銅は、赤褐色の延性と展性に富んだ金属です。環境中にみられる銅化合物は、通常2価ですが金属や1価または3価の状態でも存在しています。銅は、肥料、殺菌剤、殺真菌剤及び調理器具などにも使用されています。 生体において銅は、約10種類の銅依存性酵素の活性中心に結合して、エネルギー生成や鉄の代謝、神経伝達物質の産生、活性酸素の除去など生物の基本的な機能に関与しています。

    摂取


    銅は食品や飲料水から摂取されますが、通常の生活においては健康への影響は小さいと考えられています。欠乏の原因は、摂取不足、吸収不良、銅損失の増加などで、結果として鉄投与に反応しない貧血、骨異常、成長障害、心血管系や神経系の異常などが起こると考えられています。細胞内に銅が過剰に存在すると毒性を示しますが、体内の銅はコントロールされているといわれています。
    厚生労働省は、健康な個人または集団を対象に、国民の健康の維持・増進、生活習慣病の予防を目的とし、エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示すものとして「日本人の食事摂取基準(2010年版)」を策定しました。
    銅の食事摂取基準は、アメリカ/カナダの食事摂取基準を参考に策定されています。安定化同位元素を用いた信頼性の高い研究の結果から、推定平均必要量及び推奨量が設定されています。銅の過剰摂取における有害性の報告などを考慮して耐容上限量が設定されています。

    代謝・排泄


    経口摂取された銅は、消化管で吸収され、血清中の輸送タンパクと結合して肝臓に必要量が貯蔵されます。過剰の銅は、大部分が再吸収されない形態となって胆汁へ流出し、糞便中へ排泄されます。また一部が腎臓を介して尿中に排泄されるといわれています。


    食事摂取基準(単位:mg/日)


    男性

    年齢推定平均
    必要量
    推奨量目安量耐用
    上限量
    0~5(月)0.3
    6~11(月)0.3
    1~2(歳)0.20.3
    3~5(歳)0.30.4
    6~7(歳)0.40.5
    8~9(歳)0.40.6
    10~11(歳)0.50.7
    12~14(歳)0.70.8
    15~17(歳)0.81.0
    18~29(歳)0.70.910
    30~49(歳)0.71.010
    50~69(歳)0.70.910
    70以上(歳)0.70.910
    妊婦(付加量)
    授乳婦(付加量)

    女性

    年齢推定平均
    必要量
    推奨量目安量耐用
    上限量
    0~5(月)0.3
    6~11(月)0.3
    1~2(歳)0.20.3
    3~5(歳)0.30.4
    6~7(歳)0.40.5
    8~9(歳)0.40.5
    10~11(歳)0.50.7
    12~14(歳)0.60.8
    15~17(歳)0.60.8
    18~29(歳)0.60.810
    30~49(歳)0.60.810
    50~69(歳)0.60.810
    70以上(歳)0.60.710
    妊婦(付加量)+0.1+0.1
    授乳婦(付加量)+0.5+0.5

    平成20年の国民健康・栄養調査によると鉄の摂取量は、男性が平均1.26mg/日、女性が平均1.08mg/日と報告されており、上記の推定平均必要量及び推奨量を充たす結果が示されています。

    法規制など


    規制法律名規制項目規制値
    毒物及び劇物取締法医薬用外劇物
    (無機銅塩類)
    -
    水道法水道水質基準値1.0mg/L以下
    (着色防止の観点から設定)
    水質汚濁防止法排水基準3mg/L以下
    (銅含有量)
    農用地土壌汚染防止法特定有害物質(土壌環境基準)125mg/kg以下
    (農用地(田)に限る)
    食品衛生法残留農薬基準対象物質(銅として)-
    食品衛生法食品添加物使用基準(例えばチューインガム)0.05g/kg
    (銅として)

    参考資料

    • 化学物質ファクトシート「207.銅水溶性塩(錯塩を除く)」  環境省
    • 環境保健クライテリアNo.200「銅(Copper)」  国立医薬品食品衛生研究所
    • 日本人の食事摂取基準(2015年版)  厚生労働省









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