「最近、物忘れが増えた気がする…」
「将来の認知症を予防するために、今からできることはあるの?」
そんな方に注目していただきたいのが、「ホモシステイン」と「ビタミンB群」です。
近年、ホモシステインは認知症との関連が数多く報告されており、世界中で研究が進められています。さらに2025年には、ビタミンB群が脳の健康維持にどのように関わるのかを詳しく解析した新たな研究も発表されました。
今回は最新の医学論文をもとに、ホモシステインと認知症の関係、そしてビタミンB群が果たす役割について解説します。
1. ホモシステインとは?
ホモシステインは、必須アミノ酸であるメチオニンが体内で代謝される過程で一時的に作られるアミノ酸です。
通常は、葉酸・ビタミンB6・ビタミンB12などの働きによって別の物質へと代謝されるため、血液中の濃度は適切に保たれています。
しかし、ビタミンB群の不足や代謝機能の低下などにより処理がうまく行われなくなると、血液中のホモシステイン濃度が高くなります。これを高ホモシステイン血症といいます。
高ホモシステイン血症が問題となる理由
これまでの研究では、高ホモシステイン血症は次のようなリスクと関連することが報告されています。
- 脳萎縮の進行
- 認知機能低下のリスク増加
- アルツハイマー病など認知症との関連
- 動脈硬化や脳卒中などの血管障害
2025年にJournal of Alzheimer’s Diseaseに掲載されたレビューでは、ホモシステインは「介入可能」な認知症リスク因子として、改めて重要視すべきであると議論されています。
2. 最新研究でわかったビタミンB群の働き
軽度認知障害(MCI)の高齢者を対象とした有名な臨床試験VITACOG試験では、葉酸・ビタミンB6・ビタミンB12を補給することで、ホモシステインの低下と脳萎縮の進行抑制との関連が報告されてきました。
2025年には、この試験のデータをメタボローム解析(体内の代謝物を網羅的に調べる解析法)で詳しく解析した研究が発表されました。
ホモシステインを下げるだけではない
この研究では、ビタミンB群の補給によって、
- エネルギー代謝(TCAサイクル)の改善
- 神経伝達物質(グルタミン酸など)のバランス調整
- 神経毒性をもつ代謝物(キノリン酸など)の減少
など、脳の代謝ネットワーク全体に良い変化が認められました。
つまり、ビタミンB群はホモシステイン濃度を下げるだけではなく、脳のエネルギー産生や神経細胞の働きを支える可能性が示されたのです。
3. ホモシステイン代謝に欠かせない3つのビタミン
ホモシステインを適切に代謝するためには、次の3種類のビタミンB群が欠かせません。
葉酸(ビタミンB9)
ホモシステインを再びメチオニンへ戻す「再メチル化」に必要です。
ビタミンB12
葉酸と協力して再メチル化反応を進める補酵素として働きます。
ビタミンB6
ホモシステインをシスタチオニンへ変換し、分解する経路で重要な役割を担います。
これらのビタミンのいずれかが不足するとホモシステインが蓄積しやすくなるため、3つをバランスよく摂取することが大切です。
4. 今日から始めたい!ビタミンB群をしっかり摂る食事
ビタミンB群は水溶性ビタミンであり、体内に長期間蓄えておくことができません。
そのため、毎日の食事から継続的に摂取することが重要です。
〇 葉酸(ビタミンB9)を多く含む食材
- 緑黄色野菜:ブロッコリー、ホウレンソウ、アスパラガス、枝豆
- 豆類・その他:納豆、アボカド、いちご
〇 ビタミンB6を多く含む食材
- 魚類:カツオ、サーモン
- 肉類:鶏ささみ、鶏むね肉、レバー
- その他:バナナ、パプリカ、さつまいも
〇 ビタミンB12を多く含む食材
※主に動物性食品に多く含まれます。
- 魚介類:アサリ、シジミ、サンマ、イワシ、鮭
- その他:レバー、卵、チーズ、海苔(植物性では海苔などに含まれます)
まとめ
近年の研究から、高ホモシステイン血症は認知機能低下や認知症のリスク因子の一つである可能性が示されています。
また、葉酸・ビタミンB6・ビタミンB12はホモシステインの代謝を助けるだけでなく、脳のエネルギー代謝や神経機能にも関与していることが最新の研究で明らかになってきました。
もちろん、ビタミンB群だけで認知症を予防できるわけではありません。しかし、バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠、社会活動などとあわせて、ビタミンB群を意識した食生活は脳の健康維持に役立つ可能性があります。
食事だけで十分な摂取が難しい場合や、高齢者、胃の手術歴がある方、ビタミンB12の吸収低下が疑われる方などでは、サプリメントの利用を医師や管理栄養士へ相談することも選択肢の一つです。
未来の健康な脳のために、今日の食卓からビタミンB群を意識してみませんか。
参考文献




















