ゆでこぼしで玄米のヒ素は減る??

ゆでこぼしで玄米のヒ素は本当に減るのか? 実際に分析してみました。

「玄米はヒ素が多い」

このような話を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

今回、海外の論文で、ゆでこぼしによって玄米中のヒ素が減少するという報告があります。

本当に減るのか、気になった当社は実際に分析を行ってみました。

実験方法

今回行った実験は非常にシンプルです。

  1. 玄米に含まれるヒ素濃度を測定
  2. 玄米を5分間ゆでこぼし
  3. ゆでこぼし後のゆで汁に含まれるヒ素濃度を測定
  4. ゆで汁へ移行したヒ素量から、玄米中で減少した量を推定

今回は「玄米そのもの」を再分析したわけではなく、

玄米からゆで汁へ移行したヒ素量を測定することで、減少量を算出しました。

分析結果元の玄米

  • ヒ素濃度:127 ppb

5分間ゆでこぼしたゆで汁

  • ヒ素濃度:4.7 ppb

どれくらい減ったのか?

実験では、

  • 玄米:1 g
  • 超純水:15 mL

で実施しました。

ゆで汁のヒ素濃度は 4.7 ppb

水1 mLは約1 gとみなせるため、15 mL中に含まれるヒ素量は

4.7 ng/mL × 15 mL = 約71 ngとなります。

一方、玄米1 gに含まれていたヒ素量は

127 ng です。

つまり、約55〜56%のヒ素が玄米からゆで汁へ移行したと推定されました。

想像以上の結果でした

正直なところ、ここまで減少するとは予想していませんでした。

もちろん、ゆでることで玄米が吸水するため、水の量は15 mLより少し減っている可能性があります。

例えば14 mL程度になっていたとしても、結果が多少変動するだけで、約半分がゆで汁へ移行したという結論自体は大きく変わらないでしょう。

注意点

今回の実験にはいくつかの前提があります。

  • ゆで時間は5分
  • 超純水を使用
  • ゆで汁中へ移行したヒ素量から減少量を推定
  • ゆでこぼし後の玄米そのものを直接分析したわけではない

また、今回測定したのは総ヒ素であり、無機ヒ素・有機ヒ素を区別した分析ではありません。

そのため、「健康リスクがどれだけ減少したか」を直接示すものではなく、玄米からヒ素がどの程度ゆで汁へ移行したかを確認した実験とお考えください。

まとめ

今回の分析では、5分間のゆでこぼしによって、玄米中のヒ素の約55%がゆで汁へ移行したと推定されました。

これまで論文で報告されてきた内容を、自社で実際に分析してみた結果でも、おおむね同様の傾向が確認できたことになります。

もちろん、ゆでこぼしによってビタミンやミネラルなど、水に溶けやすい栄養素も一部失われる可能性があります。

そのため、「ヒ素をできるだけ減らしたい」という目的と、「栄養をできるだけ残したい」という目的のバランスを考えながら、調理方法を選ぶことが大切です。

今後も当社では、論文だけではなく、実際に分析したデータをもとに、食品や栄養に関する情報を発信していきます。

-お詫び-

今回実験に使用したお米ですが、玄米だと思っていたところ、実際には3分づき米でした。

見た目がほぼ玄米だったため、勘違いしてしまいました。

失礼いたしました。

そのため、今回ご紹介した結果は3分づき米での実験結果となります。

玄米についても改めて同じ条件で実験を行い、結果をご報告したいと思います。

引き続きよろしくお願いいたします。

2026年9月3日 鉄を掘り下げましょう

鉄といえば、「貧血を防ぐミネラル」「ヘモグロビンを作る栄養素」
そのようなイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。

しかし実際の鉄は、それだけにとどまりません。
酸素を運ぶだけでなく、エネルギー産生、DNA合成、免疫機能、脳神経の働きなど、生命活動のあらゆる場面で重要な役割を担っています。

一方で、鉄は不足しても過剰になっても問題が生じる、非常に管理の難しいミネラルでもあります。
体内では吸収・利用・貯蔵・再利用が精密に調節されており、その仕組みを理解することが、鉄を正しく活用する第一歩となります。

本セミナーでは、臨床検査技師としての実務経験と、医学博士としての生理学的視点の両面から、鉄を単なる「貧血対策の栄養素」としてではなく、生命活動を支える必須ミネラルとして、生理学に基づいてわかりやすく解説します。

・なぜ鉄は不足しやすい一方で、過剰摂取にも注意が必要なのか
・体内で鉄はどのように吸収・運搬・貯蔵・再利用されているのか
・鉄不足や鉄過剰になると、体の中では何が起きているのか
・血液検査から何が読み取れ、何が読み取れないのか
・食事やサプリメントと、どのように向き合うべきなのか

こうした疑問を、生理学と臨床検査の視点から整理し、
「知っているつもりだった鉄」が、まったく違って見えてくる時間をお届けします。

鉄を本当に理解したい方、
医療・栄養・健康指導に関わる方はもちろん、
ご自身やご家族の健康を根拠をもって考えたい方にもおすすめの内容です。

鉄を、もう一段深く。
ぜひこの機会に、生理学から見た鉄の世界をご一緒に掘り下げてみませんか。

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開催日:2026年9月3日(木)12時~13時

演題:「鉄を掘り下げましょう」

講師:ら・べるびぃ予防医学研究所 臨床検査技師/医学博士 矢野正生

費用:無料

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Q.アーカイブはありますか?

A.いつも予医ファミリーをお申込みいただき継続されている方はアーカイブを後日配信する予定です。

毛髪ミネラル検査アドバイザー講座 7月15日開講

検査結果を「返す」から、「伝えられる」へ。

「検査結果は返せるけれど、どう説明したらいいのか分からない。」

これまで多くの方から、このようなお声をいただいてきました。

からだミネラル検査は、数値を見るだけでは十分ではありません。

なぜその結果になったのか。
どのような生活習慣が影響している可能性があるのか。
そして、その方へどのように伝えれば健康を見つめ直すきっかけになるのか。

こうした「読み解く力」と「伝える力」を身につけていただくために、

毛髪ミネラル検査アドバイザー講座

を開講いたします。

この講座はこんな方におすすめです

  • からだミネラル検査の結果をもっと深く理解したい
  • お客様への説明に自信を持ちたい
  • 数値だけではなく生活背景も含めて考えられるようになりたい
  • 検査結果を健康づくりに役立てたい
  • ミネラルや有害金属について実践的に学びたい

講座で学べる内容

本講座では、単なる知識の習得ではなく、実際の検査結果を読み解く実践力を身につけていただきます。

主な内容

  • 毛髪ミネラル検査の読み解き方
  • 必須ミネラル・有害金属の考え方
  • 質問票と検査結果を関連付ける視点
  • ケーススタディによる実践解析
  • お客様へ分かりやすく伝えるための考え方

さらに、受講レポートでは実際の検査結果を解析し、講師が個別にコメントを返します。

充実したカリキュラム

講座は以下の4つのパートで構成されています。

A:アドバイザーのマインドと基盤
検査を扱う上で必要な考え方や基本姿勢を学びます。

B:ケーススタディ・実践解析
実際の検査結果をもとに解析の進め方や伝え方を学びます。

C:各ミネラル・有害金属の理解
各元素について体系的に学び、復習テストで知識を定着させます。

D:修了者限定コンテンツ
実務に役立つ資料やアドバイスをご用意しています。

修了特典

受講修了後には、

  • 修了証の発行
  • 実務で使える解析ワークシート
  • アドバイザー活動スタートガイド
  • 講座アップデート無料
  • 継続質問サポート
  • 検査キットを継続して5%OFFでご購入いただける特典

をご用意しています。

受講概要

  • 配信開始:2026年7月15日
  • オンライン動画講座
  • 買い切り型(視聴期限なし)
  • ご自身のペースで受講可能
  • 更新料なし
  • 修了レポート提出者へ修了証を発行

受講料は 77,000円(税込)

さらに、からだミネラル検査(髪)1件(16,500円相当) が受講料に含まれています。

最後に

私たちが育てたいのは、「数値を説明する人」ではありません。

検査結果を通して、一人ひとりの生活や健康を見つめ直すきっかけを届けられるアドバイザーです。

知識だけで終わらず、実践を通して「伝える力」を身につけたい方は、ぜひご参加ください。

なお、本講座は基礎知識をお持ちの方向けの実践講座です。初めてミネラルについて学ぶ方は、「ミネラル講座(必須ミネラル編・有害金属編)」からの受講をおすすめしております。

皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

【最新研究】妊娠中の「葉酸不足」が子どもの将来の肥満リスクに?肝臓や筋肉への脂肪蓄積を促すメカニズムが判明

妊活中や妊娠初期の妊婦さんにとって、「葉酸」はお馴染みの栄養素です。

「赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを減らすために、サプリ等でしっかり摂りましょう」と病院でも指導される重要なビタミンです。 しかし、2026年2月、九州大学や福岡歯科大などの国際共同研究チームから、葉酸の重要性がさらに増す研究成果が発表されました。 なんと、「妊娠中に葉酸が不足すると、生まれた子どもが将来、肥満や糖尿病になりやすくなる(脂肪を溜め込みやすい体質になる)」ということが科学的に証明されたのです。

今回は、この最新論文(Diabetes Research and Clinical Practice. 2026)の内容を、分かりやすく解説します。

1. 「葉酸」ってどんな働きをしているの?

「お腹の赤ちゃんに良い」とは知っていても、具体的に葉酸が体の中で何をしているかご存知でしょうか? 葉酸は水溶性のビタミンB群の一種で、主に以下のような極めて重要な役割を担っています。

  • 細胞分裂とDNAの合成を助ける:赤ちゃんが新しい細胞を作って急成長するのに不可欠です。
  • 赤血球をつくる:「造血のビタミン」とも呼ばれ、妊婦さんの貧血を防ぎます。
  • 「一炭素代謝」を支える:アミノ酸や脂質の代謝、DNAの合成や修復、さらには遺伝子の働きを調節するなど、生命維持に欠かせない代謝システムを支えています。

これまでは「赤ちゃんの形(神経管)を作る時期(妊娠初期)にだけ特に必要」と思われがちでしたが、実は「細胞の遺伝子レベルの環境を整え、脂質代謝を正常に保つ」という、もっと深い役割があることが今回の研究で浮き彫りになりました。

2. そもそも「異所性脂肪」ってなに?

今回の研究のキーワードは「異所性脂肪の蓄積」です。 通常、体に余った脂肪は「皮下脂肪」や「内臓脂肪」として蓄えられます。しかし、これらが満杯になったり代謝がうまくいかなくなると、本来つくはずのない場所――例えば「肝臓」や「筋肉(骨格筋)」に脂肪が漏れ出して蓄積してしまいます。これを異所性脂肪(いわゆる脂肪肝や脂肪筋)と呼びます。 異所性脂肪は、見た目は太っていなくても糖尿病や動脈硬化といった生活習慣病を強く引き起こす原因になるため、近年とても問題視されています。

3. 九州大学らの研究で分かったこと

これまでの医学では、「生活習慣病の原因は、本人の遺伝や、生まれてからの暴飲暴食・運動不足にある」と考えられがちでした。 しかし今回の研究では、「生まれる前の環境(お母さんのお腹の中にいた時の栄養状態)」が、子どもの将来の体質を大きく左右することがマウス実験とヒトの追跡調査の両方で実証されました。

マウス実験での発見

妊娠中の母マウスに葉酸が不足したエサを与えたところ、生まれたオスの子マウスは、成長した後に肝臓や骨格筋への異所性脂肪の蓄積が促進され、肥満になりやすい体質になってしまいました。 原因を遺伝子レベルで調べたところ、葉酸不足によって体内の「一炭素代謝(前述の重要な代謝経路)」が狂い、肝臓や筋肉で脂肪を燃焼させる役割を持つ『Amd1』という遺伝子の働き(発現)が低下していることが分かりました。つまり、お腹の中にいるときに「脂肪を燃焼しにくいブレーキがかかった体」になって生まれてきてしまうのです。

人間の「子ども」でも同じ結果に!

「これはマウスだけの話では?」と思うかもしれませんが、研究チームはシンガポールで行われている大規模な出生コホート研究(GUSTO)のデータを用いて、人間でも検証を行いました。 その結果、「妊娠26週のお母さんの血中葉酸濃度が低いほど、生まれた子が6歳になった時点で、肝臓や筋肉に蓄積している脂肪の量が多い」という、マウスと全く同じ逆相関のデータが得られたのです。

4. 「食事で摂っているから大丈夫」とは限らない?

今回の論文の極めて重要なポイントは、「ただ葉酸を口から摂取するだけでなく、実際の【血中濃度】を適切に維持することが重要である」と言及されている点です。 葉酸の吸収や代謝の効率には個人差(遺伝的な体質など)があります。「葉酸が含まれる食材を食べているから」「一応サプリを飲んでいるから」と安心するのではなく、お母さんの体内でしっかり葉酸が満たされ、血中に十分な濃度がある状態を作ることが、赤ちゃんの将来の健康を守る鍵になります。 今後は、妊婦健診の血液検査などで「血中葉酸濃度」をチェックし、個別に適切な栄養管理を行う時代が来るかもしれません。

5. まとめ:子どもの将来の健康のために、今できること

今回の研究成果から、「妊娠中のたった一つの栄養素(葉酸)の不足が、子どもの将来の生活習慣病リスクを上げてしまう」という驚きの事実が明らかになりました。 ですが、これは決して怖いニュースではなく、「妊娠中にしっかり栄養管理をしておけば、子どもの将来の肥満や糖尿病を防いであげられる(次世代の生活習慣病予防ができる)」という希望のニュースでもあります。

私たちが今すぐできる対策

  • 妊娠前から妊娠中にかけて、葉酸を意識して摂取する(ブロッコリー、ほうれん草、枝豆、レバーなどに多く含まれます)。
  • 厚生労働省が推奨しているように、食事に加えて葉酸サプリメントを上手に活用する。
  • 吸収率を高めるために、ビタミンB12やビタミンCなどもバランスよく摂る。

「お腹の赤ちゃんの正常な発育のため」だけでなく、「その子が大人になった時の健康のため」にも、ぜひ今日から毎日の食事の栄養バランスを見直してみてくださいね。

【参考情報】

Low maternal folic acid during pregnancy exacerbates ectopic fat accumulation in the liver and muscle of male offspringDiabetes Research and Clinical Practice (2026年3月号)

妊娠期の葉酸不足が子の肝臓・筋肉への異所性脂肪蓄積を促進 | 研究成果 | 九州大学(KYUSHU UNIVERSITY)

今年のあきたこまちはR?カドミウムが少ない?実際に分析してみました

近年、「あきたこまちR」という品種について話題になることが増えています。

「あきたこまちRは本当にカドミウムが減るの?」
「普通のあきたこまちと何が違うの?」

このような疑問を抱いたため、今回、ら・べるびぃ予防医学研究所では秋田県産のあきたこまちを実際に分析してみました。

ちなみに昨年もあきたこまちは分析しており、こちらにまとめております。

分析結果

今回分析した秋田県産のあきたこまちを、昨年分析した通常のあきたこまちと比較したところ、非常に興味深い結果が得られました。

昨年測定した値を「100」とすると、

  • カドミウム:約7
  • マンガン:約33

という結果でした。

つまり、カドミウムは昨年の測定値と比較して約93%低い値となりました。

私たち自身も、ここまで低い結果になるとは予想していませんでした。

ただし、「あきたこまちR」と断定はできません

ここで重要なのは、この結果だけで「あきたこまちRだった」と断定できるわけではないという点です。

現在販売されているお米には、「あきたこまちR」であることを表示する義務はありません。

また、お米に含まれるカドミウム量は、土壌中のカドミウム濃度や栽培環境などの影響も受けます。

そのため、

「今回たまたま土壌中のカドミウムが少ない地域で栽培された可能性」

も十分考えられます。

なぜマンガンも測定したのか

そこで今回、カドミウムだけでなくマンガンも測定しました。

実は、お米はカドミウムを積極的に吸収したいわけではありません。

植物に必要な栄養素であるマンガンを取り込む輸送体(タンパク質)を利用して、カドミウムが一緒に入り込んでしまうことが知られています。

あきたこまちRは、この主要な輸送体(OsNramp5)の働きを失わせた品種です。

その結果、

  • カドミウムは大きく減少する
  • マンガンもある程度減少する

という特徴があります。

マンガンがゼロにならない理由

「通り道を閉じたのなら、マンガンはゼロになるのでは?」

と思われるかもしれません。

しかし、植物にとってマンガンは生育に欠かせない必須ミネラルです。

そのため、主要な輸送体が使えなくなっても、別の輸送体を利用して最低限のマンガンを取り込むことができます。

その結果として、今回の分析でもマンガンは昨年の約3分の1という値になったと考えられます。

今回の結果は、報告されている特徴と一致していました

今回の分析結果をまとめると、

  • カドミウム:約100 → 約7
  • マンガン:約100 → 約33

という結果でした。

この組み合わせは、これまであきたこまちRで報告されている特徴と一致しています。

もちろん、今回の分析だけで「あきたこまちR」と断定することはできません。

しかし、私たちが実際に分析した結果としては、非常に興味深いデータでした。

マンガンが減っても問題はないの?

マンガンは人にとって必要な必須ミネラルです。

一方で、日本人はお米以外にも豆類、ナッツ類、茶類、全粒穀物など、さまざまな食品からマンガンを摂取しています。

そのため、通常の食生活では、お米中のマンガンが多少減少しても栄養上の影響は小さいと評価されています。

一方、日本人が食品から摂取するカドミウムの約4割はお米由来とされています。

そのため、お米から摂取するカドミウムを大幅に減らせることには、大きな意義があると考えられています。

まとめ

今回の分析では、

  • カドミウムは昨年比で約7%
  • マンガンは約3分の1

という結果となりました。

この結果は、あきたこまちRで報告されている特徴と一致していましたが、今回の分析だけで品種を断定することはできません。

私たちは今後も、「イメージ」や「噂」ではなく、実際の分析データをもとに情報を発信していきたいと考えています。

今後も、ミネラル・有害金属について、科学的な視点から分かりやすくお伝えしてまいります。


ら・べるびぃ予防医学研究所
「知ることは、すべてのはじまり」
ミネラル分析の専門機関として、毛髪・血液・飲食物など様々な検体を分析しております。
2000年の創業以来、皆さまの健康に役立つ検査や情報を提供しています。
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タイの食塩誤認事故で注目された「亜硝酸塩」とは?知っておきたい光と影

今回は、ニュースで報じられた衝撃的な事故をきっかけに、私たちの身近にある化学物質「亜硝酸塩」について、その役割と危険性を分かりやすくご紹介します。

タイの飲食店で起きた「食塩と亜硝酸塩」の誤認事故

2026年6月、タイ・ウドンタニ州の飲食店で、店主がゴミの山から見つけた正体不明の薄黄色の粉末を食塩と思い込み、麺料理の調味料として使用する事故が発生しました。

料理を食べた客や店主の親族らは、食後まもなく激しい吐き気、めまい、嘔吐、呼吸困難などの症状を訴え、次々と病院へ搬送されました。一時は4人が重篤な状態となり、大きなニュースとなりました。

その後の調査で、この粉末は「亜硝酸塩」であることが判明しました。当局の分析では、料理を数杯食べるだけで致死量に達する可能性があるほど高濃度だったと報告されています。

この事故は、亜硝酸塩そのものというより、「正体不明の薬品を調味料として使用した」ことが原因で起きた悲劇でした。

一方で、亜硝酸塩は私たちにとって決して珍しい物質ではありません。ハムやソーセージなどの加工肉では、発色剤や保存料として国の厳しい基準のもと、ごく微量が使用されています。

では、この亜硝酸塩(そして体内で変化する硝酸塩)は、私たちの健康にどのような影響を与えるのでしょうか。

亜硝酸塩の光──健康に役立つ働き

「毒」というイメージを持たれがちな亜硝酸塩ですが、実は野菜にも深く関係しています。

ほうれん草、小松菜、チンゲンサイ、ビーツなどには硝酸塩が多く含まれており、これが口の中の細菌や体内の酵素によって亜硝酸塩へ、さらに一酸化窒素(NO)へと変化します。

この一酸化窒素には、次のような働きがあります。

1.血圧を下げる

一酸化窒素は血管を拡張し、血流を改善します。そのため、高血圧の予防や心血管の健康維持に役立つと考えられています。

2.運動能力を高める

筋肉が酸素を効率よく利用できるようになるため、持久力の向上が期待されています。このため、硝酸塩を多く含むビーツジュースは、多くのアスリートにも利用されています。

3.食中毒菌を抑える

加工肉に亜硝酸塩が使われる最大の理由は、強力な食中毒菌であるボツリヌス菌の増殖を抑えるためです。

ボツリヌス菌は極めて強い毒素を産生する細菌であり、その増殖を防ぐことは食品の安全性を保つうえで非常に重要です。

亜硝酸塩の影──過剰摂取による健康リスク

一方で、今回のタイの事故のように大量の亜硝酸塩を一度に摂取すると、重大な健康被害を引き起こします。

1. メトヘモグロビン血症

今回の事故で患者が呼吸困難となった主な原因が「メトヘモグロビン血症」です。

通常、赤血球中のヘモグロビンは酸素を全身へ運搬しています。しかし亜硝酸塩を大量に摂取すると、ヘモグロビンが酸素を運べない「メトヘモグロビン」へ変化してしまいます。

その結果、体内が酸欠状態となり、

  • 唇や皮膚が青紫色になる(チアノーゼ)
  • 息苦しさ
  • めまい
  • 意識障害

などが現れ、重症では命に関わることもあります。

特に乳幼児は影響を受けやすいことが知られています。

2.ニトロソアミンの生成

亜硝酸塩は、肉や魚に含まれるアミン類と反応すると、「ニトロソアミン」という物質が生成されることがあります。

ニトロソアミンの一部には発がん性が確認されており、特に加工肉を高温で長時間加熱し、焦がした場合などに生成しやすいとされています。

ただし、日本では加工肉に使用できる亜硝酸塩の量は食品衛生法に基づいて厳しく規制されており、通常の食生活で過度に心配する必要はありません。

まとめ

今回のタイの事故は、「亜硝酸塩が危険だから起きた事故」ではなく、「正体不明の薬品を食塩と誤認し、大量に使用した」ことが原因でした。

一方で、食品添加物として使用される亜硝酸塩は、厳しい安全基準のもとで管理されており、適切な量であれば食品の安全性を高める重要な役割を果たしています。

大切なのは、「危険だから避ける」「安全だから気にしない」という極端な考え方ではなく、正しい知識を持って付き合うことです。

より安全に付き合うためのポイント

・加工肉は焦がしすぎず、中火程度で調理する。
・ビタミンCを多く含む野菜や果物を一緒に食べる(ニトロソアミンの生成を抑える働きが期待されています)。
・そして何より、出所が分からない粉末や薬品を食品として使用しないこと。

化学物質は「量」と「使い方」によって、私たちの健康を守る存在にも、命を脅かす存在にもなります。今回の事故を教訓に、食品添加物についても正しい知識を身につけ、必要以上に恐れず、正しく付き合っていきたいものです。

参考情報

「塩と勘違い」 タイの飲食店が正体不明の粉を料理に使用、多数の客が救急搬送される

ニトロソアミン類とは:農林水産省

電子顕微鏡による毛髪撮影サービス終了のお知らせ

2021年より提供してまいりました電子顕微鏡による毛髪撮影サービスは、電子顕微鏡のリース契約終了に伴い、2026年8月31日をもちましてサービスを終了させていただくこととなりました。

これまで多くの皆様にご利用いただき、誠にありがとうございました。

電子顕微鏡を導入した当初は、「髪の毛をここまで拡大すると、こんな世界が見えるのか」と私たち自身が驚き、毎日のようにさまざまなものを観察していました。

毛髪はもちろん、血液、米、魚の骨、植物の葉、ビタミンCの粉末、爪、はがれた皮膚など、身近なものを電子顕微鏡で観察するたびに、新しい発見がありました。

普段は見ることのできないミクロの世界を、多くの方に楽しんでいただけたことは、私たちにとっても大変貴重な経験です。

また、このサービスをきっかけに企業様との新たなご縁も生まれ、研究や情報発信の幅が広がるなど、私たちにとって非常に意義のある取り組みとなりました。

一方で、電子顕微鏡を用いた撮影サービスを継続するための運営面を総合的に検討した結果、リース契約を終了し、機器を返却するという判断に至りました。

もちろん継続という選択肢もありましたが、私たちは新しい挑戦に力を注いでいきたいと考えています。

なお、電子顕微鏡による毛髪撮影サービスは2026年8月31日までご利用いただけます。

「一度撮影してみたかった」「自分の髪の状態を見てみたい」という方は、ぜひ終了までにご利用ください。

これまで本サービスをご利用くださった皆様、応援してくださった皆様に、心より感謝申し上げます。

これからも、ら・べるびぃ予防医学研究所は、ミネラル分析や研究、情報発信を通じて、皆様のお役に立てる新しいサービスづくりに挑戦してまいります。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

ら・べるびぃ予防医学研究所

銅化合物でアルツハイマー病モデルマウスの記憶機能が約44%改善―脳の老廃物を排出する仕組みを回復させる新たな可能性

私たちの脳には、日々生じる老廃物を体外へ排出する仕組みが備わっています。近年、この「脳のお掃除システム」の働きが低下すると、アルツハイマー病の発症や進行につながる可能性があるとして注目されています。

そんな中、オーストラリアのモナシュ大学などの研究チームが、学術誌『ACS Chemical Neuroscience』に興味深い研究成果を発表しました。

研究では、銅を含む化合物「Cu(ATSM)」を投与したアルツハイマー病モデルマウスで、脳の老廃物排出機能が改善し、記憶機能も向上したことが報告されています。

今回は、この研究の内容を分かりやすくご紹介します。

アルツハイマー病と脳の「お掃除システム」

アルツハイマー病では、「アミロイドβ」というタンパク質が脳内に蓄積することが大きな特徴の一つです。

健康な脳では、血液脳関門に存在する「P糖タンパク質(P-gp)」がアミロイドβを脳の外へ排出する働きを担っています。

ところがアルツハイマー病では、このP-gpの量や働きが低下し、アミロイドβが脳内にたまりやすくなると考えられています。

注目された銅化合物「Cu(ATSM)

今回研究チームが注目したのは、「Cu(ATSM)」という銅を運ぶ化合物です。

Cu(ATSM)は脳へ効率よく銅を届けることができ、すでにパーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)などを対象とした研究も進められています。

研究では、アルツハイマー病モデルマウスに56日間Cu(ATSM)を投与しました。

その結果、次のような変化が見られました。

① P糖タンパク質(P-gp)が24.1%増加

血液脳関門にあるP-gp関連タンパク質が24.1%増加しました。

これは、低下していた脳の老廃物排出機能が回復する可能性を示す結果と考えられています。

アミロイドβが約42%減少

大脳皮質に蓄積していたアミロイドβは42.1%減少しました。

研究チームは、P-gpの働きが改善したことでアミロイドβの排出が促進された可能性があると考えています。

記憶機能が約44%改善

空間学習能力や長期記憶を評価する試験では、記憶機能の指標が43.8%改善しました。

もちろん、この結果はマウスで確認されたものであり、人で同じ効果が得られるかどうかは今後の研究を待つ必要があります。

なぜ銅が重要なのか

銅は私たちの体に欠かせない必須ミネラルの一つです。

脳の健康にも深く関わっており、次のような働きがあります。

・脳のエネルギー産生を支える
脳は多くのエネルギーを消費します。銅は細胞内のミトコンドリアが効率よく働くために必要です。

・活性酸素から脳を守る
銅は抗酸化酵素SODの材料となり、細胞を酸化ストレスから守る働きを助けます。

・神経伝達物質の合成を支える
記憶や集中力、感情に関わるドーパミンやノルアドレナリンの産生にも銅が必要です。

・鉄の利用を助ける
銅は鉄の運搬や利用をサポートし、正常な造血にも関わっています。

これまでの研究では、アルツハイマー病患者の脳で銅代謝の異常が見つかっており、一部の神経細胞では機能的な銅不足が起きている可能性も指摘されています。

研究チームは、Cu(ATSM)によって脳へ銅が供給されることで、血液脳関門の機能改善や酸化ストレスの軽減が起こり、その結果としてP-gpの回復につながった可能性があると考えています。

また、脳の免疫細胞であるミクログリアの働きを整え、アミロイドβの除去を助けている可能性も検討されています。

まとめ

現在のアルツハイマー病治療では、アミロイドβを直接標的とする抗体医薬が実用化されています。

一方、今回の研究は「脳が本来持っている老廃物排出機能を取り戻す」という新しい視点からアプローチしている点が特徴です。

今回の成果はマウスを用いた研究段階のものであり、人への有効性はまだ確認されていません。しかし、Cu(ATSM)はすでに他の神経疾患で臨床研究が進められていることから、今後の発展が期待されています。

アルツハイマー病治療の新たな選択肢につながる可能性がある研究として、今後の続報が注目されますね。

【参考文献】

 Cu(ATSM) Restores Blood–Brain Barrier Abundance of P-Glycoprotein and Improves Cognitive Function in the APP/PS1 Mouse Model of Alzheimer’s Disease; ACS Chemical Neuroscience (2026年発表)

髪を研究してきた私たちが、ヘアケア商品を取り扱う理由

当社はこれまで、毛髪を分析し、ミネラルや有害金属を調べる仕事を続けてきました。

毛髪は体の状態を知るための大切な検体です。しかし私たちは、分析するだけでなく、「髪そのものをもっと美しく保つには何が大切なのか」ということにも以前から興味を持っていました。

そんな中、ある日、ヘアブラシメーカー様から「ブラシを使う前後で髪にどのような変化が起こるのか、電子顕微鏡で評価してほしい」というご依頼をいただきました。

普段から毛髪を観察している私たちにとって、とても興味深いテーマでした。

実際に使用前後の毛髪を電子顕微鏡で比較したところ、ブラッシング後はキューティクルが整い、毛髪表面がよりなめらかになっている様子が確認できました。

もちろん、ブラシだけで髪のダメージが改善するわけではありません。しかし、「毎日のヘアケアで髪表面はここまで変わるのか」と、とても印象に残る結果でした。

この出来事をきっかけに、私たちはヘアケア製品についてもこれまで以上に情報を集め、実際にさまざまな製品を試すようになりました。

その中で出会ったのが、NATURIA プロフェッショナル ヘアマスクです。

このヘアマスクは、もともと美容室で行われるケラチントリートメント後のホームケアとして開発された製品で、美容師の口コミから広がった実力派のヘアマスクです。

私たちも実際に使用し、配合成分や使用感を確認しました。

加水分解ケラチンをはじめ、アロエベラ葉エキスやセラミドNPなどの保湿・補修成分が配合されており、洗い流した後の指通りやまとまりの良さには納得できるものがありました。

髪を研究してきた私たちだからこそ、「分析するだけでなく、美しい髪を維持するためのケアも大切」という考えにたどり着きました。

だからこそ、私たちは自分たちで試し、納得したものだけを取り扱っています。

毛髪分析の現場から始まったヘアケアへの探究。

その中で自信を持っておすすめできる製品として、このシャンプーブラシ、ヘアマスクを皆さまにお届けします。

ぜひ、毎日のヘアケアに取り入れて、その手触りとまとまりを体感してみてください。

https://www.lbv.jp/lbv-ec/category/item/haircare

全国鉄瓶の湯、調査プロジェクト

Instagramで「南部鉄器で鉄分補給できるのか?」という動画を公開したところ、50万回以上再生され、多くのコメントをいただきました。

その中でも印象的だったのは、鉄瓶を愛用されている皆さまから寄せられた多くのコメントです。

「もう何十年も使っています。」
「調子がよくなりました」

そんな皆さまの声を読んでいて、一つの疑問が浮かびました。

「全国の鉄瓶では、実際にどのくらい鉄が溶け出しているのだろう?」

鉄瓶はすべて同じではありません。

メーカーや製法はもちろん、

  • 使用年数
  • お手入れの方法
  • 沸かす水の種類
  • 使用頻度
  • お住まいの地域

などによって、鉄の溶出量は変わる可能性があります。

しかし、それを実際に調べたデータはほとんどありません。

そこで私たちは、全国の皆さまと一緒に「全国鉄瓶の湯 調査プロジェクト」をスタートします。

まずは先着100名様限定で募集します

目標サンプル数は300件です。

まずは100名様分のデータを集め、その後も順次募集を行いながら、最終的に300件のデータ収集を目指します。

十分なデータが集まり次第、いったん募集を終了する予定です。

ぜひ、あなたの鉄瓶もこのプロジェクトにご参加ください。

このプロジェクトでわかること

あなたの鉄瓶から、

どれくらい鉄が溶け出しているのか。

そして、全国から集まったデータをもとに、

「どんな鉄瓶が、どんな条件で鉄を多く溶出するのか」

を調べていきます。

一人では集められないデータも、皆さまのご協力があれば見えてくるかもしれません。

お届けするもの

お申し込み後、以下をお送りします。

  • 採水容器(2本)
  • 返信用封筒
  • 採水方法のご案内
  • アンケート用紙(QRコード)

採水していただくもの

同じ水を使って、次の2種類をご採水ください。

① 鉄瓶で沸かす前の水(原水)

② 鉄瓶で沸かした後のお湯

採水後は、返信用封筒でご返送いただくだけです。

測定結果をお返しします

お送りいただいたサンプルは、当社で鉄濃度を分析し、測定結果をご返送します。

普段使っている鉄瓶から、実際にどのくらい鉄が溶け出しているのかをご自身で確認できます。

さらに、ご協力いただいた皆さまのデータを集計し、全国の鉄瓶や傾向の解析も公開していく予定です。

参加費

2,000円(税込)

※採水容器・返信用封筒・分析・結果報告を含みます。

参加条件

  • 鉄瓶・鉄玉子など、鉄が溶出する調理器具をお持ちの方
  • 採水・ご返送にご協力いただける方
  • 調査の輪を広げるため、測定結果をInstagramなどのSNSでシェアしていただける方は大歓迎です(任意)。

一つひとつの鉄瓶には、それぞれ違った歴史があります。

その鉄瓶から生まれる一杯のお湯にも、きっと違いがあります。

ぜひ、世界に一つだけのあなたの鉄瓶で沸かしたお湯をお送りください。

皆さまと一緒に、日本で初めてかもしれない「全国鉄瓶の湯データ」を作っていけることを楽しみにしています。