メタロミクス解析による自閉症児の評価


    Estimation of autistic children by metallomics analysis

    Sci. Rep. 3 : 01199 (2013).


    安田 寛  (ら・べるびぃ予防医学研究所)


    要 旨


    自閉症スペクトラム障害の発症原因と治療法の解明は今日の課題のひとつである。今回我々は、自閉性障害をもつ1,967人の子供(1,553人の男子と414人の女子)に対して、頭髪の26種の微量元素濃度を調べた。584 (29.7%)、347 (17.6%)および114 (5.8%)人の被験者に亜鉛、マグネシウムおよびカルシウムの不足がそれぞれ認められ、その他の必須金属においては2.0%以下であった。ミネラル不足の発現率は、0-3歳の幼児に多く観察された。その一方で、339 (17.2%)、168 (8.5%)および94 (4.8%)人は、アルミニウム、カドミウムおよび鉛の多量の蓄積に、そして2.8%もしくはそれ以下が水銀およびヒ素の蓄積に曝されていることが分かった。これらの知見は、幼児期の亜鉛やマグネシウムの欠乏、および有毒金属の蓄積の両方もしくはいずれか一方が、自閉性障害における環境因子としてエピジェネティックな役割を果たしていること、そしてメタロミクス解析法が神経発達障害の早期スクリーニングや予防につながる可能性があることを示唆している。


    Nature Scientific Reports 3, 1199 (2013). (外部リンク)
    Nature Scientific Reports 3, 1199 (2013). (英文)(外部リンク)



Copyright © La Belle Vie Laboratory Inc. All Rights Reserved.