
―尿で腸内環境を推察するしくみ―
ちょっと不思議ですよね。だって「おしっこ」ですよ。
腸とは全然違うもののように感じます。
確かに、「尿」と「腸」は響きが少し似ていますし、一文字違い。でも、腸の検査といえば便を使うのが一般的だと思いませんか?
「どうして尿で腸の状態がわかるの?」
そう思うのは当然のことです。
でも、医学や生理学の世界には「一見不思議だけど、ちゃんと理由がある」ことがたくさんあります。
●肝臓の例で考えてみましょう
たとえば、肝臓の異常を調べるときに測定するALTやAST。
これらは血液検査でわかります。肝臓の組織を直接採って調べているわけではありません。
それでも、肝臓に異常があるとこれらの酵素が血液中に放出されるため、血液を調べることで肝臓の状態を「推察」することができます。
このような指標のことを「マーカー(生体指標)」と呼びます。
もちろん、ALTやASTは肝臓以外の臓器にも存在しますが、特に肝臓に多く存在しているため有用な指標になるのです。
●腸の状態を「尿」で推察できる?
腸についても、同じような「推察」が可能です。
私たちの腸内では、消化・吸収されなかったタンパク質やアミノ酸の一部が大腸に届きます。
特にアミノ酸の一種であるトリプトファンは、腸内の一部の細菌(いわゆる悪玉菌)によって分解され、「インドール」という物質が生成されます。
このインドール、実は少量だとフローラルな香りがしますが、大量になると、いわゆる「便のにおい」の元になります。
このインドールは腸から吸収されて血液中に入り、肝臓で代謝されて「インジカン(インドキシル硫酸)」という物質に変化します。
そして最終的に、尿として体外に排出されます。
つまり──
尿中のインジカンを測定することで、腸内で悪玉菌がどれだけ活発に活動しているかを推察できるというわけです。
●腸のことを便以外で調べられる
尿中インジカンの量が多ければ、それは腸内で悪玉菌が多く活動しているサインになる可能性があります。
もちろん、これは腸内環境を100%正確に表しているわけではありません。ですが、身体への負担が少なく、腸内の様子を知るヒントになります。
私たちが提供している腸内環境検査も、この「尿中インジカン」を測定する方法です。
気になる方はこちらからお申込みいただくことが可能です。
