エルゴチオネイン -記憶力・注意力、抗酸化、アスリートにも注目される成分-

「最近、人の名前がすぐに出てこない」

「集中力が続かなくなった気がする」

「運動後のコンディションが気になる」

そんな方に、近年注目されている成分があります。

それがエルゴチオネインです。

エルゴチオネインは、キノコ類などに含まれる天然の含硫アミノ酸の一種。人間の体内では合成できないため、食事などから摂取する必要があります。

そして現在、エルゴチオネインは、「抗酸化」「脳の健康」「記憶力・学習能力」「注意力」「運動・コンディショニング」といった幅広いテーマで研究が進められています。

今回は、エルゴチオネインがなぜ注目されているのか、中高年とアスリート、それぞれの視点から見ていきましょう。

エルゴチオネインが注目される理由

エルゴチオネインの大きな特徴のひとつが、体内に取り込むための専用の輸送体「OCTN1」が存在することです。

人間はエルゴチオネインを自分で作ることができません。

それにもかかわらず、私たちの体にはエルゴチオネインを取り込む仕組みが備わっています。

エルゴチオネインはOCTN1を介して体内に取り込まれ、特に酸化ストレスの影響を受けやすい組織などに存在することが研究されています。

その中でも注目されているのがです。

エルゴチオネインには抗酸化作用や抗炎症作用などが報告されており、脳を含むさまざまな組織を酸化ストレスから守る働きが研究されています。

「抗酸化」がなぜ大切なの?

私たちの体では、呼吸をしてエネルギーを作る過程などで、活性酸素を含む酸化ストレスが発生します。

活性酸素は、決して「悪いもの」だけではありません。

免疫など、体にとって必要な役割もあります。

しかし、酸化ストレスが過剰になれば、細胞や生体分子にダメージを与える可能性があります。

そこで重要になるのが、体内に備わっている抗酸化システムです。

エルゴチオネインは、この酸化ストレスに対抗する抗酸化成分のひとつとして研究されています。

2025年のシステマティックレビューでは、エルゴチオネインと認知機能・加齢関連の神経疾患について19件の研究を検討し、抗酸化作用、抗炎症作用、神経保護などが認知機能との関係で議論されています。

つまりエルゴチオネインは、酸化ストレスから体を守る仕組みを考えるという視点で注目されている成分なのです。

中高年が気になる「記憶力」とエルゴチオネイン

年齢を重ねると、

「人の名前が思い出せない」

「何をしようとしていたか忘れてしまう」

「以前より物覚えが悪くなった気がする」

など、記憶力について気になる場面が増えてきます。

もちろん、こうした変化には年齢、睡眠、運動、ストレス、生活習慣など、さまざまな要因が関係します。

その中で現在研究されているのが、エルゴチオネインと認知機能の関係です。

エルゴチオネインは脳に取り込まれることが知られており、抗酸化・抗炎症作用や神経保護などを通じて、脳の健康に関係する可能性が研究されています。

ヒトを対象にした研究でも「記憶・学習」が検討されている

エルゴチオネインについて興味深いのが、動物実験だけではなく、ヒトを対象とした研究も行われていることです。

2024年に発表された二重盲検・ランダム化・プラセボ対照試験では、60歳以上で軽度認知障害のある19人を対象に、エルゴチオネインの摂取が1年間調べられました。

その結果、エルゴチオネインを摂取したグループでは、学習・記憶に関する検査の成績が改善し、神経損傷の指標として研究されているニューロフィラメント軽鎖(NfL)の血中濃度も安定していました。

これは非常に興味深い結果です。

ただし、参加者は19人と少なく、対象も軽度認知障害のある高齢者です。

そのため、「エルゴチオネインを摂れば記憶力が向上する」と一般化することはできません。

現時点では、「エルゴチオネインと記憶・学習能力の関係について、ヒトでも研究が進んでいる」

と捉えるのが適切でしょう。

「記憶力」だけではない。注意力にも注目

私たちの認知機能は、記憶だけで成り立っているわけではありません。

何かを見る。

注意を向ける。

情報を処理する。

記憶する。

必要なときに思い出す。

このように、さまざまな能力が組み合わさっています。

特に中高年になると、記憶力だけでなく、「集中できる」「注意を持続できる」という能力も日常生活では重要です。

そして、日本ではすでに、エルゴチオネインを機能性関与成分とする機能性表示食品が届け出られています。

エルゴチオネインについて、中高年の方の記憶力及び注意力を維持する機能を表示する届出もあります。

これは、エルゴチオネインが「記憶力・注意力」という観点でも研究されてきたことを示す、ひとつの例といえるでしょう。

ただし、機能性表示食品は、事業者が科学的根拠などを消費者庁に届け出る制度であり、国が個別の商品について効果を審査・認定する特定保健用食品(トクホ)とは制度が異なります。

では、アスリートには?

エルゴチオネインは、運動との関係についても研究されています。

運動すると、筋肉は大量のエネルギーを使います。

特に長時間の運動や高強度のトレーニングでは酸素消費量が増え、それに伴って酸化ストレスや炎症反応も生じます。

しかし、酸化ストレス=悪というわけではありません。

運動による適度なストレスは、身体がトレーニングに適応していくためにも重要です。

そのためアスリートにとって大切なのは、酸化ストレスを全部なくすことではなく、運動による負荷と、身体の抗酸化・回復システムのバランスと考えることができます。

エルゴチオネインと運動パフォーマンス

エルゴチオネインについては、運動パフォーマンスや筋肉の回復との関係も研究されています。

2022年の動物実験では、エルゴチオネインを摂取したマウスで、疲労困憊までの走行時間が延長し、運動後の酸化ダメージや炎症関連の指標が低下しました。

ただし、これはマウスを使った研究です。

人間のアスリートにそのまま当てはめることはできません。

2025年のレビューでも、エルゴチオネインは運動による酸化ストレスや回復をサポートする可能性が検討されていますが、運動能力を高める効果については、まだ十分な証拠がないとされています。

つまり、エルゴチオネインを摂れば速く走れるという段階ではありません。

しかし、運動によって生じる酸化ストレスや身体のコンディショニングという観点では、今後の研究が期待される成分です。

アスリートは「筋肉」だけを使っているわけではない

ここが、エルゴチオネインとスポーツを考えるうえで面白いポイントです。

アスリートは、筋肉だけで競技しているわけではありません。

見る。判断する。集中する。反応する。そして、身体を動かす。

特に球技や格闘技、モータースポーツなどでは、瞬間的な判断や注意力がパフォーマンスに大きく関わります。

さらに、ランニングのような持久系競技でも、長時間の運動中に集中力を維持することは重要です。

つまり、アスリートにとって「脳」も重要なコンディショニング対象と考えることができます。

2026年のレビューでは、エルゴチオネインと運動について、酸化ストレス、ミトコンドリア機能、神経保護、認知機能などの観点から今後の研究が検討されています。

一方で、現時点ではエルゴチオネインと運動を組み合わせた場合の認知機能への効果を直接調べた研究はまだありません

ここは、今後の研究に期待したいところです。

中高年とアスリートに共通する「コンディショニング」

ここまで読むと、中高年の記憶力アスリートの運動は、まったく違う話に見えるかもしれません。

しかし、共通するキーワードがあります。

それが、「コンディショニング」です。

年齢を重ねれば、脳を含めた身体のコンディションを維持することが大切になります。

一方、アスリートはトレーニングによって身体に負荷をかけ、その後の回復やコンディションを整えていく必要があります。

その両方に関係するのが、酸化ストレスと、それに対する身体の防御システムです。

エルゴチオネインは、抗酸化・抗炎症、脳の健康、認知機能、そして運動との関係など、さまざまな角度から研究されている成分です。

エルゴチオネインは「魔法の成分」ではない

エルゴチオネインには、非常に興味深い研究があります。

しかし、

「飲めば記憶力が上がる」

「飲めば集中力がアップする」

「飲めば運動能力が上がる」

と単純に考えることはできません。

現在の研究から分かっていることと、まだ分かっていないことを分けて考えることが大切です。

現時点で注目されているのは、

  • 抗酸化・細胞保護との関係
  • 脳への取り込み
  • 記憶・学習との関係
  • 注意力との関係
  • 加齢に伴う認知機能との関係
  • 運動による酸化ストレスとの関係
  • 運動後の回復との関係

などです。

そして日本では、エルゴチオネインを機能性関与成分とした機能性表示食品も届け出られています。

だからこそエルゴチオネインは、何かを劇的に変える成分ではなく、毎日のコンディションを考えるときに知っておきたい成分として注目してみる価値があるのではないでしょうか。

食事、睡眠、運動を基本にしながら、必要に応じて栄養を補う。

その選択肢のひとつとして、エルゴチオネインを取り入れてみる。

これからさらに研究が進むことが期待される成分です。

エルゴチオネインを試してみたいなら

そんなエルゴチオネイン含有サプリメント「まるごとタモギタケ」

タブレットタイプで飲み込むものですが、なめてみると旨味があります。

ガリガリと食べると濃いだしの素のような味です。

さすがきのこ。

このまま顆粒にして振りかけても美味しそうです。

※きのこが苦手なスタッフにはNGでした。

ご興味があればぜひこちらからどうぞ。

参考文献

Yau YF, et al. Investigating the efficacy of ergothioneine to delay cognitive decline in mild cognitively impaired subjects: A pilot study. Journal of Alzheimer’s Disease. 2024.

The role of Ergothioneine in cognition and age-related neurodegenerative disease: a systematic review. Inflammopharmacology. 2025.

Fovet T, et al. Ergothioneine Improves Aerobic Performance Without Any Negative Effect on Early Muscle Recovery Signaling in Response to Acute Exercise. 2022.

Anserine, Balenine, and Ergothioneine: Impact of Histidine-Containing Compounds on Exercise Performance. 2025.

Wazny VK, et al.Ergothioneine and exercise: A match made in cognitive heaven? Ageing Research Reviews. 2026.

消費者庁「機能性表示食品について」

玄米のヒ素、リベンジ実験!

以前、当研究所で「玄米をゆでこぼすと、ヒ素はどのくらい減るのか?」という実験を行いました。

……ところが、後から大きな事実が判明。

なんと、「玄米」だと思って実験していたお米が、実は「3分づき米」だったのです。

これは悔しい……。

ということで今回は、改めて本物の玄米を使ってリベンジ実験を行いました。

果たして、玄米をゆでることで、どのくらいヒ素が溶出するのでしょうか?

今回の実験方法

玄米約1.0gに超純水15mLを加え、加熱しながら、ゆで汁に溶け出すヒ素の量を調べました。

実験の手順は以下のとおりです。

  1. 約1.0gの玄米を15mLのPP容器に入れ、超純水15mLを添加
  2. 30分かけて昇温し、95℃に到達後、0分・5分・10分・15分の時点でゆで汁をそれぞれ3mL採取
  3. 採取したゆで汁に高純度硝酸を添加し、酸性条件に調整
  4. 3,000rpmで10分間遠心分離
  5. 上澄み液をICP-MSで測定

そして、ゆで汁に含まれるヒ素濃度を測定しました。

加熱時間が長くなるほど、ヒ素の溶出量が増加

測定結果はこちらです。

加熱時間(95℃に達してから)ヒ素濃度(Ave)㎍/L
0分後5.5
5分後6.7
10分後9.0
15分後11.1

ご覧のとおり、加熱時間が長くなるにつれて、ゆで汁中のヒ素濃度が上昇しました。

特に95℃で加熱してから15分後には、ヒ素濃度が11.1まで上昇しています。

つまり、玄米を加熱することで、玄米に含まれていたヒ素の一部がゆで汁へ移行していることが確認できました。

では、玄米からどのくらいヒ素が出ていった?

さらに、ゆで汁を採取するたびに残存する液量とヒ素量を計算し、玄米から溶出したと考えられるヒ素量を算出しました。

今回の計算では、玄米に含まれていたヒ素は平均165ng/gでした。

その結果……

加熱時間(95℃に達してから)溶出したと考えられる割合
0分後約50%
5分後約59%
10分後約71%
15分後約79%

なんと、95℃で15分間加熱した時点で、計算上は玄米に含まれるヒ素の約8割がゆで汁側へ移行したという結果になりました。

これはすごい……!

もちろん、ここでいう「約8割」は、今回の実験条件と測定値から算出した理論上の値です。

実際の調理では、水の量や玄米の状態、加熱条件などによって結果は変わると考えられます。

また、今回の実験は「玄米を食べるとヒ素の8割を除去できる」ということを直接示すものではなく、玄米を加熱することで、ヒ素がゆで汁へ移行すること、その移行量を今回の条件で推定したものです。

「白米でやったら?」という疑問

ここまで読んで、

「じゃあ、白米でも同じ実験をやったら?」

と思われる方もいるかもしれません。

もちろん、白米でもヒ素の溶出を調べることはできますが、15分やってしまったら炊けてしまいます。。。

そのため、今回のような実験は、炊飯に時間のかかる玄米だからこそ観察しやすい実験ともいえます。

今度こそ「玄米」でリベンジ達成!

前回は「玄米の実験」のつもりが、まさかの3分づき米。

今回はきちんと玄米を確認して、改めて実験を行いました。

そして結果は、玄米からヒ素がしっかりとゆで汁へ溶出することを確認。

さらに、今回の条件では、15分間の加熱によって計算上、約79%(約8割)のヒ素がゆで汁側へ移行したという結果になりました。

今度こそ……

玄米でリベンジ、達成です!

あー、よかった。

こうした実験を通して、普段何気なく食べている食品に「どんな成分が含まれているのか」「調理によって成分がどう変化するのか」を、実際の測定データから見ていくのも面白いですね。

今後も、身近な食品や水などに含まれるミネラル・元素について、実際に分析しながらご紹介していきたいと思います。

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古い和本に残された「毛髪」が、江戸の食生活を語る――毛髪ミネラル検査から見えてくる、身体と暮らしの記録

「髪の毛から、過去の身体の状態がわかる」

毛髪は、血液のように「その瞬間」の状態を見る検体とは異なり、伸ばしていく過程でミネラルなどの情報を取り込みながら、一定期間の傾向を残していく特徴があります。弊社の毛髪ミネラル検査でも、毛髪に含まれるミネラルや有害金属を測定し、数か月単位の栄養状態や曝露の傾向を把握することに役立てています。

そんな「毛髪に残された過去の情報」が、なんと江戸時代から明治時代の人々の暮らしを知る手がかりにもなっていた――。

2026年8月、龍谷大学などの研究グループが、古い和本の表紙に漉き込まれていた毛髪を分析し、当時の都市庶民の食生活や生活環境を復元した研究を発表しました。国際学術誌『Scientific Reports』に掲載された、非常に興味深い論文です。

「古い本」が、なぜ毛髪を保存していたのか?

今回注目されたのは、江戸時代から明治時代にかけて作られた「和本」です。

当時の和本の表紙には、古紙などを原料とした再生厚紙が使われていました。そして、その紙を作る工程で、人の毛髪が偶然混ざり込んでいたのです。

研究グループは、龍谷大学大宮図書館の蔵書を中心に約7万冊の古い和本を調査。そのうち約400部から毛髪試料を収集し、元素分析や安定同位体分析を行いました。

さらに和本には、出版地や年代を示す「刊記」が残っているものがあります。

  • 「いつ・どこで作られた本なのか」が特定できる
  • その本に残された毛髪を調べることで「その時代、その地域で暮らしていた人々の食や環境」を推定できる

まさに、毛髪を内包した「暮らしのタイムカプセル」といえます。

江戸の庶民は「質素な食事」? ミネラルから見えた意外な事実

研究から見えてきたのは、江戸から明治にかけての都市庶民の食生活です。

同位体分析からは、食生活が米などのC3植物と海産魚を中心としており、時代が進むにつれて米への依存や海産魚の利用が増えていったことが示されました。

「米と魚が中心の質素な食生活だったのでは?」と思われがちですが、毛髪中の元素を調べてみると意外な結果が出ました。

歴史時代の毛髪からは、現代の都市住民と比較して、カルシウム(Ca)、鉄(Fe)、銅(Cu)、カリウム(K)、マンガン(Mn)など、複数の元素濃度が高い傾向が確認されたのです。

「食材の種類が多い=必ずしもミネラルが豊富」とは限らない。この事実は、現代の私たちにとっても深い示唆を与えてくれます。精白度の低い米や海産物、当時の調理法や加工・保存方法などが、ミネラルの供給や利用可能性に関係していたと考えられます。

「食べたもの」だけでなく「暮らしの痕跡」まで読み解く

今回の研究が特に面白いのは、毛髪から読み取れるのが単純な「栄養状態」にとどまらない点です。

例えば、歴史時代の毛髪では塩素(Cl)鉛(Pb)も高く検出されました。

  • 塩素:冷蔵庫がなかった時代、塩蔵による食品保存が一般的だった背景を反映
  • :当時使われていた「白粉(おしろい)」など、日常生活での曝露が要因として推察

毛髪を残された元素から分析することで、「何を食べたか」だけでなく、食品の保存法や調理器具、生活用品に至るまで、当時の「暮らしそのもの」に迫ることができるのです。

論文では、このように本の中に保存された生体情報を分析する学問的アプローチを「libraromics(ライブラロミクス)」と紹介しています。本そのものが生物学的なアーカイブになり得るという、実に刺激的な概念です。

過去と現代をつなぐ「毛髪の記録性」

毛髪は1か月に約1cmという安定したペースで伸び、その過程で成分を取り込んでいきます。そのため、血液検査とは異なり、一定期間にわたる傾向(履歴)を見やすいという特徴があります。

もちろん、何百年も前の毛髪から歴史を紐解く学術研究と、現在の健康管理を目的とした毛髪ミネラル検査は、アプローチも目的も異なります。

しかし共通しているのは、「毛髪には、過去の暮らしに関する情報が静かに記録されている」という事実です。

毛髪は、身体内部の出来事を完璧に写し出す魔法の媒体ではありません。元素濃度は食事量だけに比例するわけではなく、代謝や外部曝露など多様な要因が絡み合います。だからこそ、毛髪のデータだけでなく、食文化や歴史的背景と組み合わせて解釈することが重要になります。

これは、現代の毛髪ミネラル検査にもまったく同じことが言えます。数値だけに囚われるのではなく、日々の食事内容や生活環境と照らし合わせながら活用することにこそ、本当の価値があります。

「今の自分」を知るために、過去の積み重ねを振りかえる

今回の研究は、「昔の食事の方が健康的だった」と単純に結論づけるものではありません(鉛の曝露や塩分の高さなど、注意すべき点もあります)。

重要なのは、「私たちの毎日の積み重ねが、毛髪という身近な組織にひとつの『履歴』として残っていく」という視点です。

食べたもの、生活環境、日々の習慣。それらが自分の身体にどう影響しているのか。

毛髪ミネラル検査は病気を診断するものではありませんが、数か月単位の体の傾向を映し出し、自身の食生活や生活環境を客観的に見直すきっかけになります。

何百年前の和本に閉じ込められた一本の毛髪が、当時の人々の生き生きとした暮らしを教えてくれたように。あなたの髪もまた、今日までのあなたの生活を静かに記録しています。

「過去の自分」を振り返り、これからの健康をつくるための小さなタイムカプセルとして、一度ご自身の毛髪ミネラルバランスに目を向けてみてはいかがでしょうか。

参考文献

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塗るマグネシウムクリーム 3本使い切ってみた

「ミネラル、足りていますか?」

そう聞かれて、すぐに答えられる人はどれくらいいるでしょうか。

そもそも私は、「ミネラル不足」という言葉を見るたびに、少し不思議な気持ちになります。

ミネラルって、全部ひとまとめで考えていいの?

という疑問です。

ミネラルにはいろいろな種類があります。

普段の食事で比較的摂れているものもあれば、摂りすぎに注意したいものもある。そして、食生活によっては不足しやすいものもあります。

だから「ミネラルが足りない」ではなく、

「何のミネラルが足りないの?」

と考えることが大切だと思っています。

私が注目しているのがマグネシウム

マグネシウムは、体内で300種類以上の酵素反応に関わる重要なミネラルです。

エネルギー産生にも関わりますし、筋肉や神経の正常な働きにも関係しています。

特に私の場合、ランニングをします。走る。汗をかく。そして、脚が疲れる。

そんな生活をしていると、マグネシウムなどのミネラルが気になってきます。

そこで試してみたのが、「塗るマグネシウムクリーム」です。

本当に「塗る」だけ?

今回使ったのは、塩化マグネシウムを20%配合したクリーム。

最初に使ったときの感想は、

おお……クリームだ、でした。当たり前です(笑)。

普段、あまりクリームを使わないので、塗った直後の

「ぬるぬるする!」

という感覚が気になりましたが、使っているうちに慣れてきました。

そして、私が使ったのは1本ではありません。

3本です。

せっかくなので、しばらく使い続けてみることにしました。

ランニング後に使ってみた

私の場合、使うタイミングは主にランニング後。

走った後って、脚に独特の疲労感があります。

そして、何度も走っていると、

「今日はちょっと脚が張っているな」

とか、

「このままいくと攣りそうだな」

という感覚が分かるようになってきます。

そんなときに、マグネシウムクリームを塗ってみました。

すると……

なんとなく、落ち着く。

これが正直な感想でした。

疲労感がスーッと抜けていくような感じ。

「お、これはいいかも」

と思いました。

ただし、ここは大事なので言っておきます。

これは、あくまで私自身の「感覚」です。

マグネシウムクリームを塗ったら筋肉の疲労が取れる、と科学的に確認したわけではありません。

「効いた!」と断言するつもりもありません。

だからこそ、3本使い切ってみました。

そして、血液も調べてみた

せっかく、ら・べるびぃ予防医学研究所です。

「塗ったら本当にマグネシウムが増えるの?」

これは一度、調べてみたくなります。

そこで、塗る前と、使った後で、血液中のマグネシウムを分析してみました。

結果は……あまり変わりませんでした。

「え? じゃあダメじゃん」

と思った方。

ちょっと待ってください。

血液中のマグネシウムは、そんな簡単には動かない

医学博士にこの結果を確認してみました。

すると、

「血液中のマグネシウムは恒常性が保たれているから、そう簡単に変化しない。むしろ、何かを塗っただけで血液中の濃度が大きく変わったら、それはそれで怖い」

という話でした。

なるほど。考えてみれば、身体は血液中のミネラル濃度を一定に保とうとします。

実際、体内にあるマグネシウムのうち、血清中に存在するのは1%未満。血清Mgはかなり厳密に調節されています。

つまり、

「血液中のマグネシウムが変わらなかった=マグネシウムクリームに意味がない」

とは、単純には言えません。

そもそも血液中のマグネシウムだけでは、体内のマグネシウム状態をすべて評価することもできません。

じゃあ、3本使ってどうだった?

ここからは、完全に私個人の感想です。

私の場合は、

「攣りそうだな」

と感じたときに塗る。

これが一番しっくりきました。

そして、塗った後に、

「なんとなく落ち着く」

という感覚がある。

だから、3本使い切った今の私なら、

「ランニングやスポーツをする人が、セルフケアのひとつとして使ってみるのはアリ」

だと思っています。

ただし、ここは繰り返します。

今回は、あくまで私自身の体感です。

マグネシウムが筋肉の働きに関係することはよく知られていますが、マグネシウム補給による「こむら返り予防」そのものについては、研究結果が一貫しているわけではありません。特に運動に伴う筋痙攣については、十分な臨床試験がありません。

だから私は、

「これを塗れば攣らない!」

とは言いません。

でも、

「攣りそうになる前の、自分なりのケアとして使ってみる」

というのは、面白い使い方だと思います。

今回、3本使い切ってみて改めて思ったのは、個人的には、かなり気に入りました。

ランニングやスポーツをされる方。

脚のケアを大切にしている方。

マグネシウムを毎日の生活に取り入れてみたい方。

気になる方は、ぜひ一度チェックしてみてください。

塗るマグネシウムクリーム NuRuMg – ヌルマグ-

※本記事は、筆者個人の使用感・体験を紹介するものであり、製品の効果を保証するものではありません。

水素水っていいの?

「水素水って、何がいいんですか?」

水素水について、こんな疑問を持たれる方は多いのではないでしょうか。

私自身も、水素水を飲んだからといって、すぐに何か変化を感じるものではないと思っています。

そんな中、10年以上水素水を愛用されている方から、こんな話を聞きました。

「お風呂上がりに、水素水を顔や体につけてみて。乾いたあと、肌がツルツル、スベスベになるから」

半信半疑で実際に試してみたところ、確かに肌がモチモチ、スベスベしたように感じました。

もちろん、これはあくまで私自身の体験です。

ただ、「飲むだけでは分かりにくいけれど、こういう使い方もあるのか」と、水素水に興味を持つきっかけになりました。

水素水と「酸化」の関係

私たちの体では、呼吸やエネルギーをつくる過程などで活性酸素が生じます。

運動も健康維持には大切ですが、運動量が増えると活性酸素の産生も増えることがあります。

いわゆる「体のサビ」という表現で説明されることもありますね。

水素水については、水素分子が活性酸素などに関係する酸化ストレスに影響する可能性について、さまざまな研究が行われています。

ただし、「水素水を飲めば体内の活性酸素がすべてなくなる」というような単純な話ではありません。

水素水について考えるときは、こうした点も含めて、冷静に見ていく必要があると思います。

実際に水素水を測ってみました

久しぶりに、以前使用していた水素水の機器で水を測定してみました。

測定した水素水の酸化還元電位(ORP)は、

-550~-600mV程度という値でした。

一方、私たちが測定した水道水では、+90mV程度でした。

ORPは、物質が酸化されやすいか、還元されやすいかを見る指標の一つです。

一般的には、ORPが低いほど「還元性が高い」と考えられます。

ただし、ORPの数値が低いこと=そのまま健康効果が証明される、という意味ではありません。

ここは、水素水を考えるうえで大切なポイントだと思います。

「水素水ならクギが錆びない」という実験も

水道水と水素水をコップに入れ、それぞれにクギを入れて錆び方を比較する、といった実験を見かけることがあります。

酸化還元の違いを目で見て確認するという意味では、非常に分かりやすい実験です。

ただ、これも「クギが錆びないから、人の体でも同じ効果がある」と直接結びつけることはできません。

水素水の性質を理解するための一つの実験として見るのがよいでしょう。

夏は「水素水麦茶」という使い方も

水素水を日常的に利用している方から、面白い使い方も教えてもらいました。

夏場はポットに麦茶パックを入れて、水素水で麦茶を作るそうです。

毎日飲む水を水素水にすることで、特別なことをしなくても取り入れられる、という考え方ですね。

こうした「無理なく続けられる使い方」というのも、水素水を利用するうえでは大切なのかもしれません。

ペットにも水素水?

水素水をペットの飲み水として利用されている飼い主さんから、お話を聞いたこともあります。

「いつの間にか毛ツヤが良くなった」

「皮膚のコンディションが以前より気にならなくなった」

など、変化を感じているというお話でした。

ただし、こちらも飼い主さんから伺った体験談です。

水素水を飲んだからこうなった、と医学的に断定できるものではありません。

ペットの健康状態には、食事や年齢、生活環境など、さまざまな要因が関係します。

それでも、実際に利用されている方からこうした声を聞くと、「どんな水を飲ませるか」ということを考えるきっかけにはなります。

水素は「抜けやすい」という特徴があります

水素水を扱ううえで、知っておきたいのが水素は水から抜けやすいということです。

そのため、水素水は作った後の保存方法や容器、機器の性能などによって、飲むときの水素濃度が変わる可能性があります。

市販の水素水には「溶存水素濃度○ppm」と表示されているものがあります。

しかし、表示されている数値が「製造時」なのか、「開封時」なのか、「実際に飲む時点」なのかによって意味が変わってきます。

例えば、仮に1.0ppmと表示されていても、開封後に水素が抜ければ、実際に飲む時点ではそれより低くなっている可能性があります。

私たちが水素水について調べる際には、水素水溶存測定器や試薬などを使って、実際の水を測定してみることもあります。

「表示されている数値」だけでなく、「実際に飲むときにはどうなっているのか」を確認することも大切だと考えています。

水素水を選ぶなら「濃度」だけではなく「飲む時」を見る

水素水を選ぶ際には、

「何ppm入っているか」

だけを見るのではなく、

「実際に飲むときに、どのくらい水素が残っているのか」

という視点も大切です。

また、水素の濃度だけで健康効果を判断することもできません。

どのような機器なのか、どのように水素を発生させるのか、作った水をどのように保存するのか。

こうした点を総合的に見て選ぶことをおすすめします。

私たちが水素水を扱う理由

ここまで書いてきたことの多くは、私自身が実際に使ったり、測定したり、利用されている方からお話を伺ったりする中で感じてきたことです。

水素水については、期待されていることがある一方で、まだ研究途上の部分もあります。

だからこそ、「絶対に健康にいい」と決めつけるのではなく、

実際に測ってみる。
仕組みを知る。
自分で使ってみる。

という姿勢が大切だと思っています。

ら・べるびぃ予防医学研究所には、水素水について詳しい研究員も在籍しています。

その経験や知識をもとに、私たちが実際に確認した水素水関連機器についてもご案内しています。

「水素水を試してみたいけれど、どんな機器を選べばいいのか分からない」

「購入したけれど、使い方やお手入れ方法が分からない」

「機器の調子がおかしいとき、どこに相談したらいいの?」

そんな場合にも、これまでの経験をもとにサポートしています。

詳細はこちらをご覧ください。

ルルド 高濃度水素水生成器

腸内フローラ検査、まさかの「E判定」でした。

「E判定」

この文字を見た瞬間、頭の中に浮かんだのは…

「Eって、一番Excellentってこと?」

……いやいや、そんなわけありません。

今回、当社で取り扱いを始めた腸内フローラ検査「ChatFLORA G」を、自分の体で試してみました。

結果が出るまで数週間。

「まあ、そこそこじゃないかな。」
「少し改善点があるくらいかな。」

そんなことを考えながら、恐る恐る結果を開いてみると…

E判定。

……

……

がーーーーーーーん!!

さすがに一瞬固まりました。

「え、そんなに悪いの?」

実は腸内環境にはそこまで自信があったわけではありません。

とはいえ、ここまで悪い結果が出るとは思っていなかったので、正直びっくりしました。

でも、不思議とショックではありませんでした。

なぜなら、ちゃんと理由に心当たりがあったからです。

実は抗生物質を飲んでいました

検査を受けたタイミングで、ちょうど気管支炎になってしまい、抗生物質を服用していました。

そこでふと思ったのです。

「抗生物質を飲んでいる最中に腸内フローラ検査をしたら、どうなるんだろう?」

完全に興味本位でした。

もちろん、服用前のデータがないので厳密な比較はできません。

それでも結果は…

見事なくらい悪い。

ここまで潔く悪いと、逆に笑えてきます。

さすが抗生物質。

病原菌を退治してくれる頼もしい薬ですが、その一方で腸内細菌にも少なからず影響を与えることが知られています。

「根こそぎやっつけたのでは…?」

と思ってしまうくらい、見事なE判定でした。

むしろ検査への信頼が高まりました

今回の結果を見て感じたのは、

「ちゃんと体の状態を反映しているんだな。」

ということです。

もちろん、この1回だけで断定はできません。

それでも、抗生物質という明確な要因があるタイミングで予想どおり悪い結果が出たことで、検査への信頼感はむしろ高まりました。

今度は抗生物質の服用を終え、腸内環境が落ち着いた頃にもう一度検査してみようと思っています。

果たしてどこまで回復しているのか。

個人的にも、とても楽しみです。

腸内環境は「見えない」からこそ調べる価値があります

腸内細菌は、食事や睡眠、ストレスだけでなく、薬の服用などによっても大きく変化します。

「なんとなく調子がいい」
「なんとなく悪い」

ではなく、一度自分の腸内環境をデータで見てみると、新しい発見があるかもしれません。

腸内フローラ検査「ChatFLORA G」のご案内

当社では、腸内フローラ検査 「ChatFLORA G」 を販売を開始しました。

現在、通常価格より6,000円引きでご提供中です。

「自分の腸内環境って実際どうなんだろう?」

そんな方は、この機会にぜひ一度検査を受けてみてください。

もしかすると私のように、予想外の結果が待っているかもしれません。

……できればE判定ではありませんように。

こちらからお申込みいただけます。

ゲリラ豪雨を採取して、本気でミネラル分析してみました。

先日、突然のゲリラ豪雨。

「あっ、雨だ。」

普通の人なら洗濯物を取り込むところですが、

「サンプル採らなきゃ!!」

慌てて容器を持って外へ飛び出しました。

その時の様子はこちらです。

実はリベンジだったんです

「なんでそんなことを?」

実は以前、台風(チャンミー)が来たときにも雨を採取しようとしたことがありました。

ところが…。

ビーカーを置いて雨水をためようと思っていたら、ビーカーが無くなっておりました。。。

今回は、そのリベンジ、何がなんでも集めてやらねばと。

……目的はもちろん雨水のミネラル分析です。

まずはpHを測定

採取した雨水のpHを測定すると、約5でした。

現在、日本の酸性雨調査では全国平均がおおよそこのくらいと報告されており、今回の結果もその範囲に収まりました。

一方で、約5年前に採取した台風の雨水はpH6前後でした。

なぜ違うのでしょうか。

考えてみると、今回のゲリラ豪雨は降り始めに採取しています。

一方、5年前は雨が降り始めてからしばらく経ってから採取しました。

雨は降り始めと降り続いた後では大気中の物質の取り込み方が変わることが知られているため、その影響があったのかもしれません。

もちろん、天候や場所などさまざまな要因があるので、今回だけで結論は出せませんが、とても興味深い結果でした。

いよいよミネラル分析

続いて、ICP-MSでミネラルを分析しました。

今回はイメージしやすいように、一般的な水道水と比較してみます。

硬度

水道水(全国平均):約46 mg/L

ゲリラ豪雨0.4 mg/L

なんと、

100分の1以下。

まさに超・超軟水でした。

「軟水」というレベルではなく、ミネラルがほとんど含まれていない水と言ってもよいくらいです。

ほとんどの元素が非常に少ない

カルシウムやマグネシウムをはじめ、多くの元素は水道水よりかなり低い値でした。

一方で、比較的水道水との差が小さかったのはマンガンです。

実は水道水では、鉄やマンガンは浄水処理によって取り除かれています。

そのため、この結果を見たときは、

「なるほど、そういうことか。」

と納得しました。

雨はとてもきれいな水…とは限らない

今回の分析では、雨水は非常にミネラルが少ないことが分かりました。

ただし、「ミネラルが少ない=安全」「雨は純水だから飲める」という意味ではありません。

雨は降る過程で大気中のさまざまな物質を取り込みますし、採取方法や環境によっても成分は変化します。

だからこそ、実際に分析して確かめることが大切です。

これからも面白そうなサンプルを見つけたら、どんどん分析していきたいと思います。

水の検査にご興味があればぜひおうち水ミネラル検査。

【お酒の飲みすぎに注意】アルコールが「体内の鉄バランス」を乱す?意外と知られていない鉄過剰のリスク

「鉄分=不足すると貧血になる栄養素」というイメージをお持ちの方は多いのではないでしょうか。

確かに鉄は健康維持に欠かせない必須ミネラルですが、実は不足しても過剰になっても体に悪影響を及ぼすことが知られています。

近年では、習慣的な飲酒が体内の鉄を調節する仕組みを乱し、体内に鉄が溜まりやすくなる可能性が報告されています。

今回は、国立がん研究センターなどによる大規模疫学研究(JPHC研究)をもとに、鉄の役割や過剰蓄積のリスク、そしてアルコールとの意外な関係について解説します。

1.鉄は体の中でどんな働きをしている?

鉄は、私たちの生命維持に欠かせない必須ミネラルです。主な働きには次のようなものがあります。

  • 酸素を全身へ運ぶ: 赤血球に含まれるヘモグロビンの材料となり、肺で取り込んだ酸素を全身へ届けます。
  • エネルギーを作る: 細胞内でエネルギー(ATP)を産生する酵素の働きをサポートします。
  • 体や脳の機能を支える: コラーゲンの合成や神経伝達物質の産生に関わり、皮膚、骨、脳の健康維持を支えています。

このように、鉄は日々の活動を裏で支える重要な存在です。

2.実は「多すぎても危険」な鉄

鉄不足による貧血は有名ですが、実は鉄が体内に過剰に蓄積することも健康上のリスクとなります。

人間の体には、増えすぎた鉄を積極的に排出する仕組みがほとんどありません。そのため、必要以上に吸収された鉄は、主に肝臓などに溜まりやすい性質があります。

鉄過剰が引き起こす「酸化ストレス」

体内の余分な鉄(遊離鉄)は、体内の過酸化水素などと反応し、「ヒドロキシラジカル」と呼ばれる非常に攻撃力の強い活性酸素を生み出します(フェントン反応)。

この強力な酸化ストレスによって、以下のようなリスクが生じることが指摘されています。

  • DNAや細胞の損傷: 長期的にはがんのリスクとの関連が指摘されています。
  • 肝臓への負担: 鉄が蓄積することで、脂肪肝や肝硬変などへの影響が懸念されます。
  • 糖尿病リスクの上昇: 膵臓の細胞がダメージを受けることで、インスリンの分泌が低下する可能性があります。

つまり、鉄は生命維持に不可欠である一方、多すぎると細胞を傷つける「諸刃の剣」にもなり得るのです。

3.鉄バランスを守るブレーキ役「ヘプシジン」

では、私たちの体はどのようにして鉄の量を調整しているのでしょうか?

そのカギを握るのが、肝臓で作られる「ヘプシジン」というホルモンです。

  • 鉄が十分にあるとき: ヘプシジンが増加し、腸からの鉄吸収を抑える
  • 鉄が不足しているとき: ヘプシジンが減少し、腸からの鉄吸収を促す

このようにヘプシジンは、体内の鉄が増えすぎないようにコントロールする「ブレーキ役」を果たしています。

4.アルコールは鉄の調節機能を狂わせる?

国立がん研究センターなどの研究グループは、日本人を対象とした大規模研究(JPHC研究)において、飲酒量と鉄代謝マーカー(血清鉄、フェリチン、ヘプシジン)の関係を解析しました。

その結果、お酒と鉄代謝に関して興味深い傾向が明らかになりました。

飲酒量が多い人ほど「フェリチン」が高い傾向

男性および閉経後の女性において、アルコール摂取量が多い人ほど血清鉄やフェリチン値が高い傾向が認められました。 ※フェリチンは体内の貯蔵鉄量を反映する指標ですが、炎症や肝障害でも上昇するため、この数値だけで直ちに鉄過剰と断定はできません。

ヘプシジンの「ブレーキ機能」が弱まる可能性

本来であれば、貯蔵鉄(フェリチン)が増えるとヘプシジンも増え、鉄の吸収を抑えようとします。 しかし習慣的に飲酒している人では、フェリチンが高いにもかかわらずヘプシジンが十分に増えず、鉄の吸収を抑えるブレーキが利きにくくなっている可能性が示されました。

男性・閉経後女性で明確な傾向

この関連は男性と閉経後女性で顕著にみられました。閉経前の女性で同様の傾向が見られなかった背景には、月経による日常的な鉄の喪失や、性別による代謝の違いが影響していると考えられています。

【研究から言えること】 今回の研究は因果関係を直接証明するものではありませんが、「習慣的な多量飲酒がヘプシジンの調整機能を低下させ、体内の鉄バランスを乱す一因になり得る」という重要な示唆を与えています。

5.今日からできる3つの鉄・アルコール対策

「お酒の影響」といえば肝機能指標(γ-GTPなど)に目が向きがちですが、これからは「鉄代謝への影響」にも配慮することが大切です。

  1. 適正飲酒と休肝日を意識する 毎日の大量飲酒は鉄代謝のブレーキ機能を鈍らせる可能性があります。週に数日は休肝日を設け、適量を楽しみましょう。
  2. 自己判断での「高用量鉄サプリ」に注意する 特に男性や閉経後の女性は、明確な鉄欠乏がないにもかかわらず高用量の鉄サプリメントを飲み続けるのは避けましょう。判断に迷う場合は医師へ相談することをおすすめします。
  3. 定期的な健診で体をチェックする 健診や精密検査の際、必要に応じてフェリチンなどの鉄代謝マーカーを調べることも可能です。気になる症状や数値がある場合は、医療機関で受診・相談しましょう。

「鉄分=摂れば摂るほど良い」というわけではありません。

アルコールは肝臓だけでなく、体内の鉄バランスの調整役にも影響を与えている可能性があります。これまでの「貧血対策」という視点に加えて、これからは「鉄の過剰蓄積を防ぐ」という視点も持ち合わせながら、適度なお酒とバランスの良い食事を心がけていきましょう。

参考文献

【認知症予防の鍵】ホモシステインとビタミンB群の深い関係とは?最新研究から見えてきた脳を守る食習慣

「最近、物忘れが増えた気がする…」
「将来の認知症を予防するために、今からできることはあるの?」

そんな方に注目していただきたいのが、「ホモシステイン」と「ビタミンB群」です。

近年、ホモシステインは認知症との関連が数多く報告されており、世界中で研究が進められています。さらに2025年には、ビタミンB群が脳の健康維持にどのように関わるのかを詳しく解析した新たな研究も発表されました。

今回は最新の医学論文をもとに、ホモシステインと認知症の関係、そしてビタミンB群が果たす役割について解説します。

1. ホモシステインとは?

ホモシステインは、必須アミノ酸であるメチオニンが体内で代謝される過程で一時的に作られるアミノ酸です。

通常は、葉酸・ビタミンB6・ビタミンB12などの働きによって別の物質へと代謝されるため、血液中の濃度は適切に保たれています。

しかし、ビタミンB群の不足や代謝機能の低下などにより処理がうまく行われなくなると、血液中のホモシステイン濃度が高くなります。これを高ホモシステイン血症といいます。

高ホモシステイン血症が問題となる理由

これまでの研究では、高ホモシステイン血症は次のようなリスクと関連することが報告されています。

  • 脳萎縮の進行
  • 認知機能低下のリスク増加
  • アルツハイマー病など認知症との関連
  • 動脈硬化や脳卒中などの血管障害

2025年にJournal of Alzheimer’s Diseaseに掲載されたレビューでは、ホモシステインは「介入可能」な認知症リスク因子として、改めて重要視すべきであると議論されています。

2. 最新研究でわかったビタミンB群の働き

軽度認知障害(MCI)の高齢者を対象とした有名な臨床試験VITACOG試験では、葉酸・ビタミンB6・ビタミンB12を補給することで、ホモシステインの低下と脳萎縮の進行抑制との関連が報告されてきました。

2025年には、この試験のデータをメタボローム解析(体内の代謝物を網羅的に調べる解析法)で詳しく解析した研究が発表されました。

ホモシステインを下げるだけではない

この研究では、ビタミンB群の補給によって、

  • エネルギー代謝(TCAサイクル)の改善
  • 神経伝達物質(グルタミン酸など)のバランス調整
  • 神経毒性をもつ代謝物(キノリン酸など)の減少

など、脳の代謝ネットワーク全体に良い変化が認められました。

つまり、ビタミンB群はホモシステイン濃度を下げるだけではなく、脳のエネルギー産生や神経細胞の働きを支える可能性が示されたのです。

3. ホモシステイン代謝に欠かせない3つのビタミン

ホモシステインを適切に代謝するためには、次の3種類のビタミンB群が欠かせません。

葉酸(ビタミンB9

ホモシステインを再びメチオニンへ戻す「再メチル化」に必要です。

ビタミンB12

葉酸と協力して再メチル化反応を進める補酵素として働きます。

ビタミンB6

ホモシステインをシスタチオニンへ変換し、分解する経路で重要な役割を担います。

これらのビタミンのいずれかが不足するとホモシステインが蓄積しやすくなるため、3つをバランスよく摂取することが大切です。

4. 今日から始めたい!ビタミンB群をしっかり摂る食事

ビタミンB群は水溶性ビタミンであり、体内に長期間蓄えておくことができません。

そのため、毎日の食事から継続的に摂取することが重要です。

葉酸(ビタミンB9)を多く含む食材

  • 緑黄色野菜:ブロッコリー、ホウレンソウ、アスパラガス、枝豆
  • 豆類・その他:納豆、アボカド、いちご

ビタミンB6を多く含む食材

  • 魚類:カツオ、サーモン
  • 肉類:鶏ささみ、鶏むね肉、レバー
  • その他:バナナ、パプリカ、さつまいも

ビタミンB12を多く含む食材

※主に動物性食品に多く含まれます。

  • 魚介類:アサリ、シジミ、サンマ、イワシ、鮭
  • その他:レバー、卵、チーズ、海苔(植物性では海苔などに含まれます)

まとめ

近年の研究から、高ホモシステイン血症は認知機能低下や認知症のリスク因子の一つである可能性が示されています。

また、葉酸・ビタミンB6・ビタミンB12はホモシステインの代謝を助けるだけでなく、脳のエネルギー代謝や神経機能にも関与していることが最新の研究で明らかになってきました。

もちろん、ビタミンB群だけで認知症を予防できるわけではありません。しかし、バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠、社会活動などとあわせて、ビタミンB群を意識した食生活は脳の健康維持に役立つ可能性があります。

食事だけで十分な摂取が難しい場合や、高齢者、胃の手術歴がある方、ビタミンB12の吸収低下が疑われる方などでは、サプリメントの利用を医師や管理栄養士へ相談することも選択肢の一つです。

未来の健康な脳のために、今日の食卓からビタミンB群を意識してみませんか。

参考文献

  1. McCaddon A, et al. Role of B vitamins in modulating homocysteine and metabolic pathways linked to brain atrophy: Metabolomics insights from the VITACOG trial. Alzheimer’s & Dementia. 2025.

突然のゲリラ豪雨!雨水を集めました

先日、台風(チャンミー)の際に「雨水のミネラルを分析してみよう」と思い立ち、会社の脇にビーカーを設置して雨水を採取する準備をしていました。

ところが午後に見に行くと、ビーカーだけがなくなっていました。

重しとして置いていたものはそのままだったので、おそらくビーカーだけが回収されたのでしょう。事情は分かりませんが、不審物と思われても仕方がない状況だったのかもしれません。

「やはり雨水の採取はタイミングが難しいな……」

そう思っていた矢先のことです。

先週の金曜日(7月17日)、突然のゲリラ豪雨が発生しました。

「これはチャンス!」

急いで着替え、ビーカーを持って外へ向かいました。

雷も鳴っており少し怖さはありましたが、雨量が非常に多かったため、わずか5分ほどで分析に必要な量の雨水を採取することができました。

まずは採取した雨水のpHを測定したところ、4.93という結果でした。

2023年の酸性雨調査では、全国平均のpHは約5と報告されているため、今回採取した雨水も概ねその範囲に入る結果となりました。

現在、ICP-MSを用いて雨水のミネラルや微量元素の分析を進めています。

果たして雨水にはどのようなミネラルが含まれているのか。

分析結果がまとまりましたら、このブログでも詳しくご紹介したいと思います。

どうぞお楽しみに。

↓分析結果