床ポカポカが高血圧、糖尿病リスクを減らす

住宅の床付近の温度が低いと、高血圧や糖尿病で通院する割合が高くなるという調査結果を国土交通省が発表しました。2014年度からの継続調査によると、床付近の温度が15度未満の住宅では、高血圧の人が1.51倍、糖尿病は1.64倍となりました。
さらに、室温が低い住宅では、骨折やねんざなどが増える傾向も見られたそうです。

室内の寒暖差による高血圧というのは、比較的よく知られていますが、室内の寒さはそれ以外にもリスクがありそうです。

まだまだ寒い日が続きます。
室内(特に床!)を暖かくしてお過ごしください。

参考記事『床ポカポカで高血圧の通院減る 室温が健康に影響』毎日新聞2019年1月29日 09時40分(最終更新 1月29日 11時31分)

毛髪ミネラル検査の測定風景①

ら・べるびぃ予防医学研究所では、検査室見学をしていただくことがあります。
セミナー開催時やその他の機会があったときに見学を実施しているのですが、多くの方を受け入れることが難しいのが実状です。
そこで、何回かに分けてミネラル検査がどんなふうに行われているのかご紹介したいと思います。

今回は、毛髪ミネラル検査の測定風景をご紹介します。

検体の計量
毛髪を計量する量りです。この量りは「電子てんびん」といい、0.001gまで測定できる精密な計量器です。
なんと、30万円くらいするそうです。
ちょっと年季が入っていますが、定期的にメーカーで数値が正確かどうか校正をしています。
まず、試験管の重さを計量します。

試験管も微妙に1個1個重さが違うそうです。わずかな差ですが、きっちり計量します(試験管に書いてある数字が試験管の重量です)。
毛髪を計量します。
計量する部分は、透明な板で囲われています。
これは、測定する場所の風の影響を受けないようにするためです。
0.001gの世界は、ほんのわずかな風でも数値が揺らいでしまいます。
洗浄

毛髪の計量が終わったら、先ほど計量した試験管に毛髪を入れ、超音波洗浄機で洗浄します。

よく、眼鏡屋さんの店先に超音波洗浄機が置いてありますが、その大きい版ですね。
私の眼鏡も一緒に洗浄してほしくなります。

 

溶解

洗浄後、毛髪を溶かす試薬を入れて、バイオシェーカーという機械で温めながら撹拌(かくはん)します。

 

溶けた毛髪がこちら。

茶色く色がついているのは髪の色素のためです。白髪の人、金髪の人など髪の色によってこの色も変わります。

ここまでを「前処理」といい、毛髪中のミネラルを測定するための準備です。

この先は、次回に続きます。

ミネラルファスティング

少し前になりますが、雑誌『Veggy』vol.56の特集はミネラルでした。

健康のカギは
ミネラル

と、表紙に大きく書かれているとおり、ミネラルを様々な面から取り上げています。

その中で、長年ら・べるびぃの毛髪ミネラル検査をご活用くださっている杏林予防医学研究所の山田豊文先生と末期がん専門ドクター白川太郎先生の対談が素晴らしい内容だったのでご紹介いたします。

なぜ、ファスティングが有効なのかが論理的に語られています。
そこで山田先生は「ミネラルがなければファスティングも成功しない」とおっしゃっています。
ファスティングがきちんと体の状態を正常にするにはミネラル、中でもマグネシウムをしっかりと補給しているからとのこと。

また、健康に欠かせない野菜も現代では栄養価がどんどん下がっています。
作物を育てる土壌が痩せているからです。

そこを考えずに、やみくもに玄米がいい、野菜がいいというのも間違っていると山田先生はおっしゃいます。

医療とは土、環境、農業、栄養。生物はすべてがつながっていますね。

白川先生のそんな言葉もとても印象的でした。

 

キャベツの測定

ら・べるびぃ予防医学研究所では、毛髪や爪の他にも野菜や水など様々な分析のご依頼をいただきます。

今回の測定依頼はキャベツ。そこで、キャベツの測定がどのように行われるかご紹介します。

まず、キャベツを乾燥させます。
キャベツは芯があるので、完全に乾燥するまで5日間かけて乾燥させました。

 

乾燥したキャベツの重さを量ります。
これは、乾燥前のキャベツと重さを比較し、キャベツの水分量を求めるためです。

 

乾燥したキャベツを乳鉢で粉末状にします。

これは、そのままでは分解しにくいため粉末状にして、より分解をしやすくするためです。

このように粉末にします。

粉末状にしたキャベツを分解容器に移し替えます。

容器に移し替える
硝酸を加える

キャベツを入れた分解容器に硝酸を入れます。
硝酸を添加後、蓋を軽く締めて一晩放置します。
これは、分解装置で分解する前の仮分解作業にあたります。
(※硝酸は、一般的に測定検査に広く使用される分解用の酸です。)

 

キャベツが分解して溶けている状態

一晩放置して観察してみると、粉末状のキャベツが分解され、ほとんど見えなくなっています。

 

一晩放置した容器を分解装置に入れます。
この分解装置の黒い部分が高温となり、硝酸を加熱しながらキャベツをさらに分解していきます。

加熱装置
黒い部分が熱くなります

 

ここまでできたらようやく測定です。

測定は、毛髪や爪などと同様にICP-MS(アイシーピーマス)という測定機器で行います。

ICP-MS

 

たっぷり野菜で慰労会

昨日は、冷たい雨が降る中、会社の慰労会がありました。

場所は、会社近くのレストラン。
野菜をたっぷり使った料理が出てくるヘルシーなお店です。

ヘルシーだけどとってもおいしくてボリュームもあるので、男性たちも大満足。

みんなで健康談義に花を咲かせ、おいしいお料理を堪能してきました。

いただいたお料理をいくつかご紹介。


三浦野菜たっぷりのキッシュ・ニンジンのラぺ・ネギとクリームチーズのカナッペ


ローストビーフと野菜たち(ソース何だっけ?)


白菜のパスタ(ラザニアを白菜で巻いてあります)紫イモのソース


鯛のアーモンド焼き ウーロン茶スープで煮た大根と一緒

 

人形町にある『union sand yard』というお店です。

毛髪の水銀値と魚介類の摂取量を比較してみました。

2016年に発表された国民健康・栄養調査の魚介類摂取量と、当研究所で測定した男女約3,500人の毛髪中水銀濃度の平均値をグラフにして並べてみました。

2つのグラフを比較してみると非常に一致しています。
したがって、毛髪中の水銀を確認することは魚介類摂取のよい指標になります。

このため、毛髪ミネラル検査は、水銀に汚染された魚介類を食べたことが原因である水俣病の診断ツールとしても用いられてきたのです。

 

食材用洗剤の実験、というか実証。

O-157問題などで食材の安全に注目が集まっています。

そこで、野菜果物食材の洗剤、ほたての貝殻の粉(水酸化カルシウム)の実験というか、実証。

0.5%溶液にするとpH11を軽く越えて強アルカリになった。

 

この水溶液に食材をつけると農薬や細菌などが除去できるのだ。
しかし、単にホタテの貝殻を焼いて粉にすると酸化カルシウムとなり、不安定な状態となる。

そこに一手間加えて水酸化カルシウムにすることで、非常に安定し、保存が効く上に人体に害がなくなる粉末となるそうだ。

O-157問題などで食材の安全に注目が集まっている。
野菜や果物に付着した農薬は水洗いだけでは不十分なので、こういう安全性の高い食材用の洗剤を使い農薬や細菌などをしっかり除去したい。

“奇跡のシェフ”と呼ばれた神尾哲男さんは、末期がんと言われてから14年活躍されて今年5月他界された。

神尾シェフは人一倍食材に気を使い、有機野菜をこのほたての貝殻の粉で洗っていたそうです。

神尾シェフのご冥福をお祈りします。合掌。

written by Kai

written by kai

 

歯周病とアルツハイマー

成人の80%が歯周病予備軍と言われています。

歯周病は痛みがなく進行し、そのまま放置すると最後には歯が抜け落ちてしまいます。

最近では、歯周病は口の中だけではなく全身に影響することがわかってきました。

日本臨床歯周病学会のホームページでは、歯周病が影響している疾患として狭心症・心筋梗塞、脳梗塞などの循環器系疾患や糖尿病などがあげられています。

さらに、九州大大学院歯学研究院の武洲(たけひろ)・准教授(神経免疫学)の研究グループが歯周病がアルツハイマー病を誘発するメカニズムを解明したと報じられました。

アルツハイマー 歯周病が誘発 九大、関与の酵素特定(西日本新聞 2017年08月07日 11時00分)

定期的に自分の歯ぐきの状態をチェックしてセルフケアしましょう。

ら・べるびぃの歯周病リスク検査は、歯周病の進行度に応じて5段階に結果が表示されます。

郵送で簡単にできるので、忙しい方でも気軽に検査が受けられます。

歯周病リスク検査 3,780円(税込)

written by ら・べるびぃ予防医学研究所

医療の質、日本は195カ国中11位

メディカルトリビューンの記事によると、医療の質ではトップ11位。
国民皆保険制度の恩恵と弊害について考えさせられます。

世界疾病負担研究(GBD)2015

Medical Tribune 17.05.25

米・University of Washington、Institute for Health Metrics and Evaluation(IHME)のChristopher J. L. Murray氏らは、世界疾病負担研究(GBD)2015のデータを用いて1990~2015年の世界195カ国・地域における医療の質およびアクセスの変化を新規の指標により定量化。「1990~2015年に世界全体では医療へのアクセスと質は改善していたが、国・地域間の格差はますます拡大していた。2015年時点で日本は195カ国中11位であった」とLancet(2017年5月18日オンライン版)で報告した。

リスク調整原因別の死亡率からHAQを算出

Murray氏らは、質の高い医療が提供されていれば回避できたと考えられる回避可能死亡率を32の疾患分類ごとに求め、これを基に医療へのアクセスと質を評価する定量的指標「Healthcare Access and Quality(HAQ)インデックス(範囲0~100)」を開発した。その際、脳卒中や心疾患など特定の疾患における回避可能死亡率を従来の方法で算出すると、医療へのアクセスと質以外に、食事内容やBMI高値、身体活動状況などのリスク因子への曝露レベルの違いが反映されるとの指摘があった。そこで、同研究では行動・環境リスクへの曝露の影響を極力排除するため、まずリスク調整原因別に死亡率を算出し、これを基にHAQインデックスを算出した。

167カ国で有意な改善

世界195カ国・地域のHAQインデックスの平均値は1990年の40.7から2015年には53.7に、日本では78.3から89.0に上昇、167カ国で有意な改善が確認された(図)。

図. 世界195カ国・地域における医療へのアクセスと質(HAQインデックス)

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しかしその一方で、HAQインデックスが最も高い国と最も低い国との差は1990年の61.6ポイント(範囲23.1~84.7)から、2015年には66.0ポイント(同28.6~94.6)に拡大していた。

2015年時点でHAQインデックスが最も高かったのはアンドラ公国の94.6、次いでアイスランドの93.6、スイスの91.8の順で、6位のオーストラリアを除き、上位10位を西欧諸国が占めていた。日本は11位、カナダは17位、スロベニアは18位と、これらの国は最高十分位に入っていた。英国は30位(HAQインデックス84.6)、米国は35位(同81.3)に位置していた。最もHAQインデックスが低いグループには、サハラ以南アフリカ諸国、アフガニスタン、パプアニューギニアなどが含まれていた。

1990~2015年に韓国、トルコ、ペルー、中国、モルディブは、HAQインデックスの著明な上昇(それぞれ24.1、24.9、23.7、24.7、29.6)が認められた。その要因として医療システムへの資金増加、医療提供者の責任感と管理遂行力などが考えられるが、詳細な分析は今後の課題であるという。

日本は経済発展に見合った医療政策が実現

さらに同研究では、社会・人口統計学インデックス(SDI)を加味して、当該国の経済的発展段階で実現可能と想定されるHAQの最大値をHAQフロンティアとして算出。HAQインデックスとHAQフロンティアとの差を医療へのアクセスと質の潜在的な改善余地として数値化し、各国の医療政策当局の問題意識を高め、具体的政策策定の手がかりとなることを目指した。

日本の2015年時点のHAQフロンティアは90.4で、HAQインデックスとの差は1.3ポイントと小さく(195カ国の平均は20.1)、1990年時点の6.2ポイント(HAQインデックス78.3、HAQフロンティア84.5)に比べてかなり改善しており、「医療へのアクセスおよび質に関しては経済発展に見合った医療政策が実現していることがうかがえる」としている。

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0525508629/

環境問題の大きい地域ではがんリスクが高い

Healthy day newsの記事をご紹介します。


住んでいる場所ががんリスクに影響する可能性があると、新たな分析により示唆された。研究の筆頭著者である米イリノイ大学シカゴ校環境労働健康科学部助教授のJyotsna Jagai氏は、「全体的な環境の質ががんリスクの高さに極めて強く関連していた」と述べている。劣悪な環境条件に常に曝露していると、DNA構造と遺伝子機能が損傷されるほか、全身性の炎症が生じてホルモンの問題が引き起こされると、同氏らは説明している。
本研究では、米国立がん研究所(NCI)が2006~2010年に収集した情報をもとに全米の都市部、近郊部、農村部の約2,700郡におけるがん罹患率を調べ、2000~2005年の環境指数(EQI)調査の結果と比較した。
EQIは、それぞれの郡ごとに環境の質に関する因子を合算し、環境衛生について格付けする指標。水質、大気の質、農薬や汚染物質への曝露、交通手段、住居の安全性、犯罪に遭遇する可能性など、200以上の因子を集計しており、スコアが低いほど環境問題が大きいことを示す。
分析の結果、各郡で居住者10万人・年当たり平均451人のがん患者がみられることが分かった。EQIを考慮したところ、環境の質が低い郡ほどがん罹患率は有意に高くなり、その影響は男女で同様に認められた。因果関係は明らかにされていないが、EQIが最も低い郡では最も高い郡に比べて、居住者10万人・年当たりのがん患者が39人多かった。男性の前立腺がんと女性の乳がんのリスクは特に環境の影響を受けやすいようであった。
さらに、都市化の進んだ地域に住む人では環境とがんリスクの関連が特に強くみられたが、人口密度の低い農村部でも環境とがんリスクの関連は明らかであったという。Jagai氏は、「われわれは地方ごとの差異は考慮しなかったが、“都市化度”に基づく違いは検討した。全体として、環境の質は都市部、近郊部の全ての郡においてがんリスクに強く関連していた」と話す。
同氏は具体的な対策についてはコメントしていないが、「社会的・環境的な条件を改善すれば、がんリスクやその他の健康面にもよい影響をもたらすと思われる」と述べている。この研究は「Cancer」オンライン版に5月8日掲載された。
同誌に掲載された付随論説を執筆したカリフォルニアがん予防研究所(フリーモント)のScarlett Lin Gomez氏は、「この研究は環境保護庁(EPA)が収集、保持しているような環境データの価値を明らかにするものだ。これらの各機関は今回の知見をさらに追究し、疾患における地理的差異の原因を解明し、その対策を進めていく必要がある」と述べている。
(HealthDay News 2017年5月8日)