毛髪は「排泄器官」なのか?

― 排泄と排出を考える ―

検査会社、特に毛髪分析を扱う会社でなければ、あまり関心を持たれないテーマかもしれません。
しかし私たちは日々、毛髪という検体を扱う中で、どうしても避けて通れない問いに直面します。

「毛髪は排泄器官なのか?」

当社でもこれまで、「毛髪は排泄の役割を担っている」という説明をしてきました。

では、ここであらためて考えてみたいと思います。
そもそも「排泄」とは何なのでしょうか。

排泄と排出の違い

一般に排泄とは、体内で不要になった物質を代謝・処理したうえで意図的に体外へ出す仕組みを指します。

代表的な排泄経路は、尿や便です。これらは明確に「排泄の主役」と言えるでしょう。

一方で、排出という言葉は、より広い意味を持ち、意図的かどうかは問わずに結果として体外へ出た現象全般を指します。

この定義に照らすと、毛髪は「排出している器官」であることは間違いありません。

なぜなら、毛髪には高濃度の有害金属が取り込まれているからです。

毛髪は「意図的に」有害金属を取り込んでいるのか?

ここで一つ、疑問が浮かびます。

毛髪は、有害金属を体にとって不要なものとして認識し、意図的に取り込んでいるのか?

それとも、たまたま通過点に、取り込みやすい形の有害金属が存在していただけということなのでしょうか。

水銀を例に考える

毛髪に多く取り込まれる有害金属として、水銀があります。

大まかな推定ですが、摂取した水銀のうち約8%程度が毛髪に取り込まれると考えられています。※なお、水銀の排泄の大部分は便で行われます。

排泄の主役である便と直接比較することは難しいため、ここでは尿中水銀量を基準にしてみます。

尿中を「1」とした場合、毛髪はおおよそ「0.3」となります。

これは決して小さな値ではなく、毛髪も一定の役割を果たしていると評価できる数字です。ただし、繰り返しますが、排泄の主役はあくまで尿と便です。

なぜ毛髪は水銀を取り込みやすいのか?

その理由は、水銀の「形」にあると考えられます。

私たちが日常的に摂取する水銀の多くは、金属水銀や水銀イオンではなく、メチル水銀です。主な摂取源は魚介類です。

このメチル水銀は、ほぼ100%吸収されシステインと結合しメチオニンというアミノ酸によく似た構造になります。ほぼ「アミノ酸の顔をした物質」と言ってよいでしょう。

いわば優等生の皮をかぶった半グレのような存在です。

毛髪は「材料」として取り込んでいるのでは?

毛髪はケラチンというタンパク質でできています。
タンパク質はアミノ酸の集合体です。
つまり、アミノ酸は毛髪の材料そのものです。

メチオニンによく似た形をした「メチル水銀+システイン」の複合体を、「お前は有害物質だから排除してやる」という判断で取り込んでいるのか、それとも、「ちょうどいい、毛髪の材料になる」と誤認して取り込んでいるのか。

後者の方が、現実的ではなのではないかと考えます。

もし体が「メチル水銀+システイン」の複合体を完全に「悪者」と認識しているのであれば、血液脳関門を通過させるはずがないと思うのです。

ヒ素との対比が示すもの

ここで、もう一つ重要な事実があります。

日本人が最も多く摂取している有害金属はヒ素です。水銀・カドミウム・鉛の10〜20倍の摂取量があります。

では、ヒ素は水銀の10〜20倍、毛髪に取り込まれているのでしょうか?

答えは NO です。

ヒ素の毛髪への取込量は水銀の約1/30〜1/40程度です。

(※もちろん個人差はあります)

この事実は、毛髪が「有害金属を無差別に排出しているわけではない」ことを示唆しています。

毛髪は排泄器官なのか?(私見)

毛髪に一度取り込まれた水銀が、再び体内に戻る機構は、現在のところ確認されていません。

その意味では、毛髪に取り込まれ、結果として無毒化される

という点から、毛髪が排泄の一部を担っている、という考え方は間違いではないと思います。ただしそれは、

  • 体が有害物質として選択的に排除しているのか
  • アミノ酸に似た構造ゆえに、材料として取り込んでいる結果なのか

この点については、現時点では断定できません。

水銀は結果として毛髪に取り込まれることで体外へ出ていくため、広い意味では「デトックス」と言えると思います。

しかしその本質が「排泄」なのか、「偶発的な排出」なのか、まだまだ考える余地があるのではないでしょうか。

これはあくまで、会社としての見解ではなく、私個人の考えです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

ら・べるびぃ予防医学研究所
「知ることは、すべてのはじまり」
ミネラル分析の専門機関として、毛髪・血液・飲食物など様々な検体を分析しています。
2000年の創業以来、皆さまの健康に役立つ検査や情報を提供しています。
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執筆者:筒井大海

会社のシンクから金属臭が…よし、水を分析してみよう

いつもお弁当を食べ終わると、会社のシンクでお弁当箱を洗います。
油汚れには、やっぱりお湯が一番ですよね。

当社には給湯器が設置されており、約60℃のお湯が使える環境です。

蛇口を左にひねると給湯器を通ったお湯が出て、右にひねると給湯器を通らない水道水が出る、という仕組みになっているそうです。
(※給湯器の詳しい構造については専門外です)

ふと感じた「金属っぽいにおい」

ある日、いつものようにお湯でお弁当箱を洗っていると、
「あれ? 金属臭がする?」と感じました。

鉄っぽいにおいです。

「もしかすると、たまたま嗅覚が敏感になっていただけかもしれない」
そんなふうにも思いました。

しかし、当社は鉄をはじめとする元素を分析する会社です。
せっかくなので、これは一度ちゃんと調べてみよう、ということになりました。

お湯と水で、比較してみることに

金属臭を感じたのは、お湯を使っているとき。
そこで、

  • 蛇口を左にひねった 給湯器を通ったお湯
  • 蛇口を右にひねった 給湯器を通らない水道水

この2種類の水を採取し、比較分析を行うことにしました。

まずは「鉄」を確認

金属臭と聞いて、まず思い浮かぶのは「鉄」。
そこで最初に、鉄の数値を確認してみました。

すると……

あれ? ほとんど差がない。
むしろ、お湯のほうがわずかに低いくらい。

お湯(平均値㎍/L)水道水(平均値㎍/L)
3.13.9

「やっぱり気のせいだったのかな」
そう思い、分析データを閉じようとした、そのときです。

あれ? 鉄じゃない…?

データを見直していると、別の項目が目に入りました。

  • 亜鉛

これらの数値が、あきらかにお湯のほうで高くなっていたのです。

具体的には、

お湯(平均値㎍/L)水道水(平均値㎍/L)
70.48.78
亜鉛60.58.77
1.20.34
  • 銅: 約8倍
  • 亜鉛: 約7倍
  • 鉛: 約4倍

という結果でした。

基準値は問題なし。でも…

もちろん、これらの数値は水質基準を超えるものではありません。

この数値が健康に影響を及ぼす、というものではありませんが、
「給湯器を通すことで、こうした金属元素が増えることがある」
という点は、データとして確認できました。

給湯器には銅管が使われることが多いため、その影響が反映された可能性が考えられます。

嗅覚は、間違っていなかった

日常の中でふと感じた小さな違和感も、分析してみると、きちんと理由が見えてくることがあります。

そして何より、「気のせいではなかった」と確認できたことが、少し嬉しかった、そんな出来事でした。


当社ではお水の比較分析も承っております。

今回のように給湯器を通したお湯と通さない水でも分析が可能です。

気になる方はぜひこちらからお申込みくださいませ。

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【水俣病の新たな知見】メチル水銀が「におい」を奪うメカニズム

四大公害病の一つである水俣病。その原因物質であるメチル水銀が引き起こす神経系の障害については、長らく研究されてきました。しかし、知覚鈍麻や運動失調といった主要な症候の陰で、患者さんがしばしば訴えていた「嗅覚障害」については、そのメカニズムが不明なままでした。

岡山大学などの研究グループが、メチル水銀が嗅覚系の神経に深刻なダメージを与えることを初めて明らかにし、水俣病の病態解明に大きな一歩を踏み出しました。

メチル水銀は「嗅覚系」のどこを傷害するのか?

研究グループは、水俣病を模倣したマウスモデルを用いて、メチル水銀曝露後の嗅覚系を詳細に調査しました。その結果、以下の重要な事実が判明しました。

1. 脳へのダメージ:嗅球と嗅覚野の神経細胞死

  • 嗅球(きゅうきゅう):においを感じ取るための重要な脳領域です。この部位で、においのコントラスト調節に関わる「顆粒細胞」がメチル水銀の毒性に対して特に弱いことが分かりました。
  • 大脳皮質の嗅覚野:においを認識する脳の領域でも、顕著な神経細胞死が確認されました。

また、これらの傷害部位では、神経細胞の死に関わるとされる「グリア細胞」の異常な活性化も観察されました。

2. 鼻へのダメージ:嗅細胞の部分的脱落

メチル水銀は汚染された魚介類の摂取(食事)を通じて体内に取り込まれますが、なんと鼻の粘膜にも水銀が蓄積していることが判明しました。これにより、においを感知する「嗅細胞」が部分的に脱落していることも確認されました。

ポイント!

食事を通じて体内に取り込まれるメチル水銀が、鼻や脳の嗅覚に関わる神経系全体を広く傷害することが、今回初めて科学的に実証されたのです。

なぜ嗅覚障害の解明が重要なのか?

今回の発見は、水俣病の病態解明に貢献するだけでなく、以下のような重要な意義を持っています。

  • 水俣病の診断・検査への応用

水俣病の発生から60年以上が経過した今、新たな病理的証拠が得られたことで、今後、嗅覚障害という新しい切り口が診断や検査に役立つことが期待されます。

  • 神経変性疾患との関連

アルツハイマー病などの神経変性疾患では、発病前の早期症状として嗅覚障害が現れることが知られており、早期発見の分野で注目されています。水俣病における嗅覚障害の研究は、他の神経疾患の理解にもつながる可能性があります。

  • 環境化学物質の健康リスク評価

食事性のメチル水銀だけでなく、産業環境にある他の化学物質の中にも、嗅覚系に悪影響を及ぼすものが多く存在します。今回の成果は、揮発性が低い化学物質であっても、体内に移行することで嗅覚障害を引き起こす懸念があることを示唆しており、今後の環境リスク評価の議論を深める一助となることでしょう。

この研究が、メチル水銀の健康被害に遭われた方々の診断や今後のケアに役立つことを願っています。

参考論文:Characterization of pathological changes in the olfactory system of mice exposed to methylmercuryArchives of Toxicology  17 February 2024

https://link.springer.com/article/10.1007/s00204-024-03682-w

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日本の鉛弾問題と鉛の毒性について

日本では近年、野生動物への配慮や環境保全の観点から、鉛弾の使用規制が進んでいます。特に北海道では、オジロワシ・オオワシなどの希少猛禽類が、ハンティング後に残された鉛弾片を摂取し、鉛中毒で死んでしまう事例が多数報告されてきました。
この状況を受け、北海道ではすでにライフル弾の鉛弾が全面禁止となっており、全国でも同様の動きが進みつつあります。

また、環境省は2025年度以降に鉛弾の使用を段階的に規制し、2030年までに鳥類の鉛中毒ゼロを目指す方針を示しています。

鉛の毒性:なぜ「少量でも危険」なのか?

鉛は人にとっても動物にとっても 蓄積性 の強い有害金属です。
一度体内に入ると、骨・歯・肝臓に長期間蓄積し、ゆっくり血中へ再放出されます。

鉛がもたらす影響

子ども:

  • 発達遅滞
  • IQ低下
  • 行動障害
  • 低身長

成人:

  • 貧血
  • 末梢神経障害
  • 高血圧
  • 腎障害

特に神経毒性が強く、世界的にも「安全な暴露量は存在しない」とされています。

■ 野生動物にどう影響するのか?

動物が狩猟後の解体残渣(内臓など)を食べる際に、鉛弾の破片を誤って一緒に摂取し、その結果 急性の鉛中毒 を起こして命を落とすことがあります。

猛禽類では、

  • ふらつき
  • 飛行障害
  • 食欲不振
  • 痙攣
    などが典型的で、死亡例が多いのです。

令和2年度オジロワシ・オオワシ保護増殖検討会によると

収容されたオジロワシの 8.6%、オオワシの21.9%が鉛中毒 とされ、野生動物保全問題となっています。

■ ジビエを食べる時に気をつけたい「鉛」問題

近年、地域振興・鳥獣被害対策の一環としてジビエ利用が広がっています。
一方で、鉛弾で捕獲された野生動物の肉には、微細な鉛片が残る可能性があり、健康面で懸念が指摘されています。

■ なぜジビエに「鉛」が入り込むのか?

鉛弾は衝突すると砕けやすく、骨に当たった際に非常に細かい粒状(ミリ以下)になって肉の周囲に飛散します。

見た目では分からないほど微細なため、

  • 解体時に完全に除去できない
  • 調理しても溶けて消えない
  • 食事としてそのまま体内に入る

といった問題が起こります。

このため、ヨーロッパでは「鉛弾で獲られたジビエは子ども・妊婦は特に避けるべき」という公的な健康勧告が複数出ています。

https://www.food.gov.uk/safety-hygiene/lead-shot-game

https://www.bfr.bund.de/en/press-release/lead-ammunition-results-in-higher-lead-concentrations-in-game-meat

■ 日本の鉛曝露は「鉛弾」だけではない

日本での鉛暴露源として他にも重要なのが、古い鉛製給水管の存在です。
すでに新設は行われていませんが、1975年以前に敷設された古い住宅や集合住宅では、いまだに局所的に残っています。

腐食により鉛が溶出し、飲料水中の鉛濃度が高くなる事例が報告されており、水道局では順次交換が進められていますが、完全解消には時間が必要です。

■ 鉛のリスクを減らすには?

  • 鉛弾の代替として 銅弾や鉄弾 への移行
  • 野生動物のモニタリング強化
  • 古い給水管の早期交換
  • 市民の鉛暴露への理解促進
  • ミネラル検査による個人内蓄積のチェック

これらの取り組みが、環境保全と健康維持の両面で重要になります。

鉛は歴史的に便利な素材であった一方、「神経毒性が強く、環境に残りやすい」 という重大な欠点を持つ金属です。

日本でも、鉛弾による野生動物の死亡例や、老朽化した鉛製給水管など、私たちの生活に密接に関わる問題として依然残っています。

当社では、ミネラル検査を通じて、こうした有害金属への曝露実態を明らかにし、皆さまの健康と環境保全の一助となる情報を発信してまいります。

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妊娠高血圧症候群と「重金属」の意外な関連【エコチル調査最新報告】

今回は、妊婦さんとお子さんの健康を守る上で非常に重要な示唆を与える研究結果をご紹介します。子どもの健康と環境に関する大規模な全国調査、通称「エコチル調査」から、妊娠高血圧症候群と血液中の特定の重金属元素の関連性について、注目すべきデータが発表されました。

発表のポイント:重金属濃度が高い妊婦さんはリスクが高い

国立環境研究所の森本靖久研究生らの研究チームは、約9万人の妊婦さんのデータを詳細に解析しました。その結果、以下の関連性が示されました。

  • 血液中の鉛、カドミウム、水銀という3つの重金属元素の濃度が高い妊婦さんは、濃度が低い妊婦さんに比べて妊娠高血圧症候群の発症リスクが高いことが判明しました。
  • 特に、リスクの増加幅は以下の通りです。
    • 血中濃度が最も高いグループは、低いグループと比べリスクが58%
    • カドミウムでは30%
    • 水銀では15%

このデータは、大規模な日本人妊婦のコホート研究として、重金属ばく露と妊娠高血圧症候群の関連を裏付ける非常に貴重なものです。

そもそも「妊娠高血圧症候群」とは?

「妊娠高血圧症候群」とは、妊娠20週以降に高血圧を発症し、多くの場合、尿中にタンパクが出てくるなどの症状がみられる状態です。

  • お母さんへの影響: 腎臓や肝臓などの臓器に負担がかかり、けいれんなどの重篤な合併症を引き起こすことがあります。
  • 赤ちゃんへの影響: 胎盤の機能が低下し、発育が遅れたり(胎児発育不全)、早産になるリスクが高まります。
  • 将来への影響: この病気を経験した女性は、将来的に心血管疾患(心臓や血管の病気)のリスクが高まる可能性が指摘されています。

過去の国際的な研究では、重金属と妊娠高血圧症候群の関連について結果が一致せず不明な点も多かったため、今回の日本の大規模データによる検証結果は非常に注目されています。

研究結果を読み解く上での大切な注意点

ただし、この研究結果を受け止める上で、私たちが冷静に理解しておくべき重要な注意点があります。

それは、「重金属が原因で、妊娠高血圧症候群になった」と断定はできないということです。

研究チームも指摘しているように、「因果関係が逆転している可能性」も考えられるからです。

因果関係が逆転?

妊娠高血圧症候群を発症した結果、体の状態(例えば、腎機能や血流など)が変化し、かえって血液中の重金属が排出されにくくなり濃度が高くなった、という可能性も考えられます。

つまり、現時点では「鶏が先か、卵が先か」のように、重金属濃度の上昇が原因なのか、それとも病気の結果なのかを、この研究だけでは特定できないのです。

私たちにできること:今後の研究に期待しつつ

今回の研究は、重金属のばく露(体内に取り込むこと)と妊娠中の体調との間に何らかの関連があることを強く示唆するものです。

重金属のばく露を減らすことが、妊娠高血圧症候群や将来の心血管疾患のリスクを減らすことにつながるのかどうかは、今後のさらなる研究が必要とされています。

現時点では、重金属を避けるための特定の行動を強く推奨することはできませんが、日頃から妊婦さんの健康全般を守るための行動に努めることが、最も大切です。

  • バランスの取れた食生活: 特定の食品に偏らず、多種多様な食材から栄養を摂りましょう。
  • 質の良い睡眠と適度な運動: 妊娠中の医師の指導のもと、健康管理全般に努めましょう。

今後の研究の進展に期待しつつ、日々の健康管理を大切にしていきましょう!

参考情報:

  • 国立環境研究所ニュース:https://www.nies.go.jp/whatsnew/2025/20251028/20251028.html
  • 原著論文(英文):Associations between blood heavy metal concentrations and hypertensive disorders of pregnancy in the Japan Environment and Children’s StudyJournal of the American Heart Association 掲載)

https://www.ahajournals.org/doi/full/10.1161/JAHA.125.042183

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タンポポコーヒーにヒ素が含まれているって本当?-実際に分析してみました-

「タンポポコーヒーって、ヒ素が入っているって本当?」という噂。

まずタンポポコーヒーってなーに?という方はこちらをどうぞ。

タンポポは重金属を吸収しやすい植物?

タンポポは土壌中の重金属を吸い上げやすい植物として知られており、「まさか…」と思いつつも、気になってしまうのがミネラル分析屋の性。

ということで、実際にヒ素を測定してみました!

分析に使用した製品

今回使用したのはこちらのタンポポコーヒーです。

①100%タンポポ(日本)

②inka 有機タンポポ(有機大麦、有機ライ麦、有機チコリ、有機タンポポ/ポーランド)

③Organic Cereal Drink(有機大麦、有機ライ麦、有機チコリ、有機タンポポ/ポーランド)

④対象群としてドリップコーヒー

②と③は原材料を見ると非常に似ており、どちらも顆粒タイプの飲料です。
①は茶葉のように抽出して飲むタイプとなります。

分析方法

各製品1gを90℃の超純水で抽出、もしくは溶解し、ヒ素濃度を測定しました。

結果

試料As(ヒ素) ㎍/L
①タンポポ156
②inka62
③Organic63
④コーヒー3

④の一般的なコーヒーと比べると、タンポポコーヒーのヒ素濃度は明らかに高いことが分かります。
特に①の「100%タンポポ」は最も高い値を示し、当社で分析している日本の米の平均濃度とほぼ同等でした。

②③は原材料の中で「有機タンポポ」が4番目の表記であることから、タンポポの割合が少なく、濃度もやや低めでした。

実際の摂取量を計算してみると?

①100%タンポポコーヒーの商品説明には以下のようにあります。

普通のお茶のように急須でお湯を注いで飲めます。
コーヒーの約3分の1量を目安にしてください。

一般的にコーヒー1杯に使用する豆の量は約10gとされています(参考:YAMATOKAWA COFFEEブログ)。
その1/3ということは、タンポポコーヒー1杯あたり約3.3g使用する計算になります。

これをもとに計算すると、
①のタンポポコーヒー1杯に含まれるヒ素量は約0.5µgとなります。

②③の顆粒タイプは、小さじ1~2杯(約4~8g)を使用するため、

  • 小さじ1杯:約0.25µg
  • 小さじ2杯:約0.5µg

となり、小さじ2杯の場合は①とほぼ同程度の結果でした。

0.5µgのヒ素は多いの?

この量が「安全なのか」「危険なのか」が気になるところです。

結論から申し上げますと、一概に安全・危険とは言えません。

ヒ素については、かつて設定されていた「PTWI(暫定的週間耐用摂取量)」が撤回されており、「明確な安全閾値はない」とされています。
しかしながら、参考として「NOAEL(無毒性量)」という指標があります。

このNOAELは「体重1kgあたり0.8µg」とされており、体重50kgの方の場合、1日の安全上限の目安は約40µg(※あくまで参考値)となります。

したがって、タンポポコーヒー1杯分の0.5µgは、この値と比較するとごくわずかな量であることが分かります。

ごはんとの比較

日本人の無機ヒ素摂取源の多くは「米」と言われています。
一般的な食生活(朝・昼・晩にごはん1杯ずつ)の場合、1日30~40µg程度を米から摂取していると推定されています。

つまり、タンポポコーヒーからの摂取量(0.5µg)は、ご飯からの摂取量に比べておよそ60~80分の1程度と推測されます。

このことから、タンポポコーヒーを飲んだからといってヒ素摂取量が大幅に増えるわけではなく、
過度な心配をされる必要はないと考えられます。

ただし、ヒ素は土壌中の濃度に依存するため、栽培地域によって含有量が異なる可能性があります。
今回分析した日本産およびポーランド産のタンポポコーヒーについては、いずれも健康上の懸念が生じるレベルではないと考えられます。

タンポポの根のヒ素は有機?無機?

残念ながら、当社の分析ではヒ素の総量(トータルのヒ素濃度)のみを測定しており、有機ヒ素と無機ヒ素の区別までは判別できません。

しかし土壌中のヒ素の形態はほとんどが無機ヒ素であり、陸生植物にはこれらを有機化する能力が極めて低いと考えられているため、タンポポの根に含まれるヒ素の大部分も無機ヒ素であると推定されます。

まとめ

  • タンポポは重金属を吸収しやすい植物であるため、一定量のヒ素が検出されました。
  • しかし、実際に飲む量を考慮すると、摂取量はごくわずかでした。
  • 米由来の摂取量と比較しても、過度に心配する必要はないと考えられます。

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水俣条約 第6回締約国会議、ジュネーブで開幕– 水銀の規制強化

水銀による健康と環境への被害を食い止めるため、国際的な取り組みがスイス・ジュネーブで進められています。水俣病の原因物質である水銀を規制する「水銀に関する水俣条約」の第6回締約国会議(COP6)が、2025年11月3日から7日まで開催されています。

焦点は「銀歯(歯科用アマルガム)」と「化粧品」の規制強化

今回の会議の最大の焦点は、歯科用アマルガム(銀歯)の規制強化です。

1. 歯科用アマルガムの規制:

  • 現状: 現在、アマルガムは「段階的削減」の対象となっています。
  • COP6での議論: 会議では、「禁止」に向けた規制強化(段階的な廃止)が議論の中心です。
  • 国際的な状況: カナダ、米国、オーストラリアなどでは今も安価な治療法として使われていますが、日本では2016年に保険適用から外され、現在は製造・使用されていません。

2. 水銀を含む化粧品の実効性:

  • 現状: 水銀を含む化粧品はすでに国際的に禁止されています。
  • 課題: しかし、インターネット通販やアフリカ・アジアの一部地域では依然として販売が続いている現状があります。
  • COP6での議論: 禁止の実効性を高めるための方策、特に違法取引対策やモニタリングの強化が話し合われます。

水銀は、使用を制限するだけでなく、禁止の実効性を確保するための国際協力が不可欠です。

水俣病とは? 人体と環境への深刻な影響

水俣条約の名称の由来となった水俣病は、改めて水銀の危険性を世界に訴えています。

水俣病は、化学工場から海や河川に排出されたメチル水銀化合物を魚介類が体内に高濃度に蓄積し、それを日常的に食べた住民に発生した中毒性の神経疾患です。

  • 発生地と経過: 熊本県水俣湾周辺を中心とする八代海沿岸で、昭和31年(1956年)に初めて患者が報告されました。その後、新潟県阿賀野川流域でも発生が確認されました。
  • 症状: メチル水銀は中枢神経系に強い毒性を示し、感覚障害(手足のしびれ)、運動失調、視野狭窄、聴力障害などを引き起こします。特に、胎児はメチル水銀に対して感受性が強く、胎児性水俣病として深刻な症状が現れることがあります。

 日本人は水銀が体内に蓄積されやすい?

魚を日常的に食する日本人は、特に有機水銀(メチル水銀)が体内に入ることが多い傾向があります。食物連鎖により、マグロなどの大型魚に蓄積されるためです。

<ら・べるびぃ予防医学研究所のブログより>

3ヶ月毎日マグロとはんぺん食べてみた

(続報)3ヶ月毎日マグロとはんぺん食べてみた

水銀、長かった戦いついに集結(完結編)3ヶ月毎日マグロとはんぺん食べてみた

「水俣病は遺伝する?」報道を受けて正しく知っておきたい、胎児性水俣病と遺伝の違い

未来のための国際的な約束

水俣条約は、日本の公害の経験から生まれた、未来のための国際的な約束です。

今回の会議を通じて、水銀のない世界の実現に向けた具体的な一歩が踏み出されることが期待されます。水俣病という悲劇を経験した日本の知見と教訓が、国際社会の議論をリードすることが重要です。

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2026年1月22日 マグロと水銀 -水銀負荷試験報告-

水銀を含む食べ物と聞いて、まず思い浮かぶのは「マグロ」ではないでしょうか。
お寿司屋さんの定番であり、私自身も大好きな食材です。

しかし、マグロには「水銀が多い」と聞いたことがある方も多いはず。
では実際のところ、どのくらいの頻度で食べると、体内の水銀はどのように変化するのでしょうか?

今回、私自身が被験者となり、マグロを一定期間継続して摂取した際の水銀濃度の変化を、毛髪および爪ミネラル検査で追跡しました。

「食べたらどれくらいで上がるのか?」
「やめたらどれくらいで戻るのか?」
その答えを、データとともにお伝えします。

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開催日:2026年1月22日(木)12時~13時

演題:「マグロと水銀 -水銀負荷試験報告-」

講師:ら・べるびぃ予防医学研究所 代表取締役 筒井大海

費用:無料

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Q.アーカイブはありますか?

A.いつも予医ファミリーをお申込みいただき継続されている方はアーカイブを後日配信する予定です。

有害金属はなくならない

よくこんなことを聞かれます。
「有害金属だって煮沸消毒してれば大丈夫でしょ?」と。

でも、それは少し違います。
有害金属は燃やしても、分解しても、消えることはないのです。
ヒ素、鉛、水銀、カドミウム…。
これらは元素なので、煮沸や加熱では取り除けません。

「毒」は遠ざけられる

有機化合物の毒なら、分解してしまえば無毒化するものもあります。
しかし、無機の有害金属はそうはいきません。
だから私たちにできることは、できるだけ口に入れないことと、
もし入ってしまっても、体からきちんと出せるようにすることです。

地球から消すことはできない

もし本当に有害金属を「ゼロ」にしたいなら、地球の外に放り出すしかありません。
でも現実的には、そんなことはできません。
つまり有害金属は、地球の一部として存在し続ける、消えない存在なのです。

ヒ素を呼吸に利用する微生物

実はヒ素、私たちにとっては毒でも、一部の嫌気性微生物にとってはエネルギー源です。

酸素の代わりにヒ素化合物を使って電子をやり取りし、エネルギーを得ているのです。

私たち人間にとっては「毒」であるヒ素も、彼らにとっては「生きるための材料」。
自然界では、人間にとっての毒もまた、存在意義があるのです。

参考:微生物を利用して汚染土壌からヒ素を除去する 国立環境研究所

酸素も、もとは猛毒だった

ちょっと想像してみてください。
酸素って、生命に欠かせないものですよね。
でも、太古の地球では酸素は猛毒で、当時の多くの生物にとって致命的でした。

酸素を使えるように進化した生物が生き残り、やがて酸素を利用する生命が地球を支配するようになったのです。

毒を克服し、共存する力を得た者が、生き残ったわけです。

私たちにできること

有害金属は、なくすことはできませんが、近づけない努力と、排出する力を持つことで、有害金属からカラダを守ることができます。

  • 食材や水の選び方を工夫する
  • 体の排泄力を高める
  • ミネラルバランスを整える

ら・べるびぃ予防医学研究所
「知ることは、すべてのはじまり」
ミネラル分析の専門機関として、毛髪・血液・飲食物など様々な検体を分析しています。
2000年の創業以来、皆さまの健康に役立つ検査や情報を提供しています。
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授乳中ママの味方・タンポポコーヒーに潜むヒ素の可能性

コーヒーは「元気の前借り」?

コーヒーに含まれるカフェインは交感神経を刺激し、集中力を高めたり、眠気を覚ましたりする効果があります。
私自身も毎朝・昼に2杯、多い時には3杯ほど飲むほどのコーヒー好きです。かなり依存していますね。

そんなある日、子どもの授業参観で休暇をとった際、ふと「今日はコーヒーをやめてみようかな」と思い立ち、1日コーヒーを断ってみました。
すると――ものすごい疲労感がずーんと押し寄せてきたのです。

カフェインを抜く、いわゆるカフェインデトックスでここまで来るとは思いませんでした。
普段、交感神経を刺激して「戦闘モード」に入っている分、リラックス状態になると一気に疲労を感じやすくなるのですね。

実際、当社のスタッフの中にも「休日になると風邪をひきやすい」という方がいます。
これもまさに、緊張状態から解放されるタイミングで、体が休息モードに切り替わる影響かもしれません。

授乳中の方が飲む「カフェインレスコーヒー」

さて、コーヒーで「元気をチャージしたい!」という方は多いと思いますが、中にはカフェインを控えなければならない方もいます。
その代表が授乳中の方です。

そのため、赤ちゃん用品コーナーなどには「カフェインレスコーヒー」や「ノンカフェイン飲料」が多く並んでいます。
その中の一つに、「タンポポコーヒー」というものがあります。

おそらく耳にしたことがある方もいらっしゃると思います。
「お乳の出をよくする」と言われることもあり、実際に私の妻も授乳期に飲んでいました。
確かに、香ばしくてコーヒーのような味わいがありました。

タンポポコーヒーとヒ素の関係

そんなこともすっかり忘れていたある日。
いつものようにミネラル検査の結果を解説していたところ、ある受検者様のヒ素(As)の値が高めに出ていました。
「ん?こんなに高いのは珍しいな」と思い、食生活を詳しく伺いました。

玄米かな?とも考えたのですが、同じ食事をされているご主人様の検査結果は標準。
「ご本人だけが摂っているもの」があるのでは、と確認したところ、そこにタンポポコーヒーがありました。

気になって文献を調べてみると、こちらの論文に行き着きました。

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10894182

この論文では、タンポポの根に含まれるヒ素について報告されており、平均で2.68 mg/kgという数値が示されています。
参考までに、私たちが日常的に食べる「米」のヒ素濃度はおよそ0.2 mg/kg(ら・べるびぃ調べ)
つまり、米の約10倍の濃度ということになります。

※米は日本人における無機ヒ素の最大の曝露源と考えられています。

タンポポの根は、土壌中のヒ素を取り込みやすい性質をもっているようです。
「体にいいと思って飲んでいたものが、実は…」という可能性も否定できません。

ヒ素はごく低濃度でも胎児や乳児に影響を及ぼす可能性があることが知られています。
こちらの記事にも詳しくまとめています。

実際に調べてみます

というわけで、気になって私も市販のタンポポコーヒーを数種類購入しました。

これらのヒ素含有量を、実際に分析してみたいと思います。

どんな結果が出るのか——。
改めてご報告いたします。

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