マーガリンは本当に悪なのか?

今から約15年前、マーガリンに含まれる「食べるプラスチック」と取り上げられていたトランス脂肪酸、覚えている方もいるのではないでしょうか?

多量の摂取で動脈硬化など心血管疾患リスクを高めると報告されているトランス脂肪酸の今を調べてみたのでご紹介します。

なぜトランス脂肪酸は問題となったのか。

これまで、動物性脂肪のとりすぎは人の健康に悪影響を及ぼし、植物性油脂は良いと考えられていました。

しかし、植物油を原料とする マーガリンには、その製造工程でトランス脂肪酸が生成されてしまいます。

マーガリンは油脂の硬さを調節するために、水素を添加した脂(部分水素添加油脂)を原材料の一部として使用しています。

この過程で出来るトランス脂肪酸が体に悪いのでので、食べない方が良いと問題となった背景があります。

「食べるプラスチック」といわれるようになったのは、この水素を添加する工程を「plasticize」と呼んでいたからと思われます。

ちなみに、「plastic」とは、「力を加えた時に変形してしまうもの」という意味で、本当は「柔らかいもの」を表す単語です。

マーガリンのトランス脂肪酸は多いのか?

結論から申し上げると現在のマーガリンには健康被害を与えるようなトランス脂肪酸は含まれていません。

過去の商品は現在のマーガリンに比べれば多かったかもしれませんが、このような報告を受けて製造会社は企業努力により、部分水素添加油脂を使わなくても、マーガリンの硬さを調節する方法を開発、一般用、業務用も大きく低減されています。データが古いため、今ではもっと低くなっているかもしません。

ミヨシ油脂株式会社様の記事も掲載いたします。

トランス脂肪酸のご心配について

欧米などの国ではトランス脂肪酸の摂取量が多いため心血管疾患リスクが高まると報告が出されました。しかし、日本では問題になるほどの量を摂取していないことが明らかとなっています。

しかし飽和脂肪酸摂取量は増加傾向

トランス脂肪酸は少ないから大丈夫かと思いきや、その反面トランス脂肪酸ではなく飽和脂肪酸の問題が浮上しています。

不飽和脂肪酸もトランス脂肪酸同様に摂り過ぎると心血管疾患リスクを高めることが指摘されています。

企業努力によりトランス脂肪酸を大幅に減らしましたが、その一方で、飽和脂肪酸の含有量が増えるという「トレードオフ(一得一失)」の現象が起きています。

また、飽和脂肪酸摂取量もこの問題を境に2005年頃から上昇傾向にあるので、なんらかの影響を与えているのかもしれません。

飽和脂肪酸摂取量の基準値は総エネルギー比率で7.0%ですが、20代以上の男性が8.1%、女性が8.8%と基準を超えている現状があります(令和元年国民健康・栄養調査報告より計算)。

アメリカではトランス脂肪酸を厳しく規制していますが、良いかというとそうでもないようです。

アメリカのトランス脂肪酸規制には全米酪農協会という強力な団体の圧力があったとされています(マーガリンのライバルはバターです)。

現に、トランス脂肪酸と同様に影響があるとされる飽和脂肪酸については規制されていません。

このような話題に振り回されずに、まずは上手にバランスよく、適切な量であるかに気を配り食生活を楽しみましょう。

ら・べるびぃ予防医学研究所