『がんを呑み込んだ男「ステージ4」と言われた医師のがん闘病記』小山 和作著(幻冬舎 2022年)

著者は、半世紀にかけて予防医学をライフワークとし、赤十字社として初めての予防医学に特化した施設、日本赤十字社熊本健康管理センターを立ち上げた医師の小山和作先生です。

本書は、健診・健康管理・健康増進など多くの業績を重ね、予防医学の第一人者だった小山先生がステージ4のがんになり、その治療過程をご自身で書き記した闘病記です。

小山先生は88歳というご高齢で、リンパにも転移している状態のステージ4の咽頭がんを宣告され、即、手術と放射線療法のため入院を、と担当医に告げられます。

しかし、通常の標準療法ではQOLが保てないと、手術を断り免疫療法を選択され、わずか4か月で腫瘍の根絶という驚異の回復を遂げられます。

「本来人間には病気に打ち克つ生きる力(健康力)がある。その力こそ免疫力と言っていい。治療とは免疫力を高めることによって、病気が育つ環境をなくすことではないかと考えたのである。

本書はその免疫力をどう考え、どう活性化するか、その結果、どうがんを克服してきたかを、読者の皆さんに伝えたいと願って書いたものである。」

まえがきに記された言葉通り、本書では、小山先生が健康力(免疫力)を高めるためにさまざまなことに取り組みます。

その中で、メインの治療法として小山先生が選択されたのが、赤木医師の治療法でした。

本書の中でも赤木医師の病院での治療が克明に描かれています。

第2部の「医療は誰のためにある?」では、闘病記のみならず、小山先生が医師として貫かれていた“病気を治すことだけではないく、患者の心を知ろうとすること”について様々なエピソードや、小山先生に影響を与えた5人の恩師たちが紹介されています。

その中でウィリアム・オスラー医師の言葉が紹介されています。

「私たちが今この世にあるのは、自分の幸せのためではない。ほかの人々の人生をより幸せにするためである。医業は天職である。使命感を持った天職である。」

この言葉を心に深く刻み、それを体現されてきた小山先生の生き方に感動を覚えずにはいられませんでした。

「臨床医学が病気の治療をするのに対し、予防医学は生活からの治療、いわば生き方の支援をするのである」

本書のこの一文には、予防医学研究所として日頃皆さまの健康に役立つことを使命として仕事をしている私たちの襟を正され、あらためて前に進む力を与えていただきました

生きる力とは何か?

その問いを持つ方に読んでいただきたい一冊です。

本書で小山先生にがん治療をおこなっていた赤木先生のzoomセミナーが開催されます。

特別セミナー内容

演題: がん治療の「免疫革命」-がんと水素と「悪玉キラーT細胞」-

講師: くまもと免疫統合医療クリニック 院長 赤木純児

開催日: 8月24日(水) 18時~19時(質疑応答の時間を設けます)

開催方法: ZOOMでのオンライン開催

参加費:無料

定員:上限300名