ゆでこぼしで玄米のヒ素は減る??

ゆでこぼしで玄米のヒ素は本当に減るのか? 実際に分析してみました。

「玄米はヒ素が多い」

このような話を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

今回、海外の論文で、ゆでこぼしによって玄米中のヒ素が減少するという報告があります。

本当に減るのか、気になった当社は実際に分析を行ってみました。

実験方法

今回行った実験は非常にシンプルです。

  1. 玄米に含まれるヒ素濃度を測定
  2. 玄米を5分間ゆでこぼし
  3. ゆでこぼし後のゆで汁に含まれるヒ素濃度を測定
  4. ゆで汁へ移行したヒ素量から、玄米中で減少した量を推定

今回は「玄米そのもの」を再分析したわけではなく、

玄米からゆで汁へ移行したヒ素量を測定することで、減少量を算出しました。

分析結果元の玄米

  • ヒ素濃度:127 ppb

5分間ゆでこぼしたゆで汁

  • ヒ素濃度:4.7 ppb

どれくらい減ったのか?

実験では、

  • 玄米:1 g
  • 超純水:15 mL

で実施しました。

ゆで汁のヒ素濃度は 4.7 ppb

水1 mLは約1 gとみなせるため、15 mL中に含まれるヒ素量は

4.7 ng/mL × 15 mL = 約71 ngとなります。

一方、玄米1 gに含まれていたヒ素量は

127 ng です。

つまり、約55〜56%のヒ素が玄米からゆで汁へ移行したと推定されました。

想像以上の結果でした

正直なところ、ここまで減少するとは予想していませんでした。

もちろん、ゆでることで玄米が吸水するため、水の量は15 mLより少し減っている可能性があります。

例えば14 mL程度になっていたとしても、結果が多少変動するだけで、約半分がゆで汁へ移行したという結論自体は大きく変わらないでしょう。

注意点

今回の実験にはいくつかの前提があります。

  • ゆで時間は5分
  • 超純水を使用
  • ゆで汁中へ移行したヒ素量から減少量を推定
  • ゆでこぼし後の玄米そのものを直接分析したわけではない

また、今回測定したのは総ヒ素であり、無機ヒ素・有機ヒ素を区別した分析ではありません。

そのため、「健康リスクがどれだけ減少したか」を直接示すものではなく、玄米からヒ素がどの程度ゆで汁へ移行したかを確認した実験とお考えください。

まとめ

今回の分析では、5分間のゆでこぼしによって、玄米中のヒ素の約55%がゆで汁へ移行したと推定されました。

これまで論文で報告されてきた内容を、自社で実際に分析してみた結果でも、おおむね同様の傾向が確認できたことになります。

もちろん、ゆでこぼしによってビタミンやミネラルなど、水に溶けやすい栄養素も一部失われる可能性があります。

そのため、「ヒ素をできるだけ減らしたい」という目的と、「栄養をできるだけ残したい」という目的のバランスを考えながら、調理方法を選ぶことが大切です。

今後も当社では、論文だけではなく、実際に分析したデータをもとに、食品や栄養に関する情報を発信していきます。

-お詫び-

今回実験に使用したお米ですが、玄米だと思っていたところ、実際には3分づき米でした。

見た目がほぼ玄米だったため、勘違いしてしまいました。

失礼いたしました。

そのため、今回ご紹介した結果は3分づき米での実験結果となります。

玄米についても改めて同じ条件で実験を行い、結果をご報告したいと思います。

引き続きよろしくお願いいたします。

今年のあきたこまちはR?カドミウムが少ない?実際に分析してみました

近年、「あきたこまちR」という品種について話題になることが増えています。

「あきたこまちRは本当にカドミウムが減るの?」
「普通のあきたこまちと何が違うの?」

このような疑問を抱いたため、今回、ら・べるびぃ予防医学研究所では秋田県産のあきたこまちを実際に分析してみました。

ちなみに昨年もあきたこまちは分析しており、こちらにまとめております。

分析結果

今回分析した秋田県産のあきたこまちを、昨年分析した通常のあきたこまちと比較したところ、非常に興味深い結果が得られました。

昨年測定した値を「100」とすると、

  • カドミウム:約7
  • マンガン:約33

という結果でした。

つまり、カドミウムは昨年の測定値と比較して約93%低い値となりました。

私たち自身も、ここまで低い結果になるとは予想していませんでした。

ただし、「あきたこまちR」と断定はできません

ここで重要なのは、この結果だけで「あきたこまちRだった」と断定できるわけではないという点です。

現在販売されているお米には、「あきたこまちR」であることを表示する義務はありません。

また、お米に含まれるカドミウム量は、土壌中のカドミウム濃度や栽培環境などの影響も受けます。

そのため、

「今回たまたま土壌中のカドミウムが少ない地域で栽培された可能性」

も十分考えられます。

なぜマンガンも測定したのか

そこで今回、カドミウムだけでなくマンガンも測定しました。

実は、お米はカドミウムを積極的に吸収したいわけではありません。

植物に必要な栄養素であるマンガンを取り込む輸送体(タンパク質)を利用して、カドミウムが一緒に入り込んでしまうことが知られています。

あきたこまちRは、この主要な輸送体(OsNramp5)の働きを失わせた品種です。

その結果、

  • カドミウムは大きく減少する
  • マンガンもある程度減少する

という特徴があります。

マンガンがゼロにならない理由

「通り道を閉じたのなら、マンガンはゼロになるのでは?」

と思われるかもしれません。

しかし、植物にとってマンガンは生育に欠かせない必須ミネラルです。

そのため、主要な輸送体が使えなくなっても、別の輸送体を利用して最低限のマンガンを取り込むことができます。

その結果として、今回の分析でもマンガンは昨年の約3分の1という値になったと考えられます。

今回の結果は、報告されている特徴と一致していました

今回の分析結果をまとめると、

  • カドミウム:約100 → 約7
  • マンガン:約100 → 約33

という結果でした。

この組み合わせは、これまであきたこまちRで報告されている特徴と一致しています。

もちろん、今回の分析だけで「あきたこまちR」と断定することはできません。

しかし、私たちが実際に分析した結果としては、非常に興味深いデータでした。

マンガンが減っても問題はないの?

マンガンは人にとって必要な必須ミネラルです。

一方で、日本人はお米以外にも豆類、ナッツ類、茶類、全粒穀物など、さまざまな食品からマンガンを摂取しています。

そのため、通常の食生活では、お米中のマンガンが多少減少しても栄養上の影響は小さいと評価されています。

一方、日本人が食品から摂取するカドミウムの約4割はお米由来とされています。

そのため、お米から摂取するカドミウムを大幅に減らせることには、大きな意義があると考えられています。

まとめ

今回の分析では、

  • カドミウムは昨年比で約7%
  • マンガンは約3分の1

という結果となりました。

この結果は、あきたこまちRで報告されている特徴と一致していましたが、今回の分析だけで品種を断定することはできません。

私たちは今後も、「イメージ」や「噂」ではなく、実際の分析データをもとに情報を発信していきたいと考えています。

今後も、ミネラル・有害金属について、科学的な視点から分かりやすくお伝えしてまいります。


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Instagramはじめました

実は2026年5月後半から、当社代表のInstagramアカウントを開設いたしました。

ミネラルや有害金属について、できるだけ分かりやすく、時にはクスッと笑えるような形で発信を続けています。

正直なところ、「こんなニッチな内容に興味を持ってくださる方がいるだろうか」と不安もありましたが、本当にありがたいことに、投稿によっては再生数が5万回近くに達するなど、多くの方にご覧いただいております。

SNSの影響力には驚かされるばかりです。

普段ブログでは少し真面目な内容が多いのですが、Instagramでは

・ミネラルの話
・有害金属の話
・栄養に関する素朴な疑問
・SNSで話題の健康情報の検証

などを、エンターテインメントを交えながら発信しています。

「ミネラルって難しそう」
「有害金属ってなんだか怖そう」

そんなイメージを少しでも身近に感じていただけたら嬉しいです。

定期的に更新しておりますので、ご興味のある方はぜひInstagramもご覧ください。

皆さまの応援が大きな励みになります。
ぜひフォローよろしくお願いいたします。

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魚の水銀が気になる方へ

脳のエネルギー工場を守る「ケルセチン」の可能性

健康維持のために、魚を積極的に食べている方は多いのではないでしょうか。

特に青魚に豊富なDHAやEPAは、脳の健康や血管機能の維持に役立つ重要な脂肪酸です。

一方で、魚を食べる際に気になるのが「メチル水銀」の存在です。メチル水銀は自然界の食物連鎖を通じて蓄積されるため、マグロなどの大型魚では比較的多く含まれることがあります。

「魚は健康に良いけれど、水銀は気になる」

そんな方に興味深い研究が報告されました。2024年に発表された研究では、タマネギやリンゴなどに含まれるポリフェノールの一種「ケルセチン」が、メチル水銀による脳へのダメージを軽減する可能性が示されたのです。

メチル水銀はなぜ脳に影響するのか?

メチル水銀は体内に吸収されやすく、さらに血液脳関門と呼ばれる脳の防御システムを通過しやすいという特徴があります。

脳に到達したメチル水銀は活性酸素の産生を増やし、神経細胞に酸化ストレスを与えます。こうしたストレスが続くと、神経細胞の機能低下や細胞死につながる可能性があります。

そして、メチル水銀が特に影響を与える標的の一つが「ミトコンドリア」です。

脳の働きを支えるミトコンドリア

ミトコンドリアは細胞内でエネルギー(ATP)を作り出すことから、「細胞の発電所」と呼ばれています。

特に脳の神経細胞は大量のエネルギーを必要とするため、ミトコンドリアの働きに大きく依存しています。

そのため、メチル水銀によってミトコンドリアの機能が低下すると、脳のエネルギー産生にも影響が及ぶ可能性があります。

最新研究:ケルセチンがミトコンドリアを保護

2024年、中国医科大学などの研究グループは、メチル水銀に曝露したマウスを用いて、ケルセチンの保護作用を検討しました。

論文タイトル:

Quercetin prevents methylmercury-induced mitochondrial dysfunction in the cerebral cortex of mice

(ケルセチンはマウス大脳皮質におけるメチル水銀誘発性ミトコンドリア機能障害を抑制する)

研究の結果、ケルセチンには主に次のような作用が確認されました。

活性酸素の増加を抑える

メチル水銀によって増加した活性酸素を抑制し、ミトコンドリアの損傷や細胞死のシグナルを軽減しました。

ケルセチンの抗酸化作用が、神経細胞を守る一因と考えられています。

ミトコンドリアの品質管理(リサイクル機能)をサポートする

ミトコンドリアは常に融合や分裂を繰り返しながら、機能を維持しています。

研究では、ケルセチンがSIRT1/PGC-1α経路を活性化し、ミトコンドリアの新生や品質管理に関わる仕組みをサポートすることが示されました。

つまりケルセチンは、単に活性酸素を抑えるだけでなく、ミトコンドリアが本来持つ修復・維持システムを支える可能性があるのです。

ただし、この研究はマウスを用いた実験であり、人に同じ効果があることを直接証明したものではありません。今後のヒト研究が期待されます。

ケルセチンを多く含む身近な食品

ケルセチンは特別な成分ではなく、私たちの身近な食品に含まれています。

食品ポイント
タマネギケルセチンを豊富に含む代表的な食品
リンゴ皮の部分に多く含まれる
ブロッコリーケルセチン以外の抗酸化成分も摂取できる
サニーレタスポリフェノールを比較的多く含む
緑茶・紅茶日常的に取り入れやすい

魚を食べるときの一工夫

研究結果をそのまま日常生活に当てはめることはできませんが、魚と野菜を組み合わせる食事は栄養学的にも理にかなっています。

例えば、

  • マグロの刺身にタマネギスライスを添える
  • カツオのたたきに薬味をたっぷり加える
  • 魚料理の副菜にブロッコリーを取り入れる
  • 食後にリンゴや緑茶を楽しむ

こうした工夫によって、魚の栄養と野菜のポリフェノールを同時に摂ることができます。

まとめ

魚はDHAやEPA、良質なたんぱく質など、多くの健康メリットをもたらしてくれる優れた食品です。

水銀を過度に恐れて魚を避けるのではなく、魚の種類や摂取頻度に配慮しながら、野菜や果物も組み合わせたバランスの良い食事を心がけることが大切です。

今回の研究は、ケルセチンがメチル水銀による脳のストレスからミトコンドリアを守る可能性を示した興味深い報告でした。

今日の食卓に魚料理が並ぶなら、ぜひタマネギやブロッコリー、リンゴ、緑茶なども一緒に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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脳と腸を繋ぐ鍵?自閉症スペクトラム(ASD)と『金属ミネラル』の関係

近年、「脳腸相関(脳と腸は深く繋がっている)」という言葉をよく耳にするようになりました。「緊張するとお腹が痛くなる」といった経験は誰しもがあると思いますが、実はそれだけではありません。

最近の研究では、自閉症スペクトラム障害(ASD)をはじめとする神経発達の特性を持つ方の多くが、便秘や下痢、腹痛といった「腸のトラブル(消化器症状)」を抱えていることが分かってきています。

「なぜ脳の特性であるはずのASDで、腸のトラブルが多いの?」

その謎を解き明かすための最新の鍵として、今世界中の研究者が注目しているのが「体内のミネラルバランス」です。

今回は、2025年に国際的な神経化学の専門誌(Journal of Neurochemistry)に掲載された最新レビュー論文(O’Grady & Grabrucker)をもとに、私たちの体(特に腸と脳)における有害金属と必須ミネラルの重要性について、分かりやすく紐解いていきましょう!

1. 論文が明かす「ミネラルバランスの破綻」とは?

私たちの体の中には、カルシウムや鉄、亜鉛など、生命を維持するために絶対に必要な「必須ミネラル」が存在します。一方で、環境中には水銀や鉛、アルミニウムといった、体にとって毒性となる「有害金属」も存在します。

健康な状態であれば、体はこれらを正しく選別し、必要なものを取り入れ、不要なものを排出する「恒常性(ホメオスタシス)」を保っています。

しかし、今回紹介する論文では、ASDの背景にはこの「ミネラルバランス(恒常性)の破綻」があり、それが腸の病態(消化器トラブルや腸内細菌叢の乱れ)を悪化させている大きな要因である可能性を指摘しています。

2. 要注意!体を脅かす「有害金属」の影響

環境汚染、食材、日用品などを通じて、私たちは気づかないうちに微量の有害金属を体に溜め込んでしまうことがあります。論文では、これらが腸に与えるダメージについて詳しく触れられています。

  • 水銀(Hg)や鉛(Pb):

これらは非常に強い毒性を持ち、腸に達すると「腸内細菌のバランス」を激変させてしまいます。善玉菌を減らし、悪玉菌を増やしてしまう原因になります。

  • アルミニウム(Al)やカドミウム(Cd):

腸の粘膜細胞同士を結びつけている「バリア」を破壊してしまうことが分かっています。これにより、腸の壁に隙間が空いてしまう「リーキーガット症候群(腸漏れ)」が引き起こされ、本来入ってはいけない毒素が血液中に漏れ出し、最終的に脳の炎症へと繋がってしまいます。

3. なぜ足りなくなる?防衛の要「必須ミネラル」

有害金属が体に侵入してきたとき、文字通り「盾」となって戦ってくれるのが、私たちが食事から摂取する必須ミネラルです。しかし、特性や環境の影響で、これらの重要なミネラルが不足しているケースが多いと論文は指摘しています。

特に注目すべきは以下の2つです。

亜鉛(Zn)の重要性

亜鉛は、腸の粘膜を強固に保ち、免疫をコントロールする超重要ミネラルです。さらに、体の中から有害金属(重金属)を捕まえて無毒化・排出する「メタロチオネイン」というタンパク質を作るために不可欠です。

亜鉛が不足すると、腸のバリアが弱くなるだけでなく、有害金属を追い出す力もガクッと落ちてしまいます。

鉄(Fe)のバランス

鉄は多すぎても少なすぎても腸内細菌に影響を与えます。悪玉菌の多くは鉄をエサにして増殖するため、腸内で鉄の吸収や代謝がうまくいかないと、腸内環境が悪化しやすくなります。

4. 有害金属 必須ミネラル の「椅子取りゲーム」

ここが最も面白い、かつ重要なポイントです。

実は、体の中にミネラルを取り込む「細胞のドア(受容体)」は、必須ミネラルも有害金属も同じドアを共有していることが多いのです。

例えば、体の中に「亜鉛」や「鉄」「カルシウム」が十分に満ちていれば、細胞のドアはこれらで埋まります。後から有害金属(鉛やカドミウムなど)がやってきても、入る隙間がありません。

しかし、もし体に必須ミネラルが不足していたらどうでしょう?

空いたドアから、有害金属が「ラッキー!」とばかりにすり抜けて、体内にどんどん吸収されてしまうのです。

つまり、「必須ミネラル不足」は「有害金属の吸収リスクを高める」という最悪の相乗効果を生んでしまいます。これが腸の炎症を引き起こし、自閉症スペクトラムで見られるような強い消化器症状(慢性的な便秘・下痢)や、脳への神経毒性へと繋がっていくというメカニズムが、近年の研究で徐々に明らかになってきました。

5. 私たちの生活に活かせるヒント

この論文の知見から、私たちが日常で意識できる大切なステップが見えてきます。

  • 「入れるな危険」:有害金属を避ける

・大型魚(マグロなど水銀のリスクがあるもの)の過剰摂取を避ける。

・古い水道管の鉛や、調理器具・日用品の素材に少し気を配る。

  • 「盾を強くする」:必須ミネラルをしっかり補給

亜鉛を豊富に含む食材(牡蠣、レバー、ナッツ類など)を意識して摂る。

・加工食品の摂りすぎに注意する(加工食品に含まれる添加物「リン酸塩」などは、

亜鉛やカルシウムの吸収を阻害してしまいます)。

  • 「お腹を育てる」:腸内環境のケア

・発酵食品や食物繊維を摂り、有害金属に負けない強い腸内細菌を育てる。

まとめ

今回の論文は、「自閉症スペクトラム(ASD)の症状や生きづらさは、単に脳だけの問題ではなく、『体内のミネラルバランスの乱れ』と『腸の病態』が深く絡み合っている可能性がある」という、非常に希望のある視点を示してくれています。

ミネラルバランスを整え、腸を元気にすることは、ASDの当事者の方々の消化器トラブルを和らげるだけでなく、脳や神経の健やかな働きをサポートする上でも、とても大切なアプローチになりそうです。

毎日の食事や栄養、ぜひ一度見直してみてはいかがでしょうか?

【参考文献】

O’Grady, K., & Grabrucker, A. M. (2025). Metal Dyshomeostasis as a Driver of Gut Pathology in Autism Spectrum Disorders. Journal of Neurochemistry, 169(3). DOI: 10.1111/jnc.70041

自閉症スペクトラム障害における幼少期ミネラルアンバランスの評価

自閉症スペクトラム障害における幼少期ミネラルアンバランスの評価(論文発表) – ら・べるびぃ予防医学研究所

からだミネラル検査

https://www.lbv.jp/analysis/karada.html

■書籍「栄養素のチカラ」

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【最新研究】妊娠中の「鉛」曝露が子供の喘息リスクに?エコチル調査より

今回は、最新の医学論文から、私たちの生活環境に潜む「鉛(なまり)」が次世代の健康にどう影響するかについてお話しします。

紹介するのは、2026年に発表された日本の大規模調査「エコチル調査(JECS)」の最新データに基づく研究です。

1. そもそも「鉛」ってどこにあるの?

かつては有鉛ガソリンや水道管、ペンキなどが主な発生源でしたが、現在は規制が進んでいます。しかし、古い建物の塗料の粉塵、一部の輸入玩具、装飾品、さらには土壌などを通じて、現代の私たちも微量の鉛を体に取り込んでいます。

特に日本における現在の曝露レベルは、世界的に見ても非常に「低い」とされています。

2. 研究が明らかにしたこと:低濃度でもリスクがある?

今回の研究(Nishihama et al. 2026)では、約7万人以上の親子を対象に、「お母さんの妊娠中の血中鉛濃度」「子供が4歳になるまでの喘鳴(ぜんめい:ゼーゼーすること)や喘息の経過」の関係を調べました。

驚くべきは、現在の日本の非常に低い鉛曝露レベルであっても、子供の呼吸器リスクに関わっている可能性があるという点です。

  • 一過性のゼーゼー(一過性早期喘鳴): 鉛濃度が高いグループの子供は、このリスクが上昇していました。
  • 持続的な喘息: 妊娠中の鉛曝露量が多いほど、成長しても続く「持続性喘息」になるリスクが高まる傾向が示されました。

3. なぜ「妊娠中」が大事なのか

胎児は胎盤を通じて、お母さんの体から栄養だけでなく、鉛などの有害金属も受け取ってしまいます。胎児期は肺や免疫系が形成される非常にデリケートな時期。この時期に微量の鉛に触れることが、将来の「アレルギー体質」や「呼吸器の弱さ」のスイッチを入れてしまう可能性が示唆されています。

4. 私たちができる対策は?

「鉛をゼロにする」ことは現代社会では難しいですが、リスクを最小限にするために以下のことに気をつけましょう。

  1. 古い建物のリフォーム時は注意: 剥がれたペンキの粉塵を吸わないようにしましょう。
  2. 手洗いの徹底: 外遊びの後の土汚れには微量の鉛が含まれることがあるため、親子でしっかり手を洗いましょう。
  1. バランスの良い食事: カルシウムや鉄分が不足すると、体は代わりに鉛を吸収しやすくなってしまいます。お母さんの栄養状態を整えることが、結果として子供を守ることにつながります。

まとめ

今回の研究は、「現代の低い曝露レベルであっても、できるだけ避けるに越したことはない」という重要な警告を発しています。

「神経質になりすぎる必要はありませんが、正しい知識を持って環境を整えること」。それが、子供たちの健やかな呼吸を守る第一歩になります。

出典元: Nishihama Y, et al. Associations between maternal blood lead concentration during pregnancy and trajectories of wheezing and asthma in offspring: The Japan Environment and Children’s Study (JECS). Environ Int. 2026.  

<参考:弊社ブログより>

緑茶のチカラ~有害金属を除去!? 実験してみました~ – ら・べるびぃ予防医学研究所Blog

【あなたの家は大丈夫?】鉛製給水管による健康被害の恐れと、国が進める「年15万件撤去」の最新動向

鉛(なまり)の記憶:私たちの髪が語る、環境政策の劇的な成果 – ら・べるびぃ予防医学研究所Blog

妊娠高血圧症候群と「重金属」の意外な関連【エコチル調査最新報告】 – ら・べるびぃ予防医学研究所Blog

家のタンポポの分析結果

前回、庭の草むしりでタンポポが生えていたので、分析のためにとってきたというブログを書きました。

自宅の草むしりをしていたときのこと。

気づいたら、タンポポがポツンと咲いていました。

きれいだな、と思いつつも
「ごめんね」と言いながら、スポッと抜く。

…と、その瞬間。

頭の中に、ある記憶がよみがえりました。

「タンポポコーヒー、ヒ素入ってたな…」

以前、購入した“有機タンポポ”を分析したときのことです。
まさかのヒ素検出。

いやいや、ちょっと待てよ。

「じゃあ、うちの庭のタンポポはどうなんだ?」

となるのが、この仕事の性(さが)です。

ということで。

やります。

分析。

まずは乾燥。

しっかり乾かして…

乳鉢へ投入。

ゴリゴリ…

ゴリゴリゴリ…

粉末をチューブに入れて、

溶かして!!

ぶんせきいいいいいいいい!!!

そして、結果。

以前の「有機タンポポ」との比較です(乾燥重量1gあたり)

元素有機タンポポ(ng)庭のタンポポ(ng)
ヒ素28939
カドミウム11077
14866
アルミニウム198,52343,290

え。

全部、庭のほうが低い。

「え、うちの庭、優秀じゃない?」

と一瞬思いましたが、もちろん話はそんなに単純ではありません。

実は、カルシウムやマグネシウムなど他のミネラルは結構違いが出ていて、

「本当に同じタンポポ?」と思うレベル。

つまり。

タンポポはタンポポでも、育った環境で中身はまるで別物になるということです。

土壌の違い。

水の違い。

周囲の環境。

普段、何気なく「植物だから安心」と思いがちですが、こうして見てみると、自然のものほど実は環境の影響を反映するセンサーなのかもしれません。

草むしりから始まった今回の分析。

ちょっとした好奇心でしたが、なかなか面白い結果になりました。

さて。

次は何を分析しようか。

あなたの家のタンポポは、どうですか?

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ただの草むしりのはずが、分析になった日(タンポポ)

自宅の草むしり、気づくといつのまにか大変なことになっていますよね。

「ちょっとだけやるか」と思って外に出たはずなのに、気づけば無心で抜き続けている。あの現象、なんなんでしょうか。

先日、少し時間ができたので、久しぶりに草むしりをしました。

そこで出会ったのが、タンポポ。

きれいに咲いているのですが、心の中で「ごめん」と思いながら、抜かせていただきました。

タンポポってよく見ると、根がすごいんです。

根が太い。とにかく太い。
見た目はまるでゴボウ。

「これはなかなか栄養を吸っていそうだな…」と思った瞬間、
あることを思い出しました。

そう、タンポポコーヒーです。

タンポポコーヒーは、カフェインを含まないコーヒー風飲料として、特に授乳中のママに選ばれることが多い飲み物です。

実は以前、タンポポコーヒーについて、別の視点で分析をしたことがあります。

というのも、タンポポには「土壌中のミネラルや金属を吸収しやすい」という性質があります。

つまりヒ素などの有害金属も一緒に取り込んでいる可能性があるのでは?

ということで、実際に数種類のタンポポコーヒーを購入し、ヒ素の分析を行いました。

動画でみたい方はこちら

目の前にあるのは、まさにタンポポそのもの

「これはチャンスでは?」と思いました。

自宅の土壌にどれくらいヒ素が含まれているのか。
タンポポを通して、間接的に見えるかもしれない。

ということで、分析してみることにしました。

ただし、タンポポはそのままでは測定できません。

まずはしっかり乾燥させ、その後、乳鉢でごりごりごりごりと粉末化。

乾燥させる前のタンポポの根は枝のよう、生姜やゴボウにも見えます。

1日かけてしっかり乾燥させるとこんな感じに。からっからに。これを粉末にします。

そして前処理を行い、いよいよ分析へ。

気になる結果は…また後日ご報告いたします。

どうぞお楽しみに。

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デトックスには「サウナ」より「運動」?汗から有害金属を効率よく出す方法

「デトックス(解毒)」という言葉をよく耳にしますよね。
体に溜まった有害金属を排出する目的で、サウナで汗を流している方も多いのではないでしょうか。

しかし、近年の研究では「汗のかき方によって、有害金属の排出量に差が出る可能性がある」ことが報告されています。

今回は、台湾の研究チームが発表した論文をもとに、汗と有害金属排出の関係について紹介します。

1. 汗は「天然のデトックス装置」

私たちは日々の生活(食事、水、空気など)を通じて、微量の有害金属(鉛、水銀、ヒ素など)を体内に取り込んでいます。これらは通常、尿や便などを通じて排出されますが、汗も排出経路のひとつです。

研究によると、ニッケル、鉛、クロムなど一部の金属は、尿よりも汗の中に高濃度で含まれる場合があることが報告されています。
つまり、汗をかくことは有害金属の排出に一定の役割を果たしている可能性があります。

2. 実験:サウナ vs ランニング

研究チームは、健康な男女12名を対象に、次の2つの条件で汗を採取し、成分を比較しました。

  • 動的発汗:トレッドミルでのランニング
  • 受動的発汗:サウナボックス内で座って発汗

どちらも20分間汗をかいた後、汗に含まれる以下5種類の金属濃度を測定しました。

  • ニッケル (Ni)
  • 鉛 (Pb)
  • 銅 (Cu)
  • ヒ素 (As)
  • 水銀 (Hg)

3. 結果:運動による汗の方が高濃度

分析の結果、次の4つの金属については、サウナよりも運動時の汗の方が有意に濃度が高いことが確認されました。

  • ニッケル (Ni)
  • 鉛 (Pb)
  • 銅 (Cu)
  • ヒ素 (As)

一方で、

  • 水銀 (Hg)

については、運動とサウナの間で明確な差は見られませんでした。

4. なぜ運動の方が排出されやすいのか?

研究では、次のような理由が考えられるとされています。

血流の変化
運動すると心拍数が上がり、体温も上昇します。これにより血液循環が活発になり、体内の物質が汗腺へ運ばれやすくなる可能性があります。

代謝の活性化
筋肉を動かすことでエネルギー代謝が高まり、組織に存在する金属の移動や排出が促進される可能性があります。

一方、サウナのような外部からの加熱は、主に皮膚表面の温度を上昇させるため、体内深部の循環への影響は運動ほど大きくない可能性が指摘されています。

5. 効果的に汗をかくためのポイント

この研究から言えるのは、単に体を温めるだけでなく、体を動かして汗をかくことも重要かもしれないという点です。

例えば、

  • 週に数回、軽く息が上がる程度の有酸素運動(ジョギングや早歩き)
  • 運動後にサウナを利用する

といった組み合わせも、発汗を促す一つの方法と言えるでしょう。

まとめ

「デトックス=サウナ」というイメージは強いですが、研究によれば運動による発汗の方が、一部の有害金属の濃度が高い汗が出る可能性が示されています。

もちろん、この研究は少人数の実験であり、汗だけで体内の有害金属が大きく減るかどうかは今後の研究が必要です。

それでも、健康のためには「体を動かして汗をかく習慣」を取り入れることが、さまざまな面でメリットがあると言えるでしょう。

出典: Kuan WH, et al. Excretion of Ni, Pb, Cu, As, and Hg in Sweat under Two Sweating Conditions. Int J Environ Res Public Health. 2022

当社が実施している毛髪ミネラル検査のデータでも、運動習慣のある群は、運動習慣のない群と比較して鉛濃度の平均値がやや高い傾向が確認されています。

ら・べるびぃ予防医学研究所
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ミネラル分析の専門機関として、毛髪・血液・飲食物など様々な検体を分析しています。
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NHK「ヒューマニエンス」に取材していただきました

排出 〜美しく出す 生命の機能美〜

このたび、NHK BSヒューマニエンス 40億年のたくらみ
「排出 〜美しく出す 生命の機能美〜」にて、「排出」の一つとして「髪の毛」が紹介され、当社を取材していただきました。

初回放送は2026年3月7日(土)午後10:30〜(NHK BS)です。

取材には不慣れで大変緊張いたしましたが、どのような放送になるのか、今からとても楽しみにしております。

毛髪は「排出」の器官のひとつ

毛髪ミネラル検査は、もともと水銀分析の研究の中で、検体としての有用性が評価されてきました。

毛髪は、

  • 有害金属の濃度が比較的高く検出されやすい
  • 数か月単位の情報を保持する
  • 採取が非侵襲的である

という特徴があります。

現在のところ、

  • 毛乳頭 → 毛幹へは移行する
  • 毛幹 → 毛乳頭(血管側)へ戻る機構は確認されていない

とされており、毛髪に取り込まれることは、実質的に体外への排出を意味します。

歴史を語る検体としての毛髪

毛髪は長期間情報を保持します。

そのため歴史的にも価値があり、

  • ナポレオンのヒ素曝露説
  • ベートーベン の鉛曝露説

などは、遺髪や遺骨の分析結果をもとに議論されてきました。毛髪は「その時代の体内環境」を記録する、いわばタイムカプセルのような存在です。

毛髪は環境中でも分解されにくい

毛髪はケラチンという硫黄を多く含むタンパク質でできています。
この構造は非常に強固で、

  • 土壌中でも特殊な微生物が存在しない限り分解されにくい
  • 水に溶けにくい難溶性タンパク質

という特徴があります。

水銀は硫黄と強く結合する性質があるため、いったん毛髪に取り込まれると、容易には再放出されません。

環境省資料『不思議な水銀の話』でも紹介されているように、毛髪や体毛は環境中でも分解されにくく、水銀の再循環を抑える一時的な貯留(シンク)として働く可能性が示唆されています。さらに、体毛は食用に適さない、仮に摂取しても消化されにくいという性質から、水銀の生物濃縮経路になりにくいと考えられています。

毛髪や体毛は環境中でも分解されにくく、水銀の再放出を妨げていると考えられる。体毛は食用に適さず、また、食べても消化されずに残され、水銀の生物濃縮につながらないため、結果的にヒトや生物を水銀ばく露から守っていることになる。

不思議な水銀の話より抜粋

https://www.env.go.jp/chemi/tmms/husigi/hg_husigi_23.pdf

その意味で、毛は単なる「老廃物」ではなく、結果的に生物を水銀曝露から守る仕組みの一端を担っているとも言えるでしょう。

ぜひご覧いただけましたら幸いです。

毛髪ミネラル検査はこちらから

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