はじめに


ビタミンCによる健康の維持・増進、多くの病気を予防する効果が注目されています。そして、最近特にビタミンC健康法を実践する人が増え、第二次ビタミンCブームの到来を感じています。
ノーベル化学賞とノーベル平和賞を受賞したライナス・ポーリング博士の影響でビタミンCの研究が大いに進展しました。ビタミンCには本来の働きのほかに、多様な働き・作用があることが明らかになりました。ビタミンとしての最低必要量を超えて、ビタミンCをたくさん摂ったときに、より良い健康状態がつくりだされ、生活習慣病をはじめ多くの病気の予防につながると期待されています。
このハンドブックは、ビタミンCの正しい知識をわかりやすく解説する入門書です。
参考にしたのは、村田佐賀大学名誉教授の研究を含む多くの学術論文であり、学術専門書です。さらに、『新ビタミンCと健康』『ビタミンC健康学』などの一般書です。
ビタミンCは食事(野菜や果物)から摂るのが基本です。厚生労働省が示した食事摂取基準の推奨量1日100mgは、食事から摂るビタミンCの目安量です。しかしながら、われわれは食事からこの半分くらいしか摂取できていません。足りない分は、サプリメントで補う必要があります。
ビタミンCは、たくさん摂るとより良い健康状態がつくりだされ、多くの病気を予防することが明らかになってきました。このハンドブックは、ビタミンCに関心をもつ人、ビタミンCを摂っている人、これから摂ろうとする人のためのわかりやすい入門書です

ビタミンとしてのビタミンC


ビタミンは、B1・B2・Cなどの水溶性ビタミンとA・D・E・Kなどの脂溶性ビタミンに大別されます。
ビタミンが欠乏すると欠乏症になります。たとえば、ビタミンAが欠乏すると夜盲症(とり目)、ビタミンB1が欠乏すると脚気、ビタミンCが欠乏すると壊血病、ビタミンDが欠乏するとクル病になります。
ヒトは、ビタミンを身体の中でつくることができません。したがって、食物から摂らなければなりません。食物からの摂取が欠乏すると、ビタミン欠乏症になります。ビタミンCが欠乏すると出血性の壊血病になります。しかし今日、ビタミンCが欠乏して壊血病になる人はいません。ビタミンCは、野菜や果物に含まれている微量(10mg以下)で、壊血病を防ぐことができるからです。
現代の問題は、その量ではビタミンCの効果が最大限に発揮されるにはまったく足りないという事です。
ほとんどのビタミンはヒトや動物の身体で作られませんが、ビタミンCには他のビタミンと大きく違う特徴があります。ビタミンCは、ほとんどの哺乳動物の身体で作ることができるのです。ヒトと同じようにビタミンCを作れない動物はサルとモルモットくらいで、例外的な存在です。
通常、微量で有効なのがビタミンですが、ビタミンCは違います。B1やB2の推奨量は、1日1mg程度ですが、ビタミンCは、その100倍の100mgです。後で述べるようなビタミンCの薬理学的な効果を期待するときは、2g、3gというグラム単位の量になります。ビタミンの働きをみるとB1、B2などのビタミンは酵素の補酵素としてのみ働いていますが、ビタミンCには別の働きがあります。ビタミンCは、ほかのビタミンとは大きく違うビタミンなのです。

ポーリング博士とビタミンC


Linus Carl Pauling

ポーリング博士は、20世紀最大の科学者のひとりです。彼の科学と平和に対する貢献は、ノーベル賞のみならず、旧ソビエト連邦等東側からも高く評価され、ノーベル賞に相当するロモノーソフ金賞、レーニン国際平和賞が贈られています。生物学、医学においても、大きな足跡を残しています。
このポーリング博士がビタミンCに関心をいだいたのは、1966年、65歳のときでした。微量で有効というビタミンCをグラム単位で大量に用いている医師がいることを知り、驚いたことがきっかけでした。
博士はビタミンCの大量摂取について深く考えました。徹底的に調査し、勉強しました。
ビタミンCは、ほかのビタミンとは明らかに違い、何か特別のビタミンのように見えたのです。
そして、「微量」というビタミンの枠の外れた、ビタミンC大量摂取に無限の可能性を洞察したのです。ビタミンCの大量摂取は、博士には深く追求する価値を持った素晴らしいアイデアに見えました。博士にとってビタミンCは、知れば知るほど神秘的なビタミンでした。
彼は“ 分子矯正医学 ”という新しい医学概念を提唱しました。
この医学概念のユニークな点は、毒性・副作用の恐れがある強力な薬物のかわりに、安全な栄養物質や生体物質を用いるということです。
それらの物質は、即効的な強い作用を有しないが、毒性・副作用は心配しなくて良い、という面を重視しているのです。そして、おだやかに病気を治す、健康な人であれば病気を予防する、というのが分子矯正医学の概念です。
ビタミンCは分子矯正医学の一側面ですが、その中で最も重要な物質です。
ポーリング博士は、カゼとビタミンCに関する研究論文を調査し、古くから研究が行われていることを知りました。しかし、それらの研究で用いられていたビタミンCの量は100~200mgという少量がほとんどでした。このため、研究の結論は混乱していました。
それでも、子細に検討すると、少量のビタミンCでも何らかの効果がうかがえました。彼は効果を確信し、自らビタミンCを摂り始めました。そして、『ビタミンCとカゼ』を出版したのです。

生体内に本来あるべき分子をそろえ、正常て病気に対処しようという考え方