ヒスチジン


    ヒスチジンは、成人においては非必須アミノ酸、乳幼児においては体内合成量が不足がちなるとの解釈から必須アミノ酸とされていました。しかし、1985年FAO/WHO/UNU(国際連合食糧農業機関/世界保健機関/国連大学)の合同委員会において、長期間ヒスチジン欠乏状態が続くと皮膚病変が多く見られ、ヒスチジン投与で回復するとの報告や、腎臓病患者の治療に用いられた必須アミノ酸輸液にヒスチジンを添加すると効果が見られたとの報告などをもとに、成人においてもヒスチジンは必須アミノ酸であると結論づけられました。
    ヒスチジンは、発赤や炎症、鼻水、痒みといった生体防御反応に作用するヒスタミンの起源物質でもあり、この生体防御反応が過剰になることでアレルギー性疾患を引き起こすといわれています。
    ヒスタミンは細菌の働きによっても産生されます。特にヒスチジンの含有量が多いマグロやカジキ、サバ、ブリなどの魚は取扱いに注意が必要で、細菌の働きにより食材にヒスタミンが蓄積したことが原因のアレルギー様食中毒が毎年報告されています。近年の大規模な事例では2003年和歌山市において市販の鉄火丼による集団食中毒(患者数113人/喫食者数117人)や、2009年札幌市の小学校においてマグロのゴマフライによる集団食中毒(患者数279人/喫食者数512人)が発生しています1-2)


    参考資料

    1. 国内外におけるヒスタミン食中毒. Bull Natl Inst Health Sci. 2009;127:31-38.
    2. 学校給食におけるヒスタミン食中毒事件の原因調査. 札幌市衛研年報. 2010;37:52-55.









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