グリシン


    グリシンはタンパク質を構成するアミノ酸の中で最も単純な構造をしているアミノ酸で、ゼラチンの加水分解物から発見されました。また、絹糸を濃塩酸で加水分解したものからも得ることができます。グリシンには甘味があるためギリシャ語の甘いを意味する「Glykys」が名称の由来となっています。生体内ではセリンから生合成され、中枢神経系において重要な抑制性神経伝達物質であり、興奮性神経伝達物質でもあります。また酸素運搬役のヘモグロビンや骨格筋に含まれるクレアチン、抗酸化作用や解毒作用のあるグルタチオンなどの構成成分としても重要となります。
    グリシンは、総合失調症に対して有効性が示されており、従来の治療法に加えてグリシンを経口摂取することで従来の治療法だけでは効果のない患者の陰性症状を改善するという報告があります1-2)。また、グリシンが睡眠物質として作用している可能性が示され「睡眠の質」が改善・向上したとの有効性も示唆されています3)
    ラットにおいて、グリシンが血漿コレステロール濃度を低下させる作用があるとの報告があり、代謝的に関連のあるメチオニンとグリシンが協調して血漿コレステロール濃度を制御する可能性や肝細胞に直接作用してコレステロール分解系酵素を発現させ血漿コレステロール濃度を低下させるとの指摘もあります4-5)


    参考資料

    1. Placebo-controlled trial of glycine added to clozapine in schizophrenia. Am J Psychiatry. 2000 May;157(5):826-828.
    2. Effect of clozapine and adjunctive high-dose glycine in treatment-resistant schizophrenia. Am J Psychiatry. 1999 Jan;156(1):145-147.
    3. 眠りの科学とその応用. 第19章 グリシン摂取による睡眠の質の改善効果. 2007;235-244.
    4. アミノ酸によるコレステロール代謝の制御. 化学と生物. 2007;45(5):347-354.
    5. グリシンによる血清コントロール濃度の低下と肝臓コレステロール7α水酸化酵素遺伝子発現の誘導. 必須アミノ酸研究. 2000;157:18-22.









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