ゆでこぼしで玄米のヒ素は本当に減るのか? 実際に分析してみました。
「玄米はヒ素が多い」
このような話を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
今回、海外の論文で、ゆでこぼしによって玄米中のヒ素が減少するという報告があります。
本当に減るのか、気になった当社は実際に分析を行ってみました。
実験方法
今回行った実験は非常にシンプルです。
- 玄米に含まれるヒ素濃度を測定
- 玄米を5分間ゆでこぼし
- ゆでこぼし後のゆで汁に含まれるヒ素濃度を測定
- ゆで汁へ移行したヒ素量から、玄米中で減少した量を推定
今回は「玄米そのもの」を再分析したわけではなく、
玄米からゆで汁へ移行したヒ素量を測定することで、減少量を算出しました。
分析結果元の玄米
- ヒ素濃度:127 ppb
5分間ゆでこぼしたゆで汁
- ヒ素濃度:4.7 ppb
どれくらい減ったのか?
実験では、
- 玄米:1 g
- 超純水:15 mL
で実施しました。
ゆで汁のヒ素濃度は 4.7 ppb。
水1 mLは約1 gとみなせるため、15 mL中に含まれるヒ素量は
4.7 ng/mL × 15 mL = 約71 ngとなります。
一方、玄米1 gに含まれていたヒ素量は
127 ng です。
つまり、約55〜56%のヒ素が玄米からゆで汁へ移行したと推定されました。
想像以上の結果でした
正直なところ、ここまで減少するとは予想していませんでした。
もちろん、ゆでることで玄米が吸水するため、水の量は15 mLより少し減っている可能性があります。
例えば14 mL程度になっていたとしても、結果が多少変動するだけで、約半分がゆで汁へ移行したという結論自体は大きく変わらないでしょう。
注意点
今回の実験にはいくつかの前提があります。
- ゆで時間は5分
- 超純水を使用
- ゆで汁中へ移行したヒ素量から減少量を推定
- ゆでこぼし後の玄米そのものを直接分析したわけではない
また、今回測定したのは総ヒ素であり、無機ヒ素・有機ヒ素を区別した分析ではありません。
そのため、「健康リスクがどれだけ減少したか」を直接示すものではなく、玄米からヒ素がどの程度ゆで汁へ移行したかを確認した実験とお考えください。
まとめ
今回の分析では、5分間のゆでこぼしによって、玄米中のヒ素の約55%がゆで汁へ移行したと推定されました。
これまで論文で報告されてきた内容を、自社で実際に分析してみた結果でも、おおむね同様の傾向が確認できたことになります。
もちろん、ゆでこぼしによってビタミンやミネラルなど、水に溶けやすい栄養素も一部失われる可能性があります。
そのため、「ヒ素をできるだけ減らしたい」という目的と、「栄養をできるだけ残したい」という目的のバランスを考えながら、調理方法を選ぶことが大切です。
今後も当社では、論文だけではなく、実際に分析したデータをもとに、食品や栄養に関する情報を発信していきます。
-お詫び-
今回実験に使用したお米ですが、玄米だと思っていたところ、実際には3分づき米でした。
見た目がほぼ玄米だったため、勘違いしてしまいました。
失礼いたしました。
そのため、今回ご紹介した結果は3分づき米での実験結果となります。
玄米についても改めて同じ条件で実験を行い、結果をご報告したいと思います。
引き続きよろしくお願いいたします。