
この問題について心疾患リスクと全死亡リスクの関係を検討した報告があったのでご紹介します。
この研究は、栄養リサーチセンター(イラン)の研究グループが40歳以上の方、50,045人を対象に、中央値で13.9年間追跡調査。
心疾患と心疾患を含むすべての全死亡リスクについて調査を行いました。
研究グループは、食事の質や頻度と活動について質問した調査票から4つのライフスタイルに分類、これらのリスクを求めています。
分類は以下の通りです。
〇HAD(健康的な食事で活動的)

〇HDI(健康的な食事だが非活動的)

〇UDA(不健康な食事だが活動的)

〇UDI(不健康な食事で非活動的)

◆UDIによる全死亡リスクを1.00とした場合、結果はこのようになっています。
HAD 0.79 ↓
HDI 0.91 ↓
UDA 0.84 ↓
UDI 1.00
◆また、同様にUDIの心疾患死亡リスクを1.00とした場合の、結果はこのようになっています。
HAD 0.74 ↓
HDI 0.94 →
UDA 0.83 ↓
UDI 1.00
◆要約すると
・健康的な食事をして活動的な人は、全死亡と心血管死亡のリスクが最も低かった
・活動的であっても健康的な食事をしていない人では、心血管死亡のリスクは減少した。しかし、健康的な食事をしていても体を動かしていない人では、そのリスクは減少しなかった。
・身体活動または健康的な食事のどちらか一方の健康的な行動を順守することで、肥満でない対象者の全死亡リスクは低下した。しかし、心血管死亡リスクについては、健康的な食事に忠実であっても身体活動を伴わない場合は、不健康な食事と不活発なライフスタイルと差がなかった。
これらの結果を見ると「食事よりも運動(身体活動)」の方が、もしかしたら重要かもしれないことが示唆されています。
また、心疾患リスクは、健康的な食事をしていても、身体活動をしていなければ下がらないことが示されています。
調べてみるとダイエットに関しては、運動より食事の方が大事という見方が多いようです。
食習慣を変えることは難易度的には低く、運動の方が高いため、まず食事習慣の改善となるのでしょうか。
しかし、今回の報告からは、急がば回れ、急いては事を仕損じるではありませんが、簡単なことよりも難しいものの方が、効果が期待できるといえるかもしれませんね。
参考)
Int J Behav Nutr Phys Act. 2022 Nov 16;19(1):138.