、測定の機会がありませんでした。


でも、こういう偶然こそ「ご縁」ですね。よし、やってみよう、と。

測定結果は…

  • カドミウム濃度:66 µg/kg

でした。

まず結論から言えば、基準値(400 µg/kg)には大きく届かず、安全圏内です。
ひとまずホッとしました。

ただし、これがどの程度の位置づけなのか気になったので、参考までに当社でこれまでに測定した約50種類のお米と比較してみました。

  • 中央値:14 µg/kg
  • 平均値:27 µg/kg

※平均値は一部の高い数値に引っ張られやすいため、50検体程度の場合は中央値のほうが全体像を把握しやすいです。

つまり、66 µg/kgというのは 当社で測定限りでは高め の部類です。
基準は大きく下回っていますが、当社データでは 第5位の高濃度
「表彰台」には届きませんでしたが、入賞といったところでしょうか。

品種カドミウム濃度(µg/kg)備考
あきたこまち(今回測定)66当社分析で第5位の濃度
全体中央値1450検体中の中央値
全体平均値27高濃度の影響あり

とはいえ、繰り返しますが、基準値(400 µg/kg)からは大きく離れており、十分に安全といえる数値です。
日常的に摂取するうえで、特に懸念する必要はないと考えられます。

最後に

食品の安全性において、科学的な根拠と、消費者の「安心感」は必ずしも一致しないことがあります。

「基準を満たしていればOK」というのは事実ですが、
「知ってしまった以上、気持ち的に避けたくなる」という声もまた、理解できます。

もちろん、今回のニュースのように「あきたこまちから基準値を超えるカドミウムが検出された」と聞くと、
「じゃあ、あきたこまちはもうやめておこうかな…」と感じる方がいらっしゃるかもしれません。

ですが、私としては、それは少しもったいない判断かもしれないと感じています。

なぜなら、ニュースのような結果はあくまで一例であって、
すべてのあきたこまちが高いわけではありませんし、産地や田んぼの条件、収穫年によっても大きく異なる可能性があるからです。

実際、基準値を大きく下回っているお米の方が圧倒的に多いですし、
あきたこまち自体も、全国で長く愛されている美味しいお米であることに変わりはありません。

だからこそ、ひとつの数値だけで「この銘柄はダメ」と決めてしまうのではなく、冷静に判断することが大切なのではないかと感じています。

今回のように実際の分析情報を知ることは、安心感にもつながるのではないでしょうか。

当社では、こうした実測データを通じて、皆さまの食品に対する理解と選択の手助けができればと考えています。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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犬猫の爪を調べてわかったこと〜モニター調査のご報告〜

当社は犬猫の被毛検査を実施しておりますが、こんなお問い合わせをいただくことがあります。

「うちの子毛が無いんだけどどうしたらいいの?」

そこで昨年、私たちは被毛のない子でも測定ができるよう、犬猫の犬猫の爪を用いたメタル測定のモニター調査を実施いたしました。
ご協力いただいた皆さまには、心より感謝申し上げます。

今回のブログでは、その調査結果についてご報告させていただきます。

モニター数の内訳

  • 犬:85検体
  • 猫:56検体

調査のため、被毛も一緒にご提供いただきました。

食事について

加工食のみ手作り食のみ両方
23(29%)47(59%)9(11%)
26(46%)12(21%)18(32%)

以前の猫の被毛検査作成の際の調査において加工食が72%を占めていたため、今回の調査では46%でした。今回のモニターは、より食事に対する意識の高い飼い主様にご参加いただいたものと推察しました。

食事によって有意差のあるミネラル等

加工食のみと手作り食のみで比較をしてみました。

犬で有意差のあったミネラル

有害金属では差がありませんでしたが、下記ミネラルで有意差を示しました。

マンガン(P=0.0172)、モリブデン(p=0.001)、鉄(p=0.034)、亜鉛(p=0.003)

※Pの値が低い程、2群間には差がある、という解釈となります。

検体数

ペットフードのみ:18検体 手作りのみ:31検体

爪は数が多い黒色の検体としました。

●食事によるミネラル濃度の差(犬の爪)

猫で有意差のあったミネラル

犬と同様に有害金属では差がありませんでしたが、下記ミネラルで有意差を示しました。

モリブデン(p=0.036)

犬と同様にモリブデンはペットフードのみの個体の方が高い結果となりました。

犬で有意差を示したほかのミネラルについては以下の通りでした。

マンガン(p=0.193)、鉄(p=0.395)、亜鉛(p=0.104)

マンガンの含有量については、統計的に有意な差は認められなかったものの、犬とは逆にペットフードの方が手作り食に比べてやや高い傾向が見られました。マンガンは一般に肉類よりも植物性の原材料に多く含まれるため、ペットフードにはその不足を補う目的でマンガンが添加されていることが考えられます。猫は本来肉食性の動物であり、手作り食では植物性原料の使用が限られることから、食事中のマンガンの含有量が低くなる可能性があります。

鉄はほぼ有意差がありませんでした。

亜鉛については有意差は認められなかったものの、手作りの方が平均値も中央値も高い傾向がみられました。

検体数

ペットフードのみ:26検体 手作りのみ:13検体

●食事によるミネラル濃度の差(猫の爪)

爪の色とミネラル濃度の関係

  • 猫の爪:ほとんどが白色
  • 犬の爪:白と黒の両方が存在

被毛と同様に、爪にもメラニン色素が含まれており、これがミネラルの蓄積に影響を及ぼしている可能性があります。

色によって有意差が見られた元素:

  • ストロンチウム(Sr)
  • アンチモン(Sb)
  • バリウム(Ba)
  • タリウム(Tl)

これらの元素は、爪の色によって濃度に差がある傾向が見られました。

爪と被毛の相関性について

被毛も併せてご提供いただいたことで、爪と毛の間にどれくらいの相関があるかを分析することができました。

特に相関が強かった元素(犬猫共通):

  • 水銀(Hg)
  • ヒ素(As)

水銀については、主に魚由来のフードに多く含まれており、ヒ素についても魚や一部の穀類などに含まれています。
これらは日常的に摂取される可能性があるため、体内で一定の蓄積が生じやすい元素と考えられます。

そのため、今回の調査では、爪と被毛の両方で類似した蓄積傾向が確認されました。
この結果から、水銀やヒ素は、長期間にわたり継続的に取り込まれている可能性がある元素であることがうかがえます。

相関がほぼ確認できなかった元素(犬猫共通):

  • アンチモン(Sb)

犬のデータ考察

  • 鉛(Pb)とカドミウム(Cd)について、爪と毛の間で明確な相関は見られませんでした
  • 散歩や草むらへの接触など、環境由来の付着や一時的な摂取が要因である可能性があります。

猫のデータ考察

  • 鉛の相関は犬同様に高くはありませんでしたが、最大値を示した個体は爪・毛ともに一致していました
  • カドミウムに関しても、高濃度を示した2個体は毛・爪ともに高値でした。
  • 一方で、濃度が低い場合には爪と毛のばらつきが大きく、相関性が低下していました。

つまり、高濃度であればある程度の信頼性があるが、低濃度では評価が難しいという傾向が見られました。

測定対象の「期間の違い」について

  • :ブラッシングした毛を使用しており、長さの指定はしておりませんでした。そのため、長期間の平均値を反映している可能性があります。
  • :普段の爪切りで採取されたものであり、おそらく直近1ヶ月程度のデータを反映していると考えられます(人間の場合は4〜5ヶ月前のデータとされますが、犬猫は爪母に近い部位が切られるため短期間と思われます)。

このように、毛と爪では反映している時期が異なる可能性が十分に考えられました。

まとめ

今回のモニター調査では、犬猫の爪に含まれるメタルの分析を通じて、以下の知見が得られました。

  • ペットフードまたは手作り食によって爪中のミネラル濃度に差が認められました。
  • 被毛と同じく爪も色によって濃度に差がありました。
  • 犬は白黒の爪があり、猫はほぼ白色の爪でした。
  • 水銀やヒ素は爪と被毛の相関性が高く、長期的な摂取傾向の把握に有効と推察されました。

皆さまからご提供いただいたサンプルは、今後の研究やサービスの質向上に役立ててまいります。

ご協力いただいた皆さま、改めて本当にありがとうございました。


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アメリカ産の米に「ヒ素とカドミウム」報道。でも実際はどうなの?

先日、CNNの日本語版で「アメリカ産の米に危険水準のヒ素とカドミウムが含まれている」とする記事が公開されました。

https://www.cnn.co.jp/fringe/35233033.html

この記事だけを見ると、「アメリカ産の米って危ないの?」と感じる方も多いかもしれません。

しかし、記事内で紹介されているヒ素の濃度を具体的に見てみると、実情は少し違った側面も見えてきます。

米国南東部産の玄米:129ppb

イタリア産アルボリオ米:101ppb

米国南東部産の精白米:95ppb

そして、以前当社で測定した米国産カルローズ米(日本でよく流通している長粒種)では、米国FDAが乳児用米シリアルに設定している基準値である100ppbと同等か、それ以下であったことが確認されています。

このあたりを総合的に見て思うのは……
アメリカ、意外とヒ素に対して厳しい!ということです。

日本のお米のヒ素濃度は?

ここで、当社がこれまでに測定した日本産米のヒ素濃度の平均値をご紹介します。

白米:228ppb

玄米:298ppb

正直なところ、日本のお米の方がヒ素の濃度は高めです。
これは決して品質が悪いという話ではなく、日本ではカドミウムの低減を最優先にしてきた農業政策の結果、水田の性質や管理方法により、ヒ素の吸収が相対的に高くなってしまうという背景があります。

また、検査機関によって分析手法の違いも数値に影響している可能性があります。

ヒ素の健康影響と国際的な対応

ヒ素は、以前は「PTWI(耐容週間摂取量)」という基準値が国際的に設定されていましたが、現在は撤回されています。これは、長期的なリスクの不確実性が高いためです。

こうした背景から、アメリカから見れば、「日本の米の方がヒ素が多くて怖い」と感じられても不思議ではありませんね。

私たちの主食である「お米」。
「○○産だから危ない」「○○だから安全」といった単純な見方ではなく、数値の比較や背景を理解することが大切です。
一見衝撃的に見えるニュースも、しっかり読み解いていくと、意外な事実が見えてくるものですね。

さて、ら・べるびぃ予防医学研究所ではお米の分析を承っております。ご興味がございましたら下記画像をクリックしてお申込みください。

また検査のサブスク「いつも予医ファミリー」でもお米のカドミウム・ヒ素分析を行っております。お米以外にもいろいろ知りたい方はぜひご検討ください。

「水俣病は遺伝する?」報道を受けて─正しく知っておきたい、胎児性水俣病と遺伝の違い

2025年5月27日の報道で、家庭教師のトライが教材中に「胎児性水俣病は遺伝する」と誤って記載していたことが明らかになりました。

https://www.sankei.com/article/20250527-JBRFFAHWONES3HNCIPCKKJJRBE/

この記述は誤解を生むものであり、専門的には誤りです。

しかし、「胎児に影響が出る」という事実は正しく、混同されやすい部分でもあります。

今回はこの機会に、「遺伝」と「胎児性水俣病」の違い、そして水俣病の検査に使われる毛髪ミネラル検査について、わかりやすくご説明します。

■ 胎児性水俣病とは?

胎児性水俣病とは、メチル水銀に汚染された魚介類を妊娠中の母親が摂取した結果、胎児に重篤な中枢神経障害が起きたものです。

メチル水銀は胎盤を通して胎児に移行することが知られており、メチル水銀によって生まれてくる赤ちゃんに運動障害や知的障害といった影響を与えることがあります。

これはあくまで「化学物質による胎児への影響」であり、親から子へと遺伝的に病気が受け継がれる遺伝とはまったく異なるものです。

■ 「遺伝」とはどういう意味?

「遺伝」とは、親の持つ遺伝情報(DNA)を子に受け継ぐことで形質や体質が伝わる現象のことです。

たとえば、血液型、髪や目の色、あるいは特定の遺伝性疾患(例:筋ジストロフィーや色覚異常)などが遺伝にあたります。

一方、水俣病の原因であるメチル水銀は外因的な環境毒性物質です。
つまり、遺伝子ではなく「環境から取り込まれた有害物質」が胎児に直接影響を与えた結果、生まれつきの障害が発症するのです。

ですから「水俣病は遺伝する」という表現は、科学的には誤解を招く表現であり、正確ではありません。

■ なぜ「遺伝」と記載してしまったのか?

とはいえ、「母親が病気で、子どもも同じような症状を持って生まれた」という状況を見れば、「親から子に受け継がれた」と感じるのは自然な感覚かもしれません。

つまり「遺伝子を介した疾患」ではなく、「胎内環境を通じた中毒性の影響」です。

ここをきちんと理解しておくことが、差別や偏見を防ぐためにも非常に重要です。

■ なぜ問題視されたのか?

もし「遺伝する」と誤って教えられた場合、「将来子どもを持つことへの不安」や「偏見による差別」につながる可能性もあります。

また、これが「感染する」「近づくとうつる」といった誤解へと発展すれば、それこそ人権問題となりかねません。

今回の件はすぐに報道され、教材も回収されたとのことですが、10年以上にわたり誤記が放置されていたという点では、看過できない問題でもあります。

■ いま私たちができること─毛髪ミネラル検査のすすめ

水俣病の原因となったメチル水銀は、毛髪に蓄積されやすいという性質があります。
そのため、当時の診断にも「毛髪中の水銀濃度」が使われていました。

現在では、毛髪ミネラル検査で安全かつ簡単に水銀の体内蓄積を調べることができます。

日本では魚の消費量がここ10年で減少傾向にあるため、全体的な水銀濃度は下がってきていると考えられます。

とはいえ、日本は「魚食文化」が根強く、もともとの水銀摂取量が国際的に見ても高い傾向にあります。
特に妊娠を希望される方や、お子さんの健康が気になる方は、一度ご自身の水銀量を把握しておくと安心です。

■ 毛髪ミネラル検査はこちらから

毛髪ミネラル検査では、水銀のほか、鉛やカドミウムなど有害金属やミネラルを最大34種類測定します。

ご家庭でできる簡単な検査ですので、ぜひ一度お試しください。

https://www.lbv.jp/lbv-ec/category/item/mineral/web/

■ まとめ

  • 胎児性水俣病は「遺伝」ではなく、「胎盤を通じて移行したメチル水銀による影響」
  • 「遺伝する」という誤解は、偏見や差別につながる恐れがあるため正しい知識が必要
  • 水銀の蓄積は毛髪で簡単にチェック可能
  • 魚をよく食べる方、妊娠中・授乳中の方には毛髪ミネラル検査がおすすめ

まだ終わらない鉛の足跡:給水管と私たちのカラダに残るもの

「水道水から鉛?もう昔の話でしょ?」

…なんて思っていませんか?

国土交通省の報告(2025年3月によると、なんと今も約3,400kmもの鉛製給水管が、私たちの足元に眠っているんです!
これは東京から福岡まで、直線距離よりもはるかに長い距離。
そして、その鉛の管を通ってきた水を使っているお宅が、まだ約203万戸もあるんです。

もちろん、鉛の管は年々減ってはいるんです。過去10年間で年間平均290kmも撤去されている!
1年で290kmって、素人目にはすごい距離に感じます。
例えるなら、毎日約800mの鉛の管が、地中からニョロニョロと引き抜かれているイメージでしょうか。
800m走なんて、陸上部時代は死ぬほどキツかった記憶しかないのに…鉛管撤去に携わる皆さん、マジですごいです!

ただ、2022年度の撤去件数は7万件。
このペースだと、単純計算であと30年…本当に終わるのか、ちょっと不安になる数字ですよね。

そんな、しぶとい鉛について、私のアンテナがピピッと反応したので、調べてみました。

鉛給水管の残った長さ:地域ごとの差が…すごい!
日本水道協会が公開している2020年~2022年のデータを見てみると、鉛製給水管の残存延長には、地域によって大きな差があることがわかります。

なるほどなるほど、鉛ね。怖いね。
はて、当社は何をしている会社だったかな…?
あ、そうそう、毛髪ミネラル検査をやってました。

たしか毛髪ミネラル検査には、、鉛が、、、あった!

そこで、残存延長が長い4県(兵庫、大阪、香川、石川)と、短い4県(沖縄、北海道、岐阜、栃木)で、住民の毛髪中の鉛濃度を比較してみたんです!
(データ数:短い県389件、長い県940件)

結果は衝撃的でした。

鉛給水管の残存延長が長い県と短い県の毛髪中鉛濃度

短い県長い県P値
平均値405ng/g607ng/g0.0002

P値 0.0002 って、統計学的に見ても「マジで違うよね!」ってレベルの差。
鉛の給水管の残存延長が長い県の人たちの毛髪中の鉛濃度は、明らかに高い数値を示したんです。

さらに、2022年度の鉛製給水管の総延長を見てみると…

長い県総延長:1305.7km
短い県総延長:8.6km
…桁が違いすぎる!
短い県の総延長なんて、もはや誤差レベル。

もちろん、私たちの鉛への暴露源は、鉛給水管だけではありません。食品や大気、喫煙など、様々なルートが考えられます。
それでも、これだけの差が毛髪中の鉛濃度に現れるということは、鉛製給水管が私たちの体内に、無視できない量の鉛を送り込んでいる可能性が高いと言えるのではないでしょうか。

でもね、ちょっと待ってください。

考えてみれば当たり前の話で、鉛の給水管が多く残っている県だって、県全体が鉛の管だらけってわけじゃないですよね。きっと、鉛の管を使っている地域と、そうじゃない地域があるはず。

ということは…

もし、鉛の給水管を実際に使っている人たちだけに絞って毛髪中の鉛濃度を調べたら、今回の結果よりももっとハッキリとした差が出る可能性があるってことじゃないですか!?

例えるなら、薄めたジュース全体の味を見るよりも、原液そのものの味を見た方が、濃さをダイレクトに感じられるようなものです。

鉛の管を使っていない地域の人たちのデータも混ざっている今回の結果でさえ、あきらかな差が出たんですから。もし、ウチの水道管、もしかして鉛製かも…? っていうお宅の人たちの鉛濃度だけを調べたら…想像するだけでも、ちょっとゾッとしますよね。

だって、鉛の暴露源は給水管だけじゃないとはいえ、毎日使う水道水の影響は決して小さくないはず。直接鉛の管を通ってきた水と、そうでない水では、体に取り込まれる鉛の量が違うのは当然かもしれません。

今回のデータは、あくまで「県」という大きな単位で見たもの。まるで、遠くからボンヤリと景色を眺めているようなものです。でも、もし私たちがもっとズームアップして、「鉛の給水管、使ってます!」 っていうお宅の人たちの鉛濃度をピンポイントで見ることができたら…

きっと、鉛の影はもっと濃く、もっとハッキリと私たちの健康に忍び寄っている現実が見えてくるのではないでしょうか。

鉛の完全撤去への道のりは、まだまだ遠い。そして、その間にも、鉛は私たちの体に少しずつ蓄積していくのかもしれません。

改めて、自分の家の水道管がどうなっているのか、ちょっと気になりませんか? もし古い家に住んでいるなら、一度調べてみるのもいいかもしれません。そして、この問題を他人事と思わずに、もっと関心を持っていくことが、私たちの健康を守る第一歩なのかもしれませんね。

しかも、鉛には「これ以下なら安全!」というPTWI(暫定耐容週間摂取量)、つまり閾値が設定されていません。
微量でも、長期的に摂取すれば何らかの影響が出る可能性は否定できないのです。

「たかが古い水道管でしょ?」なんてノンキに構えている場合じゃないかもしれません。
2017年には古いアパートの水から基準値の40倍、血中では平均値の100倍の鉛が検出された事件もあるのです

毎日使う水だからこそ、その安全性にはもっと真剣に向き合う必要があるのではないでしょうか。

…なんだか、ちょっと怖い話になっちゃいましたか?
でも、知っておくことは大切。自分の身は自分で守るためにも、この問題から目を背けずにいたいものですね。

カリフォルニア産のお米「カルローズ」を買ってみた!

〜そして、元素分析へ〜

お米が切れてしまったある日、近所のスーパーで目にとまったのは、今話題のカリフォルニア産のお米「カルローズ」。
日本産のお米が4000円ほどする中、カルローズは3150円。
決して値段につられたわけではないのですが、「どんな味なんだろう?」という純粋な好奇心で、手に取ってみました。

袋を開けた瞬間の印象は、「香りが少ない?」というもの。
ただ、私は嗅覚に絶対の自信があるわけではないので、あくまで個人的な感想です。

そして、炊いて食べてみた感想はというと――

「うん、これがカリフォルニア産って知ってるから“違うかも”って思う程度」
米粒がやや小さく感じられましたが、当たり前ですが「ちゃんとお米」です。
もしも外食先で出てきたら、私はきっと気づかないと思います。
(というか、会社では「お前は何食べても旨いって言うよな」と言われるくらい、幸せな舌の持ち主です。参考になるかどうかは微妙です…)

でも!
「ちょっと違うかも」と感じたこのお米、本当に成分的に違うの?
――というわけで、やっぱりここは当社の本領発揮。

カルローズの元素(ミネラル)分析、してみました!

水が違えば育ちも違う。
土壌が違えば当然、ミネラルバランスも変わってくるはず。
そんな期待とワクワクを込めて、分析してみた結果は……?


味覚だけじゃわからない、科学の目から見る「カルローズ」。
さぁさぁさぁどうなんだい!!

日本 VS アメリカの結果やいかに!!

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.

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ドーン!!

元素日本 白米平均ng/gカルローズng/g
ナトリウム7,0096,194
カリウム890,108916,592
マグネシウム364,190262,468
カルシウム44,34743,214
リン1,454,9781,176,638
セレン3530
クロム7.68.5
モリブデン1,045604
マンガン8,38910,668
2,5632,323
2,2441,970
亜鉛17,9349,562
カドミウム25.54.1
水銀2.30
1.10.9
ヒ素228128
アルミニウム159342
リチウム0.73.5
バナジウム0.30.9
バリウム14924

主要なミネラル(カリウム、マグネシウム、カルシウムなど)には大きな差はなかったものの、いくつか明確な違いが見られました!

●亜鉛:カルローズは低い

ま驚いたのが亜鉛の数値。カルローズは日本のお米に比べて約半分と、かなり低い結果になりました。私たちが分析した中では、日本産のどのお米よりも少ない数値でした。

●カドミウム:カルローズは低め

逆に、有害元素として知られるカドミウムはカルローズのほうが低め。これはポジティブなポイントです!

●リチウム:カルローズが高い!

なんと日本のお米と比べて約5倍! カルローズはリチウム含有量が圧倒的に高かったんです。ウム!カルローズなんと5倍!日本のどの米よりも断トツに高い!

●バナジウム:こちらも高い!

バナジウムもカルローズのほうが約3倍多く含まれていました。

●バリウム:日本の方が多い

逆にバリウムに関しては日本のお米の方が高い結果になりました。

普段なにげなく食べているお米も、こうして“元素レベル”で見てみると違いがあって面白いですね。
味や見た目だけではわからない、お米の個性が浮き彫りになりました。

「カルローズって実際どうなの?」という方の参考になればうれしいです!

「日本のお米が好き」という気持ちも、もちろん大切に

やはり日本人として、日本のお米に誇りや愛着を持っている方は多いと思います。

「やっぱり日本のお米が安心でおいしい」と感じている方のお気持ちは、とてもよくわかります。
長い歴史と丁寧な栽培、そして品種改良によって培われた日本のお米文化は、世界に誇れるものです。

ただ、最近気になるニュースがありました。

話題になった「あきたこまち」のカドミウム検出

2025年4月、秋田県産あきたこまちから、なんと870ng/gを超えるカドミウムが検出されたという報道がありました。
これは国の基準値(0.4ppm = 400ng/g)を2倍以上も超える値です。

読売新聞(2025年4月4日)

比較してみると…

今回私たちが分析したカルローズのカドミウム量はわずか4.1ng/g

つまり、話題になったあきたこまちの約220倍もの差がある、という結果になりました。

もちろん、こうした極端な数値がすべての日本のお米に当てはまるわけではありません。
しかしながら、土壌や栽培条件の違いが元素レベルの差につながることが、こうした事例からも見えてきます。

「安心」は多角的に見る時代へ

「国産だから安心」「外国産だから不安」といった単純な図式ではなく、科学的根拠に基づいた多角的な視点で、食品を見ていくことがこれからますます大切だと感じています。

カルローズにはカルローズの良さがあり、日本のお米には日本のお米の良さがあります。
そしてどちらも、正しく知ることが、安心や信頼につながっていくのだと思います。

もし、普段からこだわりのお米をお召し上がりになっていて、
それでもなお「カドミウムやヒ素などの有害金属が少し気になる…」という方には、
当社で行っているお米の有害金属(カドミウム・ヒ素)分析をおすすめしております。

ご興味のある方は、ぜひこの機会にお申し込みください。
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