「水道水から鉛?もう昔の話でしょ?」
…なんて思っていませんか?
国土交通省の報告(2025年3月)によると、なんと今も約3,400kmもの鉛製給水管が、私たちの足元に眠っているんです!
これは東京から福岡まで、直線距離よりもはるかに長い距離。
そして、その鉛の管を通ってきた水を使っているお宅が、まだ約203万戸もあるんです。
もちろん、鉛の管は年々減ってはいるんです。過去10年間で年間平均290kmも撤去されている!
1年で290kmって、素人目にはすごい距離に感じます。
例えるなら、毎日約800mの鉛の管が、地中からニョロニョロと引き抜かれているイメージでしょうか。
800m走なんて、陸上部時代は死ぬほどキツかった記憶しかないのに…鉛管撤去に携わる皆さん、マジですごいです!
ただ、2022年度の撤去件数は7万件。
このペースだと、単純計算であと30年…本当に終わるのか、ちょっと不安になる数字ですよね。
そんな、しぶとい鉛について、私のアンテナがピピッと反応したので、調べてみました。
鉛給水管の残った長さ:地域ごとの差が…すごい!
日本水道協会が公開している2020年~2022年のデータを見てみると、鉛製給水管の残存延長には、地域によって大きな差があることがわかります。
なるほどなるほど、鉛ね。怖いね。
はて、当社は何をしている会社だったかな…?
あ、そうそう、毛髪ミネラル検査をやってました。
たしか毛髪ミネラル検査には、、鉛が、、、あった!
そこで、残存延長が長い4県(兵庫、大阪、香川、石川)と、短い4県(沖縄、北海道、岐阜、栃木)で、住民の毛髪中の鉛濃度を比較してみたんです!
(データ数:短い県389件、長い県940件)
結果は衝撃的でした。
鉛給水管の残存延長が長い県と短い県の毛髪中鉛濃度
短い県 | 長い県 | P値 | |
平均値 | 405ng/g | 607ng/g | 0.0002 |
P値 0.0002 って、統計学的に見ても「マジで違うよね!」ってレベルの差。
鉛の給水管の残存延長が長い県の人たちの毛髪中の鉛濃度は、明らかに高い数値を示したんです。
さらに、2022年度の鉛製給水管の総延長を見てみると…
長い県総延長:1305.7km
短い県総延長:8.6km
…桁が違いすぎる!
短い県の総延長なんて、もはや誤差レベル。
もちろん、私たちの鉛への暴露源は、鉛給水管だけではありません。食品や大気、喫煙など、様々なルートが考えられます。
それでも、これだけの差が毛髪中の鉛濃度に現れるということは、鉛製給水管が私たちの体内に、無視できない量の鉛を送り込んでいる可能性が高いと言えるのではないでしょうか。
でもね、ちょっと待ってください。
考えてみれば当たり前の話で、鉛の給水管が多く残っている県だって、県全体が鉛の管だらけってわけじゃないですよね。きっと、鉛の管を使っている地域と、そうじゃない地域があるはず。
ということは…
もし、鉛の給水管を実際に使っている人たちだけに絞って毛髪中の鉛濃度を調べたら、今回の結果よりももっとハッキリとした差が出る可能性があるってことじゃないですか!?
例えるなら、薄めたジュース全体の味を見るよりも、原液そのものの味を見た方が、濃さをダイレクトに感じられるようなものです。
鉛の管を使っていない地域の人たちのデータも混ざっている今回の結果でさえ、あきらかな差が出たんですから。もし、「ウチの水道管、もしかして鉛製かも…?」 っていうお宅の人たちの鉛濃度だけを調べたら…想像するだけでも、ちょっとゾッとしますよね。
だって、鉛の暴露源は給水管だけじゃないとはいえ、毎日使う水道水の影響は決して小さくないはず。直接鉛の管を通ってきた水と、そうでない水では、体に取り込まれる鉛の量が違うのは当然かもしれません。
今回のデータは、あくまで「県」という大きな単位で見たもの。まるで、遠くからボンヤリと景色を眺めているようなものです。でも、もし私たちがもっとズームアップして、「鉛の給水管、使ってます!」 っていうお宅の人たちの鉛濃度をピンポイントで見ることができたら…
きっと、鉛の影はもっと濃く、もっとハッキリと私たちの健康に忍び寄っている現実が見えてくるのではないでしょうか。
鉛の完全撤去への道のりは、まだまだ遠い。そして、その間にも、鉛は私たちの体に少しずつ蓄積していくのかもしれません。
改めて、自分の家の水道管がどうなっているのか、ちょっと気になりませんか? もし古い家に住んでいるなら、一度調べてみるのもいいかもしれません。そして、この問題を他人事と思わずに、もっと関心を持っていくことが、私たちの健康を守る第一歩なのかもしれませんね。
しかも、鉛には「これ以下なら安全!」というPTWI(暫定耐容週間摂取量)、つまり閾値が設定されていません。
微量でも、長期的に摂取すれば何らかの影響が出る可能性は否定できないのです。
「たかが古い水道管でしょ?」なんてノンキに構えている場合じゃないかもしれません。
2017年には古いアパートの水から基準値の40倍、血中では平均値の100倍の鉛が検出された事件もあるのです。
毎日使う水だからこそ、その安全性にはもっと真剣に向き合う必要があるのではないでしょうか。
…なんだか、ちょっと怖い話になっちゃいましたか?
でも、知っておくことは大切。自分の身は自分で守るためにも、この問題から目を背けずにいたいものですね。