
今回は「亜鉛」と「認知症」のお話です。
亜鉛といえば、
「味覚」や「免疫」「髪や肌」に大事なミネラル、というイメージが強いかもしれません。
ところが最近、「亜鉛不足が認知症のリスクを高めるかもしれない」という、気になる研究結果が報告されました。
「物忘れが増えてきた気がする」
「親の認知症が心配」
そんな方に、ぜひ知っておいていただきたい内容です。

亜鉛不足でリスクが30%増!?
台湾の医療センター(Chi Mei Medical Center)の研究チームが、50歳以上の約3万4千人を対象に調査を行いました。
その結果、血中の亜鉛濃度が低い「亜鉛欠乏」の人は、正常な人に比べて認知症を発症するリスクが34%も高くなることが分かったのです。 さらに、この研究では「亜鉛が不足すればするほど危ない」ということも明らかになりました。
不足レベルとリスクの関係
研究結果を詳しく見てみると、軽度から中程度の不足でもリスクは上がりますが、重度の亜鉛不足(50μg/dL未満)になると、認知症のリスクはなんと1.7倍(約70%増)にまで跳ね上がることが分かりました。
つまり、亜鉛の量が減れば減るほど、リスクが高まるという明確な関係(用量反応関係)が見えたのです。

脳を守るための亜鉛
なぜ亜鉛が脳に影響するのでしょうか?
亜鉛が不足すると、神経の炎症が起きやすくなったり、脳の情報を伝える「シナプス」の機能が落ちたりする可能性が指摘されています。
骨の健康のためにカルシウムが必要なように、脳の健康を守るためには、亜鉛が重要な役割を果たしているのかもしれません。
今回の研究では、亜鉛不足は認知症だけでなく、肺炎のリスクも高めるという結果も出ています。
亜鉛を含む主な食品
亜鉛は、次のような食品に多く含まれています。
- 牡蠣
- 牛肉・豚肉(赤身)
- レバー
- 卵
- チーズ
- ナッツ類(アーモンド、カシューナッツなど)
- 大豆製品(納豆、豆腐、味噌 など)
- 全粒穀物

気になる方は、
- 偏った食事になっていないか振り返る
- 亜鉛を含む食品を意識して取り入れる
- 毛髪ミネラル検査で自分の亜鉛の過不足を確認する
といったところから、少しずつ始めてみてください。
参照:亜鉛欠乏と新規発症認知症リスクの関連性:後ろ向きコホート研究。
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