がん予防・治療への国際協力

週末ダナンから直行便で5時間弱のフライトで帰国。

昨年12月にチャン病院長の依頼を受けてから半年余りで “がん人材育成の覚書” の調印を無事終えることができました。
神奈川県の皆様に深く感謝します。
今は “善なる思い” は必ず通じるものだと強く実感しています。

この数ヶ月、ハノイ、ダナン、ホーチミンのがん病院や総合病院を訪問してベトナムがん事情をつぶさに視察しました。
ホーチミン市やハノイ市では一つのベッド上に2人、ベッド下にも一人の患者さん、廊下にも家族(?)が付き添っていて、さながら野戦病院のような悲惨な状況です。
南北4000千万人当たりがん専門病院が僅か一つずつですから、初診から入院まで2カ月待ちは当たり前。
その間にもがんは進行します。
ベトナムでは交通事故に次いで既に肺がんが死亡者数第二位だそうです。
一般のベトナム人は “がん発症=死” という恐怖の中で生きています。
ベッド数もさることながら、がんの治療や予防のための医師、看護師、放射線技師などの人材が絶対的に不足しています。

お隣の中国でも事態は深刻です。
世界保健機構(WHO)傘下の国際がん研究所(IARC)は2003年、2008年に続き2012年に三回目の「世界がん報告」を発表しました。
その報告書によると、2012年の中国の人口は世界人口の19%ですが、中国の肺がん発症率は36%、肝臓がんと食道がんは50%を超えています。
肺がんの発症数は2025年には100万件を超え世界の50%を超えることが予想されています。
最大の理由は成人男性の喫煙率53%の高さです。日常的に副流煙にさらされている人は全人口の70%を超えています。

中国人は高度経済成長に引き換えに、空気、食物、水などの環境汚染で苦しんでいます。
世界GDP第二位の経済力を手に入れながら国民は早死するという矛盾を抱えているのです。
特に、北京や上海の住民などの大都市の住民の健康が心配です。
北京住民の平均寿命は5年以上短縮されているとも言われています。
その意味でも中国の環境汚染は深刻です。

先週の上海の精肉工場のニュース映像は世界を震撼させていますが、中国人にとって驚くほどのことではないはずです。氷山の一角だからです。
大河川には数千頭の豚の死骸や数百の人間の死骸が流れてくると報道されています。
しかし、流域の地方政府はコストの関係で放置したままだです。
食物腐敗など当たり前の不健康が日常のようです。

しかし、そこに日本からのがん治療や予防などの医療協力が広がる可能性があります。
そのソフト・サービスの結果、日本の医療機器や医薬品などの国際展開に発展するはずだと思います。
真剣に中国人の健康と長寿ために何ができるかという “善なる思い” から真の日中の友好親善が始まるのではないでしょうか。

written by 筒井

投稿者:

ら・べるびぃ予防医学研究所

健康な生活のために、予防医学の立場からいろいろな情報を発信しています。 ら・べるびぃ予防医学研究所のブログです。