カドミウム


    カドミウムは、地殻に約0.1mg/kgの濃度で分布しています。自然界で純度の高い鉱石としては見当たらず、亜鉛鉱石中に亜鉛の1/200程度の濃度で含まれているため、鉱物を採掘、精錬するときの副産物として生産されています。カドミウムは主に電池の電極材料として利用され、その他、様々な合金の成分、プラスチック・ガラス製品の顔料、塩化ビニルの安定剤として用いられています。

    摂取経路


    カドミウムの汚染経路としては吸入と経口曝露があります。吸入曝露は鉱山や精錬工場など特殊な職場で粉塵やフューム(ガス状微細粒子)を吸入することによる職業曝露と喫煙による曝露があります。タバコ1本あたり約1~2µgのカドミウムが含まれており、1日に20本喫煙する人は約1~2µgを吸収すると推定されています。
    経口曝露では食品と飲料水が考えられていますが、飲料水は水質基準が設定され水質調査が行われているため問題となることはほとんどありません。食品では環境由来の微量カドミウムの曝露、食品の種類でみると日本人は特に米による曝露割合が最も多くなっています。カドミウムが含まれている食品としては、大豆、イカ・タコなどの頭足類や貝類の内臓に高い割合で含まれています。
    国内では1977年より食品によるカドミウム摂取量の調査を行っており調査当初は約45µg/人/日と高い数値を示していましたが、土壌改良や植物浄化技術などの進歩により2010年では19.1µg/人/日と減少傾向にあります。また、食生活の欧米化により、お米の摂取量も1960年代に比べ半減しているという状況で、一般的な日本人における食品からのカドミウム汚染が健康に悪影響を及ぼす可能性は低いと考えられています。


    吸収と代謝

    食品中のカドミウムは腸管で吸収され残りは糞便とともに排泄されます。腸管による吸収率は2~8%といわれ、血液中でアルブミンやメタロチオネインと結合した状態で移動し各臓器に運ばれます。カドミウムの主に約1/4が肝臓、約1/3が腎臓に蓄積します。吸入により体内に入ったカドミウムも肺から血液中に移行し同様の動態を示します。


    メタロチオネインと亜鉛

    メタロチオネインは分子量約6500の低分子量の金属結合タンパクでI型~IV型まで4種類のアイソフォームがあり、I型とII型は特に肝臓、腎臓、小腸に多く存在し、ほとんどの組織に分布しています。通常、メタロチオネインは亜鉛により誘導され亜鉛-メタロチオネインの形で結合していますが、カドミウムが体内に吸収されると亜鉛を放出しカドミウムと結合します。これはメタロチオネインが持つ結合のし易さ(親和性)が亜鉛よりカドミウムの方が高いためです。その結果、カドミウムの毒性が軽減されることになります。
    メタロチオネインを合成する際には亜鉛は必須のミネラルであり、亜鉛が欠乏するとメタロチオネインの合成も低下させます。従って、カドミウムの毒性を軽減させるためにはメタロチオネインと亜鉛が必要になります。


    耐容週間摂取量

    国内では、米のカドミウム濃度が高い地域と低い地域の50歳以上の住民2144名を対象とした調査で14.4µg/kg体重/週以下の摂取量ではカドミウムの影響が出やすい近位尿細管障害発生頻度に差がないこと、またカドミウム濃度が中程度の地域4か所と低い地域1か所の30歳以上の住民1381名を対象とした調査で7µg/kg体重/週を超える摂取量でも同様の結果が報告されています。この2つの調査を根拠とし耐容週間摂取量を7µg/kg体重/週と定められました。この摂取量は一般的な日本人においては食品からの摂取が健康に悪い影響を及ぼす可能性は低いとされています。


     参考

    ■厚生労働省食品安全委員会 汚染物質評価書 「食品からのカドミウム、摂取の現状に係る安全性確保について」
    ■国立医薬品食品衛生研究所 環境保健クライテリア No.137 「カドミウム(Cadmium)」
    ■食品安全委員会 食品安全委員会季刊誌「食品安全」17号(2009年)
    ■ミネラルの事典 朝倉書店





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