【世界初の研究】お腹の赤ちゃんの「心の健康」も守る?妊娠中のカルシウムが13歳時のうつを予防する可能性

「妊娠中は、赤ちゃんの骨を作るためにカルシウムをしっかり摂りましょう」

そんなアドバイスを耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。

実は近年、カルシウムには「骨」だけでなく、「将来の心の健康」にも関わる可能性があることがわかってきました。

今回は、愛媛大学などの研究グループによって発表された、世界初の研究成果をご紹介します。

妊娠中のカルシウム摂取と、子どもの思春期のメンタルヘルスとの関係について、わかりやすく解説していきます。

1. 13歳になったとき、大きな差が出る?

愛媛大学の研究チームは、約1,200組の親子を対象に、お母さんが妊娠中にどれくらいカルシウムを摂っていたかと、その子が13歳になった時の精神状態を長期間調査しました。

その結果、「妊娠中にカルシウムをしっかり摂っていたお母さんの子は、13歳時点でのうつ症状のリスクが低い」ということが判明したのです。

思春期は心の発達においてとてもデリケートな時期です。その時期のメンタルヘルスに、「お腹の中にいた頃の栄養状態」が影響している可能性が示された点は、とても注目されています。

2. なぜカルシウムが「心」に関係するの?

カルシウムというと、「骨や歯を作る栄養素」というイメージが強いですよね。
しかし実は、カルシウムは脳や神経の働きにも欠かせない重要なミネラルです。

たとえば、カルシウムには以下のような役割があります。

  • 神経の興奮を調整する
  • 脳内の情報伝達をサポートする
  • 感情や気分の安定に関わる

妊娠中にカルシウムが不足すると、赤ちゃんの脳の発達、とくに感情コントロールに関わる機能の形成に影響する可能性があると考えられています。

今回の研究は、「妊娠中の栄養が、将来の心の健康の土台づくりにつながるかもしれない」という点を示した、非常に興味深い報告といえるでしょう。

3. 妊娠中、カルシウムはどれくらい必要?

2025年版「日本人の食事摂取基準」では、18〜64歳女性のカルシウム推奨量は1日650mgとされています。

一方、令和6年国民健康・栄養調査によると、20歳以上女性の平均摂取量は476mg/日で、推奨量を下回っている状況です。

つまり、日本人女性の多くはカルシウム不足傾向にあると考えられています。

カルシウムを摂りやすいおすすめ食材

毎日の食事で、無理なくカルシウムを取り入れてみましょう。

  • 乳製品: 牛乳、ヨーグルト、チーズ(加熱済みのもの)
  • 小魚: しらす、煮干しなど
  • 大豆製品: 納豆、豆腐、厚揚げ
  • 青菜: 小松菜、チンゲン菜、ほうれん草

4. 大切なのは、無理なく続けること

今回の研究成果は、「カルシウムさえ摂れば完璧!」というわけではありません。しかし、日々の食事で少し意識するだけで、数年後、数十年後のわが子の笑顔を守る手助けになるかもしれない……そう思うと、毎日の食卓がより大切なものに感じられますよね。

サプリメントを利用する場合は、過剰摂取を避けるためにも、主治医や管理栄養士に相談しながら取り入れるようにしましょう。

今日のごはんに、しらすを一掴み、あるいはコップ一杯の牛乳をプラスしてみませんか? その小さな積み重ねが、未来のお子さんの健やかな成長につながるかもしれません。

参考文献:

Miyake Y, Okubo H, Sasaki S, Tanaka K. Maternal calcium intake during pregnancy and adolescent depressive symptoms: The Kyushu Okinawa Maternal and Child Health Study. J Psychiatr Res. 2025; 187: 80-84. Doi: 10.1016/j.jpsychires.2025.05.018.

愛媛大学プレスリリース(2025年5月19日) 「世界初の研究成果!妊娠中カルシウム摂取が子の13歳時うつ症状に予防的」