イタリア北部で、化学物質PFAS(有機フッ素化合物)による大規模な地下水汚染を引き起こしたとして、三菱商事の元関連会社「ミテニ社」の元幹部ら11人に有罪判決が言い渡されました。この中には、日本人3名も含まれており、最長で禁錮16年という重い刑が言い渡されています。

イタリアで起きたPFAS汚染の全容とは?
事の発端は2013年。イタリア北部のベネト州当局が、ミテニ社工場からPFASが地下水や河川に流出していることを特定しました。この汚染は周辺3州にわたり、約35万人もの住民に影響を与えたとされています。
問題発覚当時、三菱商事からミテニ社に出向していた日本人4名を含む15名が起訴され、今回の判決ではそのうち11名が有罪となりました。日本人幹部への禁錮刑は、企業による環境汚染に対する国際社会の厳しい目が向けられていることを示しています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/8e9a34ba3512e644d9da62c3c0ca8ff2951e1625
PFASとは?私たちの暮らしにも深く関わる化学物質
PFASは、耐熱性・撥水性・撥油性に優れ、衣類や調理器具、日用品、泡消火剤、半導体製造など、幅広い用途で使用されてきました。しかし一方で、極めて分解されにくく、自然界でほとんど残り続けることから「永遠の化学物質」とも呼ばれています。近年では、がんや肝機能障害など健康への悪影響が懸念されています。

日本のPFAS問題と新たな動き
日本では、全国各地の水道水からPFASが検出されたことを受け、環境省が2026年4月1日より、PFOSとPFOA(代表的なPFAS)を水道法上の「水質基準」の対象に定める省令改正を行いました。
これにより、水道事業者には、両物質の合計値が1リットルあたり50ナノグラム以下に抑えることが義務付けられ、定期的な水質検査と基準値を超えた場合の原因究明、水質改善が求められることになります。これまでは努力義務だったものが、法的な義務となることで、より一層の対策が進むことが期待されます。
イタリアの判決から学ぶ企業の責任
今回のイタリアでの有罪判決は、企業が環境汚染に対してどれほど大きな責任を負うべきか、改めて私たちに問いかけています。
2000年頃から、CSR(企業の社会的責任)という概念が企業経営の重要な要素として認識されるようになってきました。 グローバル企業である以上、海外子会社や関連会社においても、環境規制の遵守はもちろんのこと、地球環境や地域住民への配慮を最優先する企業姿勢が求められます。

「対岸の火事」ではない。私たちにできることは?
PFAS問題は、決してイタリアだけの出来事ではありません。日本を含め、世界中の人々の暮らしにも密接に関わる重大な課題です。
私たち一人ひとりがこの問題に関心を持ち、持続可能な社会のために行動していくことが求められています。