ビタミンD


    ビタミンDは、ビタミンD2(化学名 エルゴカルシフェロール)とビタミンD3(化学名 コレカルシフェロール)の2種類の脂溶性ビタミンに分類されます。ビタミンD2は植物に、ビタミンD3は動物に多く含まれ、人においてはビタミンD3が重要な働きを果たしています。ビタミンDは、肝臓及び腎臓で代謝されて活性型の1,25(OH)D2となり、標的細胞に運ばれた後その細胞核内に存在する受容体と結合して生理作用を示すと考えられています。ビタミンDの生理作用としては、生体内でのカルシウムとリンの代謝に関係するもので、腸管でのカルシウムとリンの吸収促進、骨での骨形成と骨吸収、腎臓でのカルシウムの再吸収促進などがいわれています。

    摂取・代謝・排泄


    ビタミンD2の前駆物質であるプロビタミンD2(エルゴステロール)は椎茸などのキノコ類に、ビタミンD3は魚類の肝臓に多く含まれています。ビタミンD3は、人を含むほとんどの脊椎動物の皮膚で7-デヒドロコレステロールから光化学的に生成されるといわれています。人においては、午前10時から午後3時の日光で、少なくとも週に2回、5分~30分の日光浴で十分な量のビタミンDが体内で生合成されるといわれています。
    厚生労働省は、健康な個人または集団を対象に、国民の健康の維持・増進、生活習慣病の予防を目的とし、エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示すものとして「日本人の食事摂取基準(2010年度版)」を策定しました。

    食事摂取基準(単位:µg/日)


    男性

    年齢目安量耐容上限量
    0~5(月)2.5(5.0)1)25
    6~11(月)2.5(5.0)1)25
    1~2(歳)2.525
    3~5(歳)2.530
    6~7(歳)2.530
    8~9(歳)3.035
    10~11(歳)3.535
    12~14(歳)3.545
    15~17(歳)4.550
    18~29(歳)5.550
    30~49(歳)5.550
    50~69(歳)5.550
    70以上(歳)5.550
    妊婦(付加量)
    授乳婦(付加量)

    女性

    年齢目安量耐容上限量
    0~5(月)2.5(5.0)1)25
    6~11(月)2.5(5.0)1)25
    1~2(歳)2.525
    3~5(歳)2.530
    6~7(歳)2.530
    8~9(歳)3.035
    10~11(歳)3.535
    12~14(歳)3.545
    15~17(歳)4.550
    18~29(歳)5.550
    30~49(歳)5.550
    50~69(歳)5.550
    70以上(歳)5.550
    妊婦(付加量)+1.5
    授乳婦(付加量)+2.5

    1. 適度な日照を受ける環境にある乳児の目安量。( )内は、日照を受ける機会が少ない乳児の目安量。

    ビタミンDが欠乏すると、小腸や腎臓でのカルシウム吸収量が減少し、体内でのカルシウム利用能が低下します。その結果、小児ではくる病、成人では骨軟化症の発症リスクが高まるといわれています。一方、成人、特に高齢者において、ビタミンD不足の状態が長期にわたって続くと、血中副甲状腺ホルモン濃度が上昇し、骨密度が低下するともいわれています。正常なカルシウム利用能を保持し、血中副甲状腺ホルモンが上昇しない血中25-ヒドロキシビタミンD濃度を維持するのに必要な量のビタミンDを摂取することが、骨折や骨粗鬆症などの予防の観点から重要と考えられています。しかしながら、その血中濃度を与えるビタミンD摂取量に関する根拠が乏しいため、その濃度を維持していると考えられる集団のビタミンD摂取量の中央値を目安量としています。
    また、多量のビタミンD摂取を続けると、高カルシウム血症、腎障害、軟組織の石灰化障害などが起こることが知られ、ビタミンDの過剰摂取による健康障害は、高カルシウム血症を指標とするのが適当であると考えられています。成人男女にビタミンDを摂取させた無作為化割付比較試験の結果60µg/日を摂取した群の中に血清カルシウム濃度の上昇をきたした例があったため、この摂取量を最低健康障害発現量と考え、さらに不確実性因子を考慮した50µg/日が成人における耐容上限量と策定されています。


    ビタミンDは、過剰摂取に注意が必要なので、適量を摂取しましょう。


    参考資料

    • 日本人の食事摂取基準(2010年度版)  厚生労働省
    • 2010年日本食品標準成分表  厚生労働省
    • ビタミンの事典  日本ビタミン学会










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